とにかくなんか良いエピソードがドッサリ。

 

続けて

 1人でカラオケをしていたら、ベロベロに酔った知らないお姉さんが間違って部屋に入ってきた。

 ビックリして声も出ずにお姉さんを見つめていると、お姉さんが「続けて」と言ったのでそのまま予約していた曲を歌った。
 2曲ほど歌ったらお姉さんが「カラオケってこんなんなんや……」と言って5千円くれた。

篠原

 エピソードに優劣をつける企画ではないのですが、これが優勝です。

 

ビニール傘

 雨風が強かった日に大学の授業が時間よりも早めに終わりました。
 その時に偶然雨風が弱まっていたので、「今だっ」とそそくさと大学を出ると、生命を薙ぎ払うような強風が僕を襲ったのです。
 強風をなんとか僕とビニール傘は耐え凌ぐと目の前にいた女の子はそうではなさそうで、女の子の手の持つ傘が海外のアフロみたいに反って盛り上がり、骨はバキバキ。
 そんな女の子は振り返り、僕と目が合って「あはははっ!傘!壊れちゃったーっ!」と薄暗い雨雲の下に現れた太陽みたいな笑顔と笑い声。
 僕は「壊れちゃったねー!」と自分とは思えない溌溂とした声で返事をして僕のビニール傘で相合傘をして駅まで帰りました。
 連絡先を聞かずに別れてしまったことを本当に後悔してます。

3限のアイスココア

 ウワー良いな。出来事も美しいし、生命を薙ぎ払うような強風って言葉選びも好きだよ。

 

流星

 友人達と飲んだ帰り、夜中の3時頃一人で歩いていたら自転車に乗ったおっさんが自分の前で急に止まって何か叫んできてめちゃくちゃビビった。

 びっくりして視線を向けると「上だ!上を見ろ!」と言いながら空を指さしていたので慌てて空を見上げた。 直後、流れ星が一筋だけ流れて消えた。

 おっさんは此方に向かって一瞬微笑んだ後自転車で走り去った。
 その後も空を見ながら歩いていたが家に着くまで流れ星を見ることは無く、おっさんが何故流れ星を感知できたのかわからない。妖精だったのかもと思うことにしている。

バナナ御膳

 なんだかわからないけどめちゃめちゃかっこいい。

 

雪の宿

 友だち2人と出掛けた帰り道。解散する予定の駅に着いたものの2人が人生相談してて話し込んでいたのでどうせなら、と駅にあったストリートピアノでBGMらしくピアノを鳴らしていた。
 数分後、女性の方が足を止めて聴いてくださり、「とても素敵なのでもう少し弾いてくれませんか?」と話しかけてくれた。
 もちろん承諾し1曲弾くと、女性が「こんなのですけどよかったらもらってください」と腕にかけていたよくある半透明のビニール袋に何やらガサゴソと手を突っ込んだ。
 私が??となっていると袋から雪の宿を差し出してきた。雪の宿。
 ただのせんべいなのに強烈な日常感をもたらすそのお菓子の急な登場に混乱よりも興味が湧いた。何この人おもしろいと。しかも一枚とかではなくあの大袋である。
 ありがとうございますと私が言うとその女性は去っていった。
 ストリートピアノでお菓子をもらったのは初めてだったからか、チョイスが雪の宿だったからかは分からないけど鮮明に覚えている。一つ心配なのはあの雪の宿は女性が家に帰って食べる用だったのではないかということ。
 もし楽しみにしていたならもらっちゃってごめんなさい。おいしかったです。

芸大落ちニート

 家でなんとなく食べる雪の宿より知らないピアニストにお礼として渡す雪の宿の方が価値がある気がする。お互い得してる良い話だ。

 

ガラポン

 最寄りのスーパーの、1,000円以上購入したレシートでガラポンができるというイベントで3歳の娘が当たりを引いてジュースをもらえたのだが、娘は残念賞のお菓子が欲しかったようで悲しそうにガラポンを見つめていました。

 すると、後ろの方から「これ上げる!弟君の分も引いてあげな!」とおばちゃんがレシートをくれました。
 娘は見事残念賞を引き当て、うまい棒をもらうとおばちゃんは「お菓子が当たってよかったね」と満足そうに帰っていきました。

 娘は家に帰ってから当たったうまい棒ではなくスーパーで買ったポテトチップスを食べていました。

電動アシスト付き偽善者

 当たった時は本当に嬉しかったんだろうけど、魅力度がスーッとポテチと入れ替わっていくまで時間に趣がある。

 

 高校生の時、美術部の友人が「川の流れは女性の髪のなめらかさに似ている」と話していた。
 その日学校から帰る途中、橋の上で欄干にもたれてなんとなく川を眺めてた。
 30分程眺めてたけど、前日まで雨だったこともあり、ごうごうと流れるだけの濁流は全く女性の髪のなめらかさに似てなかった。

 そろそろ帰ろうかな、と思ってた時、少し離れた所からスーツ姿の男性に「今が全てだと思わなくて良いよ」と話しかけられた。
 何のことか分からなくて「はぁ、そうですか」と返したら男性が「あのね、川は寒いよ。やめておきなさい」と真剣な顔で続けてきたので(あっ、これ飛び込もうとしてると思われたな)と気付き、恥をかかせてはいけないと思い「そうですね。やめておきます。あの、ありがとうございました」と頭を下げた。
 男性は「全てが上手くいくとは言わないけど、全てが悪いってことも無いよ」と言い、去って行った。

無記名

 優しい人しかいない。恥をかかせまいとする優しさもなんだか歪で良い。誤解だって言ってあげた方が安心した気もする。

 

餃子

 会社で餃子の王将の餃子無料クーポンを二枚貰った。(多分キャンペーン中に飲み会をした為一撃で二枚分のポイントを稼いだのを譲り受けた)
 せっかくなのでその日の昼食は餃子の王将に行ったが、よく見るとクーポンの使用期限が今日まで。
 一度の注文で二枚は使えないし、晩にもう一度来るのもな…と思っていた所、丁度隣のカウンター席に人が座った為 「これ餃子の無料券なんですけど、期限が今日までなんで使っちゃって下さい」 と譲り渡した。
 隣の人には急に知らん人に声掛けられるし、しかも喰い意地の張ってそうなデブから餃子(を食べる権利)を譲り受けるという奇異な体験をさせてしまった。

ストーム叉焼

 急に仕方ない理由で発生した善意ってまあまああるよね。

 

クイズ

 高校2年生の頃自転車通学をしていたのですが、信号を待っている途中知らないおじさんに「姉ちゃん、点字ブロックって何のためにあるか知っとるか?」と聞かれました。下を見ると私の自転車が点字ブロックに乗っています。
 今思えばおじさんのセリフは「点字ブロックの上に乗ってたらあかんよ」という意味だったんでしょうし、私が100%悪いので謝って自転車をどければ良かったんです。
 しかし急に人に話しかけられびっくりしつつも何か丁寧に言葉を返さなければならない!と思った私は、質問に対し「はい!目の見えない方が安全に歩くためです!」と答えました。まるで先生に当てられた元気な小学生のように。

 おじさんもまさか質問に対する答えが返ってくるとは思ってなかったのか「お、おう…分かってるやん」と言ってどこかに行ってしまいました。
 この日から私は点字ブロックの上に乗っていないかしっかり確認するようになりました。

頑張ろう

 おじさんの言い方がちょっと嫌な気もするけど「1クッション置いた方がいいか」と考えた結果な気もするし、最終的に注意したかったことは伝わっているし、奇跡みたいなバランスで誰も嫌な思いしてないな……。

 

クローバーおじさん

 小学生の時、友達と公園で遊んでいたら知らないおじさんに話しかけられた。

 おじさんは「四葉のクローバーがある場所を探し当てられる」「こっちにある」となどと言いながら、まるで導かれるかのように一直線に歩いていき、雑草が広がる中から本当に四葉のクローバーを見つけていた。

 その後も「こっちにある」→「あった」を何度か繰り返し、しまいには五葉のクローバーまで見つけていた。
 頻繁に遊んでいた公園だったが、クローバーおじさんを見かけたのはその一度きりだった。今でもどこかで幸せに暮らしているだろうか。

しゃる

 こういう話大好き。公園で話しかけてくるおじさんは99%ヤバいんだけど、1%の妖精みたいなおじさんは幸せに暮らしていてほしい。

 

安室奈美恵

 福岡のショッピングモールの喫煙所で。
 ひとりタバコを吸っていたら革ジャンを着たイケオヤジって感じの60代くらいの男性が「こんにちは、福岡は寒いなぁ」と話しかけてきた。

「どちらからいらしたんですか?」
「徳島からだよ」
「旅行ですか?」
「いや、アムロちゃんのコンサートにね」

 おじさんは安室奈美恵さんの大ファンで、この身体が動くうちは行けるライブはすべて行く!それが生きがいだ!と熱く語ってくれた。
 アムロちゃんは凄い、ライブには俺みたいなオッサンもいれば貴女みたいな若い女の子もいる。もっと年上の婆さんも、小さな子供も見た。どの世代も魅了する日本のスターだ。

 おじさんの言葉に頷き「そうやって自分の全てだと言えるような、情熱を持って追えるものがあるの、羨ましいです」と言うと、「なら貴女はこれから出会うんだな、そういうものに」とおじさんは笑った。

「ライブ、楽しんできてくださいね」というとおじさんは「おう!」と片手をあげて去っていった。
 仕事を辞めたばかりで、趣味と言えるものもなく、毎日ぶらぶらしている空虚な自分に劣等感のあった私はなんだか泣きそうになってしまった。別の人が入ってきたのでタバコを消して外に出た。確かに福岡の冬は寒いな、と思った。同時に私は他の冬を知らないんだと気付いた。

 数年前の安室奈美恵さんの引退報道を聞いて、一番に思い出したのはあのおじさんの事だった。
 今、どうしているかなぁ。奄美大島の冬は福岡に比べると格段に暖かい。徳島の冬は、どうだろうか。

タバコはやめた。

 泣きそう。

 

ジャンプ

 電車通学をしていた中学生の夏休み、学校から塾に向かう電車で知らんカップルと40分ほど話しました。
 2人は東京の大学生で観光のために来たらしく、私含め3人ともジャンプを読むのが好きということ、私はお小遣いが少なくジャンプはたまにしか買えないこと、その代わりに成績を上げることで毎月1号だけ親にジャンプを買ってもらえること……などジャンプを中心にめちゃめちゃ盛り上がりました。
 最後には「塾がんばってね!」「これでジャンプ読みな!」と500円をくれ、子どもながらに「この恩は一生忘れないだろうな」と壮大なことを思っていました。

 数日後、500円の出どころをしっかり忘れてお菓子を買いましたし、塾もその後すぐサボって強制退塾になりました。

チタン

 最高。「一生忘れないぞ」と思ったこと、多分忘れまくってるんだろうな。忘れてるからわからないけど。

 

 3年前の7月、早朝から釣りをしていましたが全く釣れず、通り雨に見舞われながらも 諦めがつかず居座っていると、すっかり晴れた空に虹がかかり始めていました。

 少しずつ濃くなっていく虹を見ているとそれが二重虹だと気付き、ちょうどその時ランニングをしていた見知らぬおっさんから「虹すごいですね」と話しかけられたので、 軽い気持ちで「あれよく見ると二重なんすよ」と返すと 「えっ!?……あっホントだ!!」と言ってしばらく黙って見入ってしまいました。

 その後は特に何か話すでもなくおっさんは去っていきましたが、自分の何気ない一言で おっさんの感動を増幅できたのかと思うと少しだけ誇らしい気持ちになれました。
 ちなみにその後3時間粘った結果42cmのクロダイが釣れました。

石弓

 なんてちょうどいい塩梅のエピソードなんだ。すごいものをよく見たらもっとすごいよって会話、優しすぎる。

 

機械

 平日のパチ屋で、スマホでCLANNADをイッキ見しながら海物語を打っていたところ、25連チャンくらいしました
 隣で打っていたおじいさんに「その機械(スマホ)があれば当たるんか!?」と言われ、夢を壊すのも悪いと思い「そうかもしれないです……」と返しました

山川世界史

 夢、守れたかな。

 

ビール

 一人でとあるバンドのライブに参加したあと、 ドリンクチケットでビールを受け取ったところで横にいた首タトゥー耳鼻ピアスのお兄ちゃんに「ライブ後のビール最高ですよね!」と話しかけられた。

 ビジュアルが普通に怖かったので「そうですね!」と返して、ビールを一息に一気飲みしてそのまま退散した。

 ライブ後に”一人で”飲むビールは最高に美味いと思います。

ZA-MEN BOYS

 散々知らん人との会話を「良いな〜」と言ってきたけど!!!! こういうのもめちゃめちゃわかる!!!! めっっっっっちゃめちゃわかる!!!! 基本的には見た目に関係なく知らん人って怖い!!!! どれだけフレンドリーでも怖いもんは怖い!!!!
 今まで褒め散らかしてきたみたいに「良いな〜」ってタイミングもあるけどさ。

 

ナントカナントカ

 公園のベンチで、友人数人と、パフェを食べに行きたいね、という話をしていました。
 一人が、「そういえばこの間有名なパティスリーに行ったんだけど、そこのパフェもおいしそうだった。ナントカ・ナントカみたいな名前の…」と言い出しました。

「焼き菓子が有名な……たしか人の名前だったんだけど思い出せない……」と苦しむ友人が面白く、ナントカナントカじゃわかんないよ、人の名前のお店いっぱいあるよ!ピエール・エルメだって人名だよ!とゲラゲラ笑っていたところ、別のベンチに座っていたお姉さんがふと立ち上がりました。
 あ、うるさかったかな…と思っていたら、お姉さんは立ち去りがけに「アサコ・イワヤナギじゃないですか?」と教えてくれました。

 それだ!と目を輝かせる友人。 このヒントでなんでわかったんだと慄く我々。お姉さんは「美味しかったですよ」と言い添え颯爽と去っていきました。
 あまりのかっこよさに後日パフェ食べに行きました。美味しかったです。

やま

 こんな会話が聞こえてきて「アレじゃん」とピンときてしまったら絶対我慢できずに教えにいっちゃうだろうな。お姉さんもめちゃめちゃスッキリしただろうな。

 

上京

 上京したばかりの頃、所用で初めて渋谷に行った日のことです。
 田舎者ゆえ人の多さに圧倒され、疲れ切った状態で家のある23区外まで帰った後、駅前のベンチでぼんやりしていました。

 その時、隣に座っていたサラリーマン風のおじさんにいきなり「いや〜暑いねえ!都会って人が多くて疲れるよね〜やっぱ俺は23区外の方がいいや!でもじきに慣れてくるよ!」と話しかけられました。
「そうですかねえ」と心から返事をした後すぐにバスが来て、おじさんは乗って行ったので会話はそれだけなのですが、よく考えたら、なぜおじさんは私が都心に行って疲れていたのがわかったのだ?と不思議でした。

 都心で用事を済ませた後、隣の県に行ってまた用事を済ませて帰ってきた後なので、おじさんと乗ってきた電車が一緒だったとしても都心に行ったのはわからないはずです。
 そもそもおじさんは先にベンチにいました。
 たまたまげっそりしてる上京したてっぽい若者に声をかけたら、状況が当たっていた、ということなのでしょうが、地味に不思議で印象に残っています。

最近新宿駅に慣れはじめた、渋谷駅はまだ

 優しい……優しいエスパーのおじさんかもしれない。都民はお上りさんのことすぐわかるって聞くので東京行くたびにドキドキしてる。

 

俳句

 確か小学校低学年の頃、幼馴染2人と学校からの帰り道にふざけ合いながら帰っていた時のことです。

 全国を徘徊している詩人を名乗る初老の男性から話しかけられ、俳句のプレゼントを私たちにくれました。

『人のせい する事勿れ 若き竹』

 その人の顔を忘れ、貰った紙も何処にいったかわからないけれども、この句だけはめちゃくちゃ記憶に残っています。

うなたま

 善意のプレゼントにしてはメッセージ性が重いな!!

 

ソファー

 一人暮らしを始めた22歳の夏、初めてのマイルームでテンションが上がり、ちょっと大きめのソファーを買った。

 ソファーを奮発したため配達員による配送代をケチり、自家用車で運んだが、当時の家はエレベーターのないマンションの4階。

 高いソファーに押しつぶされそうになりながら運んだが、マンション1階の階段を少し上がったところでにっちもさっちも行かなくなった。

 脂汗をかきながら周りを見渡すと、目に入ったのは1階の101号室のインターホン。

 祈りながらボタンを押すと30秒後、「なんなんだよ…」と言いながら明らかに寝起きのムキムキコワモテおじさん(金髪ロングのパンクロッカー風)が不機嫌そうな顔で出てきた。

「ソファーが上がらなくて…」
「…業者に頼めや!!」

 そういいながら、流れるようにソファーに手をかけたおじさんはとてもパワフルで、ほとんど1人で重たいソファーを4階まで運んでくれた。

「もう荷物ないな!?次は業者頼めよ!!」

 おじさんはそう言いながら、お礼の缶ビールを頑なに断りつつ、自室に帰って行った。彼のような人間になりたい。

オートロックに締め出された時もお世話になりました(「鍵持って出ろや!」と怒られた)

 最高のツンデレ。

 

マジアカ

 今はなき渋谷のゲーセンで友人とマジアカ(クイズのオンラインゲーム)をやっていたところ、「○○選手が所属するサッカーチームは?」みたいな四択問題がでたのだが、2人ともスポーツ知識がなさすぎて「わかんねーー」と困っていた。

 すると後ろから肩を叩かれ、振り向くと、ロングコートを着たお兄さんが必死に自分のTシャツを指し何かを訴えていた。
 なに?まじで何?と困惑したが、よくみるとそのお兄さんのTシャツには名古屋グランパスエイトのマスコットのシャチが描かれており、時間ギリギリで選択することができた。

「正解!」の音がマシンから流れ、お兄さんに「正解しました!」と報告すると、お兄さんも嬉しそうにグッとサムズアップした。

 それからそのお兄さんと会うことはなかったが、渋谷のゲーセンやマジアカの話をするたび、グランパスエイトさん(勝手に決めたお兄さんの呼称)のことを思い出す。

マジアカ

 自分が誰かの人生の名アシストキャラになれる瞬間を逃さないようにしたい。

 

泥棒

 外に品物が置いてあるタイプのドラッグストアで、1点商品を持ちながら店外で商品を見ていた。同じように商品を持って店外にいた爺さんが「泥棒みてぇだな!」と話しかけてきて、その声が大きくてびっくりしたのと咄嗟すぎて良い返しが思いつかず「あはは、そうっすね…」としか返せなかった。なんか上手い返しをしたかった…と後悔していてなんかずっと覚えてるエピソード。

まやりん

 俺もああいうの泥棒だと思われたらどうしようってずっと思ってた。ありがとう爺さん。

 

背中

 二次会でカラオケに行った時、トイレで若い兄ちゃんから「ちょっと背中見てもらってもいいですか?」と言われた。

 背中を見るとえげつない擦り傷があり、慌てて写真を撮って「痛そうですよ…」と言って退散してしまった。

 なぜそうなってしまったのかは分からないが、元気にしていると嬉しい。

ぺこ

 何があったんだよ……なんでカラオケで……。

 

インコ

 大型のホームセンターに買い物に行った時のこと。
 ペットコーナーで販売されていたセキセイインコが店内に逃げたらしく、捕獲用の大きな網を持った店員さんが数名で追いかけている現場に出くわした。

 店内を自由に飛び回るインコと、捕まえようとする店員さんと、それを追う野次馬たち。
 しばらくして、店の吊り下げ広告にとまり、ひと休みするインコをロックオンした店員さん。
 ギャラリーが固唾をのんで見守る中、店員さんがゆっくりゆっくりと網を近づけ見事インコを保護! 誰からともなく拍手が沸き起こり、照れくさそうな店員さんがインコの無事を確認する中、隣にいた知らんおばさんから
「こういう時、なんか拍手しちゃうのよね〜」と言われた。
独り言?とも思ったけど
「分かります〜なんででしょうね〜」と返すと
「ほんとにね〜」
「ね〜」
みたいにちょっと余韻にひたってからお互い散っていった。日本て平和だな〜って思いながら帰った。

しお

 全然拍手していいタイミングだけど、なんで拍手してるんだろうなってちょっとだけ掠めたんだろうな……。

 

人生

 5〜6年前、荒川の土手でぼーっとしていると、自転車に乗ったおじいさんに話しかけられた。

 どんな話からそうなったのかは覚えていないが、お爺さんがいま独り身であること、そして昔婚約者がいたという話になった。

「結婚はできなかったんですか?」と聞くと、 「向こうの親御さんから頭下げられた。この娘には結婚する許嫁がいるから、すまねえ、って」と。

「あいつはすげえ酒飲みでなあ、俺がよくおぶさって家まで送るんだけども、よく背中にゲェー吐かれっちまってなあ、まいったよなあ!」と、とても楽しそうに笑いながら思い出を話すおじいさんに、なぜか泣きそうになってしまい、でも泣くのも変だなと思い、よくわからない顔をしながら「そうですねえ」としか言えなかった。

 あんなに「人生」を感じた立ち話はありませんでした。

オザケン

 教訓にもならない、ただ「そういう人生の人がいた」というだけの話なんだけど、土手でぼーっとする話としては最高な気がする。

 

トンボ

 4年ほど前、職場の隣のコンビニでタバコ休憩してた時の話です。
 カラッとした秋晴れの日でした。トンボが私の肩に留まって、そのことが嬉しくて誰かに言いたいけど周りに誰もいなく、携帯のカメラで撮ろうにも動いたらトンボが逃げちゃう気がして動けずいました。

 するとタクシーの運転手さんがタバコ休憩に来てくださり、誰でもいいからこの状況を見てほしかった私は迷わず声をかけました。
「おお、すごいな」とめんどくさそうに言われて、我に返りました。あ、これそんなにすごくないなと気付きました。
 その後、タクシーの運転手さんがタバコ休憩終わる5分程、自民党批判の話を聞かされました。興味なかったし仕事にも戻らないと行けなかったですが、自分の話しを聞いてもらった手前逃げられず、クソおもんない時間でした。
 トンボ見る度に思い出します。

カニ

 いや、超すごいよ。おじさんのリアクションが薄いよ。超すごいけど見返りにおじさんの面白くない話を聞く必要はある。

 

高速実習

 高校の頃、高速実習でペアだった人にPAで突然話しかけられました。
 相手は普段美術の大学に通っているらしく、緊張をほぐそうとしてくれたのか、「君が事故ったら今描いている絵が遺作になるところだった」など皮肉っぽい会話をして、何かの縁だからと自販機の飲み物を奢ってくれました。

以上、裏切り者

 いいな。美大ブラックジョーク。

 

 2年ほど前、夜勤明けの午前4時頃にコンビニの灰皿横に座ってタバコを吸っていたら、ぼろぼろでキイキイ音のなる自転車に乗った見知らぬお爺さんが近寄ってきた。

 特に気にも留めなかったが、お爺さんは自転車に跨ったまま私に近寄って「お姉ちゃん、市県民税、払ってるか?」と話しかけてきた。
 私が「払ってるよ」と答えると「税金払ってんのか、じゃあこの市内ならタバコその辺に捨てていいんだよ」「他の市に行ったらすんなよ」と言って、お爺さんはコンビニに寄るでもなく去っていった。

 絶対にいいわけがないし、ポイ捨てなんかしたこともしようと思ったこともないけど、この日からなんとなく無敵になったような気がしている。
 疲れた時なんかに「お爺さん、無敵を分けてくれてありがとう」とこのことを思い出す。

匿名希望

 最悪のジジイだけど、ジジイの中にもルールがあるのは良いな……。俺も読んでて少し無敵になった気がする。

 

 今回もめちゃめちゃ面白かった。初回を読んで「そういえば俺もあったな」と思ってくれたのか、数も質もすごかったな。ご協力いただいた皆様本当にありがとうございました。自分に全然関係ない会話最高。

 

 

 自分も何かこういう知らん人と1回きり話した思い出あったな〜という方はこちらから投稿ください。3回目がなかったらごめんなさい。