第49回「燃えないでゴーイングメリー号」
OP/いとしいご主人様 ED/悲しみのラブレター
唄/森の子町子
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うちのサンタさんは僕が欲しいプレゼントを靴下に入れてくれない。
そりゃそうだ。世界回ってサンタさんも忙しいし、映画見たって大体くまのぬいぐるみとかいらんもんあげてんだもん。
幼いながらそういった考えでクリスマスを感じていた。
ただ、それが嫌だとは一度も思わなかったし故に僕は人よりもサンタさんを信じていた。
でも、人より期待はしてなかった。
皆さんはサンタさんを信じます?
そうですか、僕は信じます。サンタさんはいますよ。
突然季節外れで、そしてめんどくさい質問して申し訳ない。
でも、こないだ親と久しぶりに話した時「あぁ、サンタさんていたなー」と思いだし、忘れないようにここに書いているので腹が立つなと思ったらここで読むのをやめた方がいい。特にオチもない思い出話が続くだけなので。
あれは小学3年のクリスマス。
「街はイルミネーション君はイリュージョン」なんて銀杏BOYSの歌詞が1mmもピンと来ないような本物の子供。
クリスマスは当時から大好きで家族で過ごすのはもちろん、年末の慌ただしくも賑やかで街行く人もどこかにこやかな雰囲気が大好きだった。
「クリスマスイブの夜にサンタさんが欲しい物を枕元の靴下に入れてくれる」
誰に教えてもらったか覚えてないけどいつからそれは脳裏に焼き付いていた。
冬休みが近くなったクラスの会話
サンタさんから何もらう〜? とか 去年は2つ貰ったから今年は3つかなー! とか
ま、それが普通ですわな
僕も話に入って「確かに!ボンバーマンの5貰う!!」とか言ってたけど実は冷静で、どうせ来ないと思っていた。
かたや「サンタってお父さんなんだぜ」なんて当たり前でろくでもない事を自慢げに言う奴もいてそいつにはイライラしてたのは覚えてる(そいつは今、2ちゃんコピペを我が物顔で人に自慢して、普段の生活でも「ワイは」とか言っちゃうカス野郎になってたと、地元の漁師から聞いた)
とにかく僕も幼稚園の頃からそれなりに欲しい物をサンタさんにお願いしていたが、冒頭で書いたようにそれが僕の手元に来た事は無かった。
それでも泣く事すらしなかったし、散々ねだってやった祭りの三角くじでブタを引いたような顔をしてよそよそしく申し訳なさそうにしてたのを覚えてる。
でも、それが当たり前だった。
だって、普通に考えたらそうだし。
テレビや映画で見るサンタさんがフィクションなら、ノンフィクションのサンタさんがそれをこなせるはずなかろう。と、今もそう思う。
ただこんないい年にもなったおっさんの僕が、何故今もサンタさんの存在を信じているのか?それにはちゃんとした理由がある。
クリスマスイブの3日前くらいの事だ。
クリスマスムードは学校にまで及び、折り紙で作ったそれらしい装飾がクラスを彩っていた。
「もうすぐクリスマスだねー!」そんな会話が絶え間なく、同じ質問が僕を襲う。
クリスマスは大好きだ。本当に。母親が作ってくれるケーキやご飯も大好きだったし家に帰ると小さく光るツリーも見れて幸せだった。
ただ、僕には欲しいプレゼントがサンタさんから来た事は一度もない。
この一件が僕をそれなりに苦しめていたのは嘘ではなく、今まで欲しい物が1つも来ていないのに何が貰えるだの欲しいだのみたいな会話に嘘つきながら交じるのがどうしても嫌で、そういう空気は正直参っていた。
そのくせ「親がサンタさん」みたいなネタバレを喰らえば正気でいられる小3なんてこの世にいない。
サンタさんは嘘んこで、正体は両親で、それなのにろくなプレゼントを貰えてない。つまり答えは「我が家は裕福じゃないから」の一択になる。
幻滅だ。この一件でクリスマスを嫌いになる事は無いけど、普通の人以上にサンタさんの存在を信じていた自分にとってはがっかりとしか思えなかった。
はぁ…と落ち込み家に帰り、ご飯を食べて風呂に浸かり、そろそろ寝なさいみたいな事を言われる直前の事だ。
「お兄ちゃん、ちょっと良い?」
母親から呼び出された。
そんな経験は今まで無く、すぐ怒られるような家庭では無かったので「はて?」と親の元に向かうとそこにはプレゼントを持つ親が、申し訳なさそうに立っていた。
「これ、今年サンタさん来ないかもしれないから…」
そう言って僕にプレゼントを渡して来た。
中身は中古のスーパーマリオのピクロスだった。その頃もっともほしくないゲームの一つ。
僕が欲しかったのはボンバーマンの5。マリオでも無いしピクロスでも無い。ていうかピクロスって何?(ちなみにボンバーマンの5は中古でも2008年くらいまでずっと高かった。この情報いる?)
小3に渡すプレゼントのセンスや、自分がサンタさんの癖にあえて今渡す意味や、その他諸々が謎過ぎて僕は軽いパニックにりながら
「ありがとう」
と、お礼を言って寝床についた。
今年も的外れのプレゼントか…そう思ったが、僕はなんだかそれで良いとも思っていた。
お金が無いなりのユーモア?なのかわからんが息子にする精一杯のサプライズ。
サンタさんが来ない緊急事態。故の間違ったプレゼント。
いいじゃないか。
流石にそんな事は当時思ってなかったが気持ちよく寝たのは覚えている。
ーそして、クリスマスの朝
枕元にプレゼントが置いてあった。
…
えー?????
こないだ上げたんじゃん!我が息子に!!
来ないかもみたいな嘘ついて!!
いやいや、え?じゃあなにこれ!?!?え!?
驚いた顔して台所にいる母親の所へ見せに行くと、僕とおんなじ顔して驚いていた。
「え?お母さん知らない!?え!?中みた!?」
決まりだ。サンタさん、本物だ!
お金の無い我が家がわざわざ2度、いらんものを買うはずが無い。
サンタさんは、います。
僕は母親に言われるがままプレゼントを開けると、中には「ボンバーマンゲームブック」という遊べる絵本みたいのが入ってた。
なんだよこれ(笑)
bye!!