「ヒモックマ」というLINEスタンプをご存知だろうか。クリエイター・セブ山氏が制作した、「ヒモ男専用スタンプ」である。
簡素なキャラクターに「倍にして返すね」「所持金ゼロ」「全額負けちゃった」等のギリギリのフレーズが踊る独特のスタンプは、ユーザーの間で思わぬ人気を獲得している。一時はスタンプランキングの2位に輝くなど、かなりの知名度を誇るようだ。
なぜ、「ヒモ」を題材にしたスタンプがこれほどの支持を得ているのか? 作者であるセブ山氏に直接インタビューを行った。
「ヒモはいろんな女に同じことを言う」―制作の経緯
――そもそも、「ヒモックマ」を作ろうと思ったきっかけはなんなのでしょうか?
セブ山:
いろいろありますが、僕自身、ヒモだったことが大きいですね。25歳くらいから最近まで、いわゆるヒモとして活動させていただいてきました。その経験が糧になっている部分はあるんじゃないかと思います。
――なぜ、ヒモを?
セブ山:
「自分に向いてることはなんだろう?」ってことを真剣に考えてみたら、ヒモが天職だと気付いたんですよ。まあ、ヒモ一本で食っていけるまでになるには時間がかかりましたけど。
――その実体験が元になっているわけですね。
セブ山:
はい。口に出して言ったことのあるセリフしかスタンプにしないようにしています。スタンプを作った理由ですが、ある時に気付いたんです。「ヒモって、いろんな女性に全く同じことを言うな」と。そこで、スタンプを作れば効率化が進むのではないかと考えました。
――現役ヒモ経験者ならではの気付きですね。
スタンプのフレーズは全て経験に基いているという
――「ヒモックマ」リリース後は、どんな反応がありましたか?
セブ山:
最初は特に反応がなく、たいして売れていませんでした。ところが、発売から数ヶ月が経ったころ、売上が急激に伸びてランキング2位まで行っていることに気付いたんです。なにごとかと思って調べてみると、僕がヒモックマのリリース直後に「使用例」として作った画像が、さまざまなサイトに転載されて話題になっていたんです。
セブ山氏が作った使用例の一部
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セブ山:
「このLINEのやりとりヤバすぎ!」という感じで、Twitterを中心に面白がられて拡散されたんです。実際のLINEの画面をキャプチャしたものだと思われたんでしょうね。だから売れた直接の原因は僕自身の宣伝ではなく、みんながその画像に興味を持って勝手に調べてくれたことにあります。
――なるほど。ヒモックマは口コミ効果で売れたんですね。
セブ山:
その特殊な売れ方のせいか、変なウワサも立てられました。売れないスタンプのクリエイターたちが集まってるネット掲示板があるんです。僕は彼らをガリンペイロ(※)って呼んでるんですが。
※ガリンペイロ…アマゾンの奥地で一攫千金を夢見て、金鉱を採掘して暮らしている人たちのこと。
セブ山:
そこで「ヒモックマは自作自演のステマ(ステルス・マーケティング)でスタンプを売っている」とか謂れもない誹謗中傷を受けて、叩かれたんです。僕としては「使用例」を作っただけなんですけど。「作者はブロガーらしい」「ブロガーってステマのプロだろ」「ヒモックマもステマで売れてんだろ」とか、散々なこと言われてるんですよ。そこだと僕は「ステマブロガー」扱いなんです。
――そのようにネットで叩かれて、何か思うところはありますか?
セブ山:
ありません!「ステマかステマじゃないかの区別もつかないからお前らはダメなんだよ、一生そこで文句言っとけ」と思います。
――頑張って作ったスタンプがあまり売れない人からすると、文句を言いたくなる気持ちも少し分かります。
セブ山:
でもヒモックマが売れ出してからは、ヒモを題材にしたスタンプが急増しました。ものすごい弱肉強食の世界ですよ。
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