加藤、ヤスミノ、ARuFa

今回はマンガ好きのオモコロライターが「完結済みの集英社おすすめマンガ作品」をご紹介します!

完結済みのマンガをおすすめするということは最初から最後まで間違いなく楽しめるということ! 1冊にまとまっていて手軽に読めるマンガもあれば、しっかり読み応えのあるマンガもあるので、あなたの夏にぴったりの作品を探してみてくださいね〜!

 

加藤のおすすめ『SAND LAND』

僕がおすすめするのは、鳥山明先生の『SAND LAND』です!

 

『SAND LAND』(鳥山明)

水が希少な砂漠の世界「サンドランド」。保安官ラオは水不足を解消する「幻の泉」を探すため、恐れられている悪魔ベルゼブブに協力を求めることに……。

鳥山明先生の趣味全開で描かれた作品です。モンスターのキャラデザ・個性的でかわいくてカッコいいメカニック・短くて単純明快なストーリーなどなど、鳥山作品のいいところが「かわいい女の子」以外すべて詰まっています!

え?「かわいい女の子以外」……?

そう!

 


『SAND LAND』 ©バード・スタジオ/集英社

この作品に出てくるのはジジイとモンスターとメカばっかりなんです。かっこいい青年も出てきません

趣味全開ってそういうことか〜!

 

元軍人の保安官ラオ・悪魔の王子ベルゼブブ・盗みが得意な魔物シーフの3人で戦車に乗って泉を探しに行く話だからね

「ジジイたちが砂漠を戦車で冒険する」って、ONE PIECEの真逆ですね

 


『SAND LAND』 ©バード・スタジオ/集英社

鳥山明先生は「黒髪を塗るのが面倒だから」という理由で金髪の超サイヤ人を登場させた……とか、面倒くさがりエピソードがあるんですけど、サンドランドは短期集中連載ということで背景やメカがしっかり細かく描かれているんです!

当たり前なんだけど、絵が上手すぎる……

ドラゴンボールの連載を経て極まった技術で描かれてるから、マジでどのページを見ても画集みたいなクオリティなのよ

 


『SAND LAND』 ©バード・スタジオ/集英社

ていうか戦車が丸っこくてかわいいですね!

この世界ではもう戦争がなくて、軍による国民への威圧のためだけに使われているからこういうデザインらしいです。ハッチが側面にあるのもそういう理由みたいだね

 

ちなみに自分は好きすぎて戦車のプラモを買っちゃいました

ベルゼブブのフィギュアも良いですね!

でも、戦車がこれだけ丸かったら転がっちゃったりするんじゃないですか?

戦車が転がる……?

 

御名答!

やっぱそういうシーンあるか~!

 


『SAND LAND』 ©バード・スタジオ/集英社

戦車の真上に砲撃しなきゃいけない状況で、そのままだと戦車の構造上撃てないから魔物たちが下から持ち上げて角度をつけるっていう僕の一番好きなシーンがあります

こういう困難をパワーで解決するやつ、かっこいいですよね……

キャタピラとかめっちゃ細かく描かれてるな〜

 

完全版コミックだと「ペン入れした後にボツにしたページ」とかも掲載されていて見応えバツグンだよ! 大魔王サタンの登場シーンが実は丸ごと描き直されていたという……

ボツ案も十分かっこいいけど、たしかに採用された絵のほうがいい!

性格に一癖ありそうな雰囲気が出てる気がしますね

鳥山先生がそこまでこだわったシーンってことだよね

 

『SAND LAND』はこの1冊だけで完結してるから読みやすいのもおすすめポイント!

1巻で読み切れるのか。嬉しいコンパクトさですね

読むっ!読むっ!読むっ!読むっ!読むっ!

 

ヤスミノのおすすめ『ハチワンダイバー』

僕のおすすめは『ハチワンダイバー』です!

 

 

『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル)

賭け将棋でお金を稼ぐ「真剣師」というアウトローな生き方をしている主人公・菅田が、将棋で世界征服をしようとしている真剣師集団「鬼将会」に乗り込んで戦う話。

「将棋で世界征服」!? 子供向けのホビーマンガみたいな話だな

正直めっちゃバカバカしく感じると思うんですけど、これが熱いんですよ!!

ちなみに「ハチワンダイバー」ってどういう意味?

集中するために9×9=81マスの将棋盤に潜っていくという意味ですね。マンガ内ではこういう感じで……

 

 

ダイブ……ってするんです

どゆこと???

ごめん、せっかくだしマンガの絵を見せてもらってもいいですか

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

これがダイブです

ダイナミックでかっこいい!!

盤面に潜っていくイメージなんだ

 

でも僕、将棋のルールを知らないしバカだから、正直楽しめる自信がないかも……

ルールは知らなくても大丈夫なのでバカなARuFaさんでも読めますよ。僕は最後まで読んだうえで今でも将棋のことがよく分かっていません!

それはそれでどうなの?

でも難しいわけではなさそう!

とにかく細かい道理をねじ伏せて「面白い」と感じさせる圧倒的マンガパワーが柴田ヨクサルさんの魅力なんですよ!

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

例えばこの「100時間将棋」では……

100時間将棋!?

寝ずに100時間指し続ける将棋です。まさに体力勝負で、最後は主人公の菅田も疲労困憊で死にそうになるんですけど、残り時間わずかというときに勝ち筋が見えるんですよ

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

しかしここで相手が駒を将棋盤にめり込ませて「取れなきゃ勝てんぞ」と言う

将棋ってそういう戦いじゃないだろ

この人も丸い戦車を傾けられそうなパワーだ

そこで菅田はどうしたかというと……

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

歯で取りました

なんそれ!?!?!?

めちゃくちゃなんですけど、これが泣けるぐらい熱い勝負なんです……

 

ほかにも、喧嘩が強い真剣師が「世界が平和だと思うなよ」と言って菅田を殴って……

前提の段階でもう殴っちゃってるんだ

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

長い説教ののちに「相手と殴り合え」と言ったり……

これ将棋マンガだよね?

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

命を賭けた勝負で負けて殺される人がいたり……

プロ棋士が死んでる!?

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

命を燃やすように戦って、本当に息絶えたりもします

迫力すごすぎ!

文字がデカすぎて読みやすいしパワーを感じる!

ルビを漢字に被せるのも柴田ヨクサル先生の特徴ですね

 

この表紙からは想像できないくらい熱いマンガだったね

ていうかこの表紙の女性は誰なの!?

この人はアキバの受け師さん(中静そよ)ですね。鬼将会と戦う真剣師の一人です

メイドの格好に意味はあるんですか?

あるっちゃあるし、ないっちゃないかも。でも、そんな感じで真剣勝負の合間に全然必要のないオフビートなギャグが挟まれるのも好きなんですよね

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

これは、鬼将会のボス「谷生(たにお)」の名前が知らされるピリッとしたシーンなんですけど、そこで菅田が「昔飼っていたタニシと同じ名前だ」という完全に意味のないことを言います

まあまあ本当に余計ですね

伏線になるとかでもないんだ

 


『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社

こんな感じで変だけど妙にリアリティのあることを言う人がいっぱい出てきて、これがハチワンダイバーの一番好きな部分です!

言ってることはわからんでもない

描いてあるもの全部がデカくて面白そうなので読みます

とにかく将棋が分からなくてもマンガそのもののパワーをストレートに楽しめる作品なので、ぜひ読んでみてください!!

 

 

ARuFaのおすすめ『ハイパーインフレーション』

作品紹介の前に聞きたいんですけど、完結済みのマンガって何巻で完結しているのが一番嬉しいと思います?

え?何巻だろ……

 

答えは6巻です

そうとは限らなすぎる

寝る前に読み始めても一晩徹夜するだけでピッタリ読み切れる巻数……それが6巻なんです

徹夜する前提なんですね

でもまあ、新幹線とかで遠出する行き帰りでも読めそうなボリュームだし、ちょうどいいという感覚は分かるかも

というわけで僕が紹介するのは、全6巻で完結している……

 

『ハイパーインフレーション』です!!!

あ〜! このマンガは僕もめっちゃ好きです! 面白いですよね!

僕は読んだことないな。でも、タイトルだけはなんとなく知ってるかも。一時期、話題になってたよね

この作品を一言で言うと「体から無限にお金が出ちゃう少年が織りなす、面白知略バトルマンガ」です

面白知略バトル?

 

『ハイパーインフレーション』(住吉九)

帝国の奴隷狩りで住んでた村を襲われ、姉を帝国に奪われた少年ルーク。絶望のフチでルークは体から紙幣を無限に出せる力を得る。

舞台は少し昔の文明で、主人公の少年ルークが体からニセ札を無限に出す力を使って、帝国にさらわれた姉の奪還を目指す話です

ニセ札を出す能力かぁ。全然使えなさそうな能力だけど、それでなんとかなるの?

主人公のルークは頭がいいのでイケるんだなこれが

そうそう。「体からニセ札が出る」ってだけなのに、話の拡がり方がすごいんですよ

 

全6巻のなかで話は二転三転四転五転していくんですが、その過程で「体からニセ札を出せるようになって起こり得ることのすべて」が描かれています

すべて!?

はい、加藤さん程度が思いつくであろう案はモチロンのこと、すべての可能性が描かれます

でもニセ札とはいえ無限にお金が手に入るなら、お金の力で大抵のことは解決するんじゃない?

そう思いますよね。でもそれが難しいところで……

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

このニセ札に印字されている番号がすべて同じなんです!だからその事実を隠したまま、いかにニセ札を使いこなすかという点が重要になってきます

なるほど、「この番号はニセ札です」と周知されたらもう使えないもんね

この縛りが絶妙ですよね。このルールがあるだけで、頭脳戦のパワーバランスがちょうど拮抗するんですよ

そういうこと!

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

例えば、さらわれた姉がオークションにかけられる場面では、ルークは無限のニセ札でどう姉を競り落とすのか? とか……

無限にお金を出せば勝てるだろ……と思うけど、こんな子どもが大金を持っている時点で怪しまれちゃうよな

それでお札の番号を調べられたらアウトですからね

 

『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

あと、場合によっては銃弾をニセ札で防いだりもします

ニセ札を単純に大量の紙として使うのすごいよね

これ、マジで「すべて」やってるの……?

マジで「すべて」やってるんです

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

ルークのほかにも魅力的なキャラもたくさんいます。例えば、帝国のスパイのレジャットと……

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

奴隷商人のグレシャムという主要人物が出てきて三つ巴の頭脳戦が繰り広げられるんですが、この3人がマジでめちゃくちゃ頭が良くて最高に面白いんです!

グレシャム悪い顔してるなあ。こいつが主人公たちの敵ってことか

いえ、そうとは限りません。こいつは金のことしか考えてなくて、常に自分が儲かる側につこうとするからルークにとって敵か味方かはっきりしないんです

厄介な奴だな

でも、グレシャムってめっちゃいいキャラなんですよ!

そうそう! 憎まれ役でありながらカッコよくもあり、筋の通ったヒールって感じでファンは多いはず!

 

とはいえ、お金の話とか知略バトルとかってどうしても難しそうな印象あるよねえ

大丈夫! 複雑ということはなく「そんなアイデアがあったか!」という驚かせ方だから頭脳バトルの描写は誰でも分かりますよ

僕も小難しい頭脳戦は苦手なんですけど、ハイパーインフレーションは全然そんなことないですよね

何よりずっと少しふざけてるんです

ずっと少しふざけてる?

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社
レジャットはルークと同じ身分であると伝えながら「帝国の人間から奪った」と言って服を着ているが、その着こなしがあまりにも自然であることから帝国のスパイだと見抜かれるシーン

なんだよ、このシーン

シリアスなシーンでも適度にユーモアが挟まれているから、そのグルーヴ感でストレスなく読み続けられるんですよね

真剣な場面で、急にふざけてくるから笑っちゃうんだよな

服装といえば、ずっと気になってるんだけど……

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

ルーク君の格好が妙にスケベじゃない?

そうなんです。なんか理由なくずっと際どい服を着てるんです

理由ないんだ

途中で服を新しくするシーンもありますよ。「さすがにスケベすぎたから露出を抑えるのかな」と思ってページをめくったら……

 

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

新衣装も際どい服でした

こんなに鼠径部見せてる頭脳派キャラいる?

 

『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

ついでに言うとお金を出すときの様子も……なんかおかしくない?

あ、お気づきですか

 

なんか彼、お金を出すときすごく気持ちいいっぽいんですよね

これやっぱり快感の表情なんだ。なんで???

なんでと言われても……なんか、そうなるんです

これは本当に理由ないです。なぜか達してるんです

 


『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社

後半とかは制御効かなくなってズルズル出ちゃうようになってました

知略バトルどころじゃないだろ

そんな感じでハイパーインフレーションは尻上がりにどんどん面白くなっていって、特に第6巻がマジのマジで最高潮なので、みんなぜひ全巻……

 

読んで〜〜〜っ!!!

ニセ札出しそうなポーズで懇願してる!

そういや日本でも最近新しいデザインの新紙幣出たじゃん。ハイパーインフレーションの世界で新紙幣が流通するようになったらルークはどうなるの?

詰みますね

詰むんだ

そして、そういう話もあります

マジで全部やってるじゃん!

 

完結してるから一気に読めちゃう!

以上、オモコロライターがおすすめする「完結済みの集英社マンガ作品」をご紹介しました!

いずれも電子書籍で読めるのでぜひチェックしてみてくださいね〜!

 

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【出典】
『SAND LAND』 ©バード・スタジオ/集英社
『ハチワンダイバー』  ©柴田ヨクサル/集英社
『ハイパーインフレーション』 ©住吉九/集英社