第031回「ヶと々(カとノマ)」
OP/気付いたこと ED/町子のテーマ
唄/森の子町子
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みくのしん写真集化計画
そろそろプレステーションクラシックが発売される。
プレステをちっちゃくしたような見た目で中に20本程ソフトが収録されているイカしてるゲーム機だ。
その中に、「アーク・ザ・ラッドⅡ」というゲームが入っているのだが、僕はこのゲームを知っている。
当時の僕は小学5年か中1だったと思う(小6はあり得ない気がする)。松野という友達の家に行き、よくアーク・ザ・ラッドⅡで遊んでいた。
そのゲームはひとり用のタクティクス系RPGで続編のⅡなのだが、人がゲームをしている所を見るのが好きなのと、キャラクターが敵を倒す時に「死んでつぐなえ」「勝ちは勝ちだ」等、厨ニ心をくすぐるセリフを次々に喋ってくれたのが特に最高だった。あの頃はゲーム内で声が出るってのが珍しくてそれだけでなんか楽しかったな。
でも、内容の方はというとまるで覚えてない。
なんか炎を使える主人公がいて、シュウというキャラが大好きだったことくらい。あと主人公チームが離れ離れになるんだけど、それぞれが前作のキャクター達と会って合流するみたいな演出とかはかっこよかった。ワンピースで言うところの…あそこ。バーソロミュー・くまでみんなが飛ばされた。あそこ。
それと忘れちゃいけないのはメカのヂークベックだ。
この仲間は自分が得た経験値を他のキャラクターに振り分けることが出来るのだが、アーク・ザ・ラッドⅡの思い出と言ったらコイツでしかない。
友人の松野と僕はヂークベックを単独で鉱山みたいなステージに行かせ、一人で戦わせていた。
「みくのしん。頼むわ」
そう松野が言うと僕はニヤっと悪い顔を無理やり作って、2コンでコマンドを打った。
今でも覚えている。
「下下上上右左R2L2R2L2✕✕〇〇」
最後の○を押す時は「いけっ!」とか言ってたかもしれん。
このコマンドを押すとギャグ漫画みたいな爆発音と共に敵が全滅するのだ。
「ちゅどーん!」
「「ハハハハハハハ!!」」
これだけだった。僕のアーク・ザ・ラッドⅡは、本当にこれだけだった。
その炭鉱みたいなステージは敵がめちゃめちゃ出てくるので経験値稼ぎには都合がよく、松野の家に行ってはヂークベックを働かせていた。
レベルも最大が999で、すぐには全員マックスにならないので飽きずにせっせとレベル上げだけをしていた。
ある日のこと。
夏休みに入って母親の実家の福島会津にいる時、無性にヂークベックを動かしたくなったのだ(子供は、いつでも出来るゲームみたいなもんを色んな場所でやりたくなる生き物なので)。
僕は親戚からもらったお小遣いで徒歩40分程先にあるゲオに行ってアーク・ザ・ラッドⅡを購入した。
来た。ついに俺の手にも…!
あの瞬間はめちゃ興奮した。しかし、これがいけなかった。
僕は、何かあった時のメモリーカードをおじさんのプレステに差し込んで、弟や従兄弟。ゲーム好きな従兄弟の母さん。じいさんやばあさんまで呼んでリビングのでかいテレビでプレイすることにした。
興奮状態の僕は、今からヂークベックでちゅどーんちゅどーんと倒す様子を親戚に見せたら尊敬されると思ってたのだろう。
周りの皆は、特に見るもんも無いからいいか。といった感じでぼけーっと見ていた。
僕は、「なんだかテンション下がっちゃうな…まぁこれから驚くからいいか! キヒヒヒ!」とウキウキしていた。心配だ。
ゲームを起動すると僕のメモリーカードなので当然データは無く、はじめからなのだがその瞬間僕は一気にパニックになった。
「あれあれ?」
「あ、そうか。はじめからか…」
「でも、ヂークベックってすぐだよね?」
「……あれ? どうしよう? え? 大丈夫大丈夫?」
「ああああああ」
おしっこが漏れそうだ。
僕は「今から必殺技見せますよ~!」みたいな感じで、わざわざ人まで呼んだのに普通にプレイしたのだ。
親戚はつまらなさそうにお茶をいれに行ったり、お菓子を食べたり、夕飯の支度をし始めていた。
気づくと画面には序盤のボスが出ていてるのだけど状況は飲み込めず、適当にプレイしてるから内容が頭に1mmも入ってない。
ヂークベックも全然出ないし、みんな見てくれてないし、なんかもうすごい恥ずかしい。あああああああああああ。
「ちょっとみんな見てて!」
「ちゅどーん!」
僕は溜まったストレスをぶつけるように皆を呼んで、目の前の序盤のボスを裏技でちゅどんした。
「どう!? これすごくない!?」
そう言って振り返ると、当たり前だがみんな「ふーん」と言った表情で、従兄弟はチャリ走みたいなアプリをしていた。
僕はそれがすごく悔しくて、絶対にヂークベックを出すところまでやってやると思ってコントローラーを手にとった。
しかし、キャラクターは動かない。なんなら戦闘も終わらない。いくら動かしてもダメだった。
実はこの裏技。ボスや大事な戦闘では使ってはいけないのだ。
ボス戦というのは通常の戦闘とは違って倒した後に「くっ…ここまで…か」等のセリフを言い残して消えていくのがゲームのセオリーだ。
なのにこの裏技はそんなボスまで木っ端微塵に爆破する。
勝ってもそこから敵が逃げたり、色んなイベントを無視してちゅどんした為ゲームは止まったのだ。
死んでしまいたいくらい恥ずかしかった。
なんでアーク・ザ・ラッドⅡを皆の前で、わざわざリビングを使ってまで、そしてバグって、もう誰も見てなくて、
ゆっくりバレずに消そうと思ったらそんなときばっかり従兄弟に見つかり「うわっ!バグってるダセーww」と指を刺されて僕は本当にパニックになり、でかいおならが勝手に出て、ついでにうんこも出た。
それからアーク・ザ・ラッドⅡはやってない。
これが僕のアーク・ザ・ラッドⅡの思い出。
プレステクラシックのアーク・ザ・ラッドⅡには、バグも残ってるのかな。
どうでもいいか…
タイトル【WALKING MIKUD】
かまどからの一言
「自分で欲しがってる写真には興味ないです」
(写真:味付けのり男)