幼いころ「ねるねるねるね」といった「知育菓子」や「つくって遊べるお菓子」と呼ばれる商品をよくねだっていた。
いまとなっては「食べるものをつくる楽しさ」というものを初めて教えてくれたのは「知育菓子」だったように思う。
感謝と尊敬の念を込めて、この場をお借りしてやってみたいことがある。
申し遅れました。えだんぬと申します。
熱意のままに、精一杯がんばります。
(ここからは「遊べるお菓子」と表記を統一させていただきます)
最近の「遊べるお菓子」を知る
まずは現在販売されている「遊べるお菓子」を知ることから始めようと思う。
近所のスーパー2店舗だけでも、10種類を超える種類の商品が売っていた。
……これだけの「遊べるお菓子」を同時に手にしたことは、これまでの人生で一度もない。
小学2年生の私だったらよだれを垂らして喜んでいるだろう。
……いや、正直なところ、いまの私でも相当テンションが上がっている。
つくるの、めっちゃ楽しみ。
写真に掲載した6つの商品を一通りつくってみたところ、想像以上のボリュームがあった。
ここでは、厳選して4つの商品の内容を紹介させていただく。
※ 注意
「自作した『遊べるお菓子』だけを見たい」という方は、こちらのリンク からご覧になれます。
ねるねるねるね
最初に、クラシエ株式会社さんの「ねるねるねるね」を紹介したい。
言わずと知れた「ねるねるねるね」。
パッケージ中央付近の「ねるね」というイメージキャラクターが登場する前から「ねるねるねるね」を知っている。
当時は「雰囲気変わったなー」と子供ながら思っていた。
今となっては、この「ねるね」に懐かしさを感じる。時の流れは早い。
1ばんのこな、2ばんのこな、3ばんのこなに、2つの穴がある容器と小さいスプーン。
ずっと変わらないこのセットには、もはや安心感がある。
1ばんのこなを容器に入れて……
容器の端の切り取った小匙で水を1杯入れる。
「ねるねるねるね」は……ヘッヘッヘッ……
練れば練るほど色が変わって……
こうやってつけて……
うまいっ!!
\テーレッテレー/
練っておいしい「ねるねるねるね」。
食べて尚感じる懐かしさ。
「孤独のグルメ」の言葉を借りれば「このワザとらしいブドウ味!」というやつだ。
何年も前に食べたときもこんな味だった気がする。
この粒々とした小さな飴を噛み砕く食感が好きだった……
パッケージの裏に、ねるねるねるねの色が変わる理由が掲載されていた。
紫キャベツに含まれている「アントシアニン」という成分が色の変わる理由らしい。
「アントシアニン」は中性だと紫色だが、酸性だと赤色、アルカリ性だと青色に変化するらしい。
ねるねるねるねは「1のこな」と水を混ぜると青色になり、そこに「2のこな」を混ぜると赤色になる。
このことからおそらく、
- ・「1のこな」には「アントシアニン + アルカリ性になる成分」
- ・「2のこな」には「酸性になる成分」
が含まれているということだろうか……?
せっかく学びを得たので、簡易的だが実験をしてみる。
紫キャベツと同様にアントシアニンを含んでいるらしい、冷凍ブルーベリーを用意した。
(奥:擦り潰したブルーベリー、
左:ブルーベリー + 重曹、右:ブルーベリー + クエン酸)
冷凍ブルーベリーをミキサーで擦り潰し、酸性にする成分としてクエン酸、アルカリ性にする成分として重曹を加えてみる。
ねるねるねるねのパッケージに書いてある通り、クエン酸を加えたものは赤色に、重曹を加えたものは青色に変化した。
このように、手軽に手に入る食べ物でも同様の現象を起こせることを確認できた。
初めて子供がねるねるねるねで遊んだときに、きっと「どうして『2のこな』を混ぜると色が変わるんだろう?」という疑問を抱くのだろう。
この疑問を疑問のままで終わらせないようにパッケージで解説を入れる。
まるで小学校の理科の授業のような、まさに「知育」といった心配り、あるいは、教育なのだろう。
ねりキャンワールド
続いて、クラシエ株式会社さんの「ねりキャンワールド」を紹介したい。
内容物としては、
- ・5色のソフトキャンディ(黒、白、ピンク、黄色、青)
- ・ソフトキャンディを形成するためのナイフ、伸ばし棒(ストロー)、型
- ・飾り付けのためのシート、カラースプレー
が入っている。
食べる物に対しては少し悪い言い方になってしまって申し訳ないが、「ソフトキャンディを粘土のように形成して遊ぶ」お菓子のようだ。
手先の器用さや、想像力を養うようなものなのだろうか?
ままごとなんかで使えたらめちゃくちゃ楽しいだろうな……。
実際に食べられるし……。
飾り付けのためのシートには、作例としていくつかのレシピが載っている。
まずは、このレシピに沿って「お花」をつくってみることにする。
ピンクのソフトキャンディを5玉、黄色のソフトキャンディを1玉用意する。
ピンクのソフトキャンディを雫のように成形する。
ピンクのソフトキャンディを雫の先端が中心を向くように円形に並べて、中央から黄色のソフトキャンディをぎゅっと押し付けて、「お花」が完成した。
……出来栄えからわかるように、私は手先が不器用である。
こういうのって、大人になったら自然に上手くできるようになると思っていた。
そんなことなかった。
幼い頃から変わらない手先の不器用さに若干落ち込んではいるが、次は「にじ」のレシピに挑戦してみようと思う。
まずは、ピンクと青のソフトキャンディの一部を混ぜ合わせて……
紫色のソフトキャンディをつくる。
同様に、ピンクと黄色のソフトキャンディを混ぜ合わせて、オレンジ色のソフトキャンディをつくる。
ピンク、オレンジ、黄色、青、紫、白のソフトキャンディを用意する。
白色以外のソフトキャンディを細く伸ばす。
伸ばしたソフトキャンディを半円を描くように重ね合わせる。
付属のナイフでソフトキャンディの長さを切り揃える。
用意しておいた白色のソフトキャンディで雲を模して、虹の両端に取り付ける。
こうして「にじ」が無事完成した。
……先ほどの「お花」よりは上手くできた気がする。
この歳になって「遊べるお菓子」から「つくる楽しさ」と「自尊心」を養ってもらえるとは思いもしなかった。
続いて、付属の「型」を使ってみようと思う。
中央付近の亀を使ってみることにする。
亀の頭部、脚部に黄色のソフトキャンディを押し付け……
黄色と青のソフトキャンディを混ぜてつくった緑色のソフトキャンディを甲羅部分に押し付ける。
型から外して亀が完成した。
ソフトキャンディを肩に押し付けて定着させることが思っていたよりも難しかったが、
先に私がつくった「お花」や「にじ」より美しい出来になった。
せっかくなので、飾り付けのためのシートに成果物を飾らせてもらった。
こうやって見るといくらか愛着が湧いてくる。
嬉しいことに、3つも物をつくった上でソフトキャンディはまだまだ余っている。
レシピや型に頼らず何か自由につくって見ることにする。
なけなしの子供心をフル回転させて……
…
……
…………
歪なメタモンとトランセルができた。
本当はピカチュウをつくろうとした。
だが、形状が複雑で失敗した。
拡大するとメタモンが部分的に黄味がかっているのは、証拠隠滅にメタモンにピカチュウの失敗品をねじ込まれたからだ。
流石にピカチュウは「にじ」をつくる過程で得た自尊心を過信しすぎた。
私にはメタモンやトランセルなどの形状がシンプルなものが精一杯だ。
せっかくなのでお二方にもシートに並んでもらった。
偶然にも「お互い攻撃技がなく詰んでしまったポケモンバトル」のような並びになってしまった。
レインボーヌードル
続いて、株式会社ハートさんの「レインボーヌードル」を紹介したい。
内容物としては、
- ・3色のゼリーの素(黄色、ピンク、青)
- ・ゼリーの型
- ・天突き(ところてんの押し出し機)のような道具
- ・飾り付けのためのカラースプレー
が入っている。
早速つくってみようと思う。
耐熱コップを3つ用意し、ゼリーの素をそれぞれ入れる。
ゼリーの素に水を混ぜ合わせたあと……
電子レンジで加熱する。
ゼリーの素がまだ暖かいうちに……
黄色のゼリーの素を注ぎ込む。
冷蔵庫でしばらく冷やし……
赤・青のゼリーの素についても同様に、注ぎ込んで冷蔵庫で冷やす作業を行う。
こうして大きめのゼリーが完成する。
余ったゼリーの素を小さめの型に好きなように注ぎ込んで……
再度冷蔵庫で冷やす。
十分にゼリーを冷やした後、爪楊枝などでゼリーを取り出す。
大きめのゼリーは天突きに入れて……
/ …ッニュルン…… \
皿に押し出す。
この押し出す工程がなかなかに気持ちがいい。
最後にアラザンのようなデコレーションを使って盛り付ける。
こうしてレインボーヌードルが完成した。
私の盛り付けのセンスが壊滅的なことを除けば、鮮やかで綺麗な出来上がりになった。
透明なゼリーが純粋に綺麗でテンションが上がる。
冷蔵庫で冷やした分、清涼感がある。
かき氷を思わせるような風味がしてなかなか爽やかだ。
くるくるたこやき
最後に、クラシエ株式会社さんの「くるくるたこやき」を紹介したい。
内容物としては、
- ・生地の素
- ・タコの素
- ・マヨネーズの素
- ・ソースの素
- ・盛り付け用の皿(舟)
- ・調理用の容器
- ・スプーン
が入っている。
最初に、調理用の容器を……
線に沿ってハサミでカットする。
まずはタコからつくる。
タコの素を容器入れ……
水を注ぐ。
スプーンと指を使い、粉と水を練り合わせる。
練り合わせたタコの素を半量ずつ付属の型に押し付ける。
こうして完成したタコを……
それぞれ4等分して、8つのタコの切り身が完成した。
続いて、生地をつくる。
付属の粉と水を合わせる。
たこやき用の鉄板を模した型に生地の素注ぎ込み……
先ほどつくったタコの切り身を入れる。
電子レンジで加熱すると、ふわふわとしたたこ焼きが焼きあがる。
付属の舟を組み立てて、
焼き上がったたこ焼きを盛り付ける。
ソースをつくってたこ焼きに塗り、
さらに上からマヨネーズを塗る。
(マヨネーズも他の材料と同様、「マヨネーズの素」という粉末と水を合わせてできたもので、袋に直接水を入れてつくっている)
こうして「ふわふわたこやき」が完成した。
本物のたこやきより小ぶりではあるものの、形はほとんどたこやきそのもの。
食品に対しての褒め言葉としては不適切な気もするが、食品サンプルのミニチュアのようでかわいい。
ソースとマヨネーズが本物そっくりの味でなかなかおいしい。
蒸しパンのようなふかふかとした食感がする。
流石にタコまでは本物そっくりとまではいかないが、まさに「たこ焼き風のお菓子」といった感じだ。
月並みなことを言ってしまうが、いまのお菓子はこんなに進化しているのかと純粋に驚いた。
特に電子レンジで生地を焼く(膨らませる)工程は、調理をしている気分になりテンションが上がった。
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