大森会長インタビュー
いきなり相撲の絵の前にいる謎状況ですいません。四文屋の創業者・大森会長とわたしです。新宿「どすこい四文屋」にて。ふだん顔出しで記事とか書かないんですけど、この写真を自慢したくて顔出ししました。
大森会長ってメディア取材基本全部断ってるらしいんですけど、ダメもとでオファーできないですかね…?とか言ってたら、本当にできてしまいました。ありがとうオモコロ編集部。わたしの四文屋の焼きおにぎりツイートを見てくださって、そんなに推してくれているなら…となったそうです。食べててよかった焼きおにぎり、やっててよかったツイッター(現X)。
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増田:今日はありがとうございます。あの、四文屋が大好きでして、通っているうちに焼きおにぎりはお店ごとに結構個性があるなと思って、それでいろんな店舗の焼きおにぎりを食べ歩いてまして…
大森会長(以下大森):ああ、おにぎりのあれはここ(どすこい四文屋)なんですよ。今の形のおにぎりが完成したのはここなんです。もともとメニューに焼きおにぎりはあったんですけど小さかった。ふつ〜の焼きおにぎり。それが、どすこい四文屋ってもともと廃業したお相撲さんを雇用しまして、そのお相撲さんが何をとち狂ったのか焼きおにぎりをすごいでっかくしちゃったんです。そしたら他の店も大きくしちゃって。今ちょっとずつ小さくなってきましたね。
焼きの講習があって、おにぎりも「こう作るんだよ」っていうのはやってるんですけどね。本当は統一しないとまずいんですけど、できませんね笑 でもおいしいものを出してくれてるなら、よくやってくれてるね、ありがとう、という感じです。
増田:四文屋を始められる前に東中野の居酒屋さんで働いてらしたんですよね?焼きとん屋さんで焼きおにぎりがあるのって珍しいから、そこのメニューを引き継ぐ形で焼きおにぎりを出しているのかなと思っていたんですが。
大森:そこでも焼きおにぎりはあったんですけど、うちの焼きおにぎりよりレベルが高いっていうんですかね。焼いたおにぎりに四万十川の川海苔をかけていて。「Jige」というお店で、まだお店やってるはずですけど…(検索したら閉店してました)おわったの?!ええ…築地にもあるんですけど、多分そこは違うメニューじゃないかな…。
増田:そこで働かれていたのはおいくつぐらいですか?どうして四文屋を始めることになったんでしょう。
大森:48くらいの時ですかね。Jigeの社長に、アタマは2人いらないからジジイ出てけと言われて笑 ひとつかふたつくらいしか歳が違わないんですよ。同い年くらいで。それで話し合った結果、若いアルバイトの人が「違うところで店やってくださいよ」となって。でもお金がなくてどうしたらいいんだよって。そしたら当時新井薬師のところがゴーストタウン化してて。始めた時はお店はうち一軒しかなくて、もうどこも7、8年使われてなかったりしてたんですけど、お金がなかったんでそこしか借りられなかった笑 それでそこに行ったんです。
増田:西武新宿線の沿線って秋元屋さんとか焼きとん屋さんとか多いじゃないですか。そういう他のお店の影響はあったりしたんですか?
大森:いやいや、うちができたから秋元屋とかができたんですよ。それまではあの沿線ではうちしかなかったです。秋元屋があるあの物件もうちが借りる予定だったんですけど、アパートなんですよ。ちょっと煙とか、迷惑がかかるかなと思ってやめたんです。秋元屋ができたのはうちの5年くらい後じゃないかな。仲は良かったですよ。
増田:「宇ち多゛」(立石の老舗焼きとん屋)さんあるじゃないですか。梅割りだったり大根酢醤油だったり、あそことメニューが似てるなとずっと思ってたんですけど、あれは単純に当時焼きとん屋さんといえばああいうものだったって感じですか?
大森:ええ。もう、ほとんどパクリです笑
自慢げに言うわけじゃないですけど、もう50何年梅割りというものを飲んでいて、新宿の「ささもと」っていうお店があって、そこがキンミヤの梅割りで、それで育ってきたんで。で、なんでか自分が店やることになっちゃったんで。
最初はね、メニューが書けなかったんです。自分は梅割りと焼きとんで育ってきてるんで、梅割り300円、焼きとん100円、これでわかると思ったんです。焼きとんって書いておけばみんなタンハツくれとか言うと思ってたら、焼きとんくれって。なんだこの人たちはと思ってたんですけど。おれが間違ってたっていう。それでだんだん仕方なくメニュー書くようになった。
編集:このメニューってどこでも似たような雰囲気だと思うんですけど、ずっとこうなんですか?
大森:これもちょっと進化してるんじゃないですかね。最初はタイプライターみたいなので打ってたんですけど。この字はうちの宮川ってやつが全部書いてるんです。おれがあんまり下手なんで。字が。じゃあおれが書く!ってあいつが言って、じゃあ書けよ!って半分喧嘩腰で笑
大森:こういうのは全部宮川が書いてるんですよ。
大森:おれが考えたメニューはね、手羽ねぎ。で、つくね。もつの煮込み。豚足。豚足は最初、韓国とかにある冷たいやつを出そうとしてたんですけど売れなくてね。それでもったいないから出汁が出るかなと思って煮込みに入れたらとろとろになってて、お客さんがそれ食いたい、うまいって言うから、その豚足はやめてとろとろのやつを出してますね。
つくねは軟骨を切って入れてて、山芋を入れてふわふわにして。
増田:それを最初100円でやってたってすごいですね。
大森:最初宮川と2人でやってた時はあんまり儲けってことを考えてなかったから、生活できればいいかなっていうふうに考えてたんで。
手羽ねぎも、手羽先が高かったんで…いかに肉を少なく打って原価を下げるかっていう…
増田:あ、それでネギが挟まってるんですか?!
大森:そう笑
増田:おれアゴがめちゃくちゃ好きなんですよね。あれもニンニクの芽が挟まってるじゃないですか、あれがうめえなと思ってたらそういう工夫の…
大森:いや、あれは宮川が考えたメニューなんであいつの考えがあるんじゃないですかね。うちのメニューの90パーセントくらいは宮川が考えたメニューです。
増田:四文屋から独立したお店にもほぼ必ず焼きおにぎりがあるから、ある意味そこの焼きおにぎりも「四文屋の焼きおにぎり」だと思って食べに行ってるんですが、みなさんどういう経緯で独立されるんでしょう?そういう独立したお店に行くことってありますか?
大森:うーん、ほとんどないですね。うちは独立を考えて人も採ってないし勧めてもいないです。四文屋の看板でやるのはダメですけど、辞めて自分の店をやるっていうのは全然大丈夫。できるのならうちのメニューと同じようにやるのも構わないし。
増田:太陽食堂とか、四文屋と同じ文字使ってたりしてなんか繋がりがあるのかなと思ってましたけど…
大森:あそこは経営者変わっちゃいましたね。もとは四文屋から独立した奴がやってたんですけど、手放しましたから。煮込みを3種類やったり、色々やってましたよね。
編集:ここ(どすこい四文屋)も相当メニューありますよね、焼きとんだけじゃなくてお刺身とかお酒とか…
大森:ここが四文屋だと一番色々あるところですね。魚の四文屋だと梅割りがないんですが、ここはありますね。お酒も料理も。全部ある笑
増田:あ、ホッピーないですよね?気になってたんですけど、四文屋はホッピーがあるお店と無いお店あるじゃないですか。あれってどうしてなんですか?
大森:ホッピーね…ホッピーはおれあんまり好きじゃなくて…笑
(一同笑)
ある日にですね、ホッピー屋さんがどうしても入れてくれって言うから、付き合いもあって一時期入れてたんですよ。今もまだ何店舗かはあると思いますけど。
増田:ありますね。西荻と野方と、西武池袋線沿いにいくつか。
編集:大森さんはお店には飲みに行かれないんですか?
大森:ここは来る機会多いですね。あと阿佐ヶ谷のおでん屋のほう。あ、あと阿佐ヶ谷は北口に焼きとんの四文屋があったでしょう。あれが「くぼ田」って店になってんですけど。
増田:ああ、食べに行きました。おいしかったです。焼きがすごい上手で…
大森:あいつは上手い、当たり前ですけどね。あれがうちの元常務です。あの店は独立ってわけじゃないけど、唯一行きますね。おれと宮川が2人でやってたときに入ってきて、それでずっとやってたんで。創業メンバーですよ。その3人でやってましたね。
増田:アゴとアスパラと焼きおにぎりを必ず食べるっていうことをやってまして。同じメニューを食べてると腕の違いがわかる気がするというか。アスパラガスもいつでもどのお店にもありますよね。あれって旬とか難しくないんですか?
大森:野菜は八百屋に言えばいろんなとこから探してきてくれますから。あとうちは北海道とかも店があるんで、こっちで(価格が)高くなったら北海道から送ってもらうとかしてますんで。
増田:あ、さすがに行けてないんですけど北海道もたくさんお店ありますよね。あれはなんであんなにいっぱいあるんですか?
大森:北海道の奴の経営能力っていうか、腕がいいんじゃないですか笑
北海道というか札幌出身の奴がうちにアルバイトに来て。アルバイトでも、仕込みのアルバイトに来たんですよ。串打ち。良い歳ぶっくらこいてなんでこいつ仕込みで来てんだ?って思って半年くらい経ったときに聞いてみたら、夢も希望もないような奴だったんですけど、じゃあお前札幌で店出すかって冗談で言ってみたら「ぜひ出したい!!!」って言いやがって。
編集:絶対それ言われるの待ってたじゃないですか。
増田:セントラルキッチンであんなに遠くに送ることあるのかって疑問だったんですよ。そこからみっちりやってたんだ。
大森:そう。札幌と函館はあいつが回してます。あと九州の奴もずっとやってて、出身どこ?って聞いたら博多で、まあ、同じパターンです笑
編集:そしたら支部ごとに味がちょっと違うってことですか?
大森:どうなんでしょうね?でもうちでしっかりやった奴が行ってるし、宮川がわりと頻繁に行って焼き方とか煮込みの味を見に行ってますんで…でも焼きおにぎりはどうだろう笑
あとは甲府とか大阪にも店があって、大阪は今は大幹部みたいな奴がやってて、宮川も教えに行ったりしてますね。
編集:宮川さん大活躍ですね。
大森:そうですね。うちの技術関係の90パーセント…いや100パーセントに近いですね、そういうのは宮川がほとんどやってます。1人で全部やっちゃいますから。看板描くしメニュー描くし。間取りも。
増田:間取りも?!
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その後も大森さんが普段飲みに行っているお店のことを教えてもらったり…
おれの本(いつか中華屋でチャーハンを&学生食堂ワンダフルワールド発売中!)をプレゼントしたり、四文屋ファンとしてはかなり夢みてえな時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!!!!