12月某日……
はぁ……寒いなぁ……
12月の夜道は身体の芯まで冷えてくみたいだ……
こんな夜はアレが喰いたくなるなぁ……
そう!屋台のおでん!
赤いちょうちんぶら下げた荷車!四角いおでん鍋から漂う出汁の香り!
湯気を浴びながら食べたいおでん種を見繕う至福の時間!
たまご、こんにゃく、ちくわぶ……好きな具材はいっぱいあるけれど、やっぱりおでんと言えば大根だよな~!
10万円するフグの懐石だの、100g1万円の松坂牛だの何だの
高えモンはあらかた食ったけど……
ああいう屋台の大根がいちばんうめ……
待て。
おでんの屋台って見たことなくね?
おでんの屋台。漫画やアニメ、ドラマなんかでは時たま登場する舞台装置。
でも、ああいう典型的なおでんの屋台って実物見た事なくないですか?
福岡に代表される、屋台街が街に馴染んでいる地域ならいざしらず、俺の住む東京ではリアカーを引く屋台はめっきり見なくなりました。
いや、正確には「見たことすらありません」。
数が減っているとは聞いているんですが、そもそも上京してきた頃には既に絶滅寸前。おでんの屋台は「サザエさん」とかでしか見た事ないんですが、俺と同じように「テレビの中でしか見た事ない」という人も少なくないはず。
はあ……「屋台で食べるおでん」なんて風情は、もう東京には存在しないのかなぁ……
プルルルル……
……もしもし。
久しぶり!今度東京に遠征するんだけど、屋台でおでん喰える所ってないかな?ドンブラザーズ見てたら食べたくなっちゃってさぁ!
えー?多分ないよ。おでんで有名な「丸健水産」は美味しそうだけどイメージと違うでしょ?ググっても『屋台風』の店舗が出てくるだけみたい
うーん……屋台って『店舗』じゃないから食べログとかに載らないんじゃない?だからSNSで探したら通ってる人の投稿があるかも
一理あるな。Twitterで探してみるか……あ
『屋台のおでん屋さんのアカウント』を見つけた。営業場所も書いてある
行くしかねぇな!
応!
という事で食べに行きます!人生初、屋台のおでん!
こんにちは。ストーム叉焼です。風呂上がりのほかほか状態で失礼します。
ここは鶯谷にある銭湯の萩の湯。別に無意味にひとっ風呂浴びたわけではありません。
今回お目当てのおでんの屋台が、こちらの萩の湯様の軒先に現れるという事でお邪魔しています。
すっかり早くなった冬の夕暮れの中……
あ!
リアカーの屋台だー!
こちらが東京ではすっかり貴重になったおでんの屋台、
「天つゆおでん屋台」様。想像上のおでんの屋台より、更にコンパクトなお店です。
こちら、店主さんがドラマ「北の国から」をリスペクトするあまり、主人公の黒板五郎が建てた丸太小屋よろしく手作りした屋台なんだそうです。
着々と進む営業準備。お店のライトやランタンに火が灯ります。
展開し終えてもこのスペースに収まる位、本当にコンパクトなお店です。
という訳で設営完了!……なんですが、おでん鍋の中身がいい感じになるまである程度の時間が必要との事なので、一旦失礼して仕上がりを待ちたいと思います。
普段の営業開始は17:30ごろ(変動あり)ですが、18時以降の来店がおすすめです。
ちなみに早い時間だと具材の種類が多く、遅い時間だと味が更に染みているとの事でどの時間に向かってもそれぞれの楽しみ方がありますね。
時間を調整するなら、萩の湯に入ってほかほかになっておくと最高のおでんが味わえます。
1時間ほど後、友人達を引き連れて再度訪問。
こうしている間にも続々とお客さんが来ていました。
皆来てくれてありがと!1人じゃ撮影難しいから助かるよ
だとしても3人も連れてくる必要あった?
なんか……少人数だと心細くて……
一人で飲食店入れないタイプ?
今更の登場人物紹介
ストーム叉焼……筆者。屋台のおでんも、フグも松阪牛も食べた事がない。金ってのは一体なんなんだろうな。
友人……カメラマンとして呼んだ。3人いるけど記事では便宜上1つのアイコン。
鍋の中には所狭しとおでんが!
つゆに染まって黒々としたおでん種!せっかくなので「おでんと言えば!」なオールスターをいかせて頂きます!
大根、たまご、ちくわ、こんにゃく、ちくわぶで!
まずはこいつからでしょ!
しみっしみの大根
しみっしみの大根!
しみっしみの大根!!!
美っ味……
『天つゆおでん屋台』ではその名の通り、おでんのつゆに天ぷら屋さんの天つゆを使っているとの事。甘みのある黒いつゆが大根からじゅわっと溢れ出して……たまらん!普段食べてるおでんより重厚感があり、寒空の下で身体に染み渡る味です。
次は個人的に結構好みなちくわぶを。炭水化物大好きなので。
人生で一番美味いちくわぶ
それぞれの具材にこだわりの仕入先があるそうですが、こんにゃく類やちくわぶは荒川区にある「六幸食品」というこんにゃく専門店から仕入れた品との事。どちらも脇役なイメージのある具材ですが、最高のダシがこれでもかと染みたこれらはおでんの看板を張れる仕上がり!実際に一番売れるのもこんにゃくとの事。
ここ来たらこんにゃくとちくわぶは絶対食べてくれ!
他にも王道から変わり種まで多種多様なおでん種が目白押し。
渦巻きではなく温泉マークがチャームポイントのなるとや……
ソーセージ串なんかもジューシーでおすすめ。
結構本格的なカレー味のする「カレーボール」なる練り物と、じゃがいもがセットになった「カレーセット」はカレーを入れるアレ(グレイビーボート)で提供されたりも。
ドリンクは日本酒・焼酎(麦、芋)の小瓶が用意してあり、セットで提供される割材で割ったり……
セルフで熱燗にしたりも出来ます。
おでんの屋台で一杯引っ掛けるって、まさにアニメで見てた大人仕草!
俺アルコール飲めないけど!
俺の代わりに誰か一杯行って欲しいんだけど、熱燗飲める人いる?
じゃあ貰う。今日は飲みたい気分なんだ
……何かあった?
明日俺が追ってたシリーズのライブがあってさ。(撮影日の翌日は12/4)俺はその為に上京したんだけど……
ライブで新しいコンテンツの発表がなかったら……もう、終わるかもしれないんだ。多分そうなったら、ライブも最後になる。
飲みな!!!
人生色々あります。出会いも、別れも、サ終も。
ちなみにアルコールが飲めない人、ビールで行きたい人は近くの自販機や萩の湯二階の休憩所で購入し、持ち込んでOKとの事です。
(萩の湯の休憩所はお風呂を利用してなくても入場可能です)
「それだと屋台のお金にならないのでは?」と尋ねたのですが、
「敷地を借りている分、そちらに利益を落とす事でWin-Winの関係にしたい」との事でした。
キンキンに冷えた美味しいサイダーなんかが置いてあって下戸でも楽しめます。
という訳で、今となっては激レアとなった東京のおでんの屋台、『天つゆおでん屋台』様の紹介でした。
今回は風情を味わう為野外で頂きましたが、こちらでは持ち帰りにも対応していて、実際取材中にも頻繁にテイクアウトのお客さんが訪れていました。
お近くにお住まいの方、屋台のおでんを体験してみたい方、風呂上がりのおでんで優勝したい方は是非お越し下さい。
……ん、卵に温泉の焼印が入ってる。可愛……
あ、それ当たりの卵ね!じゃあ卵もう一個どうぞ!
ここのおでん、当たりが出たらもう一個とかあるんですか?!
運を試したい方も是非。
『天つゆおでん屋台』
〒110-0003 東京都台東区根岸2丁目13−13、銭湯『萩の湯』正面脇
営業時間 17:30ごろから23:30ごろまで(標準)
臨時で出店場所を変更している場合や営業時間を変更している場合がありますので、お越しの際は上記Twitterをご確認ください