こんにちは。
ヌートンライターのマンスーンと恐山です。
今回は株式会社クボタさんから「自慢の製品を見に来てください!」と誘われたので、取材に来ています。
「クボタ」といえば、これまでも何度か取材を経験してきたお得意様。
農業用トラクターのほか…
地味だけど役立つ汚水ろ過装置「液中膜」など、縁の下の力持ち的なモノづくりをしている会社です。ヌートンでは過去に「地味だけどすごい! すごいけど地味」とか失礼なことを言ってきました。
ところが今回はいつもと違ってド派手な案件らしいのです。
聞くところによると、なんとクボタが「アグリロボ」というロボを開発したので宣伝してほしいとのこと。
ロボ……!
そうそうそういうのだよ、そういうの!
ということで、ロボ見たさにやってきました!
宣伝するぞ!
な~んもない。
サラッサラの更地。
な~~~~んもない。
あれ? 騙された? もしかして騙された?
と、思ったら
「お待ちしてました」
めちゃめちゃ遠くでクボタの社員さんが待ってました。左から、菊地さん、古川さん、森下さんです。
この無駄なスケール感は何?
アグリロボは「存在しない」?
ロボを見られるのを楽しみにしてました。
みなさんがアグリロボを開発したんですか?
はい、そうですね。
ロボを作った……つまり「博士」ってことですよね。
ロボットを開発している=博士だと思ってます?
でも、皆さんあんまり博士感がないですね……。持ってきた服を着てもらっていいですか?
あ、博士だ! ロボット開発してそうな雰囲気が一気に出ましたよ!
博士、今日はよろしくお願いします!
ロボットへの認識が浅すぎる。
ところで、さっきから肝心のロボが見当たらないんですが、私はもう気がついてしまいました……。
このトラクターが変形するんですね?
しません。
でも、どう見てもここ顔になる部分じゃないですか。
たしかに顔っぽいですけど、トラクターが変形するわけじゃありません。
勘違いなさっているようですが、アグリロボというロボットがあるわけではないんですよ。
なるほど。表向きにはそうなっていると……。「監視者<オブザーバー>」の目がありますからね。
「監視者<オブザーバー>」ってなんですか? 本当にロボットがあるわけではないんですよ。
え!? アグリロボって存在しないんですか?
じゃあ、ショウタくんが描いた夢をクボタは裏切ったってことですか!!
なんですかこれは。
近所の5才児ショウタくんが想像で描いた、アグリロボが活躍しているイラストです。
悪側の活躍をしているように見えますが……。
悪い野菜泥棒をこらしめてから、あたり一面を火の海にしている様子です。
なぜ火の海に……。
アグリロボは自動走行システムだった
ええとですね、アグリロボはこのトラクターに搭載されている自動走行システムなので、想像されてるようなロボットではないんですよ。
自動走行システム……。ということは、二足歩行も変形も合体もしないんですか……?
しません。
まあ、強いて言うのであれば……。カメラなどの安全装置や、
最適な走行ルートを考えるターミナルモニタとか、
この上部についているGPSユニットといった装備などが、アグリロボ搭載トラクタ独自の装備ですね。ここがアグリロボの実体と言えなくはないかも……。
かっこいい巨大ロボットを想像していたのに、あんなチョロっと飛び出た部分がアグリロボだったとは……。
我々が頑張って作ったシステムをチョロっと飛び出た部分と言わないでください!
アグリロボが自動走行システムなのはわかりました。それが搭載されたトラクターでは何ができるんですか?
それはぜひ、トラクターに乗って確かめてみてください。
え、いいんですか!?
仮面だからか、赤いメカに乗るのが似合うな……。
公式にはオレンジ色です。
乗りましたけど、トラクターの運転方法とか何もわからないんですが……。
大丈夫です。ハンドルに触らず、何もしないでください。
スイッチオン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
恐山:うおおおおおお…!?
クルッ
ひとりでにまっすぐ進んで、綺麗にターンした…!
これがアグリロボトラクタによる自動運転です。それから、トラクタが通ったあとをよく見てみてください。
耕した場所がほとんど重なることなく、ピッタリ折り返していますよね。センチ単位で調節できるんです。
すごい! つまり、アグリロボはパイロットの脳波で直接コントロールできるんですね!
全然違います。アグリロボはGPS(全地球測位システム)を駆使し、人が乗らずに農作業を行う自動運転システムなんです。リモコンによる遠隔指示が可能なので、人が乗らずに耕すことが可能なのですよ。
じゃあ恐山が乗ってる意味ないのでは?
ないです。
導入するには、まず農地の隅にGPS基地局を設置します。
そして、1回だけ外周をグルっとひとまわりします。これだけで農地のマッピングは完了。あとは走行経路を入力すれば、見ているだけでトラクターが自動走行して作業してくれるんです。
※事故防止のため、作業者による監視が義務付けられています。
無人自動運転トラクタ+有人自動運転トラクタによる2台協調作業も可能です。広い農地でも、2台同時に耕うん作業ができるので、作業の時間を短縮することができます。
それに、ひとりでも寂しくない……。
アグリロボに新展開を提案してみた
アグリロボの自動運転システムをはじめとした耕作の現場でのIoT化が、農家の負担を軽くする技術として注目されているんですよ。
普通の乗用車の自動運転とはまた勝手が違うんですか?
地面の質がぜんぜん違いますね。車道は滑らかなアスファルトですけど農地はデコボコの土です。地域や天候によって土の硬さなどが変わるので、誤差を修正してまっすぐ走らせるのがすごく大変なんです。
最初は思ってたようなロボットじゃなくて拍子抜けしたんですが、ひとりでに巨大農機が動きまわって仕事をする様子は「SF」でした……。ゆくゆくはロボット掃除機を使うくらいの気軽さで農作業できればいいですね。
その意義をぜひ多くの人に伝えたいと思っています。
そこでご提案なんですが、アグリロボを題材にしたアニメを作って宣伝する、というのはどうでしょうか?
アニメ……ですか?
はい。やはりロボットは子どもも大人も大好きなので、アニメにしたら一気に認知が拡大するはずです。実はもう、ロゴを発注していまして……。こちらです。
本気のロゴじゃないですか。
マジのアニメーターに描いてもらいました。
そしてこれが、アグリロボに乗るパイロットのデザインです。
我々が預かり知らぬところで企画が進んでいる……。
自動運転だからパイロットいらないんじゃないですか?
えっと、じゃあ乗らないで見てるってことで……。
そんな主人公います?
で、これが主人公のライバルとなるパイロットです。口は悪いけど実力派。
こっちも見てるだけなのでは?
この設定でアニメ化目指すので予算ください! スパロボ参戦も視野!
よく知らないのですが、アニメを作るにはどれくらいのお金がかかるんでしょうか?
「1シリーズで3億円くらいですね」
無理です
勝手に作りました
残念ながら『アグリロボ』のアニメを1シリーズ制作するぶんの予算は下りませんでしたが、悔しかったので数枚の原画をやりくりして無理やりアグリロボのアニメCMを作ってみました。こちらです。
自動走行をただ見ている主人公。
自動走行だから見てればいいという便利さは逆にアニメとしてはおもしろくなさそうになるという落とし穴に気づけてよかったです。
主人公・提供:MISAKI
ライバル:山口翔平
所長・ナレーション:辻原智也
作画:西海賢嗣
ロゴデザイン:和田夏樹
アニメーションプロデューサー:稲垣亮祐、はたなかたいち
制作:アルバクロウ×Creators in Pack
音響制作:Cloud22
この日、ちゃんとしてるアグリロボのCM映像を撮影する日でもあったので、すごい人数のスタッフがすごい映像を撮ってました。
その映像がこちら。
なんてちゃんとしてるんだ……。
ちなみに撮影中、スタッフに紛れてVTRに口を出したりしていたところ……
美味しそうなロケ弁を分けてもらえました。
木陰で食べました。クボタ最高~!!
ちなみに写真の端にロゴを乗せると、どんな写真でも「アニメのCM明けに表示されるイラスト」みたいになります。
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