オモコロブロス!をご覧の皆さん、お食事中に失礼いたします。
電気バチと申します。
僕は結構アートが好きでして、特に造詣が深いというわけではないのですが美術館に行くのが趣味です。
過去に行った美術展の一部
でも最近はあんまり行けてない……なので、行こう!行って記事にしよう!
ということで、久しぶりに美術展に足を運びましたのでいろいろ書いてみます。
今回行ったのは六本木・森アーツセンターギャラリーで開催中の「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」。
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」
ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群が東京・六本木に集結。
彫刻、棺、宝飾品、土器、パピルス、そして人間やネコのミイラなど約150点の遺物を通じて、私たちの想像を超える高度な文化を創出した人々の営みをひも解きます。人々はどんな暮らしを営み、何を食べ、何を畏れていたのか。彼らはどんな言語を話し、何を書き残したのか。ピラミッドはなぜ、どのようにして造られたのか。ミイラに託されたメッセージは。そして死後の世界とは。 (公式サイトより抜粋)
会場内は大きく3つのカテゴリに分けられており、古代エジプトの人々の暮らしぶりからミイラ作りの方法まで、かつての営みに思いを馳せることができます。
たくさんの貴重な遺物が見れました。
個人的にうれしかったのはほぼすべての展示品に解説のキャプションがつけられていたこと。どういう背景で、どういった目的で作られたものなのかなどがわかりやすく記してありました。
本展の監修も務めるエジプト考古学者の河江肖剰さんによる一言メモもいたるところにあり、より深い知識を得ることができます。
それではここからは、なかでも個人的に気になった展示品をいくつか、イラストでご紹介します。
※人物名等の表記は展示内の表記に準拠
でっかい石碑
ラメセス2世の石碑(前1279〜前1213年頃)
古代エジプトの人々の暮らしが刻まれたレリーフや偉い人が履いていたというサンダルを見て、「古代の人もオシャレに気を配っていたんだなぁ」などと思いながら順路を進んでいたら、突然自分の身長ほどもある巨大な石碑が現れました。
神と女神がファラオである「ラメセス2世」に王権の象徴を授ける場面が描かれているそう。
というか、あまりにも「ザ・古代エジプトの石碑」といった感じで、マジで作り物かと思った。
石碑は歴史的にも残りやすいと聞くけれど、約3300年も前のものがここまでハッキリ残るものか、と感心します。
ラメセス2世といえば、アブ・シンベル神殿の像が有名ですよね。中学の英語の教科書に出てきたのでよく覚えている。
アブ・シンベル神殿
クフ王(と思われる人物の)頭
王の頭部(前2650〜前2600年頃)
広いスペースの一角でスポットライトに照らされて異様な存在感を放っていたのは、ギザの大ピラミッドを建造させたことで知られる「クフ王」の頭部だと考えられる石像。
石像から王の名前は失われているものの、頭部の様式からクフ王ではないかと推測されるのだそう。
クフ王の彫像は少ないため、非常に貴重だそうです。
青いサル
サルの像(前1353〜前1336年頃)
青いサルの小さい像。
高さ5.4cmのカプセルトイのようなサイズ感がかわいらしい。丸くて大きな耳を持つ姿は、現代に生きるサルの姿と変わりないように思えます。
多額の費用を投じて輸入する必要があったサルは、飼い主の富や地位の高さを示す動物だったとのことです。
青いカバ
カバの像(前1938〜前1539年頃)
青いサルと同じところに展示されていたのはこちらの青いカバの像。
あれ?
リーフレットとかに載ってるやつと違くない??
よく見ると、逆さまに展示してありますね。
キャプションを読むと、古代エジプトにおいてカバは豊穣と再生の象徴であり、子どもを守るメスのカバの像を墓に納置することで死者も守ってもらうと信じられていたとのこと。
そして、獰猛なカバに襲われないように像の足を折ってから副葬していたんだそうです。
その折れた足を見せるために逆さまに展示されていたんですね。
めちゃくちゃきれいな首飾り
ビーズの襟飾り(前1390〜前1352年頃)
色鮮やかななんとも美しい襟飾り。それぞれのパーツは果物や花、葉をかたどっているそう。
古代エジプトでは死後の世界で再生するために肉体を生前の姿のまま残すなどの目的でミイラが作られており、この襟飾りも亡くなってミイラとなった持ち主の包帯に挟み込まれたのだそうです。
パーツは石ではなく、「ファイアンスビーズ」という陶器の一種が用いられています。
ハエのペンダント
ハエのペンダント(前1539〜前1292年頃)
ハエのペンダント?!
何それ?世界初のジョークグッズ??
と思ったら、立派な褒賞だそうで、かつてのファラオが優れた者に授与していたものだそうです。
しつこく飛び回ることから「粘り強さ」を意味するハエは、持ち主を守る意味合いがあったとされていたそうです。
というか、ハエって古代エジプト時代からしつこく飛び回っていたんですね。
スカラベ(フンコロガシ)が崇拝されていたり、古代エジプトでは虫も重要視されていたようです。
ネコのミイラ
ネコの棺とミイラ(前664〜前332年頃)
古代エジプトでは、人間だけではなく動物もミイラにされていたとのことで、こちらのネコのミイラもその一つ。
ネコの形を保ったままのとてもきれいな状態でした。ミイラにされたあとは埋葬されたり、人間の来世での食料として供物にされたりしていたそう。
ベタな表現ですが、今にも動き出しそうなくらいネコそのものでした。
泣き女のレリーフ
泣き女のレリーフ(前1319〜前1204年頃)
悲しみの泣き声が聞こえてきそうな、「泣き女のレリーフ」。
その名の通り、泣いている女性たちの姿が彫られています。なかには地面にうずくまっている人も。
ですがこの人たちは、泣くために葬儀に雇われているのだそうです。
古代エジプトでは嘆き悲しむ行為が死者が来世へ無事に飛び立つために欠かせないとされていたらしく、泣き女たちはそのために必要な存在だったとされていました。
単に泣く演技をしていたわけではないんですね。
棺
〈家の女主人〉ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ(前1292〜前1190年頃)
展示の最終エリアに行くと、薄暗い空間の中にたくさんの棺が!すごい光景でした。
こちらは「ウェレトワハセト」という人物の棺(奥)とカルトナージュ(手前)。この展示のメインビジュアルにも使われているシンボル的な存在です。
カルトナージュとは、ミイラを納めるためのもので、亜麻布やパピルスを何層にも重ねて作られているそうです。
棺はウェレトワハセトが生前着ていた衣服をまとっていますが、古代エジプトでは来世で再生するために、女性も一度男性の身なりにするという文化があったそうですが、そのためこのように女性の衣服を身に着けた姿で描かれるのは珍しい例とのこと。
ちなみに、この展示室では死者を弔う古代エジプト語の呪文の再現音声がずっと流れていました。異様な空間。
でっかい石棺
パディアンプウの石棺の蓋(前305〜前30年頃)
最後は、高さ2mほどの大きな石棺のフタ。
この部屋、セットの装飾として石の柱の装飾が建っていたりするのですが、その流れでこれも作り物かと思っていたら本物だった。
さきほどの棺は木製でしたが、時を経て石製が主流になったとのこと。
その顔はにっこりと微笑んでいるように見えました。
グッズ
そして、最近の美術展といえば多種多様なミュージアムグッズ!
この展示も図録をはじめお菓子や身に付けるものなど、さまざまなグッズが作られていました。
青いカバキーチェーン(税込¥1,320)
僕は青いカバのぬいぐるみがついたキーチェーンを買いました。
「ミュージアムグッズを買う」という目的で美術展に行くのも個人的には全然アリだと思います!
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」は、森アーツセンターギャラリーで2025年4月6日(日)まで見ることができるそうです!
詳しくは公式サイトをご覧ください。