先日、百貨店のバレンタイン催事に行ってきた。

世界の名だたるショコラティエのチョコが集結する滅多にない機会である。

甘党としてこんなに興奮するお祭りはない。

ごった返す甘党の人波をかき分けながら、ディスプレイされた美しいチョコを眺めた。

 

さぞかしおいしいのでしょうね……宝石のようなチョコの前でため息をつく。

 

 

チョコ6個入りで2052円……

思わず頭の中で1個あたりの金額を計算してしまった。大変愚かな行為である。

ところが「たったひと粒のチョコがこんなに高いだなんて!」という驚きはあったものの、その値段に妙に納得している自分がいた。

 

私がなぜ納得したのか、みなさんにはその理由が分かるだろうか。

 

 

彼だ。チョコに添えられたショコラティエの存在により、高級チョコに説得力が生まれていたのだ。

「うちのチョコは高いだけじゃないぜ」と私に語りかけてくるようだった。

よく信頼獲得のコンテンツとして生産者の顔が見える食材というのを見かけるが、これも同じ仕組みかもしれない。

この人がこだわって丁寧にチョコを作ったかと思うと、チョコ自体のうまさとは別に、価値に重みが生まれるような気がした。

 

 

世界のおいしいチョコは、どんな人たちによって作られているのだろう。

気になった私はチョコのイベントに足を運びまくった。

たくさんのショコラティエたちの近影を集めてみると、あることに気がついた。

 

 

 

ポーズのバリエーション、色々ある……

 

例えばラーメン屋の店主だったら、腕組みのポーズで写真に映るのが定番ではないだろうか。

ところが、世界のショコラティエのポージングは自由で気ままなのだ。

そして、その自由なポージングにより高級チョコに説得力が生まれているのである。

その真理に気づいた時、私は興奮が止まらなかった。

 

ということで今回は、約2年間で集めた世界のショコラティエによるポージング集をご紹介したい。

高級チョコに説得力を出すめくるめくポージングをご覧ください。

 

※ショコラティエ、パティシエ、オーナーなど職業名に違いがあるので、以降の呼び方はシェフに統一します。

※すべて売り場の店員さんに写真撮影の許可をいただいております。

 

 

優しくほほえむスタイル

 

たくさんのシェフを眺めて思ったのは、ほとんどの人が笑顔ということだ。

甘い物を食べると脳からセロトニンが分泌され幸福感を得られるという。幸福感を得ればみんなニコニコする。

そう、チョコと笑顔は相性が良いのだ。

 

 

 

笑顔とかっこいいメダルが並ぶと多方向からの説得力が出る。

 

 

 

あくまでも主役はチョコだが、ワイプのような窓から笑顔を見せていただけた。

 

 

 

巨匠……! あなたはまたそんな少年のような笑顔を!

まぶしい笑顔にノックアウトである。

 

 

 

 

 心のままにハイチーズスタイル

 

シェフのみなさんは安易にピースサインを出したりはしない。

自分らしく自由気ままにポージングをしているのだ。

 

 

 

彼は左手の奥のここ(心臓)でチョコを作っておられるのだ。

そういう主張がポーズに出ている。きっとそう。

 

 

 

あえてポーズをとらないポーズ。

これってけっこう度胸がいると思う。

自然体で気取らない、だけど特別なチョコを食べさせてくれそう。そんな気がする。

 

 

 

シェフが売り場に訪問した時の写真とサインが飾ってあった。

彼らの自然な「立ち」に注目していただきたい。

 

 

 

良いチョコを生みだす人のポージングはどこか安心感があって、でもちゃんと体の軸がしっかりしておられる。

きっと私だったら照れながらヒョロヒョロしたピースサインを出してしまうところだ。羨ましい。

 

 

 

 

軽く腰をかけるスタイル

 

自然に立っているだけでそれがポージングになってしまうのだから、軽くイスに腰なんてかけたら大変だ。

出ちゃっている、貫禄というやつが。

 

 

 

貫禄がある。貫禄がない人は今すぐイスに腰をかけたほうが良い。

この姿だけで味の芸術家といわれる理由が分かる気がする。

 

 

 

にっこり微笑むこちらのシェフは親身に相談に乗ってくれそうな雰囲気。

高級チョコの購入もシェフがついているのなら安心だ。

 

 

 

 

ななめ腕組みスタイル

 

シェフの間でも腕組みポーズというのは浸透しているらしい。

 

 

 

ポイントは体の角度だ。少し斜めに構えることで、腕組み特有の威圧感が和らぎ、スタイリッシュな印象に。

 

 

腕組みの時はきりっとした表情が合う気がしていたが、そんなことはなかった。やっぱり笑顔は良いものだ。

 

 

 

腕組みフォーカードがそろってしまった。

自動的にチョコへの説得力も4倍に跳ね上がった。強い。

 

 

 

 

シェフっぽくない服装スタイル

 

そうきたか! と驚かされたのがこちらのシェフ。

シェフの服装をしていない。なのに、シェフとしてこちらをめちゃくちゃ説得してくるのがすごい。

 

 

 

ビジネスマンのようなシェフもいらした。

きちっとした雰囲気がすごく信頼できる。

 

 

 

 

今収穫してるよスタイル

 

シェフ自らカカオ豆を!

収穫から関わっている様子をお届けされると、こちらとしても絶対的な安心を抱かざるを得ない。

 

 

 

ここまでくるともうポージングどころの騒ぎではない。

作業だ。すさまじい規模の作業。

この一連のワクワクがひと粒のチョコに詰まっているかと思うと、心に熱いものがこみあげてくる。

 

 

 

 

今作ってるよスタイル

 

やはりシェフといえばこのような姿を思い浮かべるのではないだろうか。

チョコと向き合っている姿だ。表情が輝いておられる。

 

 

 

山を作ってからシール貼りを?! と思ったが、シェフの真剣な眼差しを見ていたらそんな無粋なことは言っていられない。

 

 

 

ポージングというか工房からの中継そのものである。

お鍋の中でこの美しいチョコが出来上がっていくのですね、シェフ。

 

 

 

私の知らない工程が出てきて興奮してしまった。

なんだか分からないがすごい。

 

 

 

チョコの天空落としだ。どこか緊張感が漂っている。

このライブ感こそ「今作ってるよスタイル」の醍醐味といえるだろう。

 

 

 

 

ツーショットスタイル

 

これまた素敵なおじ様と肩を組んでおられる。

生産者のかただろうか。

ツーショットともなると説得力も倍である。

 

 

 

「今作ってるよスタイル」と「ツーショットスタイル」を同時にやられたので慌ててしまった。

ただでさえツーショットで説得力が倍増しているのに、そこにライブ感を上乗せされてしまったら……。

ここのチョコを買いたい、思わずごくりと息をのんだ。

 

 

 

 

語りかけていくスタイル

 

なにやら楽しげに箱を見つめるシェフ。

もう片方の手にはお皿が乗っている。

私はハッとした。会話だ、シェフはチョコたちと会話している。

 

 

 

もうこれは完全にカカオ豆に語りかけている。

手の中のカカオ豆に愛おしげな眼差しを送るシェフを見て私は思った。

父親だ。いってみればカカオ豆はチョコの赤ちゃん。これからチョコの赤ちゃんはシェフの愛を受けおいしいチョコに成長するのだ。

そして私たちは我が子を想う父親の姿に心を動かされ、大切に育てられた高級チョコを手に取るのだろう。

 

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