こんにちは!ライターのかぼちゃといいます。
先日公開された映画『パターソン』はもうご覧になったでしょうか?
監督はインディペンデント映画界の生ける伝説、ジム・ジャームッシュ。主演はアメリカで今最も旬な人気俳優、アダム・ドライバー。さらに日本人俳優・永瀬正敏さんも出演…と、注目ポイント満載の作品!
が、なみいる著名人と肩を並べて注目を集めた出演者が1人。イングリッシュ・ブルドッグのネリーです。
といっても本作は犬映画ではなく、妻と二人慎ましく暮らす主人公・パターソンの日常をスケッチした物語。
ネリーはパターソンの飼い犬・マーヴィンとして登場します。
実はこの子、本作の演技によって2016年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞した、世界の認める名犬役なんです!
パルム・ドッグ賞
カンヌ国際映画祭で上映された作品の中で、優秀な演技をした犬に贈られる賞。
対象作は犬がメインの映画かどうか、実写かどうかで限定されておらず、歴代の受賞作・受賞犬は多種多様。
例えば日本で大ヒットした『マリー・アントワネット』のモップス(2006年受賞)や、
250匹以上の犬が登場する『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』の兄弟犬(2014年受賞)、
さらにアニメーション『カールじいさんの空飛ぶ家』のしゃべる犬・ダグ(2009年受賞)の名前も! アニメもありなんですね。
なかでもひときわ輝く存在といえば、映画『アーティスト』のアギー。
十八番の”鉄砲で撃たれて死んだふり”をはじめ、多彩なジェスチャーを持つアギーは、主人公の相棒として大活躍!
主演を食うほどの人気を博しました。
もちろんアギーには一言のセリフもありません。
しかし実写における犬の演技の魅力はむしろそこ!
単純でありながら言葉で限定されない分、観客がイマジネーションを膨らませられる余地が広く、見てると思わず引き込まれてしまします。
では本作のネリーは? というと、これがアギーとは対照的。
どちらも印象的な名犬役ですが、華やかで芸達者のアギーが亜弓ならネリーはマヤ!
例えばパターソンに「散歩に行きたい」とアピールするシーン。
ネリーはパターソンの袖を噛んで引っ張ったり、リードをくわえて持ってきたり・・・といった、派手な演技はしません。
ただパターソンを見つめ、
静かに鼻を鳴らします。
「何か忘れてないかね?」
まるでそんなセリフが聞こえてくるよう。
ネリーのこういった、ささやかながら一癖ある演技を観ていると、『マーヴィン』の性格がものすごく伝わってくるんです。
パターソンと奥さんがイチャイチャすれば、横目で睨みつつ咳払いするように鼻を鳴らす。
抱き合ってキスなんてしようものなら「やめないか、はしたない!」とばかりにギャン吠え。
奥さんのことはいつも静かに見守っているくせに、パターソンヘは常にどこか冷たい微妙な視線。
パターソン夫婦はマーヴィンを我が子のように可愛いがっているけど、これってまるで…義父?
あまりに性格がハッキリ伝わってくるために、気づけば完全にマーヴィンを登場人物の1人として観ちゃってるんです。さすがパルム・ドッグ犬!
女の子ながら義父キャラ・マーヴィンを見事に演じきったネリー。その名犬役っぷり、ぜひ劇場でご覧ください!