―――神は、陰部に宿る

 

19世紀フランスの作家、ギュスターヴ・フローベールじゃない人

 

 

 

 

 

 

どうも、こんにちわ。マッハ・キショ松です。

米国の作家ラヴクラフト氏の小説から誕生したクトゥルフ神話。アニメ、ゲームなどで膨大なオマージュ作品があり、「読んだことはないけど、知っている」という方も多いのではないでしょうか。「ネクロノミコン」とか「ニャルラトホテプ」とか、なんとなく聞き覚えありません?

僕は、さくらぷりん大先生による同人エロゲの金字塔「腐界に眠る王女のアバドーン」(とにかくいいぞ)でクトゥルフ神話のことを知りました。本を手に入れて読んでみたら、元ネタに使われるだけあって、やっぱりおもしろかったんですけど……文章がやたらと回りくどくて、読みにくかったっすねえ。

 

 

どのくらい難しいもんか、一文だけ引用してみましょう。

 

狂気と虚空の法外な復讐こそ、大胆不敵な者に対するナイアルラトホテップの唯一のはなむけにほかならず、乗り手は死物狂いになって 忌わしい鳥の進路を変えようとしたものの、側目だててふくみ笑いをするシャンタク鳥は無慈悲にも断固として向きを変えず、悪意のこもる歓喜のうちにすべらかな巨大な翼をはためかし、夢も届かぬ不浄の窖を目指しており、あえてその名を口にした者とてない白痴の魔王アザトホースが、無限の只中で泡立ち冒涜の言辞を吐きちらす、深奥の混沌のあの最後の無定形の暗影にむかっているのだった。

 

ラヴクラフト全集6「未知なるカダスを夢に求めて」(創元推理文庫/Kindle版)より

 

こんなの、エロゲのついでに読み始めたヤツに分かるワケねえって。

 

クトゥルフ神話には、その姿を目にしただけで人間が発狂してしまうくらいエゲつない怪物がガンガン登場。作中の人物ですらまともに見られない設定のうえに、文章を盛りに盛ってまくっています。

そのため、怪物は「冒涜的な見た目をしている」だの「名状しがたい姿」だのと、ボヤけた話ばっかり。「なんかヤバそう」ってことだけビシバシ伝わってきます。

 

 

 

 


ラヴクラフトが描いたクトゥルフ

 

 

ググれば、イラストでイメージを補うこともできるんですが、小説には挿絵なんて無いので……

 

 

 

 

 

 

こんな風に、 モザイク越しに見せられているような気分になります。 

 

そこで思ったんですが、

 

 

 

 

 

 

どうせ読んでも分からねえなら

 

クトゥルフ神話の怪物を、おちんぽに入れ替えても問題ないのでは……?

 

 

 

そんなわけで、今回はクトゥルフ神話の世界を、おちんぽと一緒にお散歩してみましょ〜。

 

 

 

 

 

 

おちんぽクトゥルフ神話その1 「クトゥルフ」

 

 

【解説】海底に眠る地球の旧支配者「クトゥルフ」

 

クトゥルフは、人間が誕生するはるか昔、地球にやってきた宇宙生物。「クトゥルフ神話」という名称にも使われ、最も代表的なキャラクターとして知られています。

知名度は随一なんですが、クトゥルフがいた当時の地球は残念ながら、最強のモンスターたちがゴロゴロいる天下一武道会みたいな状況。覇権争いで戦ったのですが、結局、太平洋に沈む古代都市・ルルイエに封印されてしまいました。以降、ずーっと海底で眠りっぱなしで、活躍の場面がなかったそうな。

主役っぽいわりに、ヤムチャ感が否めないキャラなんですね。本当は余裕で人類滅ぼせるレベルの強さっぽいんですけど、クトゥルフ神話は戦闘力がハイパーインフレを起こしているので、やむを得ないところ。 

 

 

クトゥルフが初めて登場したとされるのは、小説「クトゥルフの呼び声」。同作には、こんな感じで描写がなされています。

 

 

 

 

「太古の神、暗黒の星が産んだ緑色の怪物」

「暗黒の星から渡来した邪教の神が、逃れ行くオデュッセウスの船に呪いの声を吐きつけるポリュペーモスさながらに、口から泡をとばして何やらわめき立てていた 」

 

 

ラヴクラフト全集2「クトゥルフの呼び声」(創元推理文庫/Kindle版)より 

 

 

えーっと……。フォローのために言っておくと、しっかり読めば「背中に羽根が付いていて〜」みたいな具体的な描写も見つかるんですよ。でも、肝心の飛行シーンが出てきません。

 

キャラデザインが分かりにくいうえに、ストーリーとまったく言っていいほど無関係なんです。

 

クトゥルフ神話は「コズミックホラー(宇宙的恐怖)」と呼ばれる人知を超えた世界の恐ろしさに焦点を当てた小説なので、キャラデザの仕方も常人には理解できないってことだと思います。

 

 

 

 

そこで、おぞましい感じのトコだけ、ざっくりまとめると……。

 

 

もじゃもじゃした部分がある

 

 

 

なんかぬるぬるしてる

 

 

 

先端がイカっぽい

 

 

 

 

 

 

おちんぽクトゥルフ神話、幸先のいいスタートです。

 

 

クトゥルフとチンコを置き換えたまま「クトゥルフの呼び声」のストーリーを追ってみましょう。

 

 

 

 

 

 

同作には、船乗りたちがうっかりクトゥルフの封印を解いちゃうシーンが登場。人類存亡の危機をやらかした船乗りたちは、エンジン全開で逃走します。

 

 

 

 

 

しかし、クトゥルフは海に飛び込んで追跡。

 

 

 

 

 

 

迫りくる巨大なチンコっぽい怪物。一部の船員は、その姿を見ただけで発狂しました。

 

かろうじて正気を保っていた船員は、命がけの特攻作戦にうってでます。Uターンして船体ごとクトゥルフに突撃したのです。

 

 

 

 

さて、ここでちょっとクイズタイム人間の抵抗にあったクトゥルフはどうなったでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解:普通に撃破される

 

クトゥルフは大ダメージを負ってしまい、再び封印ライフに戻ることになります。

この打たれ弱さ、やっぱり「クトゥルフ=チンコ」ってことでいいのでは……?

 

 

 

 

 

おちんぽクトゥルフ神話その2 「ニャルラトホテプ」

 

【解説】這い寄る混沌「ニャルラトホテプ」

 

クトゥルフ神話では、挨拶代わりに人間をぶっ殺す or 発狂させるのが当たり前。そんなヒャッハーな世界で、ニャルラトホテプは一線を画しています。なんと、人間と普通にお話できるフレンズなんです。しかし、コミュニケーションを取った後でしっかり痛い目にあわせる……というか、痛みも感じられないような目にあわせるので、凶悪さは変わりません。

 

直接手を下すのはお嫌いらしく、ドラクエ風に言うならメダパニ、ザラキ、ニフラムばっかり使ってくる系のモンスター。この手の魔法は自分より強い相手にはあまり効かないんですが、クトゥルフ神話では「人間=スライム以下のザコ」なので、ほぼ確実に決まります。死にます。

 

「“這い寄る”混沌」という異名の通り、積極的に人間に近づいてくる性格。その点はTVアニメ「這いよれ! ニャル子さん」の主人公「ニャル子」にけっこう近いかもしれません(わざわざ有給を使って地球にやってきたうえに、一目惚れした男の子の通う学校に入学までする)。ただ、ヤバさに関しては「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造のほうが似ていると思います。

 

 

ニャルラトホテプは姿を自由に変える能力を持っているので、どういう見た目なのか説明するは難しいところ。オーガスト・ダーレス(記事末に注釈)によると、その真の姿はこんな感じ。

 

 

 

 

すごくもじゃもじゃ

 

 

 

 

伸び縮みする

 

 

 

 

 

つまり……

 

 

 

 

 

 

 

 

あと、ネット情報によれば「黄色い液状の姿をしている」とする説もあるようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ニャルラトホテプは謎に満ちた怪物です。僕なんかに、本当の答えは分かりません。

 

ただひとつ言えるのは、どっちにしろチンコっぽいじゃんということだけ……。

 

 

さて、小説「ニャルラトホテプ」では、怪しい講演会をやっているエジプト人の姿で登場。そこに遊びに行った主人公は不思議な力で、ニャルラトホテプが真の姿を現している神殿へと誘導されます。

 

 

ちなみに、その神殿は「名状しがたい岩場」に立っているそうな。

 

どういう形状なのかさっぱり分かりませんが、きっと諸事情あって言葉のモザイクをかけなきゃいけないようなヤバいやつなんでしょう。

 

 

 

 

 

 

そうと分かれば、やるべきことはひとつです。まずは、股間に墨汁をたっぷりつけて……

 

 

 

 

 

 

半紙に押し付けて、金玉拓を取れば……。

 

 

 

 

 

 

チンコもガッツリ入っちゃいましたが、この金玉のフォルム、いかがでしょうか。

 

ねえ、いかがなんです? 「名状しがたい」としか言えない形ですよね。じゃあ、「名状しがたい岩場」ってのはこれで合ってるはずなんですよ。ハイ、論破。

 

 

 

 

 

 

そういうわけで「チンコっぽい怪物・ニャルラトホテプが、金玉っぽい岩場のある神殿にいるシーン」はこういうことになります。

 

 

 

 

 

 

この神殿を見た主人公は発狂しているんですが、それもなるほど納得の光景。ラヴクラフトの文章に即して考えていった結果、バッチバチに感情移入できる仕上がりになったと思います。

 

作中に主人公がちゃんと死んだ描写が無かったことが、むしろかわいそうです。

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここで再びクトゥルフクイズのお時間。ニャルラトホテプは神殿で、何をしていたでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

正解:踊ってた

 

 

 

 

 

 

おちんぽクトゥルフ神話その3 ダゴン

 

 

【解説】邪教が崇拝する海の怪物「ダゴン」

 

ダゴンは、かつてパレスチナに存在したペリシテ人が崇拝していた神。当時は、豊穣などの象徴として扱われていたようです。しかし、その後、旧約聖書で邪悪な神として取り上げられる憂き目にあってしまいました。同書を聖典とするユダヤ、キリスト教徒あたりが「俺ら一神教だし、よその神は認められんなあ」と、悪役に改造しちゃったのが原因だと言われています。

クトゥルフ神話にも出てくるんですが、やっぱりここでも悪役設定。超絶いかがわしい宗教団体「ダゴン秘密教団」の崇拝対象という、ペリシテ人がマジギレしそうな扱いです。このような流れを受けてか、神話、宗教をモチーフにしたキャラクターが多数登場するゲーム「真・女神転生」でも「EVIL」属性のモンスターに。母国パレスチナを離れ、たいへん厳しい出張生活を送っている苦労人の神様です

 

 

クトゥルフ神話では、ダゴンは海に生息する半魚人系の怪物として登場。同キャラが登場する小説「ダゴン」を参考に、外見の特徴をざっくりまとめるとこんな感じです。

 

 

 

 

手が臭い

 

 

 

 

デカい

 

 

 

仮性包茎で汚れがち

 

だけど

  

元気だけなら誰にも負けないゼ!

 

 

そんな若さあふれるチンコの趣きを、ダゴンは持っているのです。

 

 

小説「ダゴン」では、この怪物を見た主人公が例のごとく発狂。モルヒネに手を出して、薬物中毒になってしまいます。

 

ある日、ダゴンは陸に上がり、主人公がいる建物のドアをドンドンとノック。主人公は頭がかなりラリパッパになっていて、そのときの音をこんな風に表現しています。

 

 

 

 

何かつるつるした巨大なものが体をぶつけているかのような音

 

ラヴクラフト全集3(創元推理文庫/Kindle版)「ダゴン」より

 

 

つるつるした巨大なものって表現から察するに、パイパンになったダゴンがアグレッシブなオナニーを楽しんでいる音にでも聞こえたんでしょう。

 

 

 

 

快楽をむさぼるダゴンの図

 

怪物がわざわざ人ん家までやってきて、玄関先でシコりだすという、にわかには信じがたい場面設定。これがコズミックホラーなのか、それとも、チン・コズミックホラーという別ジャンルなのか、僕には分かりません。

 

分かることはただ一つ。読者の想像力を膨らませ、人知を超えた世界に導いていく――クトゥルフ神話には、そういう力が秘められているということです。だから、僕は誤読してないはずです。

 

 

 

 

 

さて、ここで最後のクトゥルフクイズ。頭のおかしい主人公はこの直後、何を見たでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

正解:ダゴン、窓にもいた

 

 

※「窓に! 窓に!」というネットスラングの元ネタ

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

 

おちんぽクトゥルフ神話、いかがだったでしょうか。記事はこれでお終いですが、最後に一点だけ追記しておきます。

この世にも恐ろしい物語たちを、ただの物語と片付けてしまってはいけません。なぜなら、人間が怪物になってしまう可能性もあるのですから……。

 

 

 

 

【解説】人間と交わり、港町を侵食する「深きもの」

 

深きものは海底に暮らし、ダゴンを崇拝している半魚人。集団でいることから、正しくは「深きものども(Deep Ones)」と複数形の名称が付けられています。

深きものが人間と交わると、混血児が誕生。幼いうちは人間の姿かたちをしていますが、次第に人間離れした気味の悪い顔つき(インスマス面)に変わり、最終的には完全に深きものになってしまいます。

なお、「インスマス面」の「インスマス」は、クトゥルフ神話に登場する寂れた港町。「深きものに手を貸し混血児を増やす代わりに、漁業を盛り立ててもらう」という大胆すぎる地域活性化政策を取ったせいで、自治体崩壊の危機に陥っています。原因のひとつは、深きものに進化した住人たちが故郷を離れ、半魚人らしく海中に引っ越してしまったこと。おかげで、労働人口の流出が止まらない過疎地域となっています。

 

 

深きものが登場する代表的な作品は「インスマスの影」。それによると、以下のようなチンコっぽさが漂う怪物です。

 

 

 

 

臭い

 

 

 

見た目がグロい

 

 

 

 

 

 

あれ、でもよく見ると……

 

 

 

 

 

 

 

小説「インスマスの影」では、港町・インスマスを訪れた主人公が、深きものどもの襲撃に遭遇。いつものように発狂……するかと思いきや、ギリギリのところで逃走に成功します。

 

しかし、その後、主人公に深きものの血が流れていたことが判明。自分自身がチンコっぽい怪物になり果ててしまう、どんでん返しの結末となっています。

 

 

 

 

 

 

あなたも気が付いたらインスマス面……いいえ、チンスマス面になってしまうかもしれません。

 

こんな、ふうにね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわり

 

 

注釈

 

※オーガスト・ダーレス――ラヴクラフトの小説を「クトゥルフ神話」として体系立てた作家、編集者。クトゥルフ神話の立役者のひとりであることは疑いの余地がないのだが、「ラヴクラフトのオリジナルに即した整理の仕方じゃなかった」「いや、ちゃんと本人に相談したうえで作品設定の整理を行っていたらしい」と議論があり、非常に扱いがややこしい人物だ。

クトゥルフ神話の解説本などを見ると「コイツは地球の旧支配者の1人で~、火を象徴する神で~」みたいな話が出てくるが、これはダーレスの整理に基づいていることが多いらしい。実際のところ、ラヴクラフト作品を読んでいても、この手の要素はあまり出てこない。

とはいえ、クトゥルフ神話には、ラヴクラフト発信でスタートした後、さまざまな作家間でキャラクターやアイテムを共有したことで発展したという経緯がある。その際に他の作家が新設定を盛り込むこともあったし、それがメジャーになってしまうこともあった。ここから「ラヴクラフトが提唱したことだけが、クトゥルフ神話」という認識自体を批判する向きもある。言ってみれば、クトゥルフ神話の生みの親がラヴクラフトであるのは間違いないのだが、(ダーレスをはじめとした)育ての親が何人もいて、誰の力でここまで大きなったのかよく分からないのだ。

そもそも、「ラヴクラフト全集」(創元推理文庫)には、他の作家との合作がけっこう収録されていて、本当に「ラヴクラフトの作品集」と言いきれるのかは微妙なところ。「真ク・リトル・リトル神話大系」(国書刊行会)でも似たようなことが起きている(Amazonでは「著者 ラヴクラフト」と表記されているが、実際はいろいろな作家の作品集)。つまり、クトゥルフ神話を知ろうとしたら、自然とラヴクラフト以外の作家の設定、見解が入ってきてしまう状況になっている。

 

 

……と、まあ、面倒な話はいろいろ考えられますが、そういうのは専門家っぽい人たちに任せちゃって、細かいことを気にしないほうが読んでいて楽しいってことだけは間違いないと思います。