クラウドファンディングで支援した「Slay the Spire」のボードゲームが届きました。

「Slay the Spire」。略してスレスパ。おもしろいですよね。

……いやいや、ゲームメディアじゃあるまいし、こんな「博多通りもんって美味しいですよね」みたいな導入でスタートしたら読者は置き去りなのか? それとも流石にスレスパだったら地方のメジャーな銘菓くらいは知られてるのか? そんで博多を「地方」って呼ぶと怒られるのか?

そんなことを考えているうちに届いてから数カ月経ってしまいましたが、さも昨日初めて遊んだかのような顔で紹介していきます。ライターの戸部マミヤです。好きなカードは《反射》

「Slay the Spire」とは?

全世界でめちゃくちゃ売れている一人用のカードゲーム風ローグライクRPG。PC、スマホ、Switch、プレステ、あらゆるプラットフォームで販売されている。

あまりに面白すぎたうえ、このゲームのフォーマットを使えばどんな中身でもそこそこ遊べる感じになるため、「Slay the Spireインスパイア系」作品を数百本は生み出したゲーム業界のラーメン二郎であり吉村家

※画像はSteamストアページより

「Slay the Spire」は一人用のカードゲームみたいなRPG。ランダムに手に入るカードやアイテムでデッキを強化しつつ、強力なボスが待ち受ける塔を登っていきます。

この「ランダム」ってのがキモでして、例えば「今回は序盤で『毒のダメージを3倍にするカード』が手に入ったから、毒を与えるカードを積極的に集めよう」とか「今このカードを取っても意味がないけど、後から別のキーカードが手に入れば無限ループコンボで無双できるなあ」とか、遊ぶたびに展開が変わるから時間がくちどけ自慢のスノーボールクッキーみたいになります。

また、ランダム性が高い他のローグライクゲームと比較しても、「Slay the Spire」はシャバッシャバに泌(ぴつ)る瞬間が異様に多いんです。

組んでいるデッキとシナジー抜群のカードをツモった時、デザイナーズコンボではない意外なカードの組み合わせが大活躍した時、狙って無限ループに突入した時、「ネオーの哀歌」でエリート2体倒せた時などなど、大小さまざまな気持ちよさが襲い掛かってもう大変! 止め時が見つからなくってどうしよう!?

 

本当にどうしようね。

 

俺たちの生涯年収を返してくれ。

 

さて、そんな「Slay the Spire」のボードゲームが発表され、日本語版のクラウドファンディングに意気揚々と突っ込んだのが昨年の1月。

それから1年以上の時が流れ、ついに届いた物がこちら。

盤面でけ〜〜〜。広々としたダイニングテーブルがまるで鳥貴族の2人掛け席です。

 

あと重すぎ。地方在住の4人家族がイオン行った帰りの買い物袋くらい重い。この一家たぶんカルディとWEGOにも寄ってるな。

 

それもそのはず。なんせ銅貨が本物だったり(しかもデザインが原作に登場するコインと一緒!)

 

卒業証書みたいなプレイマットがついていたりと、とにかく周辺アイテムが超豪華。これ作った人たちもマジで原作が大好きなオタク野郎なんでしょうね。

 

他に特筆すべき点としては、ゲームシステムの都合上、約400枚あるカードを全てスリーブに入れてからじゃないと遊べません。カードの表面が通常の効果、裏面がアップグレード後の効果になっているので。

同じ作品のオタクに対する信頼がぶ厚すぎるだろ。

入れたけど。

で、こちらのボードゲーム版。どんなシステムかというと、ほとんど原作そのままです。一部、原作と全く異なる効果になっているカードも存在するものの、デジタル版とかなり近い感覚で遊べます。

 

Q:だったらわざわざテーブルいっぱいにカード広げなくてもスマホとかSwitchで原作遊べばよくね?

 

A:はい!!!

 

身も蓋もない言い方をしてしまうと、原作をめちゃくちゃ綺麗に再現しているので、一人で遊ぶなら元のゲームをやるのと変わらないんですよね。

じゃあ、このボードゲーム版の意義はどこにあるかといえば、原作にはない最大4人までの協力プレイができるんです。

 

原作に登場するアイアンクラッド(戦士)サイレント(アサシン)ディフェクト(ロボット)ウォッチャー(モンク)の4人をプレイヤーがそれぞれ分担し、パーティーを組んで塔を登れます。

敵は基本的に目の前のプレイヤーだけを攻撃してくるけど

プレイヤー側は全ての敵を攻撃可能ってルール。

このシステムのおかげで「まずはHPがやばいサイレントの前の敵を集中して倒そう!」みたいにワイワイ戦術を考えるのが超楽しい。

というか実質、手札の枚数が4倍になってるみたいなもんですからね。クラスの垣根を超えたコンボもバンバン発生します。

また、位置取りの要素が存在するため、例えば原作ではシンプルなアタックカードだった《ダッシュ》に「味方1人と位置を入れ替える」効果が追加されていたりします。他にも一部のカードはブロックやバフの対象として任意のプレイヤーを選べるように。

高難易度の心臓(裏ボス)は原作以上に攻撃が苛烈でして、中途半端なデッキでは何も行動できずにやられてしまうため、MMORPGのように火力役とサポート役を分担した方が安定して戦えそうな気がしました。

 

「4人プレイで裏ボスまで倒そうとすると8時間かかる」という高すぎるハードルにさえ目を瞑れば、原作ファンはもちろん原作を知らない人も一緒になって楽しめます。(説明書には最短4時間で終わるって書いてあるけど絶対に無理)

というか、このプレイ時間を説明してなお「Slay the Spireのボードゲーム買ったから遊ぼうや」と誘うと原作ファンが集まってくるのがすごいぜ!

この記事内の写真で紹介している「コレクターズ・エディション」は39,600円、通常版でも27,500円と結構ビビる金額ですが、良い買い物したなー!と思えるファンアイテムでした。

とはいえよほどの大富豪以外はポンと出せない金額だと思いますので、もしも購入を検討する方は、無料で公開されているルールブックも確認してみてください。みんなもリアルカードで無限コンボを完成させてお友達から顰蹙を買おう!