東京、神保町の一角――。

 

古書街の真ん中に突如現れる、『WARHAMMER』と書かれた看板……。

 

ショーウインドーに並ぶ、やたらとクオリティの高いフィギュアとジオラマ……。

思わず「一体これは何の店なんだ!?」と興味を惹かれてしまう。

もし上の写真を見て少しでも興味が湧いたり、同じような店を見たことがあったりしたら、ぜひ今日は筆者と一緒に『Warhammer(以下、ウォーハンマー)の世界の一端を体験してみてほしい。

結論から言えば、この『ウォーハンマー』は、プラモデル、ボードゲーム、TRPG、コレクション、スペースオペラ、剣と魔法、etc. と恐ろしいほど多数の魅力を併せ持った、沼ホビーだったのだ!

 

『ウォーハンマー』って何?

「マジで何の店なの!?」と勇み足で取材を申し込んだ筆者に応じてくれたのは、この方。


ウォーハンマーストア 神保町 店主の丹野さん

というわけで、今日はウォーハンマーストア 神保町にお邪魔して、いろいろと話を聞いてみよう。

 


右が筆者(加味條)です

本日はよろしくお願いします! いきなりですが、『ウォーハンマー』って何なんでしょうか?
ざっくり言うと、ミニチュアを組み立てて色を塗り、さらにそれを使ってゲームをできるという、世界的に人気なホビーなんです。
なるほど。つまり、自分で作ったプラモデルを戦わせられるんですね! 子供の夢だ。
まずはこちらをご覧ください。

 


『集める』『作る』『塗る』『遊ぶ』『読む』

『ウォーハンマー』の楽しみ方は本当にたくさんあるんですが、大きく分ければこの5つになります。

 

まずは『作る』『塗る』ですが、ウォーハンマーのミニチュアは、購入するとバラバラのパーツで箱に入っています。これを組み立てると……

 

こういった単色のミニチュアになります。ここからさらに専用の塗料で色を塗っていくと……

 

こういったミニチュアが出来上がるわけです。
すごい! でもパーツが細かくて大変そうですね……。
いえいえ、実際そんなことは無いんですよ。そこはこの後、体験していただきましょう。

 

そして『遊ぶ』ですね。組み立てたミニチュアでアーミー (軍隊) を組んで、他のプレイヤーのアーミーと戦うことができるんです。これも、このあとで一部を体験していただきますね。
やった! 楽しみです。ちなみに、ゲームで遊ぶには色を塗らなくてはいけないんでしょうか?
いえ、決してそんなことはありません。ゲームだけがしたかったら、色を塗らずに遊ぶことも、もちろん可能です。塗った方がより楽しめるとは思いますが。

 

このホビーにおいて「こうしなきゃいけない」ということは無いんです。とにかく、楽しみ方は人それぞれで全くの自由です。作るだけ作ってコレクションするのが好きだったら、ゲームをせずに『集める』だけでも良いんですよ。
集めるだけでも、確かに楽しそうですね。
コレクション性が高いですからね。きっちり塗ったミニチュアが並ぶと壮観ですよ。

 

確かに、集め甲斐がありそう……。『作る』『塗る』『遊ぶ』『集める』と、本当に色々な楽しみ方ができるわけですね。『読む』というものもありましたが、これはどういうことなんでしょうか?
それぞれのミニチュアや陣営、作品世界に、膨大な物語や背景設定があるんですよ。

 


文字がびっしり

例えば「コデックス」と呼ばれるルールブックを見ていただくと、前半1/2から2/3ぐらいは全部設定が書かれているんです。
設定、めちゃくちゃ細かいですね。好きな人にはたまらなさそう。
なかにはずっと読んでるだけって人もいますね。
そういう楽しみ方もアリなんだ。プレイヤーはこの膨大な物語をすべて頭に入れてるんですか?
必ずしもそうではありません。が、いろいろと読んでいると段々と点と点が繋がって、面になっていく瞬間があるんです。その気持ち良さを味わうために、ぜひ読んでみるという楽しみ方もおすすめしてます。
点と点が繋がる……『アベンジャーズ』みたいで良いですね。
物語の世界を体験できるビデオゲームもたくさん出ているので、手っ取り早く作品世界を体験したい人にはぜひおすすめですよ。

 

 

『ウォーハンマー』の歴史は?

冒頭で「世界的に人気なホビー」とおっしゃっていましたが、ウォーハンマーの発祥は海外なんですか?
はい。イギリス発祥で、欧米ではかなりメジャーなホビーなんです。始まったのは1980年代にさかのぼります。
1980年代……ガンプラ (ガンダムのプラモデル) と同じぐらいの歴史があるんですね。
イギリスでは小学生からやる子も多くて、無料の学習サポートプログラムなんてものも用意があったりします。

 

小学校の模型クラブなんかに提供する特別なパックでして、先生用のカリキュラムなんかもあるんですよ。
確かに、テーブルゲームって、遊びを通してコミュニケーションも学べますからね。それだけ社会に浸透してるんだな……。

 

日本で広がったのはいつ頃なんでしょうか?
日本に入ってきたのは90年代ですが、ここ数年でまた大きく広まっている印象があります。

ウォーハンマー直営店・取扱店の一覧(2022年2月現在)

私が入った2015年頃にはまだ直営店が国内に2店舗しかなかったんですが、そこから3年ほどで一気に10店舗まで増えたんです。取扱店でしたら全国どこにでもあるので、地方に在住の方でも気軽に始められるようになってきています。
人気に火がついたきっかけは何だったんでしょうか?
日本はもともと、プラモデルの地盤が広いですから受け入れられやすかったんでしょうね。潜在的にまだまだこれから興味を持ってもらえる方も多いんじゃないかと思います。
確かに、昨今ボードゲームブームもありますし、プラモ、ゲーム、物語とフックになる要素も多いですからね。プレイ人口はどんなものなんでしょうか?
きちんと統計を取ったことが無いので断言はできないですが……公式アカウントのフォロワー数に、SNSをやっていないお客様の数を勘案すれば、おおよそ1万人ほどの方がいるのではないでしょうか。
なるほど! それだけたくさんの人がプレイされているなら、その波に乗らない手はないですね!
いろいろなものの日本語化も進んでいますから、始めたい方には始めやすくなっていますよ。

 

 

ウォーハンマーを始めよう!

というわけで、僕もウォーハンマーやりたいんですが、まずはどうすればいいでしょうか?
まず、現在扱っている大きなゲームが2つあります。暗黒のSF世界をモチーフにした『ウォーハンマー40,000(以下40k)と、ファンタジーな神話の世界を舞台にした『ウォーハンマー:エイジ・オヴ・シグマー(以下AoS)です。
SFかファンタジーかどちらかを選ぶのか……。好みのわかれるところですね。互換性は無いんでしょうか?
ごく一部のミニチュアを除いて互換性は無いですが、ルールは似ています。どちらかを覚えれば、もう一つも簡単に遊べるようになりますよ。

 

中には双方の世界で遊べるミニチュアも。

 


『40k』『AoS』双方のロゴが入っているのが目印。

2つの世界を、ざっくりと紹介しましょう。

 


『40k』の超ざっくり概要

 

『AoS』の超ざっくり概要

うわぁどっちも気になる! パッと目に着いたのは、『40k』のメカメカしい軍勢ですかね。

帝国技術局の軍勢

帝国技術局(アデプトゥス・メカニカス)ですね。万機神(オムニシア)と呼ばれる機械神を崇める組織で、自分たちの身体を機械化しています。私もここから始めたんですよ。
身体を機械化……。攻殻機動隊みたいでかっこいいですね……!

 

同じ『40k』の、戦闘修道女(シスター・オブ・バトル)というのも厨二心がくすぐられるネーミングで気になります。
帝国宗務局に属する組織ですね。彼女たちは結構えぐいバックストーリーがあるんですよ。
ストーリー気になりますね……。いろいろ読んでみたくなります。

『AoS』の方も見てみましょうか。なんだかゴツイのがいますね。

 

実はこれ、永久魔法(エンドレススペル)と呼ばれる、召喚魔法なんです。
魔法!?
『AoS』の特徴として、こういった巨大な召喚魔法やモンスターが使えるという点があって、その分かなりダイナミックなゲームができるんです。例えば、部隊が「建物に駐留できる」というルールがあるんですが、その建物ごと吹き飛ばすことができます。
豪快だ。

 

『40k』か『AoS』か……。めちゃくちゃ迷いますね……。
:最終的には見た目で選ぶのがいいですよ。どうしても自分で『作る』という作業が発生するので、作りたくなるものや作っていて楽しいと思えるものから選ぶのをおすすめします。

 

……決めました! 『40k』から始めてみようと思います!

 

というわけで、「始めるにはまずこれから」という『スターターセット(リクルートエディション)』を購入することに。

ゲームを手っ取り早く楽しめるよう、2つの部隊とルールやストーリーがわかる解説書が同梱されたお得なセットだ。

また、筆者はペイントにも挑戦してみたいため、別売りの「ペイント&ツールセット」も購入。こちらには基本色のペイントに加え、ニッパーやヤスリといった組み立てに必要なキットも入っている。

 

購入完了! 次ページにて、組み立てとペイント、そして実際のゲームを体験していく。

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