江夏の返答

まず、48冊中18冊に登場する江夏を口説き落としてリリーフに転向させた話ですが、
「革命を起こしてみないか?」と言われた江夏の返答が本によって細かい違いがあります。

 

それを表にまとめたものがこちらです。

 

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著書は出版された順に並べているのですが、
それまではガンダムの主人公みたいな感じで至ってクールに返答していた江夏が、
なぜか2013年に入ってから出版された
41『私の教え子ベストナイン』から急にやる気まんまんになるのです。
なんかもう今までのパターンに飽きてきてGガンダムみたいな時期に突入したのでしょうか?
原因は不明です。

 

 

清原チンポコ発言

同じように、あまり何回も使いまわされてはいませんでしたが、
変化球を投げてきた藤川球児に対して清原が「真っ直ぐ投げんかい。チンポコついとんのか」
と発言したエピソードについても、
本によって“チンポコ”の部分が微妙に異なっています。

そちらをまとめたのがこの表です。

 

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1『野村ノート』では「チンポコついてんのか」だったのが、
2『巨人軍論』では「チンチンついてんのかあ!」となり、
続く17『野村の革命』でも「チンチンついとんのか」だったので
チンチン”で統一されたのかと思いきや、
やはり規制が厳しくなったのか、
2013年に発売された44『私が見た最高の選手、最低の選手』では
××”と伏せ字にされてしまい、
挙げ句の果てには今年発行された48『理は変革の中にあり』ではついに
キンタマついてんのか」と根本から変わってしまいました。
いったい何が起こったというのでしょうか。

 

しかし、「意味がわからない」で終わっていてはいけません。
データを活かして先を読むのが野村ID野球の真髄です。
チンポコチンチン伏せ字キンタマと来て、
次に野村克也ならいったいどういう配球をするのか見極めてみましょう。

 

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これがここまでの配球です。

 

自分はここで“タマキン”が来ると予想します。
まだ一度も見せていない“タマキン”で勝負に来ると思います。
皆さんもノムさんの本を読んで配球を学び、
キンタマの次にはどんな球が来るのか予想してみましょう。

 

 

また、ノムさんの本を続けて何冊も読むと
その時にはわからなかったことが後に判明するという現象もよく起こります。

 

 

飯田のキャッチャーミット

ヤクルト監督時代、飯田哲也に
「快足なのに、なんで捕手をやっているんだ。ミットをよこせ。俺が買い取ってやるから、
その金でグラブを買え」と言ったというエピソードが5『野村の流儀』に書かれているのですが、
いくらで買い取ったのかまでここではわかりません。

 

ところが、続けて6『野村の「眼」』を読むと、
“飯田はすぐにミットをふたつ持ってきた。私はそれを四万円で買い取り、
飯田にはその四万円で野手用のグラブを購入させた。”
と詳しい買取価格まで記載されていました。

 

その後、すべての本を読み進めて行っても
どちらのミットが何円でもう一方のミットが何円だったのかという
さらに詳しい内訳まではわからなかったので、
単純計算で1個2万円の可能性が高いと思われます。

 

 

山﨑武司の平手打ち

また、楽天の監督時代、チームリーダーの山﨑武司が
ある若手に平手打ちをくらわして説教しているのを目撃したと
10『野村再生工場』、18『あ〜ぁ、楽天イーグルス』の2冊で書かれているのですが、
2013年に出版された45『野生の教育論』
“いつだったか、ルーキー時代の嶋に平手打ちをくらわせていたのを目撃したことがあった”
とはっきり実名で書かれていました。

 

 

エヌ氏

さらに、6『野村の「眼」』38『監督の器』の2冊で
“私が南海の監督時代、何年か二ケタ勝利をあげて、
エース級などと評価されたNという投手がいた。”
と珍しく名前をイニシャルで表記されている選手がいて、
この選手はノムさんが捕手でリードしているから勝てているだけで
他のチームに行ったら勝てないくせに自らトレード志願をして移籍し、
案の定まったく活躍できなかったというエピソードでまとめられていたのですが、
やはり2013年に入ったから出版された41『私の教え子ベストナイン』という本で
思いっきり同じエピソードを書いて普通に“西岡三四郎”と実名を出しています。

 

 

ノムさんは2013年に入ってから何かしらのスイッチが入ってしまったと思います。

 

野村克也の本気モード

 ノムさんはこれ以前にもスイッチが入ってしまったことがあります。
それは野村ノートノートの表に注目するとわかります。

 

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この赤い部分に注目してください。

 

15『野村主義:勝利への執着力』(小学館、2009年5月)
16『弱者の兵法:野村流 必勝の人材育成論・組織論』(アスペクト、2009年7月)
17『野村の革命』(ベストセラーズ、2009年11月)

 

これまでそれほど使いまわされていなかった城島のリードに対する苦言が
2009年の5月以降の一時期に集中しています。

 

これは2009年3月に行われたWBCでのキャッチャー城島のリードに
いつも通り苦言を呈したところ、
城島が「配球のことなら野村さんに聞いてください」、
「野村さんは現役時代、毎試合完全試合をやっていたんですか」などと皮肉交じりに反撃、
その結果、ノムさんがマジでキレてしまい完全にスイッチが入って
3作連続で城島のリードを批判する事態になったのです。

 

ノムさんを怒らせるのだけは本当にやめましょう。

 

 

というわけでノムさんの本はこの様にとてもおもしろいので、
皆さんも「使いまわしが多いから」などといって敬遠せずにぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

野村克則コーチはマジでめちゃくちゃ良い人らしい。

 

 

(終わり)