こんにちは、ライターの店長です。
突然ですが皆さんは、珍スポットというものをご存知でしょうか?
珍スポットとは?
普通とは一風変わった、珍しい観光地や観光施設などのこと。別名『B級スポット』とも呼ばれる。
世の中には我々の想像を超えるような、ぶっ飛んだ珍スポット(珍スポ)が数多く存在しています。
しかしオモコロライターなら、有りそうで無かった新しい珍スポを考えられるのではないでしょうか? 早速検証してみたいと思います。
検証開始
というわけで今回は、こちらのメンバーで珍スポを考えてきました。
店長:今回の企画者。両親に架空の履修を伝え続け、大学を2回留年した。
チャウゾ:ライター。『棚』の形の棚など、現実離れした工作を得意とする。
山口:息をするように嘘をつく。今回参加するのも嘘では? と内心怪しまれていた。
そして講評下さるのはこちら、合同会社別視点の松澤社長です。
松澤 茂信
1,000ヵ所以上の珍スポットを訪れた、日本有数の珍スポマニア。珍スポへのバスツアーやプロモーション企画のほか、あらゆるジャンルのマニアが集うイベント『マニアフェスタ』の主催なども手がけている。
松澤さんはこれまでに、
変なメニューしかないラーメン屋さんなど、古今東西の珍スポットを巡ってきた珍スポのスペシャリスト。
松澤さんにはライターが考えてきた架空の珍スポを聞いて、近いスポットを知っているかどうかをジャッジして頂きます。
本日はよろしくお願いします!
チャウゾさん、めっちゃ暗い場所にいません?
僕、今クローゼットの中にいるんですよ。
あ~そっか、最近クローゼット改造してたもんね。
物分かり良いな。珍スポへの取材やツアーは、まだ難しい状況ですか?
※今回のインタビューはWebにて、2020年6月に実施しています。
そうですね、まだ取材などは出来ていない状況です。もう少し落ち着いたら、色々と出かけたり企画したりしたいんですけどね……。なので今日は、皆さんのプレゼンが聞けるのを楽しみにしています! よろしくお願いします!
珍スポット 1つ目
じゃあまずは僕がいきますね。僕は凝ったプレゼン無しで、単刀直入にいきます。
無いでしょ。
企画者なのに、1発目から丁度いい所を突くのが下手。
まだ分かんないじゃないですか! 世の中広いんですから、ビームを撃つ店があるかもしれないでしょ。
あちゃちゃちゃちゃ……。
あ~、なるほど。流石に光線を出してくる店は聞かないですが……、
え?
店主がレーザービームみたいな剛速球でおにぎりを投げつけてくる店なら知ってますね。
あるの!?
すみません、自分で言っといてなんですが本当にそんな店あります?
ただ、今はご時世的に投げるのは止めちゃったらしいんですけどね。大阪の北千里にある、『炉端焼 栄ちゃん』ってお店です。
大阪屈指の高級住宅地ですね。そんな場所でおにぎりが……?
自分が行ったのは4年ぐらい前なんですけど、色々食べたあとに「最後に〆のおにぎり出すよ~! 投げるから受け止めてね~!」ってカウンターから言って、振りかぶってきまして。
既に嫌な予感がする。
百歩譲って、下手投げでふわっと渡してくると思うじゃないですか? おもっっっっくそ剛速球で投げてくるんですよ。時速100キロは確実に出てたと思います。
怖すぎる。
何のためなんだ。
男性でも受け止められるかギリギリの速さでしたし、凄いのが女性にもかなりのスピードで投げてたんですよね。コントロール抜群なので大抵キャッチできるんですが、ごく稀にキャッチできなかったおにぎりはちゃんと店主が食べてました。
至近距離で100キロで球を受け渡すって、実際の野球でも無さそう。
そんなわけで少し前はTVでも取り上げられてたんですけど、最近は投げるのは控えてるらしいです。
そう言われると、一度受け止めてみたかったな。
『ここでおにぎりが投げられてたんだ……』って想いを馳せに行ってみたい。
>松澤さんが『炉端焼 栄ちゃん』を紹介された記事はこちらから!
珍スポット 2つ目
じゃあ次は僕ですね。今回、資料も準備してきました。
用意周到だ。
これは普通にあると思います。考えてきたのはこちらです!
なんで??
いや、明確に理由があるんですよ。サンドイッチ屋の店主なら、当然美味しさを追い求めたいじゃないですか。
まぁ、それはそう。
では、その”美味しさ”ってどういう要素で組み立てられてると思います?
味……甘さとかですか?
そう、味には甘さやしょっぱさなど6つぐらいの要素があります。それらがバランスよくまとまっているのが”美味しい”だと味覚の研究では言われてるんです。グラフで示すとこんな感じです。
なるほど……?
でも部屋の中でサンドイッチを作るって、 こうですよね。
なにこの図?
で、サンドイッチってパンで挟むでしょ? だから、
力のかかり方はこうなるんですよ。元々かかってる圧に加えて、サンドイッチは挟むので上下余計に圧がかかっちゃうんですね。
?
だからグラフもこんな風に潰れちゃうんですよ。
美味しさがぺしゃんこになることある?
空想科学読本のヤバいページ?
そうなるのを防ぐために天井と床を透明にして、疑似的に無いことにするんですよ。すると、
圧のかかり方が均等になるんで、美味しさのグラフも綺麗な六角形になるんです。だからここのサンドイッチって、めっちゃバランスが良くて美味しいんですよ。
圧って透明だとかからないみたいな原理でしたっけ?
というわけで、こんな感じの店ってありますかね?
謎理論過ぎる。
いくらなんでもこんなスポットは無いでしょ。
んー、ドンピシャ同じ店ではないですけど……
えっ、まさか。
山口さんのプレゼンのような、超変なロジックで美味しさを操作してる店は実在します。
あるんかい。
南千住に『パワーブレンド』っていうたこ焼き屋さんがあるんですけど、そこは味を自由自在に変えられるんです。そのロジックなんですけど店主さんが言うには、
全ての物質には“物質頭脳”っていうのがあるらしくて。物質頭脳にアクセスしたあと頭脳の中にある記憶をリセットして、その記憶を入れ替えることでどんな味にも変えられるらしいです。
???
全然分からん。
なのであっさり味やこってり味はもちろん、『坂本龍馬味』や『ナイナイの岡村味』とかにも変えられます。なんなら時間をワープさせて、過去や未来の味を再現することもできるらしいです。
狂ってる。
実際に味はどうなんですか?
それが、めっっちゃくちゃ美味いんです……。中もトロットロで、今まで自分が食べたたこ焼きの中では間違いなく一番美味しかったですね。
それも物質頭脳にアクセスしてるおかげ……?
実際、近所の住民からは普通の美味しいたこ焼き屋さんとして親しまれてますね。僕みたいに遠方から物見遊山の客が来たときは、指をパチンッとして味を変えるのを見せてくれます。
なので山口さんのと、理屈の立て方はめちゃくちゃ似てますね。
パワーブレンドのご主人とは仲良くできそうやな。
こういうので本家が嘘を超えることってあるんだ。
山口さんの話を聞いてるとき、『パワーブレンドの説明聞いてるみたいだな~』ってめっちゃ思ってました。
>松澤さんが『パワーブレンド』を紹介された記事はこちらから!
珍スポット 3つ目
僕が考えてきた珍スポは『嘘だけで村民全員が働かずに食っていけてる村』です。
ほお。
村全体で嘘をついてるんですか?
はい。資料も準備したので説明しますね。
まずこの村に住んでいる一族はとある豪農、つまりランクが少し高い農家です。他の農民たちに自分たちの土地を耕させて、楽に暮らしていました。
ところが都市が発展するにつれて、小作人たちはみんな都会へ働きに出てしまった。耕してくれる収入源が無くなってしまったんですね。けど今まで農作は全て小作人に任せてたので農業の知識もないですし、
そもそもこいつらは絶対に働きたくないんですよ。ロクでもない血ですね。
なんとかメルカリの転売などを駆使して生きてたんですけど、やっぱり固定収入がいるな、となりまして。そこで村民たちは『そうだ、この村を観光地にしよう』と考えます。でも村にはちょっとした泉しかないし、大がかりなでっち上げをしても、すぐ歴史ガチ勢に見破られてしまうでしょう。
なので泉にまつわる丁度いい嘘を考えよう、という話になりまして。ここで聞きつけたんですけど、福井県に“奇跡の湖”があるらしい、と。
これは『水月湖』っていう本当にある湖なんですけどね。この湖は様々な条件が重なって、一切水の流れが無く綺麗に地層が積もってるんです。なのでその堆積物を調べると、当時の気温や気候が丸わかりらしくて。それが7万年分も積もってるので、この湖は地質学におけるもっとも正確な記録として世界標準になっているらしいんです。それを聞きつけた村民は『自分たちもこんな感じの嘘をつこう!』となって。
大々的に「ウチの村、地質学的に良いらしいですよ」と宣伝して、ニセモノの地質学者を用意して国から多額の研究開発費をせびります。けど本物の地質学者が来ると「オラたちの神聖な湖を荒らすな!」「オラたちはこの湖で食ってるんだぞ!」って村特有の排他的な雰囲気を使って、ことごとく蹴散らします。そうやって、嘘のPRでどんどん村を潤わせていく……
そんな感じでやってる村です。
ずっと何言ってんの?
信じられないぐらい詳細なエピソードでしたね。
嘘の匙加減が分からなくて……。
チャウゾさんがこの村で生まれ育ってないと説明がつかない熱量。
う~ん、自分はこういう村は知らない……っていうか俺がそのカラクリを知ってたら破綻しちゃうのでは?? けど、嘘みたいな話で成功した村だったら知ってますよ!
ぜひ詳しく!
台湾の台中にある『採虹眷村(レインボービレッジ)』って村なんですけど、元々は再開発の予定に組み込まれて無くなるはずだった小さい村なんです。その再開発に、当時でも80代ぐらいの1人のおじいさんが猛反対しまして。反対活動として、町中の家から道路から、あらゆる場所に落書きをし始めたんですよ。
落書きを……?
しかもそれが、さくらももこ先生のコジコジみたいな超可愛いテイストで。たちまちそれが人気になって、台湾を代表する観光地になっちゃったんです。
ホントだ、想像してたのと全然違う!
もっとスラムみたいな落書きかと思ってた。
市長も1度見に来たらしいんですけど、「これは残した方が良い」ってなって。再開発は進んでも、この村の一帯だけは残ることになったんです。最近は若い方もたくさん来るので、新しいカフェとかもできたりしてますね。
なので、嘘みたいな活動で逆に食えるようになった村っていうのは実在します。
元々資源とかがあったんじゃないんですよね?
そうなんです、本当にこの絵だけが話題になっちゃって。
嘘みたいな話だ……。
>松澤さんが『レインボービレッジ』を紹介された記事はこちらから!
次ページでも、まだまだ珍スポとエピソードを紹介します。