コンビニとチェーン店にしか入らない人生を改めたい。
皆様は家に友人が来た際、連れて行けるような気の利いた店は確保していますか? 鳥貴族で鶏しそ巻天ぷら-紀州梅肉ソース添え-とよだれどりと緑茶ハイでお茶を濁していないだろうか?
スイマセン、それは完全に僕でした。「定番行っておけばハズレがない」みたいな感じに思っていました。
たまには冒険をしないといけない!地元だからこそ地元民が攻めて行かないといけない訳で。
行ったことのない店に勇気を出して入ってみよう。
北千住を歩いてみる
よく使用する駅である東京足立区の北千住に来た。さっそく歩いてみて入るお店を決めよう。
地元を攻めるという気持ちを持つと普段素通りしていたものにピントが合ってきます。
サカナクションのロゴのネタ元と思われるさんくすとか
サカナクションのロゴ
「チェーンを切るな!」という警告ではなくドロボウの負けたくない精神を上手く利用した張り紙やら
キャバクラではないキャバレーもまだ現存していたり。地元の事なんも知らなかったな〜と、思わせられます。キャバレーは休みだったの次回攻めてみたい。
そんな感じで歩いていると、北千住駅西口の飲み屋横丁と呼ばれる通りにふと目についた建物があった。
ポスターがベタベタ貼られているお店
古い建物に張り紙がビッシリ、、、ここはなんだろう?
最初、ライブハウスのフライヤーかな? と思ったのだけど、よく見ると全て演劇や美術館などのポスターだと分かった。
年季の入ったポスターに混じって『君の名は。』のポスターがあることから、まだ生きているお店というのが伺えた。
「まだ布団が暖かいぞ!!犯人はまだ遠くへ行っていない!!」
そんな感じだ。
小柳というお店らしい。しかし、趣のある建物だ。
二階なんかはほぼ趣だけで構成されている。ふと足元に目をやると、貼り紙が貼られていた。
昭和サロン 小柳 居酒ヤ 文化サロン
アート・音楽・歴史・千住好きな方大かんげいです
PM19:00〜
とのこと。ほかにも70’sR&B、ハウス、ユーミン、ビートルズなどの単語が書いてあるのでどうやら昭和の芸術が好きな人が集まるバーのようだ。
入ろうか、、、いやしかし怖い、、、アートに関してはビートたけしの誰でもピカソ!の知識以外ないと日和って、店の前をウロウロしていると中からマスターと思われる人に声をかけられた。
「エッ、あなた美術興味がありますか? エッ、いかがですか? どうですか中へ? 」
「あ、、、いや、、、こんなお店あるんだ〜と思って見てました、、、、」
「エッ、さようですか。お酒は飲めますか? でしたら中へ、、、」
マスターの話し方は上品過ぎてオネエになっているというか、古畑任三郎が早口になった感じで脳内再生をしていただければと思う。
ここまで来て日和るのもアレなので入ることにした。
今日の地元を攻めるぞテンションでないと今後一生入らない気がしたからだ。
店内
店内はこういう感じ。
基本的に開いてるスペースにはモノが置かれており、案内された席も折り畳みの小さい椅子を持ってきて作ったインスタントな感じだった。
店の外観と同様、店内もなかなかカオスみを感じるつくりだ。所狭しとモノが置かれている。
壁際には「にこちゃんシロホン」という年季の入ったおもちゃが並ぶ。なぜこれを飾っているんだろう。
向かって左を見ると、本やカタログがうず高く積まれており、奥にはカラオケまである。
しかも機種は懐かしの孫悟空!「孫悟空なら歌ってあげる」by菅野美穂でおなじみの孫悟空だ!懐かしい!
孫悟空のCM
奥には平積みにされたレコードがぎっしり。
とにかくモノが多い!謎だ!! 一体マスターは何者なのだろうか?
ここは何の店なのか?
メニュー表はどうやらない。何を頼んでいいのか分からないので、とりあえず焼酎水割りを注文する。
トリスのグラスがかわいい。
なぜか頼んでいないのにカットされたサンドイッチとリンゴが付いてきた。お通し?
マスターが話しかけてきた。
「エッ、お住いはこの辺ですか? エッ、千住には詳しいですか? エッ、、飲み物を頂いてもよろしいでしょうか? エッ、貴方普段なにをなさっていますか? ? 」
矢継ぎ早に4タテで質問を投げかけられる。早口でコントのキャラクターの様な話し方だが、上品な芸術家という感じで嫌な感じはまったくない。ただこのままだと会話を押し切られそうだったのでこちらからも気になったことはグイグイ聞く姿勢を取った。
「すいません、このお店はどういった目的で作られたんですか? 」
「エッ、私はですね、もともとアールデコ(1910年ごろに流行したデザインの傾向)のコレクターでして。エッ、お店自体は3代目なのですがコレクションはワタクシの代からの趣味でございます!」
色々質問をしてみた所、以下の様なことがわかった。
・コレクションはマスターの代からの趣味
・建築と広告関係を集めている
・中学生の時、NHKのバザーに行ったことで収集癖がついた
・大学は芸術科で建築を学んだ
・コレクションは国立美術館への寄贈を依頼されるくらいある
・この建物は70年代からある古いものなので某有名写真家や雑誌に良く使われている
・携帯電話の着信履歴はほとんどが美術館から(実際に見せてもらいました)
ともかく入店してからのマシンガントークに圧倒されっぱなし。上記の情報を2分くらいで息継ぎなしで喋る喋る!
ただ知識の押し売りではなく、「マスターが何故コレに興味を持ったのか→それはこういう理由→で、その証拠がコチラ(コレクションの中から雑誌を持ってきてもらえる)→どうですか、素晴らしいでしょ? →実はこれには歴史があって、、、」など、モノの成り立ちを踏まえた上で素晴らしさを語ってくれる。
北千住の建築の話をしてたのに、最終的には「実はこれをしたのが伊藤博文で、、、」と急に主語が日本の初代首相の話になっているので驚いた。経緯はサッパリ覚えていないのですが、「意外なものがつながっているんだなー」と感心すると同時に自身の知識不足に身をつまされる。
「ちょっと寒いですね、、、(と、言ってジャケットを羽織る)」
「エッ、ま、ワタクシはISSEY MIYAKE以外は着ないポリシーですので」
と言い、カーディガンを羽織ったその刹那、チラッと見えた胸元に……
おそ松さんのトド松缶バッジがあったのを確認した。
山のように積まれるオススメ本
小柳に来て注意していただきたいのはテーブルの上の状態だ。
まずはじめに問答無用でマスターがオススメと言って持ってきたのがこちら。
70年代? のものと思われるプレイボーイ。
素晴らしいので見て欲しいという感じで、マスターが次々とこうした古い雑誌を持ってくる。とにかくこの時代の日本の雑誌の編集者や広告はスゴい!と熱弁された。
いや、置きすぎで倒れるっての!!!
マスターのサービス精神がどれだけ強いのか、分かって頂けると思う。
頼んでいなかったが、サンドイッチのおかわりを出してくれた。ビニールに直置きで。
お会計
なんとなくノリで入ったお店であったが、めちゃくちゃに圧倒された120分だった。
店の見た目はちょっと不気味でマスターも個性的ではあるが、嫌な気持ちにはぜんぜんならず、マスターの脳みその中に裸でダイブした様な不思議な感じ。
建築の話やアートの話は、僕が勉強不足のため踏み込めなかったが、知識がある方には「こんな話ができる店あったんだ!」とたまらなく感じるのではないだろうか。とにかく「地元の知らない店に入ってみる」という体験をする上では、大変によいお店をチョイスできたと思う。
好奇心の満たされた僕が充足した気持ちで「お会計をお願いします」と伝えると、マスターがこっそりと耳打ちで価格を教えてくれた。
「エッすみません、チャージ料込みで13,000円頂けますか? 」
13,000円!!!? ? ?
焼酎2杯とお通しとマスターへのお酒2杯で、、、?
いや、何も言うまい。価値が分かる人には適正価格なのだあろうし、これだけ知識のあるマスターの脳内なんてめったに見られないので、そういうライブ感に楽しみを見出せる人にはむしろ安い金額なのだと思う。実際、滞在中に常連と思われる人が何人も店に入ってきた。
おいおい、、、、マスター、、、わんぱくだねェ、、、
お金を出している時、BOREDOMS(日本のノイズバンド)のレコードが爆音で鳴らされていたことを、僕は一生忘れない。
マスターに店の前で写真を撮ってもらった。
ちなみにあと二年でお店を閉めるとのことなので、マスターの貴重なコレクションに興味を持った方はぜひご来店いただきたい。
今回は「地元の知らない所を攻める」という企画であったが、攻めることのリスクに対してもう少し準備をしておくべきだったのかもしれない。
くぅーー足立区、流石だゼ、、、
おまけ:足立区にもあったとしまえん
急な出費で体温が上がってしまった僕だったが、帰り道で足立区のパワーを再度知ることとなる。
熟女クラブ 年増¥!!!!? ? ? ? ?
ふざけんなよ〜〜〜〜〜〜〜!ネーミング面白すぎるだろ!!
普通なら怖くて入れないのだが、ただ僕、1万3000円払った後じゃないですか?
テンションが変になっていたというか体温が上がっていたというか、、、
余熱がまだ残っているというか? ?
この余熱を有効利用しない手はないというか、、、そんな感じで、、、
キャバクラにも一度も行ったことないのに、、、、
入ってしまいました。
中で何が起こったかは長くなるので、また別の機会にということで。一言で言えば、
いや熟女クラブサイコ〜〜〜〜〜〜〜!!
(延長するくらいめちゃくちゃ楽しかった)
結論
地元を攻めてみるという精神を持つと、いつもの街角が違って見えました。
あと足立区ってやっぱパワーあるなと思いました。
年増¥の領収書ももらってきたんですが、この店名やはり素晴らしい。
これって経費で落ちますか? ああ落ちないですか、ああそうすか。
(おしまい)
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