穴掘り大会当日

朝8時、成田ゆめ牧場。

エントリー総数161チーム。

 

 

天気はあいにくの雨、手がかじかむような寒さだ。

 

 

ここが私たちが掘るスペースらしい。勝手に土を掘るものだと思っていたが、青々とした芝生が根を張っていた。

 

この過酷な状況のなか穴掘り初心者だけでやれるのか……? そんな私の不安をよそに参加メンバーのみんなはやる気でみなぎっていた。

 

それでは改めて紹介したい。今回穴掘りに挑むメンバーだ。

普段はウェブで記事を書いたりマンガを描いたりと主にインドア派のみんなだが、フィジカルとメンタルが安定した最強のメンツである。

 

ネットで集まった穴掘りオフ会なのか? というぐらい服装がバラバラだが、よく考えたら実際そうなので、それぞれの穴掘りファッションをじっくりご覧いただきたい。

 

 

なぜか長イキさんの足先が既に破れてジュワッと濡れていた。なんでなんだ。頑丈な靴を履いてくるようにアナウンスしたのに。見なかったことにしたい。

 

 

穴掘り開始まであと5分を切って、エアースコップで士気を高めるみんな

 

 

 

──いよいよ始まる。

とにかく穴を掘る大会が。

ルールはシンプル、深く穴を掘った者が勝つ。

 

 

時間制限は30分間。

競技開始の秒読みが始まると、会場一帯が緊張に包まれた。

5!

 

4!

 

3!

 

2!

 

1!

 

穴掘りスタート!!

「いけいけいけー!」男たちは吠えながらスコップを猛然と振るった。

 

 

5分足らずで芝生から土が剥き出しになった。すごい勢いだ。

作戦としては第一段階で縦1m×横2mの穴を作るのが目標だが、いいペースではないだろうか。

 

 

土質は意外とサラサラだ。雨で土が重くならないか心配だったけどこれならいけそう!

 

 

あっという間に7分が経過。すでに全員息が上がっていた。

穴の深さは30cmに到達しただろうか。力が入りにくい体勢になってきた。

 

 

いつの間にか雨は止んでいた。上着を投げ捨てどんどんいくぞ!

 

 

10分経過。穴だ。ちょっとびっくりするぐらい穴になった。

 

 

15分経過。穴が深くなればなるほど、土を外にかき出すのに苦戦を強いられた。

バケツを使ってみたりするが、狭いスペースでのバケツは逆に邪魔になる場面もあってなかなか難しい。

 

ここで空気を一新したのはかんちさんだ。

 

かんちドリル!!

 

 

かんちドリルが激しくほぐした土を、神田君の圧倒的なパワーで穴の外へ

 

 

「待って!肩が引っかかって掘れない! 誰か助けてえ!!」と叫ぶ神田君。

彼はパワーがある分、肩幅もある。盲点だった。

 

 

穴が深く狭くなってからは細身の人が活躍した。

 

いよいよ1人体制で掘り進める最終段階に突入だ。

掘るのは1人だが、こんな時こそチームの団結力を見せつけたい。

掘り出した土を穴の外で仲間が受け取り、熱い励ましの声をかける。

「まだいけるよ!がんばれ! がんばれ!」

 

 

そしたらなんか立ち尽くしてる長イキさんと目が合った。この人さては疲れているな!?

「次、長ちゃんいこう!」

どこからともなく声がかかり、穴の中に長イキさんが飛び込んだ。

 

モソモソモソモソ……

 

サッ

 

モソモソモソモソモソ……

 

ササッ

 

なぜだろうか、「地面から生まれてくる赤ちゃん」というワードが頭に浮かんだ。いつの間にか穴が長イキさん型になっていた。

 

 

「うわあああぁ!」と言いながら穴から這い出る長イキさん

 

そのあとしばらく動かなくなった。長イキさーーん!

 

 

 

男たちは掘った。とにかく掘った。

 

 

汗を流し、声を枯らして。

互いを励まし合いながら限界まで穴を掘った。

 

 

穴掘り終了まで残り5秒前!

 

4!

 

3!

 

2!

 

1!

 

終了の合図とともに歓喜の声に包まれる会場一帯。

終わった。短くて長い30分間だった。

 

 

かんちさんが小人みたいになるぐらい深く穴を掘れた。

 

 

「オレたちがこの穴を掘りました!」

なんてみんないい顔をしているんだ。

 

 

30分前まで芝生だった一帯が穴ぼこだらけになっていた。

戦いのあとは不気味なほど静かで、まるで儚い夢を見ていたかのようだ。

 

このあとすぐに運営スタッフさんによる穴の計測が行われ、数時間後には結果発表だ。

果たして我々は入賞できたのだろうか……?

 

 

 

 

閉会式

お待ちかねの結果発表の時間だ。

私たちがエントリーした一般部門の他に、レディース部門、ちびっこ部門が設けられている。

各部門の受賞者が発表され、いよいよ優勝チームの発表となった。

 

 

私たちは祈った。どうしても手に入れたい、

 

 

富と

 

 

名声と

 

 

ちから……

この世のすべてを!

 

 

頼む! どうか優勝でお願いします……!

 

 

 

 

 

果たして結果は……!

 

 

 

 

 

残念! 優勝ならず!

 

本当はみんな察していた。建設業のみなさんが勢ぞろいする中で、我々初心者が優勝するのは難しいだろうと。

でも夢を見せてもらえて楽しかった。

 

 

閉会式後に貼りだされた順位表を確認してみた。

私たちは何位までいけたのだろうか。

 

 

 

161チーム中98位!

今まで言わなくてすみません、「ふんばり温泉チーム」が私たちのチーム名です。

穴の深さの記録は133cmだった。目標の300cm超えには全く届かなかったが、不思議と悔しくない。

全力でがんばったから! 清々しい気持ちでいっぱいだ。

 

 

 

 

 

Special Thanks

 

 

 

みんなに優しい山下ラジ男、お疲れ様でした!

 

 

 

 

 

圧倒的な穴掘り力だった神田君、お疲れ様でした!

 

 

 

 

 

 

地面の赤ちゃんみたいでかわいかった長イキアキヒコさん、お疲れ様でした!

 

 

 

 

 

かんちさんの重機にも勝るドリル感動しました、お疲れ様でした!

 

 

 

 

 

みんなでひたすら穴を掘ったこの日のことを、私は一生忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

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