結局カポエイラは強いのか

 

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icon_nuwton_g「ここまでカポエイラの色々な技を見せて頂きましたが、結局のところ、カポエイラって強いんでしょうか

icon_nuwton_w「それは他の格闘技と比較して、ということですよね? 難しい質問だなぁ……。空手でもボクシングでも、何でもそうだと思うんですが、普通は“同じ競技の対戦者”と戦うことを想定してるんで」

icon_nuwton_g「そこをあえて、で言うと?」

icon_nuwton_w「これは僕の個人的な意見ですが、正直、空手とか他の格闘技をちゃんとやってる人とは、戦りたくないですね。勝てないと思います

icon_nuwton_g「カポエイラって蹴りの角度が独特だから、対応するのは難しそうですが」

icon_nuwton_w「ちょっとかじった程度の人なら通じると思いますが、ちゃんとやってる人だと、難しいんじゃないかな。以前、空手の師範をやっている方が道場に遊びにきてくれたことがあるんですが、下段の攻撃にもすぐに対応されましたよ」

 

 

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icon_nuwton_w「冒頭でも言いましたが、カポエイラはダンス的な要素やゲーム的な要素を切り離せないんです。そこが面白いところでもありますし。練習もすべての要素を含めてやるわけです。一方で、例えば空手家の人は『人を打倒すること』を100%専門でやっている。そんな人に、勝つのは難しいですね」

icon_nuwton_g「では、カポエイラの格闘的側面をミッチリ練習すれば……?」

icon_nuwton_w「格闘技としての研鑽を積んだなら、強い人はいるでしょうね。日本の……『巌流島』だったかな? 異種格闘技戦を行っている団体があるんですが、そこのマーカス・レロ・アウレリオ選手なんかはすごく強いです

 

 

巌流島|公式HP・ニュースより

 

icon_nuwton_g「(動画を見ながら)蹴り早ェェェ! まともに当たったら頭蓋骨が砕けそ……あ、当たった(1分40秒あたり)。そして完全に失神したこれ。ムチャクチャ強いじゃないですか」

icon_nuwton_w「目の前で見ると、蹴りがどこからくるのか見えないんですよ。視界の外を回り込んでくるから、ヘタしたら正面で戦ってるのに後ろから蹴りが飛んでくる」

icon_nuwton_g「こんな遠心力の蹴りが、見えないところから飛んでくるってめちゃめちゃ怖いですね」

icon_nuwton_w「この選手は確かにカポエリスタですが、もちろん柔術やボクシングなど、他の武術のテクニックも学んでいます。でないと総合格闘技では勝てないでしょうね」

icon_nuwton_g「では、カポエイラならではの強みってどういう部分なんでしょうか。多彩な角度からの蹴り? 下段攻撃?」

icon_nuwton_w「それもありますが、一番は狡猾さ、ではないでしょうか。奴隷がゲリラ戦で使った格闘技なんで、ぶっちゃけ、正々堂々を目指してるわけではないんです。本来は、どんな手を使っても生き残ればいいという考えなんです」

icon_nuwton_g「バキの最強死刑囚やがな……」

 

 

 

カポエイラの歴史

 

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カポエイラには欠かせない楽器、ビリンバウ。こういった楽器を円になって演奏し、その中で組手が行われます

 

icon_nuwton_g「カポエイラと言えば、アフリカから奴隷として連れてこられた人々が、(当時は奴隷が格闘技をすることは禁止されていたので)踊りのふりをして練習した、と言われてますよね。ではルーツはアフリカの武術なんですか?」

icon_nuwton_w「そういう説もあります。実際、アフリカ土着の格闘技で、カポエイラのように円になってその中心で戦うというものもあるんですが……正直、似ても似つかない動きでした。“カポエイラ”という言葉の定義に収まるような格闘技は、間違いなくブラジルで作られたと僕は思ってます」

icon_nuwton_g「アフリカ産ではないと」

icon_nuwton_w「色んな部族の人間が奴隷として連れてこられたんで、それぞれの部族に伝わる格闘技がブラジルで融合して、カポエイラというまったく新しい格闘技が生まれたのではないでしょうか」

icon_nuwton_g「じゃあ、結構 新興の格闘技なんですか?」

 

 

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icon_nuwton_w「起源ははっきりしてません。西暦1500年にポルトガルがブラジルを植民地にして、アフリカ人を奴隷として連れてきたんで、最速だとそのあたりで源流が発生したのではないでしょうか。ちなみに、今知られてるようなカポエイラは、1932年から始まってます」

icon_nuwton_g「1932年に一体何が……?」

icon_nuwton_wカポエイラは権力に抵抗する手段とされてたんで、1932年まで禁止されていたんです。1932年に大統領が変わって、奴隷として連れてこられた人々の文化を見直そうということになって、やっと合法になったわけです」

icon_nuwton_g「それが最初の流派ですか」

icon_nuwton_w「はい。ヘジォナウという流派ですね。カポエイラには大きく2つの流派があって、ひとつがヘジォナウ。もうひとつがアンゴーラと言います」

icon_nuwton_g「ちなみに渡部さんの流派はどちらなんですか?」

icon_nuwton_w「僕の流派はアンゴーラです。ヘジォナウよりちょっと地味ですが、どちらかというと実戦的な流派ですね」

 

▼カポエイラの2大流派

・アンゴーラ
飛び跳ねるような派手な動作はあまり行わず、動物の動きをまねたアフリカ土着の格闘技に近い。

・ヘジォナウ
激しくアクロバティックな動きが特徴。一般的に知られているカポエイラはこちらの系統の流派。

 

 

エクササイズとしてのカポエイラ

 

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icon_nuwton_g「カポエイラをやる人って筋肉ダルマみたいなイメージ(天上天下のボブ牧原のイメージです)だったんですが、渡部さんはかなり引き締まったカラダしてますね」

icon_nuwton_w「道場とか流派によってカラダの動かし方が違うんです。昔行ってた道場では筋力が必要で、重いカラダを瞬発的に動かす感じだったから、10kg以上重かったですよ。今やってる流派・アンゴーラだと、常に動いてるんで絞れますね」

icon_nuwton_g「こちらの道場には女性も多いんですか?」

icon_nuwton_w半分が女性です。本格的なカポエイラをやりたい人もいれば、のんびり楽しむこともできる、それがカポエイラの良いところだと思います」

icon_nuwton_g「女性はやはりエクササイズ的な目的でやってる人が多いんでしょうか?」

icon_nuwton_w「そうですね。こんなに全身をくまなく使うスポーツってなかなかないと思うんで、痩せたいとか運動不足を解消したいという方にはピッタリじゃないかな。エクササイズ目的で入門して、本格的にハマってしまう人も多いです」

icon_nuwton_g「格闘技のジムって男性の比率が高いから、女性には敷居が高いと思いますが、カポエイラは女性でも気軽にやれそう!」

icon_nuwton_wダンスの要素やゲームの要素があるんで、楽しみながらできるんですね。だからつらくないし、長続きするんです」

icon_nuwton_g「さきほど奥さんとの組手も見せてもらいましたが、おもしろそうでしたね。運動量もハンパなさそうでしたけど」

 

 

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カポエイラの組手は『ジョーゴ』と言います

 

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ゆったりした動きでしたが、数分間で汗だく!

 

icon_nuwton_w「カポエイラの組手『ジョーゴ』は、『この技がきたからこうかわそう』『これを避けられたらこう蹴ろう』といった感じで、攻撃を当てずに、いわば将棋のように技の応酬を楽しむんです。その動きがダンスの要素を含んでいるので、おもしろいし、エクササイズ的な効果も高いのではないでしょうか」

icon_nuwton_g「逆立ちとかで腕を使うんで、二の腕がプルプルしてる女性にはおすすめできそうです」

icon_nuwton_w男性の場合は筋力アップしたいという方が多いと思いますが、肩、腕、広背筋などに、自然な筋肉がついていきます」

icon_nuwton_g「羨ましい! 僕もやってみたくなってきました。では最後に、これからカポエイラを始めてみようかなーと悩んでる人にひとことお願いします!」

icon_nuwton_w「カポエイラは自分の体の可能性に挑戦できる格闘技です。戦いであり、ダンスであり、ゲームでもある。全身を使った将棋みたいなものだから、筋力のない女性でも楽しめますよ! いつでも道場にお越しください!」

 

 

 

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カポエイラ目黒道場

■レッスン料・入会金について

・入会費:8,500円(初年度年会費を含む)
・年会費:5,000円
・レッスン料:2,000円
※学割やお得な制度もあります→詳しくはこちら
■TEL:03-6320-7555
■Mail:oi_tudo_bem_take@yahoo.co.jp
■住所:東京都目黒区鷹番2-13-8 三共包装ビル3F

 

 

ダンスの一種だと思ってたカポエイラですが、話を聞いてみればかなり本格的な格闘技でした。目潰しや金的、崩し技や投げ、さらにナイフ術まであったなんて!(※渡部さんの道場では教えていませんよ!)

最近ちょっとふくよかになってきた僕としては、エクササイズ効果が高そう、というのも惹かれてしまいました。

 

ますますカポエイラに対する興味が湧いてきたので、とりあえず『天上天下』を読み返すところから始めてみたいと思います。ではみなさん、さようなら!

 

 

▼ギャラクシーの「興味本位で聞いてみた」シリーズ

 

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