(ピンポーン)

 

 

 

(ピンポーーン)

 

 

 

うるさいな・・・誰だ?

 

 

(ピンポーーン)

今行くようるせーな!

 

 

 

せっかくギズモについて考えてたのによ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どちら様ですか?」

 

「けつ 様でお間違いありませんか?」

 

けつ「どうして俺のハンドルネームを・・・」

 

けつ「ていうか・・・」

  

けつ「どうして顔にモザイクがかかっているんですか・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


俺の部屋に、顔にモザイクのかかった男がやってきた――――

 

モザ「あなたは死にます」

 

けつ「これって何か仕組みがあるんですか?病気?奇跡?」

 

モザ「あなたは、惨たらしく死にます」

 

けつ「触ってみてもいいですか?モザイクってやっぱ硬いんすか?」

 

モザ「あなたに死の宣告をしに来ました」

 

けつ「ああ、死神ってことですか?」

けつ「てかモザイクってだけでちょっとエロいっすね」

 

モザ「惨たらしくです。怖くないのですか?」

 

 

 

けつ「ちょっと顔にモザイクかかってる人が目の前にいてそれどころじゃないですね」

けつ「どうして僕は死ぬんですか?」

 

モザ「死は平等に訪れるもの。その質問に意味はありません」

 

けつ「いやそういうこと聞いてるんじゃないことくらい分かるだろ」

けつ「インターネットかよ」

 

モザ「私はインターネットです」

 

けつ「あ、インターネットなんですか?」

 

モザ「私はインターネットの使者としてここにやってきました」

モザ「正確には、インターネット・デビル、いや、インターネット・デーモン。もはや私の存在自体が、インターネット・ナイトメアであると言えるでしょう」

 

けつ「急にめっちゃ喋るのインターネットだなー」

 

 

 

モザ「けつさん。先週、あるWi-Fiに接続しましたよね?」

 

けつ「Wi-Fi?繋ぎまくりですよそんなの」

 

モザ「正確に思い出してください」

 

けつ「えー・・・確か昨日てんやで飯食ってるとき、隣のサンマルクカフェのWi-Fiを受信しました」

 

モザ「あんま良くないですよ」

 

けつ「すみません」

 

モザ「他にもありますよね?ちゃんとご自身で説明してください。」

 

 

 

けつ「・・・分かりました。

けつ「あの。Wi-Fiって、街中で訳のわからない電波拾っちゃうことあるじゃないですか」

 

モザ「あるっすね」

 

けつ「なんだあるっすねって」

けつ「まあとにかく、ふつうに住宅街を歩いていたんですね」

けつ「そしたら、相変わらず謎のWi-Fiに接続しちゃってて」

けつ「その日はショッキングなくらい暇だったんで、このWi-Fiの場所を特定しようと考えたんです」

 

モザ「ショッキングなくらい暇な日って何?」

 

けつ「そしたら、これ本当ですよ。信じるかなあ・・・どうしようかなあ」

 

モザ「いや、たぶん私が言ってるのその話じゃないんで早く話してください」

 

 

 

 

けつ「近くに用水路があったので、覗いてみたんですね。」

けつ「そしたら一匹のザリガニがいて。知ってますか?ザリガニ」

 

モザ「何言ってんの!?ザリガニを知らない、そんな無礼な質問があるか!!」

 

けつ「最初から顔にモザイクがかかってる人ザリガニ知ってるか分かんないでしょ」

 

 

 

 

モザ「ザリガニを知っています。ザリガニがどうしたんですか?」

けつ 「スマホを近づけてみると、そのWi-Fiはザリガニから発信されていることが分かりました」

けつ「さらにそのWi-Fiには、こう名付けられていたのです」

けつ「YokoKumadaWiFi」

 

 

 

モザ「ヨウコクマダ?熊田曜子ですか?」

 

けつ「はい。熊田曜子さんのWi-Fiを受信しました」

 

モザ「すみませんその話じゃないです。もうひとつありますよね?」

 

けつ「ああ、隣人のWi-Fiを不正利用していることですか?」

 

モザ「はい、それです。ちょっとは悪びれてくださいね」

 

けつ「それがどうかしましたか?」

 

 

 

 



モザ「私はその隣人のインターネットです」

 

けつ「は?どういうこと?」

 

モザ「私はあなたの隣の部屋の住人の、インターネットです」

 

けつ「インターネットそのものってこと?」

 

モザ「正確にはインターネット・デビル、いやインターネット・デーモン。もはや私の存在自体がインターネット・ナイトメアであると言えるでしょう」

 

けつ「だからどういうこと?」

 

モザ「私はあなたの隣のインターネットです、ということを言っています」

 

けつ「だからそれがどういう意味だって聞いてんだよ」

 

モザ「インターネット知らないですか?」

 

けつ「お前はマジで1回コミュニケーションというものを考えたほうがいい」

 

モザ「あなたは倫理というものを学んでください」

 

 

 

 

けつ「なんでうちにインターネット・ゴブリンが来たのかを教えてよ」

 

モザ「私は小鬼ではありません」

 

けつ「モザイクかかってるんだから分からないだろ」

 

 

 



けつ「うわあ!」

 

モザ「私は実体を持ちません。インターネットの化身、インターネット・ゴーストです」

 

けつ「2ちゃんねるの怖い話?」

 

モザ「違います」

 

けつ「何でもいいですけど僕の隣のインターネットがうちに何しに来たんですか?」

 

モザ「あなたは、繋いではいけないWi-Fiに繋いでしまったんですよ」

 

 

 

 

けつ「繋いではいけないWi-Fi・・・?」

 

モザ「この世には、裏インターネットと呼ばれるものがあるのです」

 

けつ「裏インターネット?」

 

モザ「けつ さんがいつも使っているインターネットは、言うなれば表のインターネット。差別や争いにまみれた世界です」

モザ「それに対し、裏インターネットには争いがありません。差別や誹謗中傷は存在せず、みなお互いを慮って交流を図っています」

 

けつ「なんでそっちが裏なんだよ」

 

モザ「先に表のインターネットをそうしてしまったのはあなた方でしょう」

 

けつ「そんなこと言われたって・・・」

 

モザ「インターネットの利用者は全世界で40億人。総人口の53%に相当します」

モザ「その53%のうち、20%は表と並行して裏を利用しています」

 

 

 

 

 

モザ「こんな感じです」

 

けつ「カスグラフ」

 

モザ「つまり、あなたは場違いだということです」

 

けつ「で、その裏インターネットでは、何ができるんですか?」

 

モザ「裏インターネットでは匿名での発信を禁止しています」

モザ「まあ、禁止するまでもありませんが。全員が同じ思想を持っているので、軋轢が生じることはありませんし、匿名で発信をする必要がありません」

 

けつ「全員が同じ思想を・・・?」

 

モザ「同じ思考、同じ考え、同じ階級、同じ経済力の人間を集め、独自のコミュニティを築いています」

 

けつ「何だそれ・・・」

 

 

 

 

モザ「裏インターネットは、選ばれしユーザーしか利用することができません」

モザ「あなたは、裏インターネットに接続するための専用ルーターを不正に受信し、平和な世界に危険をもたらした。秘密を知ってしまった以上、あなたには惨たらしく死んでいただくしかありません」

 

けつ「そうか・・・どうりで訳のわからないサイトばっかりだったのか」

けつ「トム・ヨークのオールナイトニッポンとかあったからな」

 

モザ「トム・ヨークのオールナイトニッポンは裏にしかありません」

モザ「彼の声の素材を繋ぎ合わせて、落語を披露させています」

 

けつ「そんなことやめろよ」

 

モザ「とにかく、あなたは裏インターネットの秘密を知ってしまった。生かしておくわけにはいきません」

 

けつ「誰にも言いませんよ。お願いしますよ」

 

 

 

 

 

モザ「見過ごすわけにはいきません。けつ さんに個人的な恨みはありませんが、仕方ありません」

 

けつ「そんな。表インターネットに戻りますから」

 

モザ「一度表を知ってしまった者は、裏での環境になじめません」

モザ「必ず誰かを傷つけます。我々はそれを許しません」

 

 

 

 

 

けつ「そのために人を殺すのか?平和のために?」

 

モザ「仕方がありません。表の住民は野獣です。殺すより、道は無いのです」

 

けつ「まったく同じ考え方をした人間の集まりを、平和と呼ぶのか?」

 

モザ「人種、国境、性的志向、政治思想、経済格差があるから争いが生まれるのです」

モザ「それらを一切排除した世界。それを我々は目指しています」

 

けつ「そんなもの平和とは呼ばない!」

けつ「本当に目指すべきは、あらゆる違いを互いに認め合ったうえで共存する世界だ!」

 

 

 

 

モザ「てんやでサンマルクのWi-Fiを拾っている人間に言われたくはありません」

 

けつ「いやそれはごめんなんだけど、でも相容れない人間を殺してまわってるお前だって、平和にそぐわない存在のはずだ」

けつ「顔にモザイクをかけたって、お前という存在が消えるわけじゃない」

けつ「ましてや、罪を消すことなど・・・」

 

モザ「いくら熱弁をふるっても無駄です。あなたには死んでもらいます」

モザ「この、インターネット・ガンでね」

 

 

 

 

 

 

けつ「自分の顔をよく見ろ!悪夢として生きることを決めたその顔を!」

 

 

 

 

 

モザ「ぐわっ!!!」

 

 

 

モザ「待て!!」

 

 

けつ「はあ・・・はあ・・・」

 

 

 

モザ「おい!待て!」

 

 

 

 

けつ「さっきの攻撃が効いたのよく分からないな・・・」

 

 

 

 

モザ「殺す」

 

 

 

 

 

けつ「誰か!!誰か助けて!!!」

 

 

 

 

ピタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けつ「うっ!」

 

 

 

 

 

けつ「何?何が当たった?」

 

 

 

 

 

 

けつ「タコ?なんかタコみたいだった気がする」

 

 

 

 

 

けつ「たぶん硬めのタコだな それか俺の知らない球体」

 

 

 

 

 

けつ「痛すぎる・・・」

 

 

 

 

 

けつ「しばらく眠るといい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けつ「・・・万事休すか」

 

 

 

 

 

けつ「こんな使い方もあるんだなあ」

 

 

 

 

 

モザ「よくも逃げやがったな。罰を与えてやる」

 

けつ「フン、ここは公園だぜ。人通りも多い」

けつ「必ず誰かが助けてくれるはずだ」

 

 

 

 

モザ「残念だったな。今、我々の姿は誰にも見えない」

 

けつ「おい後付けすぎるだろ!!!」

 

モザ「私はインターネットの化身だ。何でも好き放題やれるんだよ」

 

 

 

 

 

けつ「・・・ん?」

 

 

 

 

けつ「おいやめろ!!俺に視線を集中させるな!!」

 

 

 

 

けつ「なんでよりによってこんなチャチな集中線を・・・」

 

 

 

 

 

けつ「・・・ん?」

 

 

 

 

 

けつ「なんだか、視界が白んで・・・」

 

 

 

 

 

けつ「もしかして、俺このあとタイトル出される?」

 

 

 

 

 

 

けつ「カスの検証やめて」

 

 

 

 

 

 

モザ「思い知ったか?」

 

 

 

 

けつ「何をだよ」

 

 

 

 

 

モザ「・・・まだ反抗する気か?」

 

 

 

 

 

けつ「いや今ので何を思い知ればいいんだよ」

 

 

 

 

 

モザ「・・・私の恐ろしさだよ」

モザ「もう、逆らう気力も残っていないだろう?」

モザ「とっとと私の前にひれ伏すがいい」

 

 

 

 

 

けつ「・・・つまりお前は自己顕示欲で俺に暴力をふるってるわけだな」

けつ「お前が毛嫌いしている表インターネットのエゴと何が違うっていうんだ」

けつ「俺はお前なんかに負けない!何度倒れようとも立ち向かってやる!!」

 

 

 

 

 

モザ「そうですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けつ「プレステ1?」

 

 

 

 

モザ「これで分かっただろう。お前にはとうてい私には勝てない」

モザ「爆発するラグビーボールでも持っていれば話は別だがな」

モザ「あ、ちょっと待って」

 

 

 

 

 

モザ「えい」

 

 

 

 

 

 

けつ「話の途中で急に場所が変わった・・・?」

 

 

 

 

モザ「なんか人が多いので場所を変えさせてもらった」

 

けつ「周りの人には俺らの姿は見えてないんじゃないの?」

 

モザ「そうだが、場所を変えさせてもらった」

 

けつ「みんなも了承してくれよな」

 

 

 

 

 

モザ「さあ、遊びは終わりだ」

モザ「平和に脅威をもたらしたお前は惨たらしく死ぬがいい」

 

 

 

 

 

けつ「確かに、力ではお前に及ばないようだ」

 

 

 

 

 

けつ「しかしお前はひとつ、とんでもないミスを犯した」

 

 

 

 

 

モザ「ミスだと?」

 

 

 

 

 

けつ「俺の失っていた情熱を、呼び起こしてしまったことさ」

 

 

 

 

 

けつ「・・・いくぞ」

 

 

 

 

 

けつ「ハアアアア・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

モザ「うわあ!きもち悪」

 

 

 

 

 

けつ「ウオオオオ・・・・・・・」

 

 

 

 

 

けつ「ハアッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

サクッ

モザ「え?これ刺さる攻撃?」

 

 

 

 

 

モザ「何これ?どういうこと?」

 

 

 

 

 

モザ「何が刺さってんのこれ?」

 

 

 

 

 

モザ「いやだなあ」

 

 

 

 

 

 

モザ「ギャーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

けつ「やったか・・・」

 

 

 

 

けつ「はあ、はあ、やっぱり・・・」

 

 

 

 

 

 

オモコロ、最強!!!!!