読者のみなさんは今年(2023年)、読んで面白かった漫画などございますでしょうか?
オモコロブロス編集部の私は、『気の合う奴らで好きな漫画をオススメし合う。それくらいさせてくれ!』でみくのしんさんがオススメしていた、「住みにごり」を読んでかなり衝撃を受けました…!!
今回は数ある漫画の中から、オモコロライターとBHB社員が【2023年に読んでオススメしたい漫画】を紹介させて頂きます!
永田がオススメしたい漫画
『クマ撃ちの女』安島薮太
【作品のポイント】
2023年と言えば、ヒグマOSO18が話題になったのでそれ繋がりで、こちらの漫画を挙げさせてもらいます!!
北海道で猟師(クマ撃ち)をしている女性・チアキさんと、それを取材するライター・伊藤さんのお話。狩猟の怖さ楽しさみたいなところが描かれてるのはもちろんなんですが、なんと言っても登場人物の倫理がみんなそれぞれいい感じに欠けてて最高なんです。みんな軽く狂ってる。キミはどの倫理欠けが好き?!
チアキさんが危険なクマ撃ちに執着する理由も徐々に明かされたり、人間関係にも進展があったり、「これ最終どうなんの⁉︎」と読めない感じがめちゃくちゃ面白いです。最新刊もクライマックスっぽいところなので読むなら今かも!!
あとクマ怖すぎ。
「クマより人間の方が怖えじゃんw」みたいな舐めたことを思った後に、「いやクマ怖っ!!!!!!!!!」ってなる。緩急というか、日常パートとの温度差が交互浴みたいで気持ちいい。
その根底にあるのが「狂い」……。やっぱ人間狂ってなんぼよな。
2024年は「狂い」の年にしよう!!
地球のお魚ぽんちゃんがオススメしたい漫画
『青春リビドー山』位置原光Z
【作品のポイント】
下品!!! 最高!!!!!
「そこはかのないエロさ」と「ド直球の下品さ」って共存出来るんだ…………
と今年1番驚いた最高のギャグ漫画でした。
本当にめちゃくちゃ面白すぎる。
原宿がオススメしたい漫画
『神田ごくら町職人ばなし』坂上暁仁
【作品のポイント】
インターネットをやりすぎていると反動で手を動かしたくなってくるというか、自分の感覚と体を使って何かしてみたいと感じることが最近特に多いのですが、江戸に住む職人の気風を描いたこちらの漫画は、そんな気持ちにしっかりと染み込むいい作品でした。
「その道」に精通した人間にしか出せない、仕事への厳しさと粋さに憧れる。
あと、最近「いい漫画だなぁ」と感じると、大体リイド社から出版されている。
瀧ヶ崎がオススメしたい漫画
『おかえりアリス』押見修造
【作品のポイント】
「男はもう降りた」「でも女になりたいわけじゃない」と語る女装の美男子 – 彗と、その幼馴染である中学生 – 洋平と結衣による三角関係を描いた作品。全体的にえっちです。
彗は「性から降りたい」からこそ他者を先回りするように過激に性的な言動・行動を取り、そのせいで3人の関係性は少しずつ過激なものになっていきます。彼の手によって洋平と結衣、思春期男女ふたりの性欲が発露し、増幅し、時には萎縮する瞬間が赤裸々に描かれます。押見作品らしい、うんざりするほどの率直さです。
この「支配欲渦巻く性の世界」のねっとりとした描写が、彗の目指す「性から解き放たれた世界」という理想郷の輝きを対比的に強調します。はたして性から解き放たれた先の世界など実在し得るのでしょうか。作者はそれを描くことが本作品のテーマだと語りますが、個人的には前者のねっとりとしたリアリティに彼の力量と個性を感じました。「性的なコンテンツが好きすぎる自分に最近うんざりしてきた」みたいな人にはおすすめの作品です。
けんがオススメしたい漫画
一応私自身の立場も漫画家なので、私の立場から評することが失礼かもしれませんが、読者としての自分も存在するので、読者としての感想と思って頂ければ幸いです。
『潮が舞い子が舞い』阿部共実
【作品のポイント】
今年10巻が出て完結しました。漫画ってまだこんなに描かれてないキャラクター同士の関係性とかあるんだと思って、膝から崩れ落ちました。
登場キャラクターが多く、1クラス分の生徒と、彼ら彼女らの知人と、先生たちがいます。
初めの頃はまだ読むほうも認識が追い付いてないので誰が喋ってても、学生がなんか喋ってるな、と思ってしまってたんですが、巻数を重ねるごとにキャラクターへの認識が追いついてきて、こいつこんな風なこと思うんだ、とか、こいつこっちのコミュニティではこういうキャラなんだみたいな理解が追い付いてきて、どんどんみんなのことを好きになっていきます。
それってなんだか、実際の学生生活みたいですね。そして理解したころに、離れ離れになるのも学生生活かもしれません。というわけで、今読み返して、さみしい気持ちになってます。
でも、いつか離れ離れになっても、その瞬間があったということが素晴らしいから…好きなのは5巻収録の50話です。
読んでくれ。
『ザ・キンクス』榎本俊二
【作品のポイント】
膝から崩れ落ちました。日常の中で起きた小さな奇跡、みたいに言うとそうなんですが、それだけではなく、それらがすべて、生活の中の面倒な、でもやるしかない事をしている時に起きているのが素晴らしいと思っています。
送り迎えとか、地域の当番とか、そういうめんどうなことをなるべく避けて自分の時間を自分のために使うことが幸せと信じていたのですが、最近はめんどうなことの先を信じたくなっていて、その部分を揺さぶられています。
色んな事が過ぎ去ったあとでも、人生続いていくぜ、そしてそれはそんなに悪くないぜ、と言われているようで、勇気がでますね。
『劇光仮面』山口貴由
【作品のポイント】
先日4巻が出たところですが、膝から崩れ落ちました。
今まで何度も山口作品の中で人間を強化する外骨格的なものは出てきていますが、その度軍の秘密の技術とか、あるいは人間の怨念とかによって作られたもので、読んでる側としては「まぁそうかそういう不思議な力もあるよなぁ」と疑問をもたずに読んでたのですが、ここにきて、そういう外骨格的なものに変身することを、現実的な手法で追い求める立場が描かれているんです。言うなればそれは本物の不思議な力に対する、作りものが本物であろうとする立場です。ラーメンとはフェイクから真実を生み出そうとする情熱そのものです、という言葉をスペリオールつながりで思い出しました。
強化外骨格とはフェイクから真実を生み出そうとする情熱そのものかもしれまん。
金輪際雑魚がオススメしたい漫画
『ドンキーコング1 – ウホウホ大自然ギャグ』ひじおか誠
【作品のポイント】
基本的にはSFなのですが、読み進めていくうちに物語の怪奇性、描写力、タガが外れた熱量などにあてられ、作者への畏怖がこみ上がってくる漫画でした。とんでもなく、それでいて美しい。
自分はこの様な、『中世に発表されていたら丸ごとが火炙りにされていたかもしれない奇書』に出会うと嬉しい気持ちになるので、購入してよかったと大満足。
特に、パワーあふれるドンキーコングのお話なのに1話目を「バリカンで頭を剃る話」にしている所が怖かったです。
大きすぎる、ある1つの理由があって少しオススメしずらい漫画ではありますけど、是非!
ギャラクシーがオススメしたい漫画
『龍子 RYUKO』エルド吉水
【作品のポイント】
45歳で漫画を描き始めフランスでデビューした異色のマンガ家、エルド吉水先生の描くスタイリッシュ大暴力アクション。
囚われの母を救うためヤクザや軍隊を相手に戦う主人公・龍子を描いたマンガなんですが、そのアクションと暴力の描写がひたすらかっこいい。拳で、蹴りで、ナイフで、銃で、日本刀で……時には中東の砂漠で、時には東京の路地裏で、そしてバイクに乗ったまま地下鉄の車内で……縦横無尽・問答無用で展開されるハイスピードな大殺戮。最高すぎる。
女性の登場人物が多いんですが、ほぼ全員水着みてーな薄着(もしくは水着以下の布面積)でスーパーバイオレンスなアクションを行うのもおしゃれで良い。
絵はすべてアナログで、迫力がありながら緻密な筆致、コントラストが強く、最近ではあまり見ない“劇画調”の作風ですね。渋い! 作者はもともとアート畑の人というのもあり、構図や影の入れ方、美しく舞う女体はイラストとして額に入れたいくらいくらい美しいです。美しすぎてたまに何やってんのかわからないコマとかあるんですが、そこはまあ、全編通してのスピードとテンポ重視ということで、なんかわからんけどスゲー!くらいに思ってほしい。マジで細かいことはどうでもいい、疾風怒濤のバトルを感じてほしい。
恐山がオススメしたい漫画
『鬱ごはん』施川ユウキ
【作品のポイント】
フリーター・鬱野たけしによる、大きな起伏のない食生活を淡々と描いたシリーズ。庶民グルメマンガ全盛期に始まり、今年で連載13年を迎える作品です。まったく食欲をそそらない倦怠感を催すグルメ描写の数々は小市民的「小さな幸せ」へのアンチテーゼとなって、読者を湿った薄暗い気分へいざなってくれます。
作中の時間は現実とリンクしており、連載開始当初は20代前半だった鬱野も今や30代半ば。といって特になにかが変わるわけでもない低空飛行の毎日。コロナ禍でウーバーの出前を始めるなど、同じ現実を生きている鬱野を見ていると、彼が自分の分身や親戚のような気がしてきます。このまま還暦を迎えるまで続いたらきっと伝説になるはず。
まとめ
今回紹介した漫画以外にも、おすすめの作品はたくさんあるはず。
読者のみなさんも「この漫画は今年読んでよかった!」「この作品は面白い!」という情報があれば教えてください!
今日はそんな日です。