あるところに、顔がどこも整っていないあぐ味という女の子がいました。

 

彼女は今日も「鼻と口の距離を詰める整形手術がしたい」という口癖をぼやき続けています。

 

 

イケメン俳優が好きなタイプを聞かれて「顔より中身」「明るい子がいいっすね~」と言っておきながら、

 

美人でそこそこクールな女優としか付き合わない現実に落ち込んでいると、

 

 

 

 

 

神様が現れました。

 

 

そして、

 

「こんな日当たりの悪い部屋で落ち込んでいたらもっと目も当てられないブサイクになるよ。キミ、LINEビューティーカメラの世界に来なさい。」

 

と言うので、

 

 

「LINE Beauty camera world…?」と聞き返すと

 

「欧米か!」とツッコんでくれたのでついていくことにしました。

 

私はタカアンドトシのファンだからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

強い光につつまれて、目を開けると、そこはいつもよく行く河原でした。

 

ただ、いつもとはかなり景色が違います。

 

 

 

 

 

 

「ここが、LINEビューティーカメラの世界…?」

 

なんて、にぎやかで、可愛いところなのだろうと、一瞬でこの世界が大好きになりました。

 

 

そして、ふと体を見て彼女はギョッとしました。

 

 

 

 

手足がいつもよりずっと細いのです。そして長いのです。

 

尻周りの肉が取れずいつも落ち込んでいた彼女は信じられずに、何度も太ももを触って確かめましたがやっぱり細いのです。

 

 

 

 

 

 

顔もいつもと違います。

 

「これが…私…?」

 

鼻の脇にあった大嫌いな線がありません。コンプレックスだった頬も、モリッとしていません。

 

 

「LINEビューティーカメラの世界ってすごい!

 

神様ありがとう!もう私は自分の容姿に対して落ち込むことはありません。」

 

 

彼女は神様に何度もお礼を言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界のものは、ボリューム機能スリム機能によって自在に大きくなったり伸びたりします。

 

(男性には朗報ですね)

 

 

だから、ひとつの食べ物をいつまででも食べていられます。

 

 

 

 

 

 

 

この世界では、動物もオシャレを楽しみます。

 

犬も、猫も、鳥も、虫も、みんな人間と平等です。

 

 

 

 

 

 

 

彼女には、友達もたくさんできました。

 

容姿に悩むことが無くなり、自信がつき、ずっと外に出ているようになりました。

 

毎日が楽しくて仕方ありません。

 

 

 

 

 

 

 

クイックジャパンに載ってる二階堂ふみの写真のような自撮り。

 

以前は、怖くて怖くて出来ませんでした。

 

でもLINEビューティーカメラの世界では違います。

 

 

自撮りツイッタラーも始めました。

 

毎日死について呟くことで可愛さとは裏腹に壊れやすい少女の心を表現し一定の人に褒められることで満足するようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は、もう、現実の世界のことなんて忘れていました。

 

いいえ、彼女にとってはもう、このLINEビューティーカメラの世界が現実なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前までは毎日ここで自分の顔について悩んでいました。

 

けれど今では、

 

「もうあの生活には戻りたくない」「ずっとここにいたい…」

 

毎日そんなことを考えています。

 

 

 

 

 

 

そうして調子に乗り始めたある日、

 

自分の目の前に突然、ボタンのようなものが現れました。

 

 

 

 

 

 

「元の写真…?なんだろう?このボタン。」

 

 

 

 

 

ポチッ。軽い気持ちと少しの好奇心で、押してみました。

 

 

 

 

ボンッ

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

ウワァァァアアアアアアアアアァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

現実だぁああああああああああああぁぁあああぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河原に行っても、もうあのにぎやかさはありません。

 

 

 

 

 

 

自撮りをしても、鼻が気になります。

 

 

 

 

 

 

でも彼女には、以前とは違うところがあります。

 

 

「この世界が、ホンモノなんだ。この顔が、私なんだ。」

 

 

そう、ありのままの自分を受け入れられるようになったのです。

 

 

 

LINEビューティーカメラの世界に行ったからこそ、分かったことでした。

 

 

 

現実の世界に戻ってきてしまったけれど、顔も手足ももとに戻ってしまったけれど…。

 

 

 

心は、前よりもビューティーになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

終われ。