ブロス編集部です。
「あのマンガ好きだったのに、途中で終わっちゃった…。好きだったのに…」という作品、みなさんもありませんか?
ということで、本日はバーグハンバーグバーグ社員に聞いた「オススメの打ち切りマンガ」をご紹介したいと思います。一緒に「もっと読みたかった…」と悶えよう!
ダ・ヴィンチ・恐山の好きなマンガ
まりまりマリーゴールド
【おすすめ人:ダ・ヴィンチ・恐山】
10年くらい前、ガンガンONLINEで連載をしてたことがあったんですけど、そのとき一緒に掲載されていたのが『まりまりマリーゴールド』でした。女子高生3人組の日常ギャグなんですが、心底人間というものを信じていなそうなギャグの応酬に心を掴まれて応援していました。惜しくも打ち切られた直後に『みくみくパンデミック』というほとんど同じような内容の漫画の連載が始まってまた打ち切られてたのもすごかったです。
私が一番好きなシーンは1巻65ページのこのシーンです。あと、同時期に私の連載も打ち切られました。
みくのしんの好きなマンガ
うえきの法則プラス
【おすすめ人:みくのしん】
うえきの法則の続編が出た! ってかなり高校生の頃興奮して買って読んでいたのを覚えています。能力系バトルマンガなんですが、前作の「〇〇を△△に変える能力」ではなく、プラスは「〇〇に△△を加える能力」だった気がします。
確か主人公は「モップに摑(ガチ)を加える能力」でした。そうやって覚えてます。モップを使って、モップの毛先を伸ばして掴むんですよ。なんだそれ!!!!それでいけんの!?わーーー!!!ってドキドキしてたなぁ。
途中から休載になってしまって、連載再開してからもすぐに終わってしまったのですが、おそらく徐々に倒すはずだったのかみたいな四天王みたいなのも強引に一気にまとめて終わらせたりしていて、その心意気にかなりウケたのを覚えています。
経緯、詳しい事情は今でも僕にはわからないけど、すべてを描ききれない時におもいっきしすべてを終わらせているのが気持ちよかったです。
自分もそうありたい。
ヤスミノの好きなマンガ
だぶるじぇい
【おすすめ人:ヤスミノ】
週刊少年マガジンで連載していた『だぶるじぇい』です。「伝統芸継承部」という謎の部活動を舞台にしたギャグマンガ。原作は『魁!!クロマティ高校』の野中英次先生、作画は亜桜まる先生。単行本6巻まで出てるし、よく分からない枠だったけど一応アニメ化もしてるので、打ち切りとして扱うか微妙なところですが……。まずこのマンガ、「伝統芸継承部」の設定はあんまり重要じゃないです。舞台装置として出てくるだけで、そこを掘り下げようという姿勢は全然ありません。全体的に行き当たりばったりというか、いい加減なのがビシビシ伝わってくるマンガなんです。
原作・作画で分かれているからなのか、単純に「クロマティ高校の美少女ver」とも違う独特の妙味があります。連載当時に流行っていた美少女キャラ日常系ギャグをやろうとして、なんか微妙にズレているような。ずっと心のミゾにひっかかり続けている作品です。もっとカルト人気があってもいい作品だと思います。
かまどの好きなマンガ
人造人間100
【おすすめ人:かまど】
2023年頃に週刊少年ジャンプで連載されていた、人の心を持たない人造人間と少年の物語です。「理想の人間」になりたい人造人間と、「上質な肉体」を持っている男の子が出会い、将来、自分の肉体を差し出すことを条件に、最強生物である人造人間の力を借りて、家族の仇を討つために旅に出る……といったストーリーになっています。
『人造人間100』1巻より引用一見、仲良し二人組に見えますし、でっかいお姉さん&少年という特定の層にぶっ刺さる組み合わせでもあるんですが、「お互いの目的が達成されたら、最終的には殺されてしまう」という、残酷な契約で成り立っているギリギリな関係性です。
設定だけ聞くと、よくある人外×人間のバディもので、「なんだかんだで人造人間にヒトの心が芽生えて、二人の絆が云々するんでしょ……?」みたいな定型をイメージしてしまいがちなんですが、このマンガの凄まじいところは、「人の心がない存在とは、根本の部分で分かりあうことはできない」という主軸があまりにもしっかりしていることです。
『人造人間100』1巻より引用人造人間は徹底して「少年の肉体」にしか興味がなく、にこやかな表情も、楽しげなコミュニケーションも、すべて「いずれ自分が奪うことになる肉体を健康に維持するため」の演技でしかありません。例えば、敵とのバトルで傷を負うなどして、肉体の質が下がってしまったら、あっという間に人造人間にとって無価値な存在になるので、すぐに殺されることになります。
このギリギリのバランスが一貫していて、コミカルなシーンにも、胸を熱くするバトルシーンにも、常に切っ先の上を歩くような緊張感がついて回る独特な読み味があり、これがもう本当にスゴいんです。
バディものの王道を逆手に取ったシニカルな作品のようにも思えますが、この「バケモノとは分かり合えない」という信念を貫くことで見えてくる新しい王道の物語が描かれていて、それも素晴らしいです。
物語の都合でキャラクターが歪められることもなく、かといって「どうせ分かり合えない2人でした」と投げっぱなしにするでもない。徹底して誠実な作劇を通して、これまでに見たことのない爽快な最終回を見ることができました。
打ち切りとなってしまい本当に本当に残念ですが、僕の中で未だに強烈にインパクトを残し続けている作品です。もっともっと注目されていいマンガだと思います。
独創性がありつつ、それを王道に仕上げる手腕、体幹のしっかりした作品観、小気味いいセリフ、魅力的なキャラクター、そして、最終回後に追加された番外編から見えてくるサービス精神などなど。
短命で終わらせるにはもったいない数多のクリエイティブが作品全体に満ちていて、この作者、江ノ島だいすけ先生のことを「今後も面白いものを作っていく人なんだろうなぁ……!」と心から信用できます。
あくまで個人的な話ですが、この直感は、かつて「逢魔ヶ刻動物園」というマンガが打ち切られたときに抱いた感覚によく似てるんです。
「逢魔ヶ刻動物園」を描いた堀越耕平先生は後に「僕のヒーローアカデミア」で世界的なマンガ家になりましたが、この「人造人間100」にも同じ波動を感じます。この人、いずれとんでもないマンガをぶちかましてくると思います。みんなで期待して待ちましょう。
ギャラクシーの好きなマンガ
皇国の守護者
【おすすめ人:ギャラクシー】
『鉄血のオルフェンズ』でのキャラクターデザインや、長編マンガ『シュトヘル(1) (ビッグコミックススペシャル)』などの作者、伊藤悠先生の戦記マンガです(原作小説・佐藤 大輔)。ほぼ日本なんだけど一応架空の国『皇国』と、西洋(ドイツやロシアっぽい)を思わせる『帝国』との戦争を描いた物語ですね。
圧倒的物量で皇国北領に攻め込んできた帝国から、皇国軍が撤退する時間を稼ぐために、主人公の陸軍中尉が撤退戦を行うという内容なのですが、かなりリアルな質感の戦争が描かれていてヒリヒリする緊張感があります。
普通に考えれば寡兵の皇国軍に勝ち目はないのですけど、一応ファンタジーでもあるので、主人公たちの部隊が剣牙虎(サーベルタイガー)を飼っててそれが活躍したり、龍がちょっとした味方をしてくれたり、皇国側にのみテレパシーのような能力を持つ兵たちがいて戦況の把握や作戦行動において大きなアドバンテージを持っていたりと、ちょうど「ひょっとして……いや無理だろ……え、どうなるのーーー!!!??」っていうバランスになってます。
あと主人公の新城直衛中尉が、勝つためには(というか撤退戦だから負けることは確定してるんですけどね)手段を選ばない奴で、逃げながら井戸に毒を入れて帝国軍を苦しめたり、守るべき自国の村を焼き討ちしたり、使えねー上司をわざと突出させて見殺しにしたり、清々しさの欠片も持ち合わせてない。それがまた、「でもこいつならひょっとして何とかしてくれるんじゃないか……?」と思わせてくれる人物なんですね。
マンガでは北方の撤退戦が終わり、いよいよ本土決戦……! というところで唐突に終わってまして、そして、原作者の意向で絶版になって電子化すらされてません。このまま続いていれば、間違いなく、いやほんと絶対に日本マンガ史上に残る大名作になってた作品なので、この機会に古本屋などで探してみてくださいね!
さようなら
以上!出来ることなら、続きが読みたいものですね…。
敬具