凡例

やや暗い、壁は白くて床は灰色の小部屋の中央にパイプ椅子が1脚あって、その上にパーティーの時にかぶるようなとんがり帽子が置いてある。(※)

この文章が、その誕生日に対する僕のイメージを言語化したものです(11日という誕生日を目にした時、僕の脳内には上記のような情景が浮かんでいます)。イメージの内容が順位に直接影響を与えているわけではないので、ランキング上位の誕生日ほどわかりやすくかっこいいイメージであるとは限りません。

※誕生日によってはネガティブ寄りなイメージが浮かんでいることもありますが、それは「秋の落葉を見てセンチメンタルな気分になる」などに近い心の動きであり、その誕生日に対してマイナスの感情を抱いているわけではありません。366日の中の上位100位に選んでいるほどですから、以下に挙げた誕生日にはいずれも平均以上の好感は持っています。

 

↓以下よりランキング本編が始まります↓

 

100位

四方の壁全てがホワイトボードになっている広い部屋に理系の学生が集められ、みんな一心不乱に壁に数式を書き込んでいる。その様子は撮影されていて、栄養補助食品のCMとして放送されることになる。

 

99位

学園ものの少年漫画の体育祭の回。今行われている種目は玉入れで、最初はコメディ調のシーンが続くが途中からは白熱した勝負が繰り広げられる。

 

98位

トンビがビルのそばを飛んでいる。そのビルの一室では料理教室が開かれていて、SNSで有名な男性料理研究家が若い女性ばかりの生徒にコールスローの作り方を教えている。

 

97位

湖のほとりにあるログハウスで朝食のトーストを食べている。窓からは湖を泳ぐ白鳥が見える。

 

96位

水族館のイルカショー。もう何百回も同じ演目を繰り返してきたのでイルカにも飼育員にも完全にルーティンとして染み付いており、ショーのクオリティは良くも悪くも一定である。

 

95位

かつて地球上にドラゴンが存在したことを証明する古いイラスト。そこに描かれているものは間違いなく真実なのだが、あまりにも絵が下手なので今となっては誰一人それに価値を見出していない。

 

94位

建材店に並ぶコンクリートブロックと塩ビパイプ。コンクリートブロックの方が数が多く目立つ位置に陳列されているが、売れ行きはどちらも同じくらいである。

 

93位

旅先の町でふと見かけて入った喫茶店。雰囲気が良くメニューも美味しくてすっかり気に入るが、ここに来ることはもうないと気付いて切なくなる時の気持ち。

 

92位

ドンキーコングの「タル大砲」を模したアトラクションに並ぶ人々の列。待合場所はオレンジ色の照明がぽつぽつあるだけの薄暗い建物で、熱気が充満している。しかしそれも熱帯雨林っぽくて雰囲気があるということで、並んでいる人たちは楽しそうである。

 

91位

庭に立派な松の木が立つ老舗料亭。ここの女将は物腰柔らかだがしたたかな老婆で、常に黒い着物を着ていることから「黒幕」と揶揄されている。

 

90位

大学時代は落研に所属し芸人を目指していた青年が、海上自衛隊に入隊し護衛艦の乗員になる。芸人にはなれなかったものの、彼は今の生活も満足して受け入れている。そういう人生の面白味。

 

89位

床屋のサインポールのような赤・青・白の3色の細長い筒が地下を高速で移動している。地下のはずなのに辺りは暗くなく、「サイバー世界のフリー画像」のような模様が周囲で光っている。

 

88位

コーヒーの味を覚えた鷹。性格や行動は普通の鷹とあまり変わらないが、羽の茶色が鮮やかな気がする。

 

87位

シーズンオフの花畑。花の盛りの季節に来ればさぞきれいだろうと思うが、今の眺めも悪くない。

 

86位

ミニカーを集めるのが好きだった子供が、大人になって昔お気に入りだったミニカーと同じ車種の本物の車を買う。そういう種類の話を人々が聞き、それぞれに何かを思う、その有様。

 

85位

見た目はおいしそうだが食べられない木の実(毒があるわけではなく、ただ不味いだけ)を、学校に友達がいない中学生が見つめている。

 

84位

アメリカの、少しやんちゃなティーンエイジャーたちの冒険。メンバーの一人が父親に無断で借りてきた車を乗り回して遠くに出かけるが、うっかり吸血コウモリの巣に足を踏み入れてしまい大騒ぎになる。

 

83位

オフィス街を歩くスーツ姿の黒人男性。突然、空から流れ星が飛んできて彼を拾い上げ、そのままどこかへ連れて行ってしまう。

 

82位

名家に仕える非常に厳格な執事。その有能ぶりと冷徹さは人間味を感じさせないほどだが時折、肌身離さず携帯しているフクロウを模したペンダントを見つめて、何かに思いを馳せるような遠い目をしていることがある。

 

81位

奥行きのあるピンク色の背景にスポーツブランドのロゴが浮かんでいる。そのロゴは実在するものではないが、一目でスポーツブランドのロゴだとわかるくらいスポーツブランドっぽいのだ。

 

80位

年上の兄弟(兄と姉どちらでも可)の用事に付き合って行った知らない町の風景。その町は家からさほど遠くなく、いろいろな店があって雰囲気も悪くないが、なぜかここにはもう二度と来ないだろうという気がする。

 

何がきっかけで自分が誕生日に興味を持ったのかは定かでないですが、子供の頃から「名簿」を見るのが好きだったりしたので、個人情報というもの全般に惹かれる性質なのかもしれません。個人情報っていいですよね。僕は今でもオモコロライター全員の本名と生年月日と住所と電話番号を知りたいと思っていますよ。

個人情報の中でも誕生日はカジュアルな部類でありながら、一生にわたって付き合うことになるものです。住所や名前は変えることもできますが、誕生日はそうはいきません。そういう、大げさに言えば「課せられた運命」的なものが完全ランダムで割り振られているという世界の奇妙なシステマチックさにフェティシズムを感じたのかもしれません。なお僕が好きなのは誕生日だけで、生まれ年には特別興味はないです。

 

79位

30〜40年くらい昔の田舎の中学校。休日なので人の姿はないが、普段はけっこうな数の生徒を擁するマンモス校である。しかし今はもうこの学校はなく、跡地には高速道路が走っている。

 

78位

小学生の頃通っていた学童保育。その日は保護者も参観するお楽しみ会があり、子供も職員もみんなそわそわしている。いつになく浮足立っている彼らがなんだか普段とは別人に思えて、落ち着かない気分になる。

 

77位

大規模なイベントに向かう人たちを乗せた満員電車。乗客たちはそのイベントを本当に心待ちにしていたようで、車内には高揚感と一体感が生まれている。電車が駅に停まると中から乗客があふれ出し、その姿はさながら戦地へ赴く兵士のような気迫を感じさせる。

 

76位

道端に停まっている救急車。病人の救護をしている最中ではなく、ただ駐車しているだけである。町は平和で、今日はこの救急車が出動することはないように思える。

 

75位

オレンジジュースを飲みながら雨上がりの遊歩道を歩いていると、向こうから自転車を押して歩く人がやって来てすれ違いざまに会釈される。でもそれが誰なのか思い出せない。

 

74位

裏では本物の銃器類も扱っていると噂される、吉祥寺の裏路地にあるミリタリーショップ。この店に来る時はいつも雨が降っている。

 

73位

いつも使っている路線の、一度も降りたことのない急行通過駅。駅前にある知らないチェーンのスーパーが沈みゆく夕日に照らされていて、それを電車の窓から見ているとなぜか気分が重くなってくる。

 

72位

演奏会に向かうオーケストラの面々。天気は今は晴れているがこれから大雨になる予報で、彼らはその前に会場に到着したいと思っている。そして全員が会場に着いた途端、示し合わせたように外から激しい雷鳴と雨音が聞こえてくる。

 

71位

黒いジャージを着て、赤く染めた髪をツンツンに立てたヤンキー風の若い男性。粗暴そうな外見に反して情に厚く優しい一面もあると知っているが、どうしても彼とはわかり合える気がしない。

 

70位

昭和の頃からある町の化粧品屋。店先には植物の蔓が生い茂っていて看板を隠しているので、一見すると何の店かわからない。そのことを店主のおばさんに伝えたら、「それくらいでちょうどいいよ」と言われた。

 

69位

峡谷と深い森を越えた先にある泉。ここで採れる水には神妙な効能があって非常に価値が高く、多くの人が泉を目指して冒険に出るが、彼らはたいてい二度と帰ってこない。

 

68位

ピクニックに持っていくサンドイッチを作っている。家にあまり具材がなく、きゅうりとハムのサンドイッチばかりになってしまったので友達に笑われてしまうかなと思う。笑われたとしても、それはそれで楽しい一幕なのだが。

 

67位

お風呂に浮かんだ黄色いアヒルのおもちゃ。このアヒルは本当は人間の体操選手で、トレーニングの疲れを癒やすために一時的にこの姿になっているような気がする。その証拠にアヒルは湯船に浸かりながら、防水モニターで体操の映像を見ている。

 

66位

草原で一頭のライオンが丸くなって眠っていて、それを画家が絵に描いている。このライオンは穏やかな気性なので目覚めても襲われる心配はない。日差しは温かく、風は爽やかで、この上なくのどかな午後のひと時である。

 

65位

無印良品で買ったキャンドル。なぜそれを買ったのか思い出せないが、とりあえず火を灯してみる。揺らめく炎を見ていると確かにきれいだとは思うけれど、それ以上の感興はそそられない。

 

64位

遊園地で遊び疲れてベンチに腰かけていると、マスコットキャラクターの着ぐるみが近づいてきて風船を手渡される。ひどく恥ずかしくてみじめな気持ちになり、今すぐ家に帰りたくなる。

 

63位

郊外にあるホームセンター。品揃えは充実していて陳列もきちんとしているのに、なぜかこの店では目当ての商品を見つけることができない。それでも客足は衰えることなく、店はいつもそれなりに繁盛している。

 

62位

騎士団に所属する若い一般兵。特別優れた才能はないが勤勉で、故郷の両親や妹と手紙のやり取りをするのが趣味である。週末には城下町の酒場に仲間と繰り出し、それなりに楽しく充実した日々を送っている。

 

61位

銀色の美しい毛並みをした狼。この狼は人間に変身することができ、人間時は銀髪で長身の美女の姿である。彼女は自分以外の家族を事故で亡くしており、今は人間社会に溶け込むために宝石商のもとで修行している。

 

60位

相撲大会の賞品として積まれた米俵に、白衣を羽織ったアンニュイな雰囲気の女性が寄りかかっている。彼女は力士がぶつかり合う様子を物珍しそうに眺めながら、そのエネルギーを何かに利用できないものかと考えている。

 

僕は占いの知識はありませんが、時折「この人の誕生日はこの日っぽい」とか「この人の誕生日がこの日なのはしっくりくる」と感じることがあります(逆にしっくりこないと感じることはほぼありません。誰の誕生日が何月何日でもそれなりの納得感はあるものです)。

この感覚は実在する人間だけでなく、フィクションの登場人物に対しても生じるものです。というわけで、公式設定があるのかわかりませんが、サザエさん一家の誕生日を予想してみました。

 

サザエ:4月28日
カツオ:8月26日
ワカメ:3月2日
マスオ:5月3日
波平:8月22日
フネ:6月18日
タラちゃん:12月10日

 

いかがでしょうか。いかがでしょうかと言われても困るでしょうけど。

 

59位

よく晴れたロケットの打ち上げ予定日。現実のロケット打ち上げではなく、山の頂上から空き箱で作ったようなロケットが飛ぼうとしている、絵本っぽい世界観である。動物たちがその様子を見守っているが、彼らは打ち上げが成功しようが失敗しようがどうでもよさそうである。

 

58位

陶器の皿にきれいに盛り付けられた、安物のういろう。そうすることで少しでも見栄えを良くしようとしているらしい。その努力は微笑ましいと同時に物悲しくもある。

 

57位

大きな赤い鳥居の前に恵比寿様がいる。背後には後光が差し、放射状の紅白模様まで浮かんでいて、そのわざとらしいほどのめでたさのおかげで強制的に「大丈夫」と思えてくる。

 

56位

保育園の園庭に立つ常緑樹の大木。この木の木陰は真夏でも涼しく、雨宿りにも適していて、そこにいると木に守られているように思える。そのためか、卒園生がわざわざ木を見るために保育園にやって来ることも多い。

 

55位

オセロで黒が勝っている。黒側は着物を着流した侍っぽい男で、戦局は優勢ながら一切の油断をしていないことが表情からうかがえる。

 

54位

大きなショッピングモールの、人があまり通らない場所に設置された白いベンチ。そこに座って休めることよりも、この場所にベンチを置こうと提案されたこと、その善意に深い安らぎを覚える。

 

53位

みんなから好かれている人気者が、市販のペットボトルの水をそのまま川に流して捨てている。どういうつもりでそんなことをしているのかわからないが、それを見て強い敗北感を覚える。

 

52位

密かに好意を抱いている人と生け垣でできた巨大迷路に挑戦する夢。途中でアラームの音が聞こえてきてこれが夢だとわかるが、それでも幸福感の余韻は残り続けている。

 

51位

古い木造の平屋で開かれているそろばん教室。子供たちがそろばんの稽古に励んでいると、裏庭にある井戸の底から異形のものがゆっくりと這い上がってくる。だがあまりに動きが遅いので、それが地上に到達する頃には子供たちはみんな家に帰っているだろう。

 

50位

乾いた地面に轍が伸びている。それに沿って歩いているとだんだん人が集まってきて、気付けばちょっとしたキャラバンくらいの規模になっている。私たちはみんな、この先にはもっと良い場所があると確信している。

 

49位

生まれも育ちも良い本物の金持ち。その雰囲気や所作、所持品や金の使い方などを目の当たりにするともはや羨望や嫉妬は湧いてこず、ただただ圧倒されるばかりである。

 

48位

湾の対岸に大都会の摩天楼が見える。見かけの距離に反して自分はすぐにでもそこへ行くことができ、行けばそれなりに楽しい思いができると知っているが、あえて行かないことを選択した休日の昼下がり。

 

47位

野球の試合が始まる直前のスタジアムの熱気。一番人気のスター選手が登板予定なこともあり、会場はすでに大盛り上がりである。スター本人はそんなこと意に介さず控え室で高級車のカタログをめくっているが、それは深い自信の表れであると見て取れる。

 

46位

埼玉県東松山市に住む公務員の中年男性。そこそこ広くて新しいが殺風景なマンションの一室で目覚めると、カーテンの隙間から天気を確認し、カーテンは閉めたままコーヒーを沸かしスティックシュガーを入れて飲む。

 

45位

人里離れた山林の奥にある洞穴の手前に建てられた祠。その中には1990年代の古い電話帳が御神体のように祀られている。

 

44位

若い店主が営むイタリア料理の店。店内には店主の趣味である機関車の写真や模型がたくさん飾られている。この店は貝を使った料理に定評があり、特にムール貝の酒蒸しが絶品らしい。

 

43位

日本アルプスに挑む高校生登山部の面々。まだそこまで道は険しくないので、みんな受験勉強を兼ねて数学の教科書や参考書を広げながら山道を歩いている。

 

42位

30代半ばで坊主頭、ナチュラリスト風の男性がオーナーを務める古着屋と、それに併設するこぢんまりとしたギャラリー。ギャラリーでは彼が趣味で撮影した写真が常設展示されている。

 

41位

町の肉屋に導入された最新型の電動はかり。客はそのはかりを物珍しそうにしげしげと眺め、店主は何も言わないが内心では誇らしく思っている。

 

40位

ハクビシンの害に悩まされる商店街の人たちが集まって対策を講じている。中でも植木店の店主はハクビシンに鉢を掘り返されたと憤慨しており、罠を仕掛けてとっちめてやると息巻いている。

 

この記事の冒頭にも書いた通り、僕は誕生日を祝ったり祝われたりすることには興味がありません。しかし、「誕生日を祝う」ということに関して言えば一つだけ、今でもよく覚えている記憶があります。

僕が小学5・6年生の時に所属していたクラスでは、クラスメイトの誕生日にメッセージカードを描いて贈るという慣例がありました。仲の良い友達に向けて描く分にはいいのですが、同じクラスというだけでろくに喋ったこともない人の誕生日まで祝わなければならないのが難儀なところです。その時も、一人の男子がおよそ関わりのない女子へのメッセージカードを描きあぐねていたのですが、それを見ていた別の男子がこう言ったのです。

「じゃあもう皿でも描いとけ、皿」

言われた方の男子はその通りに、不格好な三日月のような皿をカードのイラスト欄に2つ3つ描くと、そのままそれを提出しました。一部始終を傍観していた僕は、人間関係というものの途方もない空虚さの一端を見たようで密かに衝撃を受けたものです。皿を描かれた女子の誕生日が何月何日だったのかは、今となっては思い出せません。

 

39位

イギリスにある4階建てくらいのアパートの上層部だけがアップになっている。アパートは大通り沿いに立っているらしく、辺りはがやがやと騒がしい。かと思えば突然静かになり、アパートの窓が開いて万国旗が垂れ下がってくる。

 

38位

新進気鋭の建築家がデザインした図書館。惚れ惚れするほどモダンな造りで居心地がよく、ここに来るだけで素晴らしい時間が約束されると思えるほどの素敵な場所である。でも通いすぎたせいで、最近は少し飽き始めている。

 

37位

さびれた動物園で鹿を見た作曲家が、そこから着想を得て作った曲。だいぶ古い曲で当時は大してヒットしなかったが、最近になって話題作の映画に使われたことで再評価の兆しを見せている。

 

36位

知性を持った二足歩行のアライグマが、周囲をえんじ色のビロードに覆われたキッチンで料理をしている。その様子は生中継されていて、世界中の人々がアライグマの動向を固唾を呑んで見守っている。

 

35位

フランスという国に関する全ての情報やイメージが一つのオーブに閉じ込められている。それと同時に、そのオーブの中では『魔女の宅急便』が上映されている。

 

34位

南国の海に生息するきれいなイソギンチャク。この海にはイソギンチャクの餌となるようなものはもう何一つ残っておらず、彼らもじき死んでしまうだろう。そう思うとイソギンチャクたちはより美しく見える。

 

33位

精巧に造り込まれた、機能的で美しい巨大な機械。無数の歯車やコンベアがガタガタと音を立てて常に稼働し続けているが、何をしているのかはよくわからない。でも私たちの益となることをしてくれているのだろうという気はする。

 

32位

クラスの真面目な優等生が隠れてタバコを吸っているのを目撃する。優等生はこちらに気付いてもうろたえず、ただ照れたような笑顔を浮かべるだけで、その反応に底知れない危うさと色気を感じる。

 

31位

温厚だが仕事には強いこだわりを持つ、年老いた時計職人。今はアンティークの大時計の修理を行っているが、修理が完了するより自分の寿命が尽きる方が先であることを薄々勘づいている。それでも彼は、今までの人生で得た知識と経験の全てをつぎ込んで今日もその仕事に取り組んでいる。

 

30位

昼間の交通量の多い交差点を横切るタクシー。運転手は見るからに気が立っていて、今にも交通違反を起こしそうである。交差点沿いに建つ塔では、悪魔がハラペーニョのピザを食べながらその様子を見下ろしている。

 

29位

リスのレースドライバーが主人公の、アメリカの古い白黒アニメーション。主人公は連戦連勝のカリスマ的なドライバーだが、物語の最後には銃で頭を撃ち抜かれる結末が待っている。

 

28位

気になっている先輩が川の清流で刀を洗っている。その姿はどこか官能的であり、見てはいけないものを見ているようでドキドキする。

 

27位

光ファイバーを使って人工的に再現された繭やクモの巣。それらは暗い部屋に展示されてライトアップされ、本物と見分けがつかないどころか本物よりも美しく見える。

 

26位

多くの観客で賑わう気球レースの会場。その裏では何か陰謀が動いており、大衆に紛れて工作員たちが暗躍している。しかし観客たちはレースに夢中でそれに気付かず、実際気球レースの規模と比べればその陰謀など大したものではないのだ。

 

25位

ジープに揺られインドの砂漠を旅している。車の屋根には大きな絨毯が載っていて、これは同行者の一人が魔法の絨毯だと騙されて買ったものである。道中ジープが市場の中を通り抜けると、人々は我々の車を物珍しそうに眺めたあと指をさして笑い始める。

 

24位

始業前の学校の武道場で、凛々しい表情の女子弓道部員が一人で朝練をしている。武道場の窓から見える木の若葉にはまだ朝露が残っていて、朝日を反射しきらきら光っている。

 

23位

古本屋で買った文庫本に挟まっていた、前の持ち主が手作りしたと思しき押し花の栞。その時は特に何も考えずそれを読書に使うが、しばらくしてからこの栞を捨てるという選択を自分が思い浮かべなかったことに気付き、自分のことが少し好きになる。

 

22位

立派な椅子にどっかりと腰かけた軍隊の総帥。彼は古めかしい軍服をぴしっと着込んでいるが、靴は黄色地に黒いラインが入ったごついバスケットシューズを履いている。

 

21位

女戦士の一時の休息。立ち寄った村でライ麦パンを分けてもらい、それに肉を挟んで青空の下でもりもりと食べている。その豪快な食べっぷりは村人たちが見物に来るほど。

 

20位

官公庁と人気アニメがコラボしたポスター。歩道橋の架かった道路をバックに2人組の女の子が背中合わせで立っているのだが、よく見ると道路沿いの建物の窓に原作に登場しない謎のキャラクターが描かれていて大きな話題になる。

 

いくらなんでも誕生日の話題が続きすぎなので、ここらで関係ない話でもしましょうか。好きなカップ麺の話をしましょう。

 

ベタですが、僕が一番好きなカップ麺はペヤングソースやきそばです。ジャンクでありながら唯一無二な味は何度食べても飽きがきません。

ペヤングの魅力は、具材同士のシナジーにあると思います。ソースもかやくもふりかけもスパイスも単体ではどうということないですが、その全てが合わさることで理論値を超えてうまくなってる気がするんですよね。ああもう辛抱たまりません。ランキングの途中ではありますが、ペヤングを作らせていただきます!

 

……ん?

 

あれ!?

 

このペヤングには、誕生日が入っているよーーーっ!?!?

ソースや、かやくや、ふりかけや、スパイスでなく!!!!

 

19位

寺の境内に停められた黒塗りの高級車。車内からはダンスミュージックが漏れ聞こえてきて、それに呼び寄せられるように何十羽ものカラスが集まってくる。突然車の窓が開き、トロピカルジュースの入ったグラスが投げ捨てられる。

 

18位

シルクと群青色のリボンで包装された香水の小瓶。これは誰かがプレゼントしてくれたもので、自分は香水を使う習慣はないが、もらった時すごく嬉しかったのを覚えている。

 

17位

初めて生で見た雷門。元々興味も思い入れもなかったので特になんとも思わなかったが、周りの人たちはやけに感激していて、それを見ていると自分の心にもだんだん感動が芽生えてくる。

 

16位

高級ホテルで働くエレベーターガールが主人公の推理小説。ある日彼女は気まぐれで客室に忍び込み、備え付けのキャビネットを開けてみる。するとそこには撮られた覚えのない彼女自身の写真が入っていて、それをきっかけに大事件に巻き込まれることになる。

 

15位

剣呑な雰囲気が漂う夜の闇の中に咲く彼岸花。空には異様に大きくて明るい満月が浮かんでいて、その月光を受けて彼岸花はどんどん赤さが増しているように見える。

 

14位

深い紺色の闇と対峙している。背後には明るくて安全な家があり、団欒の声さえ聞こえてくるが、躊躇せず闇の中へ足を踏み入れることを選ぶ。

 

13位

貴族の血を引く由緒正しい一族の屋敷に飾られた、歴代当主の肖像画。そのうちの何枚かは口紅で落書きされていて、それらは落書きされていないものよりずっと見栄えが良い。

 

12位

深夜のデニーズにやって来たドラキュラ。彼はデニーズの料理を気に入り、秘伝のレシピを盗み出すために厨房へ忍び込むが、そこで鉢合わせたアルバイトと意気投合し、当初の目的を忘れて一夜を語り明かす。

 

11位

田舎の祖父母の家で昼寝から目覚める。時刻は夕暮れ時で、みんな買い物かどこかに行ってしまったようで家には自分しかいない。それをいいことに、1日1本と決められている三ツ矢サイダーの2本目を冷蔵庫から取り出して飲む。

 

10位

シベリアの針葉樹林。雪の降り積もった地面には軍隊が行軍したらしき跡が残っていて、かすかに硝煙の匂いもする。その影響か、ここにいると静かな闘争心が胸に湧き上がってくる。

 

9位

地面に横たわったミサイルの周りを、ワンピースを着た小さな女の子が楽しそうに走り回っている。彼女は見た目こそ幼いが中身は老獪で、何か人知を超えた存在であるような印象を受ける。

 

8位

夕暮れ時の田んぼに佇むカカシ。カカシのモデルとなったのはこの村の出身者の一人で、人気者だったその人が村を出る時にみんなが悲しまないようにと設置されたものらしい。本人は今は東京にいて、メディア関係の仕事で成果を上げている。

 

7位

パーティーの終わり際に思い出す、そのパーティーの一番楽しかったタイミングのこと。酔いのせいかそれは何年も昔の懐かしい記憶のように思え、数時間前の出来事だとはとても信じられない。

 

6位

ピエロが店番をするアイスクリーム売りのトラック。子供たちにも人気でいつも賑わっているが、このトラックがどこから来たのか、ピエロの正体は何者なのか誰も知らない。トラックは夕暮れ時になると、いつも町外れの森の方へ走り去っていく。

 

5位

岸壁に建つ灯台。踊り場には白いシャツが干してあり、外は今にも嵐が来そうな天気なのに取り込まれていない。窓から明かりが漏れているので中に人はいるようだ。この灯台の中は、嵐など全く気にならず干しているシャツのことも忘れてしまうほどに居心地が良いらしい。

 

4位

少年時代に見たサーカス。はっきりそう示されるわけではないがこのサーカスは非合法らしく、世界の裏側を覗き込んだようでとても感動する。その帰り際にもらったオルゴールがあり、その音を聴くと今でも当時の興奮が鮮明に蘇る。

 

3位

誰かが何か大きな転機を迎えた次の日の夜明けの空。この空を見た人はみんな、一つの物事が終わって新しい何かが始まろうとしていると感じ取ることができる。でもその誰かはまだベッドで眠っている。

 

2位

見晴らしは良いが周囲に何もない高台。高台には膝の高さくらいの古い墓碑があり、何か文字が刻まれているもののかすれていてほとんど読み取れない。なのにひどく感傷的な気分に襲われて、泣きそうになってしまった。

 

1位

サファイアのような青い輝きを放つ甲虫が、車と同じくらいの速度で高速道路の上を飛んでいる。一人の男の子がそれに気付き、車の窓からじっとその虫を注視している。この経験は彼の人生に大きな影響を及ぼすことになる。

 


 

というわけで、僕が思う「一番かっこいい誕生日」は……

 

に決定しました! みなさんも一番かっこいい誕生日はいつか考えてみてはいかがでしょうか? それではさようなら~!