ご存知の方も多いように、大手コンビニチェーン「サークルK・サンクス」は、「ファミリーマート」と統合し「ファミリーマート」に統一される。

現在は「統一」の過渡期にあり、サンクスに入ると中でファミチキを売っている、という混乱するシチュエーションにも遭遇しがちだ。

 

そんな中で、いまだに異彩を放ち続けているサークルK・サンクスオリジナル商品をご存知だろうか。

 

「ばくだんむすび」シリーズである。

 

「ばくだんむすび」との出会い

 

最初の出会いは今年の6月だった。会社の最寄りのサンクスで、こんなおにぎりを発見したのだ。

 

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なんだこれは。

銀鮭と白身フライとタルタルソースとおかかが全部一緒に入っている。なんという頭の悪さだ。そして妙にでかい。

 

感動して思わず買ってしまった。かじってみると、鮭と白身フライとタルタルソースとおかかの味がした。

 

 

二度目の出会い

 

次の出会いは9月下旬だった。ふと覗いた陳列棚に「ばくだんむすび」はいた。

 

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ハンバーグと唐揚げとウインナーが一堂に会している。唐揚げは2個入っていて、それぞれに「鶏唐揚」という注釈がついている。なんというバカさだ。迷わず購入した。

 

食べると、当然のようにハンバーグと唐揚げとウインナーの味がした。

ここで確信したのは、「ばくだんむすび」は欲望に従順でバカなおむすびを信念を持って作っているということだ。

 

ネットで調べてみると、「ばくだんむすび」は過去にもいろいろなシリーズを出していたらしい。たとえば、

・ハンバーグ&ブタ焼肉マヨ

・ハンバーグ&ゆで卵&カレー

・ハンバーグ&オムレツ&唐揚げ

などだ。はっきり言うが、バカだ。素晴らしく頭が悪い。

 

しかし、このときにはもう「ファミマ統一」のニュースを知っていた。いったいいつまで「ばくだんむすび」を……いや、「バカおむすび」を食べることができるのか。私は不安に思った。

 

これが2度目にして最後かもしれない。

 

三たびの邂逅

 

サンクスの店内にファミマ製品が増えてきた11月。私はもはやファミマへと変わっていくサンクスの姿を受け入れつつあった。

これでいいのだ。バカおむすびとの出会いは、素敵な思い出として永遠に記憶に封じ込めておけばいい。

しかし、そこには「彼」の新しい姿があった。

 

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チキン南蛮と明太子とタルタルソースが一緒になっている。わけがわからない。わからないが、まさしく彼こそがあの「バカおむすび」だった。

 

彼はまた新しい姿を私に見せてくれたのだ。嬉しくて、駆け込むようにレジに彼を持っていった。ひとくちかじってみると、チキン南蛮と明太子とタルタルソースが混じり合った、ものすごく頭の悪い味がした。おいしい。

 

だが……もうこれで本当におしまいだろう。看板をファミマに変える店舗も増えてきた。この店も、看板以外は実質「ファミマ」になっていると言っていい。新商品はもう期待できないだろう。

最後のおわかれだ。私は名残惜しげに包み紙を眺めて、ゴミ箱に、捨てた。

 

そして現在

 

12月になった。慣れ親しんだサンクスはもはや「サンクスの面影の残るファミマ」になっていた。

私自身、それに疑問を抱くことはなかった。あれほど恐れていた変化も、直面してしまえばなんということはないのだ。人間の残酷さとは恐ろしい。

 

しかし、彼はそこに、いた。

 

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牛カルビと豚しょうが焼きと唐揚げが米に包み込まれている。その姿には見覚えがある。こんな低IQぶりを見せてくれるのは彼しかいない。バカおむすび、いや、「ばくだんむすび」だ。

 

口に含んで丁寧に咀嚼する。カルビと生姜焼きと唐揚げが渾然一体となっていて、まるで小学校低学年の夢を米でくるんだような味だ。初めて食べたのに、それはなぜか懐かしかった。

 

 

「ばくだんむすび」を応援しています

 

この「ばくだんむすび」が、いつまで食べられるのかはわからない。

しかし、朝日新聞の記事によれば、弁当類の生産はサンクスの委託工場と取り引きを続けるという。

私はファミマ統一後も「ばくだんむすび」が生産されることを願っている。