カチッ

 

カタカタカタカタ……

 

 

ガチッ

 

ガチッ

 

 

1 はじめに

・近所に住んでいる謎のお姉さんに「少年」と呼ばれることがないまま大人になってしまったこと
・近所に住む変わり者の「博士」とか「ドク」的なあだ名の善良な面白大人に巡り合うことなく大人になってしまったこと
・この問題はこれから俺(お前)がどれだけ努力しようが大金持ちになろうが絶対に取り返しがつかない問題であること
・このことを一生引きずって生きていかねばならないこと

 近年「ペンギン・ハイウェイ」などの良質なジュブナイル作品でこれらの事実に気がつき絶望する大人が急増しており、深刻な社会問題として注目されている。
 しかしこれらの問題は根本的にどうしようもないとされており、先の参議院選挙でもこの問題に言及した候補者は0だった。

絶望している大人のサンプル

 

 さておき、ここまでドラマチックではないにせよ自分が10代程度の頃に「なんかそういう大人」は少なからず存在していた。具体的に言うならば

・親でも親戚でも歳の離れた兄弟姉妹でもない
・もちろん友達のそういうの(親等)でもない
・学校や習い事の先生でもバイト先の大人などでもない
・でもなんか子供の頃(だいたい10代くらいとする)知り合っていて、親しかった大人

 そういう大人だ。『よつばと!』のジャンボやヤンダ的な。そういう大人の存在が誰にでもいたのかが気になって仕方なくなってしまったので、Twitterの機能を用いて簡易アンケートを取ってみたところ、次のような結果になった。

アンケート結果

「いた」と回答している人が3割も存在している。少数派ではあるが、無視できる数ではない。もしもこの中に謎のお姉さんに「少年」と呼ばれる少年時代を過ごした者がいたならば妬まなければならない。ふざけんなよ。

 こういう大人の存在について、年代や地域差はあるのか、また具体的にどのような事例があるのかを調査することにした。
 本記事の目的は「そういう大人っているとこにはいるんだね」というのを確認して、エピソードがあれば面白がるというものである。

 以下、そういう大人を「そういう大人」や「こういう大人」などと表記する。

 

※数字やグラフに全然興味がない方は全部飛ばして次ページへ

2 調査方法

 googleフォームで「身近にいた謎の大人アンケート」を作成し、Twitterで協力を呼びかけた。

 アンケートは下記のような内容で作成した。

子供の頃(10代くらい)身近にいた

・自分の親や親戚や歳の離れた兄弟姉妹ではない
・友達の親や親戚や歳の離れた兄弟姉妹でもない
・学校や習い事の先生でもない
・バイト先の大人などでもない

でもなんか身近にいたし、わりと親しかった大人についてのアンケートです。
アンケート結果は何か記事的なものにまとめるかもしれませんのでご了承ください。
集めるだけ集めて何もしないかもしれませんのでご了承ください。

投稿は一人一回ですのでご注意ください。

・そういう大人が「いた」「いなかった」
・10代を過ごした時代について
・住んでいた地域
 以下の質問は1問目で「いた」を選択した人のみ回答
・その大人は「現実の知り合いか」「ネットの知り合いか」
・その大人をどう思っていたか
・親などはその大人をどう思っていたか
・その大人は何者だったか
・その大人との出会いについて
・何かエピソードがあれば(自由回答)

3 結果と考察

3-1 回答者全体について

 210人からの有効な回答が集まった。アイドルマスターシンデレラガールズのアイドルがだいたい同程度の人数(765AS、DS組、韓国版アイドル含)なので十分なサンプル量であるといえる。

 以下、グラフを交えながらアンケート結果を考察していく。

 アンケート回答者全体でのそういう大人が「いた」「いなかった」の割合は図1のようになった。Twitterでのアンケート同様「いなかった」と回答した人こそ多かったが、割合が大きく異なる結果となった。

 本アンケートは回答がログイン必須でやや面倒かつ、そういう大人が身近にいなかった場合はアンケート対象外だと思ってそもそも回答しないという人も多かったと思われる。よって以降の結果を見る前に「そういう大人が身近におり、語りたいと思っている人」の回答割合が比較的高くなっていることを念頭に置いておく必要がある。(それでもなお「いなかった」の方が多数派である点は意外だった)

 

 アンケート回答者全体での「10代を過ごした時代、地域」の結果を図2、図3に示す。

 図3の地域に関しては「日本ってだいたいこんな感じでしょ」といったサンプルを集めることができたが、図2の時代に関してはほとんどが平成時代にティーンだった人間が偏って集まってしまっている。

 アンケートの収集方法上仕方がないとはいえ、おそらく昭和世代の回答者がもっと増えたら様々な割合が変わってくると思われる。以下の結果も「ほとんど平成にティーンだった人の話」として考察していく。

3-2 10代を過ごした時代とそういう大人の関係

 10代を過ごした時代別に「そういう大人がいた率」をグラフにした。

 上図のうち、昭和時代については回答者が210人中4人しかいなかったのであまりデータとしては役に立たない。この4人が全員Mr.Childrenのメンバーだった場合偏りが発生するためである。同様に令和時代も回答者が7人しかいないので、データとして扱うには頼りない。

 平成前半及び平成後半を見ると、「そういう大人がいた率」はどちらもほぼ50%であることがわかる。

 ここで注目すべきは、どちらもほぼ50%とはいえ平成前半は唯一半数を超えて「そういう大人がいた」という回答が上回っている点だ。平成前半から平成後半になるにつれて、そういう大人の存在が減っていることが推測できる。

 令和の頼りないサンプル数のデータをあえて真に受けるならば、コロナ禍でそういう大人と遭遇する機会がさらに激減した結果、14%と低い数値になった可能性も考えられる。

3-3 地域とそういう大人の関係

 10代を過ごした地域とそういう大人がいた率の関係をグラフにした。

 上図の左の方が都会で、右に行くにつれ田舎になっていく。田舎であればあるほどそういう大人がいた率が高くなることがわかる。ようやくはっきりと相関関係のようなものが見てとれるグラフができた。

 この結果は、なんとなく全員が「そうなんじゃねえの」と思っていたことだと思う。「なんとなくそうなんじゃねえの」と思っていたことが調査の上で数字で証明できると「ほら見たことか」と気持ちよくなることができる。理数系はそういう性感帯がある。

3-4 そういう大人への自分や周囲の印象

 そういう大人が「いる」と答えた人のうち、その大人は「現実の知り合いか」「ネットの知り合いか」及び「そういう大人に対する周囲の大人(親など)の印象」をまとめた図を下に示す。

 上図より、「いた」と答えた回答の多数が現実の知り合いについてであるということがわかる。

 また、そういう大人が現実の知り合いだった場合、その半数以上が周囲の大人からも好意的に見られていたことがわかる。
 これに対して、ネットの知り合いの場合はほとんどが存在を知られていない。または知られていても良く思われていないことがわかった。

 我が子がネット越しに知らん大人とやりとりしているなんて、気がつかない親がほとんどだろうし、知ったとしても99%渋い顔をすると思われるのでこれも予想通りの結果と言える。

 上図は、回答者自身が「そういう大人についてどう思っていたか」を示した図だ。アンケートでは複数回答可とした。

 今回はアンケート説明文に「わりと親しかった大人」と書いて収集したので好意的な意見が多く見られた。
 最も多かったのが「面白い人だと思っていた」で、次いで「遊び仲間だと思っていた」が多かった。この中に謎のお姉さんから「少年」と呼ばれていたことがある人がいたら妬まなければならない。

「ちょっとヤバい人だと思っていた」という意見が「尊敬していた」を上回っていたのは少し意外だった。

 複数回答可なので「面白いけどヤバいよね」や「遊び仲間だけどヤバいよね」という人が多いのかと思い「ちょっとヤバい人だと思っていた」と回答した人の結果を詳しくみると「ちょっとヤバい人だと思っていた」と回答した27人のうち6人が「ちょっとヤバい人だと思っていた」のみを選択していたことがわかった。面白かったので次項でいくつか紹介する。

 また「その他」には以下のような回答があった。

・ジュースくれる人
・偉い人らしいけど、面倒だし嫌い
・なんとも思ってなかった
・いい人だな~
・よく喋る人だと思っていた。お菓子をくれるので好きだった。
・かわいそうだと思っていた

 そういう大人と子供の関係も様々なタイプがあることがわかった。

 次ページで具体的な事例を紹介する。