

朝か……

夢じゃ、ないんだよな……

昨日、帰り道で拾った

「手甲剣養成ギプス」と、その「説明書」
たしかに俺は前からあの手首から生えてるタイプの剣のことが気になっていた。
チャンスがあれば使ってみたいと思ってたし、あわよくば上手くなりたいとも思っていた。
そんな俺の前に「手甲剣養成ギプス」が落ちているなんて都合が良すぎる、と思わなかったと言えば嘘になるがそんなことよりも凄いものを手に入れてしまった興奮の方が大きかった。

「説明書」によると朝起きたら何よりも先にこの「手甲剣養成ギプス」を身につけ、

その後生活における行動のすべてを右手の手甲を介して行わなければいけないそうだ。

例えば寝癖を直すにしても、

こうしてアタッチメントのクルクルドライヤーを装備して

髪を梳かさなきゃいけない

まあ、初めてにしては上出来だな

ヒゲも剃るか

またアタッチメントを交換して

ジョリジョリ……

ヒゲも剃れたことだし、そろそろ朝飯にしよう

トースターのノブに金具をうまくあわせて……

グイーーーーン!!
これでよし、っと。
パンが焼けるまでの間、「大変な一日になりそうだな」ということと「二度手間だから明日からはパジャマを着替えてからギプスをつけよう」ということを考えていた。
チンッ!!

トローリ

美味いです。
さて、家にいても暇なのでどこかに行きたいが、説明書によると外出時は不測の事態が起こってもすぐに対応できるようにマジックアームアタッチメントに換装しておいたほうがいいらしい。

これがそのマジックアームアタッチメントなのだが

もう片方の手でワイヤーを引っ張らないとアームが閉じないので不便なマジックハンドを使うために両腕を犠牲にしなくてはならない。
なにが「不測の事態に対応できるように」だよと思ったが、これも修行だ。

ガチャッ!ガチャッ!ギィー……
さて、外に出たはいいが
特にすることがないので

ずっと素振りをしてた。

それだけなのになぜだか達成感に満ちていた。たぶん運動不足だったからだ。

いつの間にか日が暮れていたので、夕食を作ることにする。
もちろん右腕のアタッチメントは「包丁」に換えて。
これで今日一日、どれだけ手甲「剣」の技術が上がったのかを確認できるというわけだ。
そういえば朝は邪魔で仕方がなかったこのギプスも、いつの間にか身体に馴染んでいるように思える。

腕がなるぜ

トンッ、トンッ、トンッ、
少しずつ確かめるように、かつリズミカルにキュウリを刻んでゆく
「切れる……いや、斬れるぞっ」

トントントントントン……
まな板の奏でる音が少しずつ早くなっていく
調子にのった俺はレタスにも手を伸ばした

めちゃくちゃ上達してた

ギプスの効果がありすぎたのか、気付けば結構な量のチョレギサラダが完成していた。

美味かった。
サラダを食べ終えた俺に急激な眠気が襲ってきた。
きっと慣れない動きをして変な筋肉を使ったせいもあるのだろう。
睡眠欲に抗うことは早々に諦め、俺はギプスを脱ぐことさえも忘れてベットに横になった。

(明日はもっと剣さばきが上手くなってると良いな…)
(そういえば説明書になんか書いてあったよな……)
(絶対に着たまま寝ないでくださいって……)
(まあ、いいか……)

山下ラジ男







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