■動物が嫌いなわけ

 

 

俺は動物が大嫌いだ。

 

猿でも豹でもラッコでもなんでも、動物は全部嫌いだ。

 

あいつらは皆、俺のことを馬鹿にしているからだ。

 

 

象なんか特にそうだ。偉そうに鼻・ぶらんぶらんさせやがって。

 

鼻が短くてぶらんぶらんさせられない俺のことを馬鹿にしているとしか思えない。

 

 

アルマジロだってそう。

 

ああやって丸まることで、俺のことを馬鹿にしているのだ。

 

丸まれない俺と、丸まれる自分との違いを見せ付けているのに違いないのだ。

 

 

※ 確かに俺は完全な球体にはなれないが、ある程度までなら丸くなれるのだということを、念の為、ここで証明しておく。

 

 

 

 

どうだろう。

 

アルマジロとまではいかないまでも、俺の丸さもなかなか捨てたものではないのではなかろうか。


 

 

■動物嫌いが動物園に行く

 

 

そんな動物嫌いの俺が、動物園に行くことになった。

 

もちろん自ら進んで行くのではない。

 

「動物園を取材してこい」という、上からの命令があったからだ。

 

命令とあらば仕方あるまい。俺は命令には黙って服従するタイプの人間なのだ。

 

 

 

 

上野動物園(正式名称、恩賜上野動物園)は、

 

JR山手線 上野駅から歩いてすぐのところにある。

 

上野駅で山手線を降り、動物園へ向かう。

 

 

 

 

動物園の看板が目につく。

 

象、パンダ、カバ、トラ。どいつもこいつも四つ足歩行しやがって。

 

 

 

 

キリンの口元が妙に腹立たしい。

 

ついでに鼻をつくような動物臭が漂ってきて、俺の気分を不快にさせる。

 

くそう。動物の野郎どもめ。

 

 

俺は看板にプリントされたキリンの歪んだ口元を見つめながら決心する。

 

「一切動物を見ないで、取材を済ませよう」と。

 

 

命令どおり、動物園の取材は行うが、

 

大嫌いな動物には一切、触れない。関与しない。

 

 

 

 

取材の方針が決まったところで上野動物園に到着。


 

 

■取材開始

 

 

そんなわけで、動物を一切見ない、動物園の取材が始まった。

 

 

とは言っても、入場料として支払った600円を無駄にするつもりはない。

 

動物は一切見ないが、ちゃんと心ゆくまで動物園を楽しむつもりだ。

 

 

入園券を入り口で見せ、いよいよ中に入っていく。

 

動物を目にしないよう、注意しながら。

 

 

 

 

まずはペンキの染みがお出迎え。

 

いい感じの白さだぜ。

 

 

 

 

続いてゴミ。

 

ストローの包装紙か何かだろうか。

 

よくよく見てみると、このゴミ、北斗七星の形になっているではないか。

 

なんだか楽しくなってきたぞ。

 

 

 

 

ハイテクマシン。

 

インターネットはできるのかな?

 

mixiへのアクセスを試みるが失敗。

 

どうやらインターネットには繋がっていないようだ。

 

 

 

 

柵の接続部分はこのようになってます。最高!

 

 

 

 

警備員。

 

腰に装着しているのはピストルか。

 

撃たれる前に逃げろ!

 

 

 

 

骨だー!

 

 

 

 

網です。

 

動物なんて見なくても、このように上野動物園には見所がいっぱい。

 

 

 

 

水です。

 

眺めていると気分が落ち着いてきます。

 

 

 

 

穴です。

 

中に入っていきたい。

 

 

 

 

「たたかないで」

 

「えさをあたえないで」

 

 

鑑賞のポイントは「えさをあたえないで」の方の人が投げたえさの描く放物線。

 

美しい。

 

 

 

 

「パイプをさわらないでね」

 

 

さいごの「ね」が可愛い。

 

 

 

 

「ラマはツバを吐きかけることがあります」

 

 

勉強になります。


 

 

■取材終了

 

 

以上で取材は終了。

 

最後まで動物を見ずにやり通した。

 

 

今回の取材を通して確かになったことは

 

「ラマはツバを吐きかけることがある」ということだ。

 

みんなも注意しよう。

 

 

最後に、今回のレポートのなかに動物の写真が一切出てこなかったことに

 

がっかりした動物好きの方もいらっしゃるかと思う。

 

 

俺が動物嫌いなばっかりに、つまらない思いをさせてしまって大変申し訳なく思っている。

 

 

せめてものお詫びに、俺のアルマジロ風の写真を再度載せるので、

 

それで動物を見た気になってもらって、勘弁してもらえればと思う。

 

 

 

 

GIFアニバージョンも用意しました。