いきなりですが 人物相関図が好きです。
こういうやつ。友人や敵対関係とかひと目でわかるすぐれものです。
これを使ってやりたいことがあるのですが、まずは誰でも知っている「おとぎ話」を相関図にさせてください。
『桃太郎』の人物相関図
まずは日本を代表するおとぎ話である『桃太郎』から。
・桃太郎
・いぬ
・さる
・きじ
・おじいさん
・おばあさん
桃太郎の人物相関図
シンプルな構図ですね。
『花咲かじいさん』の人物相関図
「鬼は?」と思った方もいるかもしれませんが、あえてここで『花咲かじいさん』に目を向けてみます。
・おじいさん
・おばあさん
・いぬ
・よくばりおじいさん
・よくばりおばあさん
ですね。こんな感じになります。
花咲かじいさんの人物相関図
相関図にすることで、犬の可哀想さがより際立ちます。
『桃太郎』『花咲か』をがっちゃんこする
さて、やりたいことというのはここからです。『桃太郎』と『花咲かじいさん』、2つの物語をがっちゃんこして合わせます。
がっちゃんこにあたっては、両方に登場する人物は「同一人物」とみなしてまとめちゃいます。今回は「おじいさん」「おばあさん」「いぬ」です。
桃太郎・花咲かの人物相関図
結果はこんなかんじ。両者に共通するキャラクターである「いぬ」を通して、2つのおとぎ話の世界がつながりました。
こうして見ると発見がありますね。
・「おじいさん・おばあさん」は、鬼の財宝と、花咲かプライズで、ダブルミリオネア
・鬼の征伐後「いぬ」は、よくばりじじいに撲殺される悲劇を迎えること
こうして2つを組合わせたことで、一般的なお話とは異なる展開が何となく想像できます。
シェアード・ユニバース
話はちょっと横道にそれるんですが、バットマンとスーパーマンが戦う『バットマンvsスーパーマン』や、ハルクとアイアンマンが共闘したりする『アベンジャーズ』など、もともと別作品の登場人物がひとつの作品に登場する映画があります。
それが可能なのは、別々の作品であっても世界観や世界設定を共有しているからなんですね。この共有世界のことをシェアード・ユニバースと言うんだそうです。
*余談ですが、バットマンやスーパーマンの共有世界は「DCエクステンデッド・ユニバース」、ハルクやアイアンマンの共有世界は「マーベル・シネマティック・ユニバース」と名付けられているそうです。
オトギ・ユニバースと名付けよう
つまりこの『桃太郎・花さか』のがっちゃんこした相関図も、おとぎ話の世界観や世界設定を共有した、いわばシェアード・ユニバースのひとつなわけです。
この共有世界に「オトギ・ユニバース」と名付けてみましょう。
あまりいらすと屋さんに頼りすぎるのもアレなので、イラストも自前でアメコミ調にしてみました。
世界の民話もユニバース化する
「オトギ・ユニバース」の実現のためには日本固有のおとぎ話ばかりにこだわっていてもいけません。外国のおとぎ話も取り入れてみましょう。
・おおきなかぶ(ロシア)
・西遊記(中国)
さらに「おにぎり」というアイテムを通じてつながる、2つの日本のおとぎ話も追加します。
・さるかに合戦
・おむすびころりん
一気に複雑な世界観となりましたが、ここで「さる」に注目してください。
『桃太郎』での鬼討伐後、『西遊記』では主役へ抜擢、西へのビッグジャーニー。日本に戻ってきた後、『おむすびころりん』では一変して「かに」と対立。『桃太郎』『西遊記』ではヒーローサイドだったと思うのですが、『さるかに合戦』ではまさかのヴィラン(悪役)落ちです。
一体「さる」に何があったのでしょうか…鬼ヶ島でこの世のものとは思えない地獄を体験してしまったのか…。
「若者」の三部作(トリニティ)
続いては注目したいのは「若者」です。
・浦島太郎
・つるの恩がえし
・長靴をはいた猫
今回追加したのが「おはなし」を色別で表示しています。
つるの恩返しは「ピンク枠」
うらしまたろうは「緑枠」
長靴をはいたねこは「青枠」
です。
『うらしまたろう』では「かめ」を助け、『つるの恩返し』では「つる」を助け、『長靴をはいたねこ』では「ねこ」に長靴をあげました。
こうしてみると「若者」は主人公を助けるサイドキック的な役割であることがわかります。
*サイドキック:アメコミにおけるヒーローの相棒役
完成
こうして思いつくおとぎ話の世界をどんどん追加していくと、想像もしていなかった共有世界が目の前に広がってきます。
・かちかち山
・うさぎとかめ
・王様の耳はロバの耳
・裸の王様……
などなどなどなど。
真の完成は、全部のおとぎ話をシェアード・ユニバース化した時ですが、紙面の関係上、今回はこのへんでご勘弁。
完成!これがオトギ・ユニバースの人物相関図だ!
細かいところまで作り込んだのでぜひLサイズバージョンで御覧ください。すげえでかいけど…
様々な世界観を織り込んでいったことで、キャラ同士の関係がより複雑で濃厚なものになりました。
・おじいさんのアクションスター性
ヒーローのサポートにまわる一方で、スタント無しでおむすびと一緒に穴に落ちたり(おむすびころりん)、「よくばりじじい」とダンスバトル(こぶとりじいさん)したり、高齢にも関わらずアクションをバリバリこなしています。
・強キャラの「王様」
耳をロバにしたり、触れたものを金にしたり、色々なおとぎ話に登場することで様々な能力を身に着けています。「裸の王様」という状態は、実は「相手の能力を奪う」前の状態なのでは……?
・明らかになる矛盾
「わかもの」は、『うらしまたろう』の玉手箱で「おじいさん」に、『長靴をはいたねこ』では「王」になりますが、この2つは両立するのでしょうか?(どちらをとるかで相関図の構造が大きく変化する可能性)
ぜひLサイズ版で見て、新たな発見をしてください。『オトギ・ユニバース』は開かれた物語世界です。
あのキャラクターがいない、あのカラミがないなど、気がついたことがあったらぜひご連絡を!
「めでたしめでたし」には、まだ早いのだから……
(おしまい)
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