山口むつお、4コマ引退記念インタビュー
―10年近く毎週描いてきたオモコロ4コマの連載がとうとう終わりましたね!お疲れ様でした。
山「長きに渡り、ありがとうございました」
―今、どういうお気持ですか?
山「寂しさ半分、開放感半分……。でもやっぱりちょっと寂しい気持ちはありますね、10年もやっていたものなので」
―今週から長イキアキヒコが、4コマ新連載陣として新たなスタートを切りました。
山「組織には若返りが不可欠ですからね。この際、まきのゆうきのうさねこも早く終わってもらって、後進に道をゆずって欲しいです」
―ダハハハ! いつも4コマ漫画を描く時、どうやって描いているんですか?
山「多いパターンは、『言いたいフレーズが先にある』っていう感じですね」
―ほほう。1つのセリフや単語から4コマ漫画全体を作っていく、と。
山「そうですね。例えば『ワシャ駆け込み寺か!』ってドラえもんが2回言う漫画があるんですけど…」
山「これなんかはほんと、このフレーズを2回言いたかっただけで描いたやつですね」
―なるほど。そう言えば上の漫画を描いていた頃の山口さんは、「山口むつお」ではなく「エンデバー山口」と名乗っていましたが…
山「はい」
―あれ、なんだったんですか?
山「僕、もともとはインターネットで宇宙飛行士の毛利衛さんのアイコラを作っていたんですが」
―ダメじゃないですか。
山「ダメですが、時効とさせてください」
―どんなアイコラを作っていたんですか?
山「肌の色を緑色に変色させて『葉緑体を持っている毛利さん』とか……って、まぁそれはいいんですが、とにかくそういうことをしていたら毛利さんのことがすごく好きになってしまって。それで毛利さんが宇宙に行った時のスペースシャトルの名前である『エンデバー』を名字に付けたんです」
―なるほど、そんな由来だったんですね。今、毛利さんに直接会うことができたら何と言いますか?
山「特に聞くことは何もないです」
―そうですか。10年の4コマ活動の中で、何か印象に残っていることはありますか?
山「一番に思い出すのは、やはりコメント欄があった頃のオモコロですね」
【解説】
4~5年ほど前のオモコロにはコメント欄が存在し、激励や罵倒の言葉などを誰もが自由に書き込むことができた。それを忌み嫌う者もいれば、ネットの本質をそこに見る者もいたのである。
山「僕の4コマは、コメント欄で批評された時に始めて面白さを発揮するものも多かったので。オモコロがリニューアルしてコメント欄が全面廃止された時は、暗闇に放り出された感じでした」
―確かにあそこは、Twitterでの感想とは全然違う場所でしたからね。何か覚えてるコメントはありますか?
山「『地震が起こって掴まるものを探してたら、ウンコしかなくてウンコに掴まる』っていうネタの漫画を描いたんですけど、たまたま公開日と岩手県沿岸北部地震がかぶってしまって。コメントで『不謹慎だ』って言われちゃったのはよく覚えてますね」
―うわー!それは運がなかったですね。
山「何かしらの対応をしないといけないんですけど、まんま取り下げるのも悔しいので、3コマ目のウンコにモザイクをかけて、他のコマを削除した形で再発表しました。その後『訳がわからな過ぎて笑った』『前より面白くなった』とコメントもらったのは嬉しかったです。
―今のソーシャルよりも濃い交流がコメント欄にはあったんですね。
山「自分の前のコメントのネタに乗っかってふざけ合う……という独自の文化も構築されていました。その一方で、コメント欄は完全な匿名の場なのでTwitterやfaebookの投稿よりもトゲトゲしていた書き込みが多かったです。そういうちょっとどす黒くてリテラシーの高い『ネットっぽいもの』が少なくなっていくのも、時代の流れで仕方ないですね……」
●山口むつおの絵柄の変遷
―4コマを描かなくなった分、空いた時間で何かしたいことはありますか?
山「痔になりかけているので、治療に専念したいです」
―せっかくなのでクリエイティブな部分で……。
山「偉人じゃない人の名言をやってみようかな」
―偉人じゃない人の名言?
―なるほど。
―なるほど分かりました。では最後に、これまで4コマを読んでくれたファンの方にメッセージはお願いします!
―ありがとうございました!
※山口むつおさん、長い間4コマお疲れ様でした!なんかオモコロからいなくなるみたいになっちゃいましたが、普通の記事とかはこれからも全然書きます!
(おしまい)