はじめに
こんにちは、ヨッピーです。
皆さんは「能」と聞いて、どんなイメージがあるでしょうか?
う〜ん、ぼんやりしたイメージはあると思うんですが、具体的にこう!と説明するのは難しいかもしれません。日本に住んでいるのに、14世紀ごろに成立した「能」のことは少しは知ってた方がいいのかも。
ところで、2025年の大阪万博に合わせて兵庫県では「ひょうごフィールドパビリオン」というプロジェクトに取り組んでいます。そしてその中のひとつに今回の『姫路藩主御用能楽師「十二世江崎欽次朗」から「能」を学ぶ』というプログラムがあるようです。
ということで、正しい能を学ぶ前に、あやふやな記憶のまま「うろ覚えの能」をやってみましょう!
そして、こちらが「十二世 欽次朗」先生。重要無形文化財総合指定保持者という能のすごい人!
こちらの先生を前にして、恐れ多くも3人の男がうろ覚えの能を披露させていただきます。
【出場者紹介】
ヨッピー:能のことはあまり分かってない男
みくのしん:能のことがほとんど分からない男
謎の男:一体誰なんだ…
うろ覚え能選手権スタート
よーし!やるぞやるぞやるぞ!
そもそも「能」ってマジでわからないですね…。
マジで?まったく無いの?
なんか、結婚式でやるイメージですよね?オールバックに白塗りで扇子持ってる的な…。
同級生がやってくれる信じられないぐらいつまらない余興と勘違いしてる?
そして3人の「うろ覚えの能」を採点して頂くのは先程ご紹介した十二世欽次朗先生と、能楽師大倉流小鼓方としてご活躍中の上田敦史先生です。
小鼓(こつづみ)っていうのは、バラエティ番組でもよくみる「ポンッ!!」といい音のなるあの楽器ですね。意外と難しいらしいです。
我々も「若い世代にどうやって伝統を伝え、残して行くか」という課題を抱えていますから、今日は楽しみにしておりました。よろしくお願いします。
今日は「うろ覚えの能」という大変失礼な試みの企画で大変申し訳ありません。
いえ、思う存分にやってください!
ちなみにルールはこちらです。がんばってください!
「能王」に、俺はなる!
※「能王」は今考えた言葉なので
実際には存在しません
みくのしんの「能」
いや~~これ、え!?マジ!?え!?大丈夫かな……。まぁ、大丈夫か。
「俺の能」開始!
スッ…
能~~~能~~~能~~~能~~~~
良かったねぇえええええ!
色んな良かったが!あるよねえええ!
能~~~能~~~
寿司屋で友達と同じ寿司を頼んだ時
自分のだけでっかいネタが乗ってて
良かったねぇぇええ~~〜〜!
あるあるネタ?
よく見たらお面ではなく白く塗ってるんですね
良かったね~~~!
5人で車に乗る時に
後ろの真ん中の席にならなくて
良かったねぇええ〜〜!!
こういうピン芸人は探せばいそう
私も真ん中の席はちょっと苦手なので分かります
どうも、ありが能ございました
終了!
すごくうろ覚えなんですけど「能は楽しい時にやるものらしい」っていう記憶だけあるんで、めでたさを出させていただきました!!
ふむ…
破門か…?
えっ、握手!?えっ、えっ!
素晴らしいです!!
合ってた!?能ってあるあるネタだったの!?
その、紅白のハチマキが良いですね! 実は能において「赤」と「白」は重要なモチーフなんですよね。
知らなかった……。
能には「石橋(しゃっきょう)」という唐獅子牡丹がテーマの演目があって、赤と白のコントラストが見事なんです。赤と白は伝統芸能における重要な色なんです。
へ〜!
歌舞伎でも赤と白の毛をぐるぐる回すパフォーマンスもあるもんな〜!
それに、「物語を舞う」という意味でも正しいんです。「昔の物語を演じて舞うのが能」ならば、「今の物語を演じて舞う」というのも良いと思いました!
高評価…嬉し…!服を20枚くらい着込んで大きくした甲斐もありました…!
能でも、襟元の三角形を大きくとって演者の顔を小さく見せる手法があったりするんですね。そういう意味でも近いのかもしれません。
能の才能あったのかも。採点は…!?
上田先生:45点 / 欽次朗先生:5点
合計50点
点数低っ!!握手までしたのに5点!?さっきの何だったの!?
「発想は素晴らしい」という意味で5点を差し上げましたが、能としての動きはやはり気になる部分がありました。5点!
私は「トップ出番での勢い」を評価させていただきまして45点です!これが基準になりますね。
クゥ~~~!!でもありがとうございました!いや、ありが能ございました!
ヨッピーの「能」
僕、「これで合ってるんじゃないの?」みたいな感触があるのでそれをやります!
「俺の能」開始!
スッ…
にんげん~~50年~~~~~
おばけ!?
下天の内をくらぶれば~~~~
夢幻の~~~ごとく~~な~~り~~
おばけのアンパンマンだった
フム…
えー、ありが能ございました。
終了!
おい!僕の「ありが能ございました」盗るなよ!!!!
能と言えば面なので、アンパンマンのお面を息子から借りてきました。そしてこの服は幽霊をイメージしたもの、歌っていたのは織田信長がよく舞っていたという「敦盛」です。織田信長も能が大好きだったはずなので、ほぼ能そのものかと思っています!!!
まず、「幽霊」をイメージした、というのは正しいです!能とはこの世に実体の無いものを演じるもので、幽霊が登場する演目もあります。そしてお面も間違っていません。アンパンマンは非常に懐かしくて良かったです。
やった〜!「能って、こうだったよね?」っていう自信があったんです!
おばけって言っちゃったけど間違ってなかったんだ!
更に動きも良かったですね。能は「確認の芸術」と言われるんですが、ゆっくり動くと、指先までよーく見えるんですよ。つまり、細部まで気を抜けないのが能なんです。実は早く動くより、ゆっくり動くほうが難しいし筋力も使うんですよ。
「確認の技術」…!
ただ、歌ってらっしゃった「人間50年~」の歌は能じゃなくて「幸若舞(こうわかまい)」ですね。惜しいです。
能において扇は自分をあおぐためには使わないので減点、そして肌が見えていたのは問題外です。能では70歳のおじいちゃんが子どもを演じたりするのですが、肌が見えないからこそ、本当の子どもに見えたりするんですね。そこが響いたかな。
くっ…!というわけで採点は!?
上田先生:15点 / 欽次朗先生:50点
合計65点
よし!!みくのしんには勝った!!
アンパンマンの幽霊に負けた…。
謎の男の「能」
頑張ります!
最初っからいたけど、あんた一体誰なんだ!?!?
「俺の能」開始!
スッ
すごい。お面かぶってるし、なんか服装は合ってそうな気がする。
スーーーッ
グイングイングイングイン
すげ〜〜〜!!回った!!!!!
ギュルギュルギュルギュル
ズザザザザーーーー!!!
ありが能ございました
終了!
すごい!!!けど、みんな「ありが能ございました」気に入ってるんかい!
すごいですね!!
すごいけど、絶対「能」じゃない!ダンサーさん!?
能=ダンスということで、ブレイクダンススタジオを経営するダンサーを呼んでいました!!岡村さん、ありがとうございました!
緊張しました…大変失礼いたしました!
いえ、大変素晴らしかったです。室内で、畳で、そして和装で、という様々な制約がある中でよく頑張りましたね。
はい、正直言って今日初めて畳の上で踊りました。
能もね、色んな決まりごと、制約がある中で美しさを競うものなので、その真髄には通じるものがあると思います。空間の大きさも決まってますから、制限のある空間の中で、いかに表現するかが能の見どころなんです!ただし動きは全然違いますね。
そして、般若のお面はまさに正解ですね!能でよく使われるお面です。服装はそれ、裃(かみしも)かな? 裃は囃子方(はやしかた)と言って笛や小鼓など演奏する人が着るものなのでちょっと惜しい!
昔の歌舞伎も、鼓を放り投げて見せたり、大道芸に通じるようなものがあったんですね。なのでこういった「見てる人に喜んで頂くための派手なパフォーマンス」という意味では決して間違いではないと思います。
なるほど!ありが能ございました。
みんな使いすぎっ!!!
気になる採点は!?
上田先生:70点 / 欽次朗先生:20点
合計90点
やった〜!
と、いうことは……!?
最終結果
今回の優勝者はダンサーの岡村さん!!
能王だ〜〜〜〜〜〜!
ちゃんと習おう
というわけで改めてちゃんと能について教えて頂きました。
能はそもそも室町時代に成立し、六百年を超える歴史の中で磨かれてきた日本の古典芸能で、面と美しい装束によって幽霊・天女・天狗など人間以外も含めて様々な役を演じながら魅せる歌舞劇です。
ゆっくりとした動作により能役者の指先の一挙手一投足まで見えるため、細部、隅々に至るまで様式美を追求しています。欽次朗先生の言う「確認の芸術」というのはこのことなのです。
有名な演目は、思いを寄せた僧への嫉妬心から寺の鐘ごと僧を焼き殺した「安珍・清姫伝説」を題材にした「道成寺」、源義経の幼名「牛若丸」が活躍する「鞍馬天狗」、歌舞伎の演目「勧進帳」の元になった武蔵坊弁慶の逸話にもとづく「安宅(あたか)」など。
「幣(へい)」と呼ばれる道具を手に、体制を変えずにゆっくり動くのですが…。
これ、めちゃくちゃヒザに来ますね。
でしょう。腕立て伏せも早くやるより、ゆーーっくりした方がつらいですよね。それと同じでかなり筋力を使います。
せっかくなのでお面もつけさせて頂きました。
うわ!視界が悪くてぜんぜん見えない!これつけて舞台に立つの大変だなー!
そうなんです!だから「これくらい歩いたから舞台端まであと何歩だな」というのが見えなくてもわかるように体に叩き込む必要があるんです。
そして顔を上下させて角度を変える事で、表情・感情を変化させるそうです。
少し下に向けると悲しそうな顔になったり、上に向けると嬉しそうな顔になったり、場面に合わせて上下左右の角度を変えるのですが、これも同じように体に叩き込みます。
そして歩く訓練。これも難しい!
同じように歩いているつもりなのに、↓の動画を見ると先生は頭が全然ブレていない事がわかります。
そして上田先生には小鼓を教えて頂きました。これが、全然鳴らない!!
嘘みたい!ぜんぜん鳴らない!
こんなにめちゃくちゃ鳴らしたいのに!
ご覧の通り、先生とは完全に音が違う!
能とブレイクダンスはぜんぜんジャンルが違うかもしれませんね。
そらそう。
以上が『能』でございます!今度は実際に見に来てくださいね!今日はありがとうございました!楽しかったです!
本日は一日ありがとうございました!
ちなみに、本日お邪魔したプログラムは以下の通り。詳しくは、下記お問い合わせ先までお問合せくださいね!
【概要】
1695(元禄8)年から代々、姫路藩主の御用能楽師を務めてきたワキ方福王流江崎家。
伝統芸能を次世代へ「継ぐ・伝える」ため「十二世江崎欽次朗」は能楽の指導にも力を入れ、魅力を幅広く伝えてきました。能は詩・劇・舞踏・音楽・芸術などさまざまな要素が合わさった日本の代表的な古典芸能であり、現代に生きる世界の演劇の一つです。簡潔な舞台の上でドラマティックに演じられる一連の物語は、解説を聞きながら見ることで、より深みを増して感じられることでしょう。【価格(税込)】
大人・中人・小人:@38,000円 幼児:無料※この料金は国内対象とした販売価格と成ります。インバウンドの場合は、着物姿の通訳兼ガイドが出迎え、対応を実施いたします。その場合販売価格が変わりますので詳細はお問合せ下さい。
【催行・受入可能人数】
最小2名、最大9名【営業時間】
9:00~18:00【予約締切日】
14日前 17時まで【お問い合わせ先】
〈事業主〉一般社団法人江崎福王会
〈企画・実施〉神姫観光株式会社TEL:079-224-1881
FAX:079-226-3933
Mail:tabitabi@shinkibus.co.jp
行こうぜ!ひょうごフィールドパビリオン
というわけで「ひょうごフィールドパビリオン」では、今回の「能」を学ぶツアー以外にも、様々な催しが行われるようです。
「刀鍛冶が教えてくれる小刀づくり体験」!
銘酒で知られる「灘五郷の酒蔵巡り」などなど、SDGsをテーマに156もの様々な地域プログラムが体験できます!
公式サイトの一覧を見てみればきっとあなたにも体験してみたいと思えるものが見つかるかもしれません。是非見てみてください!!
【提供】
兵庫県 万博推進課【協力】
十二世欽次朗さん(江崎 敬三さん)
能学大倉流小鼓方 上田 敦史さん
ブレイクダンススタジオ パワームーブ大阪 岡村 真史さん【企画・執筆・編集】
ヨッピー
株式会社バーグハンバーグバーグ