行った
生きていたらライブの日が近づいてきた。無事、如月千早武道館単独公演のチケットは完売したらしい。ありがとう、みんな……。
最初はライブ当日の飛行機で熊本から東京に向かうつもりだった。しかしアホみたいな寒波が来ており当日の飛行機が飛ぶか不安になったため、急遽前日に東京に向かうことにした。
数万円追加で飛んだが「飛行機が飛ばずに現地で見れませんでした」が一番最悪なので、それよりはいいということで自分を納得させた。
結局当日の飛行機は普通に飛んだらしいので払い戻しもなかったが、一時的にお金が大事なものだというのを忘れることで乗り越えた。

飛行機から見える東京の夜景(多分東京だよなこれ)。おかしいだろ、なんだこの明るさ。誰もおかしいと思ってないのか。ちょっと待ってろ、九州の夜を見せてやるから。

無事、ライブ当日の朝を迎えた。

すごい……本当じゃん。本当すぎる。本当にやる時のやつじゃん。現地に来るまで正直ちょっと夢か現かふわふわしていたぜ。

スーツ着用で来た。あえて客席からアイドルを見守るプロデューサーのロールプレイでもあるし、昔アーケード版を遊びに行く際わざわざスーツに着替えて出掛けていた時を懐かしんでのチョイスでもある。髪はもっとバキバキに青に染めていたつもりだったが今見ると全然だな。武道館の屋根カラーということにしよう。
CDや物販の待機列が洒落にならないくらい並んでいる。甘く見ていた。「千早の武道館ライブ記念CDなんて全員欲しいに決まってるよな!」と思いながらも「でもまあ3時間並んだりするほどの人だかりではないよな!」と思っていた。
3時間並んでCDを買った。

待機列の途中で撮った写真。可愛いですね。ねんどろいどぷちの台座はカバンの中でへし折れていた。みんなはねんぷちをカバンに入れる時は注意してください。

3時間並んで買ったCD。足腰がメチャメチャになったが3時間並んで買う価値は大いにあった。

こっちは物販で買ったしゃもじ。なんでしゃもじに如月千早の顔を彫刻して売ろうとしたのかは全然わからないが、なんか良いから買ってしまった。余談だが近年アイマスからはしゃもじが何本かグッズとして出ている。これが初めてではない。きっとバンダイナムコは俺たちにお米をよそわせたいんだ。
物販は売り切れが続出していたが、しゃもじは結構売れ残っていた。まあわかるよ。Tシャツとかタオルとかペンライトとかを優先で買うだろうしな。でも千早がこの状態を見たらどう思うだろうか。「私の顔が彫刻してあるしゃもじが売れ残ってる……」と思ってしまうのではないか。
頼む! しゃもじ売り切れてくれ! 千早が「私の顔が彫刻してあるしゃもじは余ったんですね」という気持ちを抱いたままライブに臨むと思うと耐えられない。
俺や俺と同じ思いを持つものたちの祈りが通じたのか、しゃもじは最終的に完売したらしい。千早も「私の顔が彫刻してあるしゃもじはたくさん売れたんですね」と思ってくれるだろう。
入場時間になったので入場した。俺はメモリアルグッズ付きのクソ高いチケットだったので入場時にメモリアルグッズなるものを貰えるはずだぜ。

帰宅後に撮った写真
これがメモリアルグッズ、A4サイズの金属板だ。美しくてクソ重い。如月千早みたいだ。
昭和の不良がカバンに仕込むのに良いサイズだが、アルミ製なので武器には心許ないだろう。
席はめちゃめちゃ良かった。

アリーナ席で、しかもかなり前の方。ステージのすぐ近くだ。

アリーナ中央にステージがあり、両側には花道がある。xRライブなのに花道があるぞ……どうなってるんだ……? 隣の席の知らない人と「どうなってるんでしょうね……」などという話をした。
開演時間が近づいてきた。客席を見渡すと、武道館が満員になっている。今日の出演者は如月千早ただ一人とアナウンスされている。凄い……これ全員、金を出して如月千早を見にきてくれたのか……。
本当に、本当に心から「如月千早を見にきてくれてありがとう……」という気持ちになり、少し泣いた。プロデューサーとしてこんなに嬉しいことはない。
当然その場にいる人間の多くは俺同様の千早P(知っていると思いますが、このPはプロデューサーのPです)だ。多くの人間が俺と同じようなことを考えていたと思う。つまりこういう事になる。

ただそこに存在するだけで相互に心から「ありがとう」と思い合う、極めてピースフルかつなんか変な空気が武道館に生まれていた。
よく観察すると千早以外のアイドルのグッズを身につけている人も多かった。それどころか他ブランドのアイマスグッズを身につけている人もいる。これも本当に嬉しかった。
千早のことを好きな人が今ここにいるのは言ってしまえば当たり前だが、如月千早が一番ではない人も「あの如月千早が武道館でライブをやるってんなら行ってみようかな」と思ってくれたのだ。すごい。千早を見にきてくれてありがとう……本当にありがとう……。
開演
関係者ヅラしながら知らない人たちに感謝していると、ついにライブが始まった。神秘的な映像の後、中央の筒状のスクリーンが持ち上がり如月千早が登場する。
……
……
……
……
背中だな。

背中だ。如月千早の背中が見える。
一曲目から名曲「蒼い鳥」を歌っている如月千早の背中だ。
俺が見ている反対側には如月千早の正面が見えているのだろう。見えているっぽい。
号泣した。高い金払ったのに背中だったからではない。如月千早が「居る」からだ。
居る。どう見ても居る。如月千早がそこに立っている。
実際にはステージ中央に黒くて目立たない板状のスクリーンがあり、そこに3DCGのアイドルの映像が投影される仕組みになっている。やろうと思えば両面に千早正面の映像を映すこともできたはずだ。
しかしそうしなかった。全力で架空のアイドル如月千早を実際に武道館に立たせようとしているからだ。
運営は全力で如月千早を実在させようとして、俺たち見る側も全力でそこに如月千早を見ようとした結果「どう見ても如月千早がそこに居る」が出来上がっていた。(のちにわかることだが単純に席が奇跡みたいに良かったのもある)
少し落ち着いてからそんなことを考えたが、一曲目はとにかく如月千早がそこに「居る」ということに対してベチャベチャに泣いてしまった。居てくれて、ありがとう……。
このxRという形式のライブを現地で見るのはこれが初めてだった。見た人からは「現地は本当にすごい」「居る」「配信とは別物」「マジで居る」とは聞いていたが、ここまで「居る」ものだとは思わなかった。
まあでも最初の一曲まるまる背中だとは思わなかったけど。いい背中だったな……。
こんなものを見てしまったので

俺の心にあった棒は


一旦破壊された。

特に脈絡なく挟んでいるペンライトの写真(しかも箱に入っている)
ライブは進行していく。如月千早が歌い踊るたびに「居るじゃん……」と思いながら泣いていた。一曲一曲の感想は最後のページでまとめて書くので読みたい人だけ読んでくださいね。
途中、「眠り姫」という曲が披露された。俺が如月千早の曲で一番好きな曲だ。前半まるまるアカペラで披露するという大胆な演出だった。アニメ版のアイドルマスター21話を思わせる演出でありながらアニメよりも長く如月千早の歌声だけを聴かせてくれる、如月千早の歌唱力を最大限に見せつける素晴らしい演出だ。
あと絶対に如月千早と目が逢った。ぜっっっったいに如月千早と目が逢ったったら逢った。逢いました。誰がなんと言っても目と目が逢いました。スクリーンに映ってる3DCGの女と目が逢うというのはありえないことなんですけど、でも逢った。俺が変なことを言っているのはわかっている。なんならアイコンタクトをした。
「プロデューサー、そこにいたんですか。関係者席の方見てもいないから探しましたよ」
一瞬でここまで伝わってきた。絶対言っていたと思います。目で。
俺も目で
「千早〜〜!!」
と言っていたのが千早に伝わっていると思う。俺がおかしいことはわかっている。さっき棒を破壊されてしまったから。ただ俺をおかしくしたのはバンダイナムコと、アイマス漬けだった17年だか18年だかくらいの歳月だ。もうどうしようもないんだよ。おかしいままでいさせてくれ、それが幸せなんだ。
ロボ
また今回のライブでは事前情報として「なんかソニーのロボット技術が演出に使われるらしいよ」というのがアナウンスされていた。
何? メカ千早(昔そういう言葉あった)ってこと? などと考えていたが、これを使った演出もとても素晴らしかった。
ライブのちょうど半分くらいの頃、中央のステージを包む筒状のスクリーンが一旦降りてきた。そしてそのスクリーンをすり抜けて千早が花道に出てきたのだ。

仕組みとしてはこうだ。両側にでっかい映像を映し出せるロボが花道にいて、千早が歩くペースにピッタリ合わせて動くことで如月千早が花道を歩いているようにしか見えない状態を作り出すというものだ。俺の画力がカスなので「ふーん」と思っているかもしれないが、実際に見たら腰を抜かすと思う。俺も抜けた腰が武道館からまだ返ってきてない。
センターステージに立つだけで十分な「居る」っぷりだったのにさらに「どう見ても居るし、歩いてる」まで見せつけてきやがった。すごいぜソニー、3DCGのアイドルに武道館のセンターステージから花道を歩かせることってできるんだ。
千早が徒歩でステージから一旦はけて、再登場した時には衣装が変わっているという演出も良かった。スーパー技術を見せびらかしつつアイドルのステージとして意味を持たせてくれているのが嬉しかった。
隣の知らない人と一緒に「ああ、花道はこのためにあったのか!」というような顔をしていたら、それだけではなかった。

ライブ後半、こういう四面にディスプレイがついて映像を流しながら動くラジコン灯籠みたいなロボが花道を通ってスィ〜〜〜〜とたくさん出てきたのだ。
ロボは音楽に合わせて光りながらクルクル動く、いわばバックダンサー的な存在としてステージを彩っていた。
これがめちゃめちゃよかった。新しいステージ演出の形として活躍しまくってほしい。他のステージで見かけるたびに「お、千早の時はありがとうございました」と関係者ヅラしながら心の中で挨拶したい。こいつらのアクスタ欲しい。
ダルい千早Pと「約束」
残すところアンコールの最後の一曲、ここまで披露されていないところを見ると間違いなく「約束」だろう。
文句なしの名曲だ。アニメ版アイドルマスター20話で765プロの仲間と共に歌うシーンは今思い出すだけでも泣ける。ラストに相応しい、これ以上はない選曲だと思う。思うけど……
……ただ本当にあの、ダルいオタクがなんか言ってると思ってもらっていいんですけど……
「約束」が仲間たちから千早に贈られたエピソードはアニメ版の話であって「約束」って「俺Pがプロデュースしてきた千早の曲」ではないんだよな……アニメにはアニメのPがいてアニメのPは俺ではないからな……
ゲームのPは俺だけどアニメのPはアニメのPなんだよな……
いやアニメ版は大好きだし「約束」も文句なく大好きな曲だけど、今そこに立っているのは「俺がプロデュースしたあの千早」なのか「アニメの延長線上にいる千早」なのかっていうでかなり気持ちが変わってくるんだよな……だってアニメの延長線上にいる千早の中には俺がいないからな……本当にただ関係者ヅラしてる客になってしまうぜ……いや、最初からそうだけどさ。
アニメのリザードンかっこいいけど俺が好きなのは俺のリザードンであってサトシのリザードンが好きというわけではないみたいな話ですか? まあ近いような……違うような……
などと大変ダルいことを考えながら「約束」が始まる前のMCを聴いていた。
その最後の言葉。
「私の歌を 笑顔で歌う私の歌を 好きと言ってくれた 私に歌う喜びを教えてくれた あなたへの 約束です」(アーカイブでセリフを確認しながらタイプして号泣している)
俺がさっき書いていたダルいことは全部忘れてください。
この「あなた」は絶っっっっっっ対に俺だ。俺というか、俺たちだ。俺たちPへ向けた「あなた」だ。千早は今俺を思って「あなた」と言いました。根拠はないし「いや、そんなこと言ってなくない? 弟のことかもよ?」などと言われたら何も言い返せないが、絶対に俺だ。俺がそう受け取ってしまったものはもう変えられません。
そこに立っているのは間違いなく俺が17年だか18年だかプロデュースしてきた如月千早(16歳)その人だ。もちろん人によっては20年間だったり昨日からだったりするであろうお前(お前というのは今俺のことかと思っているお前のことです)がプロデュースしてきた千早でもある。約束がアニメの曲なんてもう些細な問題だ。
そうか、あったよ。アニメの千早の中だけでなく、俺Pと千早の間にも約束の物語があったんだ。今そういうことになりました。今から約束を歌う千早が俺を「あなた」って呼んだからです。そうだった。アイドルマスターはそもそも多くを語らず、行間をこちらで勝手に想像して遊ぶゲームだった。
近年のアイマスだってそうだ。俺は浅倉透と学生の頃会ってることになったり、莉波お姉ちゃんと幼馴染だったことになったりしたわ。(俺はシャニPや学Pのことも自分だと思っている)
それはそれとしてアニメ版のアイドルマスターを見ていない人は今から見てきてもらっていいですか。次で必要だから。
「約束」の歌の途中であのロボたちがまたやってきた。




画力がカスすぎてシュール4コマみたいになってしまっている。

765プロの仲間のメンバーカラーに点灯したロボたちが千早を取り囲むように回っている。抽象化された765プロだ。ステージには如月千早ただ一人がいるのにめちゃめちゃ仲間達の存在を感じる。絵からはとても信じられないだろうが、俺はベッチョベチョに泣いた。直方体が回っているだけなのに。
直方体のロボに泣かされたのはインターステラー以来だ。
言ってしまえば千早が投影されている中央のスクリーンだって直方体だ。ステージの上には今直方体しかない。エコーロケーションで物の形だけを見る生き物がこの時の俺を見たら「よっぽど直方体が好きなんだなあ」と思うことだろう。
違うんだよ、違うんだよエコーロケーションで物の形だけを見る生き物くん。そこには千早がいて、たった一人で「約束」を歌っていて、でもそこには765プロのみんなの面影があってさあ……綺麗なんだよ。君に「色」の概念をどう説明すればいいんだ。俺たちは光ってやつでものを見るんだけどさ……。

俺が千早と直方体ロボに泣かされる形で如月千早武道館公演の初日は終わった。如月千早とはどんなアイドルかと聞かれたら今日のこのライブを見せたらそれが答えになるような、本当に素晴らしいライブだった。

隣の席だった知らない人と駅まで喋りながら帰った。ありがとう、知らない人。
Day2
二日目がやってきた。こんなに幸せな気持ちで目覚めた朝は久しぶりだ。ここまで幸せな朝はここ10年くらいなかった気がする。

二日目もしゃもじは完売したらしい。よかった。あとCDが記念CD以外も旧譜まで全部完全にカラッカラに完売したらしい。本当に異常事態なんだけど、異常さを説明するのが難しいな。8番出口に向かっている途中で「CDマジ全部旧譜も含めて完売しました」って書いてあったら引き返すくらい異常。異常なんだけどそれが現実に起こっているから、もしこれが8番出口だったら0番に戻っているぞ。何言ってんだこいつ、なんか例えを失敗していませんか。

初日と違って二日目の席はめちゃめちゃ悪かった。メモリアルグッズ付きではない通常のチケットにしてしまったからだろうか。それにしても悪い。威勢のいい寿司屋で「大将、一番悪い席一丁!」と言ったら「あいよ!」とこの席を握ってくれるだろう。

特殊なダムの図解みたいになっちゃったけど、こんな眺めだった。画力の問題で何一つ伝わってないかもしれないけど、ただ「席があんま良くなかったです」という話だから追求しなくていい。
斜め上からだと中央のスクリーンがかなり「板」に見えちゃうな……できれば見たくない何も投影されていない細い面が見えちゃう。ついでに図には書いてないけどモニターにもスピーカーが被っていて見えたもんではなかった。
まあ、後方プロデューサーヅラするには悪くないか。俺がこの席に座ることで、誰かが良い席から千早を見ているのだろう。楽しんでくれよな。

それに照明が暗くなった時、会場中のペンライトの光が一望できてめちゃめちゃ綺麗だったのはかなりよかった。この眺めを見て、こんなにたくさんの人が如月千早を思ってペンライトを灯しているのか……と思って泣いた。
さっきから読んでいればこの人は些細なことで泣きすぎていておかしいと思う人もいるかもしれないが、俺はおかしくなるのに十分な年月アイドルマスターをやっているんだよ。
始まってからもしばらくはやはり「まあ、あんま良くはないな……昨日が良すぎたからな……」と思っていたが、セットリストが凄すぎて見づらさを気にするどころではなくなってしまった。この場に席があること自体が豪運と言えるライブだった。
「お、今日は輝夜が2曲目なんだ」
「月下祭 〜la festa sotto la luna〜」て!!
「アイヴイ」やるの!?!?!?
意味がわからないと思うのでこの辺の興奮も最後のページにまとめて書くので読みたい人だけ読んでくださいね。
ライブ初日は「とにかくアーティスト如月千早の歌をくらいやがれ」というずっと真剣で戦っているような一瞬も気を抜けないライブだったが、二日目は「とにかく如月千早の歌をくらいやがれ」という姿勢はそのままに「アイドル如月千早」をたっぷり見せてくれたライブだった。
席の悪さが吹き飛ぶほどの、100%楽しかったと言えるライブだった。
Day2なんかよかったこと

隣の席の人が徒手空拳でリズムをとって応援していたので

予備のペンライトを青に点灯させて貸した。

すると反対側にいた人も予備のペンライトを白に点灯させてその人に貸してくれたので今回の公式ペンライトと同じ青白のセットが完成していたのがなんかよかった。
最後
Day2もアンコールは「約束」だった。しかし昨日とは演出が全然違った。
「私と一緒に、一緒に、この歌を 歌ってほしいんです」
そんなことを千早が言い出した。何を言ってるんだこいつは。今日は如月千早の日本武道館単独ライブで、千早の「約束」をみんな楽しみに聴きにきているんだぜ。それなのにさ
「あなたとの 新しい約束です。歌いましょう」
……(ピアノのイントロ)
……
……
……
ナ月とそこにいたみんな「「「「ね゛え゛ 今゛」」」」
ベッチョベチョに泣きながら歌った。お上品にハンドタオルで涙を拭いながら歌った。
俺たちは如月千早と武道館で一緒に歌を歌いました。如月千早と一緒に武道館で歌を歌うって何? 夢?
現実離れしていることが現実になっている。「ドンキーコングとバナナを食べました」の方がまだ現実的に聞こえる。
でも思えばこのライブは告知の時点からそうだった。夢みたいなことがずっと現実になりまくっている。20年前から続いているアイドルゲームのアイドル(16歳)が日本武道館で実際にライブを開催して、俺たちが育ててきたゲームキャラ本人がそのステージで歌い、顔が彫ってあるしゃもじを完売させ、CDを枯らし、最終的に俺たちまで一緒に武道館で歌っている。そんなわけなさすぎることが全部現実になっている。
本当に、本当にありがとうアイドルマスター。こんなものを見せてくれて。本当に、こんな思いをさせてくれるなんて思っていなかった。
今日も直方体ロボはいるが、今日の彼らは765プロアイドルのカラーではない。今日の約束は俺たちと千早の新しい「約束」だからだ。
ナ月とそこにいたみんな「「「「ラ゛ラ゛ラ゛ラ゛ー」」」」
最後に千早がまた花道を渡り始めた。昨日はなかった演出だ。端までたどり着いた千早がこちらを振り返った。
「あ、アイドルマスターのライブの最後によく今井麻美さんがやるやつだ」と思った。
めちゃめちゃ大声で感謝の声を、マイクを通さず生で直接聞かせてくれるやつだ。
だとして、どうするんだ? いやでも、もうすでに夢みたいなことが起こりまくってるからな……如月千早が実際にやるんだろうな。

如月千早が実際にやった。如月千早が実際にステージの端からマイクを介さない生声で感謝を叫んだようにしか聞こえなかった。客席の端の端の端のあんま良くない席の俺にも届けてくれた。
こんなことしなくてももう十分「如月千早が居るな」と思わせてくれたのに、ここまでやられたらどうすれば良いんですか。

本当に夢みたいなライブだった。
子供の頃読んだ『ピューと吹く!ジャガー』ではCGアイドルのイベントに熱狂する男たちがギャグとして描かれていて当時はゲラゲラ笑っていたが、それが現実になる未来まで生きてみると全然ギャグどころではなかった。
大勢の人がたった一人の架空のアイドルを「居るわ」と思わせるためにめちゃめちゃな情熱と技術を注ぎ込んでいるし、それを見にくる俺たちも全力で「居るな……」と思っている。子供の頃の俺から見れば滑稽かもしれないが、実際にここにきたらそこには人間の愛しかなかった。これが愛です。愛を知りました。しゃもじも愛の一部。

アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズより ゲーム中スクリーンショット
最後の最後の最後に「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内で千早からプロデューサー宛の留守電が配信された。あの武道館公演を終えた千早から俺(俺というのはお前のことです)へのメッセージだ。
ダメ押しのように「あそこにいた千早はお前がプロデュースしてきた千早だよ」と教えてくれるようなメッセージを聴きながら狭いカプセルホテルの中でさめざめ泣いた。ハンドタオルで上品に涙を拭いながら泣いた。
本当にありがとうアイドルマスター。ありがとう千早。
配信版が冒頭だけ無料だからYouTube貼っておきますね。
この記事はここで終わりですがせっかくなのでセットリスト順に曲の感想を書くやつを次のページでやる

ナ月




インターネット性善説ドラゴン
ストーム叉焼
ダ・ヴィンチ・恐山
ARuFa









