ツッコミの中野さん

まず1つ目の魅力は鋭いツッコミである。気の弱さゆえ常に事件に巻き込まれている中野さんだが、トンチンカンな場面に出くわすと心でしっかりとツッコミを入れる事が多く、そのどれもが冷静で的を射ている。

例えば中野さん初登場回『おじいちゃんの照れ屋の友人』にて、友蔵に「久しぶり 会えて嬉しい中野さん」という再会の俳句を詠んでもらった際には…

と、これまでクオリティが低い割には持て囃されてきた友蔵の俳句を心の中で一刀両断するのである。

また、中野さんで印象的なのは心の声と実際の声色のギャップだ。普段の声色は高く弱々しいのだが、心の声は太くどっしりしている。2000年に放送された『勝ち抜き!!家族対抗俳句合戦』までは心の声も高く弱々しかったのだが、それ以降はこのようなメリハリが効いた演出になった。

このギャップが視聴者に腹黒ジジィという印象を与えてしまうきっかけになったのではと思うが、個人的にはこの演出になってから心の中のツッコミに渋みが出て中野さん回の面白さが増したように思う。

恐らく中野さんの高い声の原因は緊張からくる体の強張りなのではないかと考えられるので、心の声こそが本当の声色だと推測する。

(余談だが私が見た限りだと、中野さんは1度たりとも心の中で「殺す」と言っていなかったので安心した。)

 

だいたい四面楚歌

中野さんの1番の特徴は何と言ってももじもじする姿なのだが、中野さんの周りには常にそのもじもじを加速させる人物達がつきまとう。

特に気を付けたいのは友蔵たまちゃんのお父さんだ。

友蔵は長年の友人であるにも関わらず、中野さんの性格を忘れ人前で俳句を詠ませるように仕向けたり配慮に欠ける言動が多い。他にも体調を崩しては中野さんをピンチヒッターにして目立たせるという場面が多く、かなり頼りないジィさんである。

そしてそんな友蔵より悪質なのがたまちゃんのお父さんだ。1999年4月放送の『春の巴川の一日』では、その酷過ぎる一部始終が放送された。たまちゃんのお父さんと言えば言わずと知れたカメラ好きなのだが、同時に過激派の珍写真コレクターでもあるのだ。極度に恥ずかしがるおじいさんという珍しい写真を撮りたいがため、中野さんに積極的に話しかけてモジモジさせては写真を撮るという変態的な行動を繰り返した。

それだけならまだしも中野さんが川田さん(趣味で川の清掃や生態系の維持に取り組んでる町内の人)に詠んだ「川田さん 川を大事にしているね」という俳句を嘲け笑い、恥ずかしさのあまり走り去った中野さんを更に激写して喜ぶという鬼畜ぶりを披露した。

とにかく中野さんの周りには味方と見せかけた敵が多いためか、つい応援したくなってしまう。それも中野さんの魅力の1つだ。

 

パワー&スピード

恥ずかしさがピークに達した中野さんは、老人とは思えない身体能力を発揮する。

例えば『中野さん大いに目立つ』では友蔵のピンチヒッターとして町内の運動会に強引に出場させられた中野さんが恥ずかしさのあまり物凄い速さで走りレースを総ナメ。周囲を圧倒させた。

特に凄かったのが2013年8月放送『町内の盆踊り』だ。盆踊りのお手本係に指名されヤグラの上で一人で盆踊りを踊る事になった中野さんは本番直前でパニックになり全然関係ない小杉(58キロ)を引きずり回しヤグラの上に難なく上げてしまうのだ。

それを見たときは「焼きそばやおでんを食べる為だけに盆踊りの会場に来た小杉を!?」とかなり驚いてしまった。

この凄さはちびまる子ちゃんにあまり詳しくない方はピンと来ないかもしれないのだが、食が絡んだ小杉の傍若無人ぶり、暴れっぷりを考えると信じられない光景なのだ。

普段モジモジしてる中野さんなだけに、このようなとてつもないパワーを発揮されるとあまりのギャップに心を鷲掴みにされてしまう。

 

愛妻家過ぎる中野さん

 

常軌を逸する恥ずかしがり屋の中野さんだが、奥さんがいる。その見た目はクローンの如く酷似しており、性格も恥ずかしがり屋で中野さんと瓜二つなのが特徴だ。

中野さん回を見てつくづく痛感した事がある。それはちびまる子ちゃんの世界で中野さんを心から理解しているのは中野さんの奥さんだけだということだ。

中野さんが盆踊り大会のお手本係に指名されて思い悩んでるとき、奥さんは「荷物をまとめて逃げちゃいましょう」と夜逃げを提案した。もう非常識なほど中野さんの気持ちを尊重しているのだ。

中野さんもまた奥さんの事を心から愛していて、運動会の借り物競争で「美人」と書かれた札を引いた際は奥さんの手を取りゴールした。

(借り物競争の時の中野さん。二人とも幸せそう)

このように中野夫妻はいつパートナーオブザイヤーに選ばれてもおかしくないほどの仲良し夫婦で、見ていて微笑ましい。

 

そんな2人のラブシーンがある度にニヤニヤしていた私だったが、二人の若い頃のシーンを見るとついゾッとしてしまう。

奥さんの顔、もともと中野さんと全く似ていないのだ。

『中野さん、なんで?どうして?に困る』というお話では中野さんが二人の顔が似てる事についてこう考えていた。

「毎日同じ物を食べてるからだろうか」

それぐらいの事でここまで瓜二つになれるなら世の中の家族は大体同じ顔になってしまうし、やろうと思えば人類総新垣結衣時代も夢ではない。

中野さんからは、一緒にいる人を自分の顔にしてしまう波動が出ているのかもしれない。

 

 

 

最後に少し怖い話をしてしまったが、私は調査を終える頃には中野さんの事が大大大好きになってしまった。可愛くトリッキーなキャラである中野さんをこれからも応援していきたい。

この記事を通じて、皆さんに中野さんの素晴らしさが少しでも伝わりましたら幸いです。

そして中野さんは滅多に登場しないキャラクターですので見かけた際は温かい目で見守りましょう!!

 

おわり

 

私が選ぶ神回

現在アニメちびまる子ちゃんでは「原作35周年!あなたの好きな”神回”さくらももこ原作まつり」を開催中!!

 

ちびまる子ちゃんのファンが選んだ珠玉の名作がリメイク放送されています!!

今回せっかく459話も見た事なので、私もアニメオリジナルの中から個人的に神回だと思ったものをいくつか紹介しようと思う。

 

【爆笑部門】

「もしもまる子が花輪家の子供で花輪クンがさくら家の子供だったら」

私がちびまる子ちゃんで1番笑った話はこれかもしれない。花輪クンの溜まりに溜まったさくら家へのフラストレーションが最後の最後で大爆発する様がとにかく痛快。当時のオープニングテーマ「ハミングが聞こえる」のカズヒコくんverは必見!!

 

【感動部門】

「佐々木さんと川田さん」

普段は優しくて温厚な佐々木のじいさん。しかし木を粗末に扱う者には烈火のごとく怒り、自分の腕の骨が折れたときは好機とばかりに「木も折られたら痛いんじゃよ」と人々に訴えかけるほど木を愛してやまないおじいさんだ。

そんな佐々木のじいさんが、このお話では友人の川田さんが川で溺れてるのを見た瞬間に木をへし折って助けに行く。そのシーンを見たとき、私は驚くと共に「佐々木のじいさん、木よりも川田さんが大切なんだ…」と2人の友情に思わず涙が出てしまった。

世間的にちびまる子ちゃんの感動話といえば「たまちゃん大好き」が一番有名だが、佐々木のじいさんと川田さんの友情も負けてないと思う。

(※このお話は2022年1月の時点ではVHSでしか見られないです)

 

【大騒ぎ部門】

「理科の実験は大さわぎ」

理科の実験で初めてアルコールランプを扱うまる子達。同じ班にちびまる子ちゃん随一のトラブルメーカー山田がいたばかりに、まる子達の班はボヤ騒ぎを起こしてしまう。

火事の思い出が脳を過る永沢。藤木の裏切り。学校に勝手に忍び込んでたたまちゃんのお父さんの非常識過ぎる行動。

色んな事件が起こりすぎてお祭りみたいなお話です。

 

【衝撃部門】

「火鉢をつかおう」「小杉 モチをもらう」

このお話の何がすごいかというと、小杉がモチを食べれるかどうかという一見盛り上がりに欠けそうな話を前編後編と週またぎで放送している点だ。

先程少し小杉の食欲に触れているが、驚く事に小杉は食べたい物を食い漏らす事がほとんどない。

『商店街にうなぎ屋開店する』では、うなぎ屋の開店セールに並ぶ為に2日連続で学校を抜け出し(2日目にいたっては制止する大野杉山に机を投げ付けて大脱走した)警察沙汰にまで発展した。それでも小杉は2日連続でうなぎを食べる事に成功しているのだ。

これはそんな小杉の数少ない絶望回である。衝撃のラストは、小杉ファンのみならずアンチ小杉にもオススメの一作だ。

 

 

 

かなり選ぶのに悩んだが、私的神回の紹介は以上です。興味があったら是非ご覧になってみてください!

そして今週末(1月9日)アニメちびまる子ちゃんでは私も大好きな『かきぞめの宿題』が放送されますのでそちらのチェックもお忘れなく!!

日曜18時はちびまる子ちゃんで決まりだね!

 

最後の画像ギャラリーでは私が好きなちびまる子ちゃんのセリフを紹介していますのでそちらも是非〜