3.出張ホストに会った(一回目)
一回目は、勤務先の近所で仕事帰りに一時間だけ会うことにしました。一時間のために待ち合わせ場所に移動したり、出張費の何割かを事務局に入れることなどを考えると、リピーターになってもらわないと割に合わない仕事ですね…。
※お店によっては最低二時間〜のところもあります。
事前にお互いの服装を教え合って、駅前で会うことが多いそうです。
私は自分でお店を予約して「山口で予約してある席まで来てください。」とホストに伝えましたが、お願いすればホストが店選びも予約もしてくれます。
現地集合にした理由は、30分早く入店してお酒の力を借りるため!
極度の緊張でえずきながらビールを飲んでいると、早々に声をかけられました。
こんばんは。
待ち合わせ時間の15分前に到着してくれるなんて、完璧…でも、今日ばっかりは早いっ!まだ酔ってないっ。
スマホから恐る恐る顔を上げるとそこには…
嵐の櫻井くんをどうこうした感じの、宣材写真を軽く上回るさわやかイケメンが。
なんだかんだで、実物は写真より劣っててズコー!ってならなきゃいけない場面だったのは重々承知しております。承知しておりますが…。
生粋のインターネットっ子ゆえの、うそはうそであると見抜ける能力を発揮し過ぎて、加減を見過りました。
どえらい額の取材費を出していただいたのに、普通に美味しい方へとすっ転んでしまって誠に申し訳ありません!!オモコロ編集部の皆様には、合わせる顔もございません!!!今回の記事、笑いは少なめかも知れません!!!!
脳内で額を床に擦り付けながら、すました顔でホストと挨拶。
こんばんは。
なるほど…。
イケメンはいい匂いがするよーーっ!(トリビア)
料金は最初に支払います。今回は
指名料:5,000円×1時間+都内出張料:1,000円=6,000円。
現金入りの封筒を渡して領収書をもらい、お互いに中身を確認するところからスタート。
取材費とは言え、お金で人の時間を買う違和感が拭えません。
気まず過ぎて間が持てなくなり、ホストが飲み物を注文し終えたタイミングで、いきなり嘘の依頼内容を説明し始めるゴリラ性欲嫁。
実は、同棲していた彼氏が急に出て行っちゃったんです。( 二人暮らしの部屋をごまかすために、かつて我が身に起きた実話を採用!)それを心配した友人が、気晴らしに出張ホストで遊びなよって、お金を出してくれることになりまして。(領収書をもらうことへの言い訳)別の友人(マキゾウ)もすごく心配してくれているので、その子の前で新しい彼氏ができたフリをして安心させたいんですよ。嫌な思い出のある部屋だけど、櫻井さんが作ってくれるお料理でホームパーティをしたら、楽しい思い出が上書きされるかな?って…☆
話しながら自分でも「この女は何を言ってんだ??」と思いましたが、真摯に話を聞いてくれるホスト。
その上、じっと目を見つめてきます。その顔で見つめられたら、恋に落ちるおぼこ娘が続出でしょうよ…。
…っていう依頼なんです。
わかりました。
大丈夫ですか?
全然、大丈夫です。
ほんとですか?難しかったら、仲のいい友達が最近できたっていう設定でもいいですよ?
どっちでも大丈夫ですよ。
仕事に慣れていない新人が来ると思っていたのに、妙にこなれた対応をされて、こっちが困惑すること新人ホステスのごとし!
す、すごいですね…。じゃあ、難易度の高い方でお願いしますっ!
ふふっ。じゃあ、彼氏役ということで。
名前はなんて呼んだらいいですか?
“みさっちゃん”でお願いします。
むつおと同じ呼ばれ方されて、マキゾウをびびらせたるで!
私はなんて呼びましょうか?
じゃあ、“翔也”で!
彼氏の翔也が爆誕しました。
友達に仕事を聞かれた時って、嘘を言うんですか?
そこも合わせますよ。
へ〜。じゃあ、実際の昼の仕事を答えてもらっても…?
全然いいですよ。
聞いたら普通に、勤務地や仕事内容を教えてくれました。
料理も当日までに考えてきてくれることに。
この仕事始めて、まだ二週間くらいですよね?
そうですね。
慣れてない人が来ると思って、何を話そうって思ってたんですけど、全然普通に話せますね!
あ、自分、前に別のとこでもやってたんですよ。
蓋を開けたら超有名店で活躍してた子でした。
道理で慣れてるわけだ…。
ずっとこんな敬語で喋ってても大丈夫ですかね?
じゃあ、そろそろ敬語やめますか?
言うや否や、くだけた話し方に豹変する翔也。
生まれつき顔が良いと、物怖じしないせいでそんな技が身に付くのか!
で、みさっちゃんっていくつなの?
そこは物怖じして!
歳!?聞いちゃうの!?
ホストクラブの“爆弾”(年齢、職業、宗教を聞くNG行為)がこの業界はないから、俺、けっこうなんでも聞いちゃうよ。
歳だけは勘弁してください…。
容姿を褒めてチヤホヤされる時間もちょいちょい入ります。
みさっちゃんって顔、整ってるよね。
美人と言われない辺り、精一杯褒めてそこ止まりという顔面レベルをお察しください。
モテるでしょ?
変な人にはモテる。
じゃあ、今まで何人と付き合ったの?
言いたくないっ!
スタイルいいよね。
(むつおに「太ったな〜!」って言われたばっかだわ!)
私はお世辞を言われるのが苦手なので反応に困りましたが、日常では絶対言われない台詞なので、とにかくイケメンにチヤホヤされたいという人には最高のサービスだと思います。
そうこうしているうちに、約束の一時間が経過。
こういうのって、どうやって終わったらいいの?
時間?ぜんぜん気にしなくて良いよ。
えっ。
逆に、何時まで大丈夫なの?
この後、友達の会社のパーティに行く。
それって渋谷?
うん、この辺ぽい。
じゃあ、そこまで送るよ!先に事務局に終わりましたメールしていい?
無料で延長してもらえました。
行ったことのない場所だったので、この親切は素直に嬉しかったです。
ホストが先にお店を出て外で待っていてくれるので、女性が全額支払っても気まずくはないです。
(テーブルチェックのお店は気まずいです!)
ごちそうさまです!
はいっ!
今回の自腹 3,250円
ビール×5
地図アプリでパーティ会場を検索すると、勤務先の真横を通るルートに。
偶然にも、会社の近くにさしかかったタイミングで手を繋いでくる翔也。
ちょいちょいっ!手は繋がなくていいよっ!
なんで?
なんでって…。このビルが私の職場なので!会社の人に見られる!
彼氏だから見られてもいいじゃん。
確かに。
既婚ゆえ何かとまずいだけで、未婚であれば知り合いに遭遇したところで大した問題はないのか。むしろ、金で雇っていることを一旦忘れる才能さえあれば、自慢できるシチュエーションなのか…。
バッグ持とうか?
うん…。
さらっと鞄も持ってくれます。
20分ほど「手を繋がれる→振りほどく」を繰り返して、なんとなく親密な雰囲気が出来上がったところで、地図が示す人気のない路地裏に到着。
会場が見つからないけど、ここまででいいよ!
いやいや、心配だから見つかるまでいるよ。
一緒にパーティに参加しちゃう?
うん、いいよ!
いいんだ。
冗談です。本当にここでいいから!
…。
…。
突然、黙って顔を見つめてくる翔也。
あれ?キッスじゃない?
これ、見つめ返したら即キッスのやつじゃない?
もう帰ってよぉーーーーーーーー!
どう考えてもキッスの雰囲気だったので、最後は叫んで強制終了!キッス、ダメ、絶対。
この後、楽しかった的なアフターメールがきておしまい、これが一連の流れです。
初回ということもあって、恋人同士よりも、付き合う前の「この子、私に気があるんじゃ…?」っていう、一番楽しい時間が過ごせるサービスでした。
ホストクラブはこちらから出向くテーマパークですが、出張ホストはこちらに呼ぶので日常と混同しやすく、地味な三十路女がハマる確率は出張ホストの方が高いと思います。
(ゴリラ性欲嫁は、精神的な疲労から翌日発熱しました。)