こんにちは。ストーム叉焼と申します。

これは久々に地元に帰ったら、馴染みの公園から「荒廃」の2文字を感じ取ってしまい打ちひしがれた時の写真です。年単位で放置されてそうな位雑草が生い茂り、サルも出るようになっちまった公園。

 

ちなみに熊も出たらしい。ワシの故郷は終いじゃ。

 

急に地元を悲観したくなったのではなく。

今日は俺の地元山形県で一番有名で一番盛り上がる「フェスティバル」の紹介をしようと思います。

いや、一番の祭でいうと本当は「山形花笠まつり」かもしれないんですが。

 


日本一の芋煮会フェスティバル公式サイトより

皆さんは「日本一の芋煮会フェスティバル」をご存知でしょうか。
俺は当然知っていると思っていました。

夕方の情報番組とかでショベルカーが鍋掬ってるシーン見たことありませんか?アレです。

↑こういうの(ネタバレ注意)

この様子が全国的に報道されている事を知っていたため、個人的には「さっぽろ雪まつり」とか「コミックマーケット」くらい知名度のある催しだと思っており、そんなに有名なら記事にする意味もないよな……と特に触れてこなかったのですが、オモコロで何度か取り上げた際の「芋煮」「芋煮会」の知名度から「もしかして皆そんなに知らない……?」と現実に気が付きました。

 

では今一度、「日本一の芋煮会フェスティバル」とは何なのかを説明します。

 

山形県の、特に川沿いを中心に「芋煮会」という文化があります。
河原に皆で集まって、芋煮を作って食べる、というバーベキューの鍋版です。

 

なんならバーベキューも一緒にやったりします。
この画像は毎年シーズンになると地元スーパーで売り出される芋煮セットです。芋煮の食材をまとめて用意してもらえるついでに外で芋煮会をする為の一式まで貸して貰えます。

なぜ河原かというと芋煮の発祥に川が関係しているからです。(最上川という川の舟運が関わっています)現在では別に河原でやる必要もないんですが、やっぱりイメージとしては川でやるものです。

それをでっっっっっっっっっっっけぇ規模でやるフェスティバルです。

 

 

さて、「日本一の芋煮会フェスティバル」は何をもって日本一を自称しているのでしょうか。

答えはシンプルに「量」です。

数字がデカすぎてどれぐらい凄いのかよくわからなくなってきます。毎年大体約30,000食分が用意されるそうです。

また、2018年には「8時間で最も多く提供されたスープ」としてギネス記録に認定されています。(12,695人)
日本一っていうか世界一ですね。

 

芋煮の魂、里芋。毎年そこここの青年部やらボランティア達が駆り出されます。

 

そんな大量の芋煮を作るのに必要な大鍋が「鍋太郎」

昔撮った写真を引っ張ってきました。

こいつは三代目。
直径6.5メートル、重さ4トン。大体ダンバインぐらいですね。

https://x.com/press_yamashin/status/1965606937741160874

普段は近くの展示スペースに飾ってるのですが、芋煮会フェスティバルが近くなるとクレーンで吊って超巨大かまどの上へと運ばれます。

 

そしてそこに文字通りトン単位の食材が投入されます。

 

鍋に牛肉が投入されている時の写真。よーく見ないと見えないのですが宙を舞っている赤い塊が牛肉です。こんなノリで1.2トンの牛肉が使われます。

 

山形県民の血液、味マルジュウ。出汁の入った醤油です。この醤油飛ぶぞ。

 

https://x.com/imo2man/status/1966957655140036721

物理的に。

なお、このポストが午前5時に行われている事におののいている人もいるかもしれませんが、点火や注水など、当日の作業は朝3時から始まっています。ガス火じゃなくて薪で鍋を加熱する必要がある為です。

寝てる間があったら双月橋に来な!芋煮会は3時からやってるぜ!

 

もうすでに映り込んでいましたが、これが例の調理用ショベルカーです。(でっけぇクレーンは鍋を吊る為のもの)

人生十数年かけてこれに見慣れすぎた結果、河岸工事で工事車両が動いてるのを見ると本気で「芋煮会だなぁ」と思うバグが発生しています。

芋煮会フェスティバル公式ではバックホーと記載されています(大体同じものだそうです)ので当記事では以降概ね「バックホー」と記載します。

 

見て下さいこれ。いまだかつて「重機が乗る台」にスポンサーがびっしり貼られた事があったでしょうか。それだけ県内外から注目されているという事です。

 

……さて、今から話す事は本当にめちゃくちゃ有名な話なのですが、日本一の芋煮会におけるサビなのでお付き合い下さい。

「重機を使って鍋を作るなんて汚くないの?」と思ってる方はいませんか?

日本一の芋煮会で使われるバックホーは確かに建設用重機そのものですが、前提として

(1)作って間もない機体である

(2)一度も使用されていない

機体を用いています。毎回新品ピカピカの機体を用意しているんです。

そして機体の駆動部を全部バラバラにして、一度機械油を全て洗浄。

その後、代わりに食用油を塗りつけて組み立て直し、最後に専用のステンレスバケットを装着する事で「芋煮会のバックホー」が完成します。

 

山形市民におかれましては2億回目にしてるくだりにお付き合いいただきありがとうございます。

なお詳細は公式サイトのバックホー解説ページをご確認下さい。解説ページがある位、この祭を語る上でのトロという事です。

この「食用油」の部分に関して、ネット上では「サラダ油だ」「バターだ」「マーガリンだ」などと情報が錯綜しておりますが、少なくとも現在は

「明治チューブでバター 1/3」を使用しています。(上記公式ページでもちらっとチューブが見えます)

https://x.com/imo2man/status/1965304409585504368

(最初「ここにも協賛がついたのか」と思いましたが、よく見ると日本一の芋煮会側が猛烈アプローチしているだけでした)

https://x.com/imo2man/status/1967009801948590582

実働中の動画。

(鍋がデカすぎる&高い位置にあり、実際に現地にいても鍋の全容を確認出来ない為、当日足を運んでいながらXで初めて鍋の中身を確認しました)

ちなみにですが、皆さん「ショベルカーを巨大鍋料理で使う」と聞くと、ショベルで鍋をかき混ぜる使い方を想像するかもしれませんが、バックホーのメインの役割は違います。調理中フル稼働している訳ではなく、鍋をかき混ぜたりするのは大体人力です。

でっっっっっけえ柄杓の規模感はもうトリコとかそういうファンタジーグルメのそれです。

 

ではなんの為にここにバックホーがあるのか……

こちらの小さな大鍋がヒントです。この鍋ですら十分でかいんですが。

 

それを謎の装置にセットして……

 

ウィーン……

 

こう!

 


(多分混ぜてる時よりこの絵面の方が「マジかよ」感がある)

 

こうしてバックホーで掬い、一撃で並々になった鍋を運び……

 

そこから芋煮が人力で取り分けられて、参加者に振る舞われます。

なんかこういうギネスを狙ったりするようなイベントって参加者に無料で振る舞われるイメージがあるかもしれませんが、日本一の芋煮会フェスティバルは毎年開催される伝統的なお祭りみたいなもので、流石に無料ではないのでチケットを購入して引き換えて下さいね。
(今年から前売り600円、当日券700円になりました)

 

芋煮を食べるスペース的なものは特に決められていません。
一応椅子なしのテーブルが会場の端の方に用意されていたりもしますが、そのへんの邪魔にならない川辺に座って食べてOKです。

なんなら鍋を持ち込んで芋煮を購入して、家に持ち帰ったり、ちょっと離れたところでピクニックシート引いて鍋を囲む、なんて楽しみ方もあります。自分で煮込まなくても芋煮会はできるんですよね。
(鍋の持ち込み購入は現在でも可能ですが、あくまで一人前ごとのチケット購入が必要です)

 

「おい、芋煮って醤油味だけじゃねえだろ……?」

 

おっと。どこからともなく恨み節のようなものが聞こえてきましたね。

この祭、「日本一」は鍋太郎で作られる3万食の方にかかっているのだと思いますが、そもそも「芋煮会」自体の規模としても日本一なのです。

一体いつから「芋煮鍋が1つしかない」と錯覚していましたか?

 

こちらは直径3メートルの鍋。6.5メートルと比べれば小さく見えますが、祭の大鍋としてはあまりにも十分なサイズ。

勿論こちらで振る舞われているのも芋煮。

……なぜ鍋が2つあるのか?

 

先程のバックホーの土台をご覧下さい。芋煮に使われている山形牛がデカデカと出ているのは当然として、それと同規模で山形の豚も並んでいます。芋煮、豚……もうおわかりですね。

 

※おわかりでない方へ……山形では豚肉を使う味噌味を作る地域も存在します。長くなる為端折りますが、山形の芋煮が県内で伝播する際、豚の畜産が得意な海沿いの地域で「豚肉使わね?そして豚肉を使うなら味噌のが合うんでね?」と誕生した歴史があり、芋煮を語る際は味噌味の存在が醤油味の対として語られる事があります。

そう!これは芋煮のもう一つの姿……

 

 

塩芋煮でした。

 

 

……かつては味噌芋煮が振る舞われていた年もあるのですが、ここ数年は塩芋煮が作られている事が多いようです。

ちなみに今年は味の素の協賛により、鍋キューブを用いたうま塩芋煮となっております。

メインの芋煮は大行列でしばらくありつけない為、先にこちらをいただくとしましょう。

こちらが塩芋煮。豚肉が使われている他、人参等も入っている為具材は味噌芋煮寄りでありながら塩味向けにチューンされています。

 

さて、風情を感じる為に俺も川っぺりに座っていただきます。

うんうん。塩芋煮は伝統的な味付けではなくここ10年位で出来た芋煮のイメージだけど、不思議と馴染のある味だ。

 

なんかどっかで食べた事ある味なんだよな……

アレだ。

鍋キューブの鳥だしうま塩味で作った鍋だ。

こちらの鍋で振る舞われる芋煮はメインの芋煮よりスムーズに受け取れる傾向があるので、ちょっとした空き時間に狙ってみて下さい。

 

ちなみですが、ここまで見ての通り日本一の芋煮会は屋外イベント。

でありながら余程の荒天(川の水量が大変な事になったりとか)でない限り雨天決行です。昨年は結構な雨が降って08小隊のOPみたいになりながら芋煮を食べていたそうです。

 

とか言っていたらパラパラと雨が振り始めました。今年も嵐の中で輝く必要があるのでしょうか。

 

しかし、今回は「芋煮茶屋」を予約してみました。

 

こちらは大型のテントの下に作られた特設の有料座席で、芋煮を買う為に列に並ぶ必要もなく、また料金の中に芋煮(おかわり自由)とおにぎり、特製メニューと飲み物、エリア内で使えるクーポン券までセットになったチケットが事前販売されています。

 

「ほとんど並ばず、座れる」というのも結構大きなメリットです。県外からも観光客が来ますし、毎年の恒例行事として山形県民にも楽しみにしている人が多いので、本当にえげつない位の行列が出来ますし、人口密度も凄まじいです(山形県基準)

草地の斜面に腰掛けて芋煮を頬張るのもまた風情はあるんですが、ゆったり芋煮を楽しみたい方にはおすすめです。

 

実際のセットはこちら。山形県産の豚肉を使った特製メニューセット、おにぎりと水、そして芋煮。

 

さて、これが「日本一の芋煮会フェスティバル」の芋煮です。具材は里芋と牛肉、こんにゃくとネギ。味付けは「味マルジュウ」と砂糖、日本酒。山形芋煮としてもっともポピュラーと言える村山地方の伝統的な、かつ最小構成の芋煮です。
ご家庭で作る時はごぼうやしめじなどが入る事も多いです。それもうまい。

 

うーん懐かしい。久々に日本一の芋煮会の芋煮食べたなぁ。俺が作る味よりも甘さが控えめで醤油がキリッとしている気がする。

ごろりとした里芋。今回は早めの時間だから形がしっかりしてる。とろけかけも美味いよ。

 

芋煮は冷めたおにぎりとの相性がまたいいんだ。

 

 

さて、実は「日本一の芋煮会フェスティバル」は芋煮だけのイベントではありません。
フェスティバルに協賛している企業や団体の出店や催し物、ステージイベントなんかがあります。

 

芋煮に関するイベント進行は数十年の伝統が故にある種洗練されています。例えば芋煮は事前に電子チケットで購入できますし、紙のチケットと電子チケットでゲートを分ける等、配膳の効率化がどんどん進んでいます。(それでも人が多い為並んではしまいますが)

でも、それ以外の部分は牧歌的な地方のお祭りの雰囲気を残しています。いい意味で地方感を楽しみたい方はぶらついて見るのもいいと思います。

地域性に焦点を当てるなら、山形のお酒の飲み比べが出来たり……

 

山形県は様々なフルーツの生産に力を入れているのでそちらもおすすめ。
(一番有名なさくらんぼはシーズン外なので、生のものは売ってないのをご了承下さい)

 

何故か近年恒例となっているサンマの塩焼き。(空いてる時間に撮ったもので、実際にはめちゃくちゃ大人気です)

一応山形にも海はありますがサンマが名産とかではありません。そして海沿いの地域の芋煮は味噌味でありこの会場では食べられません。

 

なんか組み立ててますね。

 

プロレスのリングです。

https://x.com/imo2man/status/1967091229881147558

毎年地元のプロレス団体による屋外プロレスが開催されています。

 

うわー!かわとぴあ懐かしすぎる!!!!!

この「ダムの役割の模型」とか「豪雨体験」とか!俺が小学生の頃からあった!まだやってるんだなこれ!

 

というわけで、有名なようで知られていないことも多い「日本一の芋煮会フェスティバル」ってこんな感じだよ、という記事です。

来年以降も9月前半にやるはずなので、気になっている方はぜひ。

 

……そんな時期に鍋って暑くないの?と思われるかもしれませんが、この日の最高気温は28度。9時時点で25度位でした。

山形にいたころは「30度近い中で芋煮作られても暑くて食ってらんねーよ」と足が遠のいていたのですが、最近はもう30度切ってると

「お、涼しくなってきたな」と思うようになってしまいましたね。俺も染まっちまったな、東京に。