
こんにちは。オモコロライターのみくのしんとかまどです。
のっけから自分たちの話で恐縮ですが、この度、我々の本が出ます。
うんうん。この一文は有名だよね。さすがの俺も知ってるわ
相槌うちながら読書するんだ。逆に読みにくくない?
ダメ? その方が自分のペースで読めるんだけど
その方が読みやすいならいいけどさ
今から一年前に、「本を読んだことがない32歳が初めて本を読む」という書籍を出版しました。
みくのしんが本を読み、かまどがそれを本にする……という妙な構成の書籍ですが、たくさんの人に読んでいただくことができ、このたび第2弾を出版させてもらえることとなりました。
皆様のおかげです。ありがとうございます!

さて、今日は、そんな2人の出版記念として、仲の良いライターである雨穴がやってきました。
この記事は、3名のオモコロライターがただ話すだけの記事です。
<この記事で話してる人>
本を読んだ人。
本を書いた人。
出版のお祝いに来た人。


よろしくお願いします!
お願いします! お二人の出版祝いということで、新幹線で駆けつけました
雨穴って普段なかなか会えないけど、人のお祝いごとだけはマメに顔出してくれるよな
雨穴といえば、デビュー作の「変な家」発売から3年以上経った今でも書店のランキング棚に並んでいるほどのベストセラー作家。
いまや世界で翻訳されて、ドイツにおけるミステリーの賞で1位になっていますし、雨穴本人もクレヨンしんちゃんと共演したり、成田悠輔と対談したり、プリクラになったりと幅広く活躍中。
我々も同じオモコロライターですが、普段会う機会も少なく、向こう岸の花火を見上げるような感覚で雨穴の活躍を見守っています。
雨穴ちゃんともっと会うためにも、祝われるようなことをしてかないとね
不純な動機で努力しようとしてるな
私、祝うの好きですから。どんどん祝われるようなことしてください

お祝いしてくれるのは嬉しいけど……無理させてない? 雨穴も忙しいでしょ
そんなことないですよ。かまどさんの方がお忙しいんじゃないですか?
いや、そんなことないです。雨穴に比べたら全然です
この2人は自分の忙しさを隠すんだよなぁ。普段からもっと忙しいアピールをしてほしいよ
そういう、みくのしんさんは忙しくないんですか?

……俺?
オモコロ副編集長だしね。なんだかんだ、やることがいっぱいのはずだけど
いや……俺は……まあ……

がはは、じゃねえよ
まあまあ! 人生って仕事以外の時間のほうが長いから!

今日のオモコロブロスはこんな感じ。本当にただしゃべっているだけです。
特に何も起きないかもしれませんが、お暇な方はぜひ読んでいってください。

いっぱい話すぞ!

本が完成しました

おかげさまで、第2弾の原稿も無事出来上がりました。この撮影時点では、まだゲラ(本になる直前の状態のこと)ですけど
お疲れ様でした! かまどさんは年明けからず〜~~っとこれを書いてましたもんね
半年かけてようやく出来上がったのか〜! いや〜! かまど、マジでお疲れ様!!!!
それを言うならみくのしんさんもでしょう。お二人の共作なわけですし

俺は読書しただけなので。この本について、僕から言えることは何もありません
謙遜すんなよ。みくのしんが読書したからこうして本ができたんだろ
俺のせいにすんなよ。かまどが書いたから本ができたんだろ
なんでお互いに手柄を押し付け合っているんだろう……?

ちなみに、私もさっそく読ませてもらいました。これはすごいですよ。
え? 雨穴ちゃんはもう読んでんの?
はい。とても面白かったです。一作目で完結してもおかしくないテーマだから、二作目はパワーダウンしてしまうんじゃないか…なんて勝手に心配していたんですが、かまどさんの乙な構成とみくのしんさんの成長が嚙み合って、よりグレードアップしていて驚きました
そう言ってもらえるのは嬉しいけど。まだ本にもなってないのに、なんでもう読めてんの?

長島さん(弊社社長)に頼み込んで、こっそりゲラ原稿をもらいました
なんで同僚なのに裏ルートで入手してんだ
言ってくれればデータごとあげるのに
だって……直接言うのはなんか……ね

ってことは、今の時点でこの本を読んでるのは、俺の他に雨穴だけなのか。この半年間、誰にも進捗を共有せずにずっと一人で作業してたから
うちの社員の誰も読んでないもんな。俺ですらまだ読んでないんだもん
お前は読めよ

今回は「国語の教科書を読む」というテーマなので、一作目とは違った意味でスタンダードな作品が多いですね。「少年の日の思い出」とか
ああ〜! エーミールのやつね! あれはすごかったな〜! あんなの子どもに読ませちゃダメだろ!!
みくのしんってこの作品も初見だったんだよな。「クジャクヤママユ」とか「そうか、つまり君はそういうやつだったんだな」とか、どこかで聞いたことなかった?
授業でやった記憶はまるでないなあ。インターネットの人たちがあるあるネタのように使ってるのは、なんとなく見たことがあった気がするけど……

あと、「枕草子」もよかったですね。まさか古文にまで手を出すとは
清少納言ね! あれも爆裂に面白かった! 今まで読んだ本の中でも一番かも!
古文を読んでそういう感想になるやつも珍しいよな
でも、「枕草子」まで読めたのは本当に自信になったな〜! ようやく心から「本が読めるようになった」って言えるもん

この本の中でも「枕草子を読み切ったら、国語のエンドロールが流れるだろ」って言ってましたよね
古文のことを「国語のラスボス」だと思ってたんだよな
そういやそんなこと言ってたな〜。懐かしい! 最後は本当にエンドロール流れてるから、みんなにもこの本を読んでほしいです!
※【編集部注】流れてません。
雨穴のおかげ

雨穴は、この本が完成するまで、ずっと見守ってくれてたよね。なんなら執筆が始まる前からずっと一緒だった気がする
そうですね。かれこれ半年以上はじっとり眺めていたと思います
そもそもは雨穴を巻き込むつもりなかったのになあ
この本をつくるために、関係者だけのチャットルームを作ってたはずなんだけどね。俺とかまどと、出版社とやり取りをする長島さんの3人だけだったんだけど……

いつの間にか雨穴ちゃんがいた
気がついたらチャットメンバーが増えててビックリした
潜り込みました
サラッと恐ろしいこと言わないでよ

実は長島さんが誘ってくれたんです。「入る?」と言われたので「入ります!!!!」と即答しました。何度も言ってることですが、ライターになる前からお二人のファンなので。私、8年前から「かまってみくのしん」(オモコロで連載しているかまどとみくのしんのウェブラジオ)を聴いてるんです。やっぱりミークノトークの回は白眉ですよね。もちろん「燃えないでゴーイングメリー号」も通しで聞きました。夢顎損保のジングル、また流れないかな。あ、こうして好きなエピソードを挙げるとつい昔のばかりになってしまうんですが、それはほら、思い入れの問題であって近年のものも当然好きです。天ぷら相撲の回は唸ったし、みくのしんさんがネズミに茄子のヘタを食われた話も最高だし、最近「パーフェクト算数教室」の途中に割り込んでくる謎の先輩の話ももっと聞きたい。あと私はやっぱり歴代テーマソングの中では「アクマの目」が一番好きですね。そして「humid」も!!!!
落ち着け落ち着け
なんで毎回この話になると饒舌になるんだ
と、そういうファン心理から、特に役割もないのにチャットに入ってしまいました。ご迷惑だったらすみません……
迷惑ってことはないけど、雨穴もヒマじゃなかったでしょ。それこそ次回作の執筆とかもやってたんじゃないの?
やってました。だからなおさらです。執筆作業って孤独なので、仲間が欲しかったんです

そういえば、ハラハラすることもありましたよね。執筆中にかまどさんの原稿のデータが全部消えたじゃないですか
あ〜! あったあった!

当時のチャット履歴
最初にチャットで言ってたとき、冗談だと思ったんだよな。仮に本当だとしても、今どき消えたデータくらいどうにかできると思ってたし
普通はどうにかなるものですけどね
それがどうにもならなかったんだよなぁ

8割くらい完成してた20MBくらいの原稿データが、気づいたら0.15KBになって……
その数字を見たときは鳥肌たちましたね。0.15KBって、本当に1文字も残ってないということですし
クラウドに保存してたから、どうにかなるんじゃないかと試行錯誤してたけど……
「技術的な問題だから」って、必死になってチャットGPTに解決法を聞いたりしてたよね

当時のチャットGPTの履歴
最終的にはチャットGPTもメンタルケアしかしてくれなくなって……
だんだん「マジの大事故が起きてんじゃん」と分かり初めて、チャット内でも誰も言葉を発しなくなったもんな
結局、どうあがいてもデータは復旧できなかったので、またイチからやり直しになっちゃった

あのとき、裏で雨穴ちゃんにDMしてたな〜。「こういうとき、俺はなんて声をかけたらいい!?」って相談してたもん
雨穴に余計な気を揉ませるなよ
あのときのみくのしんさん、お産に立ち会う夫のようでしたね。言葉さえ無力というか
でもさ……。このときのかまど……

笑ってたんだよ
なぜ?
わからん。本当に狂ってしまったんだと思う
まあ、最悪どうにかなると思って。人が死んだわけじゃないんだし

あと、みくのしんと雨穴が見てたから、「こんなトラブルがあった上で、締め切り通りに書きあげたらビックリするだろうな」ってワクワクしてました
そこでワクワクするのはおかしいです。まあ、そういう男だからこそ完成まで持っていけたんでしょうね。おかしいですけど
どちらにしろ、狂ってはいたんだな

実際、一人だったら諦めてたと思うけどね。雨穴が見てたから、「これくらい大したことじゃないけど?」ってカッコつけようとしてただけです
チャットルームに居着いてしまった私にも、いくらかは存在価値があったってことですかね……
そりゃそうでしょ。この件のほかにもいろいろ相談にのってもらったしさ
そういえば執筆中の話でいえば……

病室にて
かまどさん入院してましたよね
お恥ずかしい。最後の詰め作業で油断してたら、人生初のぎっくり腰になりました
何してんだよ
どうやら執筆中の姿勢が悪すぎて、腰に莫大な負担をかけてたらしいです。溜まりに溜まった腰のダメージが爆発しました
莫大な負担って……。普段どんな感じで執筆してるんですか?

こう、イスに深く寄りかかって……
見るからに腰に負担がかかってそう
医者じゃない俺でも、ドクターストップかけていいと思う
ぎっくり腰が治っても1ヶ月くらいは不調だったからなぁ。これを機に、作業環境を見直さなきゃいけないとは思ってるんだけど

ちなみに、雨穴はどうやって作業してるの?
お、いいね。雨穴ちゃんはベストセラー作家だし、そういう人の作業環境は参考になるんじゃない?
恐れ多いです。それに、参考にならないんじゃないかなぁ……。私は執筆中に机を使わないので

え?

机を使わずにどうやって執筆すんの?
えっと……こう、床に寝転がって……お腹にPCを乗せて……

こうです
ウソだろ

筋トレ初日の腹筋じゃねえか
こんな姿勢で作業してたら、枕がいくつあっても足りないだろ
あ、首の下には何も敷いてないです。頭を宙に浮かせたままやってます
なんで自分を拷問しながら執筆してんの???

この状態で作業できるものなの? モニターも2つ、3つと使いたくならない?
モニターは繋げ方が分からないので使ったことがないんです。とはいえ、さすがに動画を制作するときはこんな姿勢ではやってないですけどね
そっか。雨穴ちゃんの仕事って執筆以外にもあるもんね。動画を作るときは環境を変えてやってるんだ
動画を制作するときは……

こうです
イス知らないの?

なんかこういう格好で南極の海泳いでるUMAいたよな
こんなの長時間の作業に耐えられる姿勢じゃないだろ。雨穴ちゃんは腰大丈夫なの?
全然大丈夫じゃないです!
お前ら本当にさぁ……。身体は大事にしろよ!!! マジで!!!!

はい
2作目のゲスト

一作目は雨穴にゲストとして協力してもらったけど、この二作目ではお声がけしなかったよね
正直な話、本の売上を考えたら雨穴に1枚かんでもらったほうが絶対にいいんだけどな
正直な話すぎるなぁ
いえいえ、今の二人にはもう飛び道具は必要ないでしょう。だた、ご協力できることがあったら何でもする気ではいますけどね
そう言ってくれるのはありがたいけど……
大和書房「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」p.264より
一作目に出演してくれたときって、サプライズで書き下ろしの短編をぶち込んできたりしたじゃん
その節はどうも
あんなサービス精神を見せられたら、ビビっちゃうって。また無茶させちゃうんじゃないかと思って、おいそれと声掛けできなかったんだよ

でもまあ、実際、こうして、雨穴がお祝いに来てくれるだけでも十分じゃない? こうやって記事が一本書けるわけだし
正直な話すぎるなぁ
でも、お祝いをきっかけにここに来られるのは嬉しいです
「本が読めない33歳が国語の教科書を読む」より引用
ちなみに、二作目ではゲストにラランドのニシダさんをお招きしました
緊張したよな〜!!! 話したらめっちゃいい人で安心したけど……当日会うまではめっちゃ怖かったわ
ニシダさんはどういう経緯でお声がけすることになったんですか?
それはもう、単純に「かまどが大好きな作家さんだから」だね。これまで、俺のために本を選んできてくれたから、今回はかまどの希望を通したらどうかなって

ニシダさんのデビュー作を2年前の育休中に読んだんだけど……これがちょっと好きすぎて。久しぶりに、「本」じゃなくて「作家」単位で惹かれる存在に出くわした感覚があったんです
それはだいぶディープなファンですね
今思うと、「お笑い芸人さんが書いた本」ということで、心のどこかで油断してたのかもね。はじめは風呂に入りながら、何気なくKindleで読み始めたんだけど、最初の数行を読んだ時点で「あ。これ、風呂入ってる場合じゃねえな」と湯船を飛び出して夢中で読み切りました
前々から、話は聞いてたんだよな。かまどがこんなに興奮してるの珍しいから俺も覚えてたもん

当時は、育休期間で会社のメンバーと会うこともなかったから、この衝撃を共有する機会を逃しちゃってたんですよ。特に、みくのしんには絶対読んでほしくて
それで、改めてみくのしんさんにも勧めたんですね
そうそう! 読書企画とは関係なく、2人でニシダさんの本を読んだよ。短編で読みやすかったし、内容も俺が好きなカッケー邦画みたいな雰囲気でめっちゃ楽しかった!
その結果みくのしんも好きな作家さんになったから、この機会にゲストでお迎えできないかと思って。ダメ元でオファーさせてもらったんですけど、こんな連中につきあってもらえて嬉しかったです

お二人に影響されて、私もニシダさんの本を読みましたけど……すごかったですね。いったいこの人には、この世界がどこまで「見えてる」んだろう……と恐ろしくなりました。お笑い芸人としての彼のイメージともまた違いますし
わかる! 実際にお会いしたときも、似たようなことを本人に言っちゃったもん
あと、みくのしんさんだったらどう読むんだろうと気になりました。「このシーンでは、なんて言ってたんだろう」とか
当時の録音データ
それで言うと、読書中の音源は残ってるよ
なんでだよ
別に記事にする予定もないけど、なにかの記録になればいいなと思って。たまに聞き返して笑ったりしてます
読書の変態じゃん
読書の変態じゃないですか。言い値で買います
2人ともどうかしてるって

あと……失礼ながら、「かまどさん、こういう作品が好きなんだ」というのが少し意外でした
そう? かまどが俺に勧めてくれる本って、だいたいこんな感じじゃない?
でも、ニシダさんの作品って、ジャンルとしては「純文学」じゃないですか。かまどさんの好みとは違うんじゃないかなと思いまして
たしかにね。自分がいつも読むのはミステリーとかSFとかそういう娯楽小説ばかりだから、純文学ってあまり読んでこなかったし

今までいろんな本を読んできたけど、「純文学」というジャンルの魅力が、正直全然分かってなくて……
なのに、俺に文学を読ませてたのかよ
もちろん、「こういうのが名作とされてるんだな」というのは知識として知ってはいたけど。本屋で買うとなったら、やっぱりフィクション感の強いTHE・物語といった作品ばっかり読んじゃうんだよな

ただ、みくのしんの読書記事を執筆する過程で、だんだん「純文学」が楽しめるようになったと思う。昔に読んでて素通りしてた作品も、今なら全然読み方が違うもんな
そういうもんなのか。かまどって昔から文学少年なんだと思ってた
読書記事を書く前の自分は、文学の良さに気づくアンテナが立ってなかったんだろうね。ニシダさんの本も、2年前の自分だったらこんなに刺さってなかった気もするし

じゃあ、かまどさんが文学を楽しめるようになったのはみくのしんさんのおかげってことですね
それはそうなんだけど……そう言っちゃうとキモくない?
録音を聞き返して一人で笑ってる奴が今さら何言ってもムダだろ
ちなみに、ニシダさんの2作目もすごかったよ。いち早く読みたかったから、発売日に一気に読み切ったもんな
かまどって本読むの早いよな〜。買ったらその日のうちに読み切ってる気がする
特に、表題作の「ただ君に幸あらんことを」が、個人的にめッッッッッッちゃ良くて。なんなら読み終わったときに拍手しちゃったくらい
へえ……。このあと読みます。拍手したくなるほどすごい小説ってどんなものなのか気になる

ん? いや、そうじゃなくて。実際に拍手したよ
え?
ん?
……本を読んでて、どうやって拍手するんですか
どうって……

読み終わったら、本を置いて

こう……
本当に拍手するやつがあるかよ
みくのしんさんがそれを言いますか?
読書中に拍手する人いないよ?
チャレンジ成功!! マジすげえ!! スパチャするならここだろ!!
メロスに投げ銭すんな
みくのしんが『走れメロス』を読んでいるとき
でも、かまどって、俺が本を読んでて拍手してたら「読書中に拍手するやついない」って毎回言ってくるじゃん
そりゃ、読みながら拍手をすることはないだろ。舞台の上演中にスタンディングオベーションしないのと一緒で、拍手するなら終わった後にしなきゃ
いろいろ言ってますけど、端から見たら似たもの同士です
でも、読み終わったあとに思わず拍手しちゃうくらいは、誰でもあるでしょ?
え……私は……ないかも

ウソ? これってみんなやるもんじゃないの?
僕もやったことはないです
これ、意外と伝わってないよな。俺の読み方も変わってるって言われるけど、かまどの読書もだいぶ変なんだよ
みくのしんが「山月記」を読んでいるとき
みくのしんさんって本を読みながらリアクションをとることありますけど、かまどさんも同じだったんですか?
まさか。あんなフルMAXの感情表現をすることはないよ。ちゃんとお行儀よく読んでます
じゃあ、俺とは違うね
まあ、本を読みながら、思わず声を出しちゃうくらいはあるかな
じゃあ、俺と一緒じゃん
こないだ同僚に勧められてテッド・チャンの「息吹」って本を読んだんだけど……
「息吹」?……あ、SF作品なんですね。面白そう
そうそう。SF短編集なんだけど、収録されている話が全ッッッッッッ部面白いんだよ。途中、SFの発想が凄まじくて、思わず「いい加減にしろ」って口に出して言ったもんな
本にツッコミを入れてる?
読書中に漫才の締めみたいなこと言うなよ

普段もそうやって独り言をいいながら読書してるんですか?
いい本を読んでるときはたま〜に口に出しちゃうかなぁ。「世界で一番透き通った物語」も、途中から「おいおいおいおい!!!」とか「この人、正気かよ???」とか言ってた
落ち着きのない読書だな
どの口が言う
あと、初めて「三体」読んだときも、あまりに壮大すぎて声上げて笑ったもんな。あれもすごかった
「三体」ってそんな笑うような作品なの? Netflixでちょっと見たけど、そんなオモシロ作品じゃない気がしたけど
そういう笑い声じゃなくて……ほら、足が痺れて力が入らないときに、「へへぇ……」って思わず笑っちゃうことあるでしょ。そんな感じで、凄まじいSF作品を読んだときって、力が入らなくなって、身体が「もう笑うしかねえ」って降参して空気が抜けるじゃん。それで思わず笑っちゃったってことよ
???
???

まあ、正直私も「七瀬ふたたび」を読んだ日は、衝撃で上手く歩けず「は……はあ」と言ったりしましたから気持ちは分かりますよ
でしょ! 本を読みながら独り言を言っちゃうのは、よくあることだと思う
それはたしかによくあることだと思う。俺もでっけー声で「うおー!すげー!」とか言っちゃうし
みくのしんの場合はちょっと様子が違うんだけどな

「心」が動かされる小説っていっぱいあるけど、「体」が動かされる小説ってなかなか出会えないよね。だからこそ、そんな経験があると記憶に残るんだよな
「体」が動かされるって……思わず声が出たり、拍手したりとかそういうこと?
そうそう。他にも、泣いたり、笑ったり、鳥肌が立ったり……。映像作品ならまだしも、「文字だけ」でそんな現象が起こせるのは本当に魔法みたいなもんだと思ってるから、そんな作品には忠誠を誓うようにしてるんです
なるほど。かまどさんにとってニシダさんの本はそのうちの一冊なんですね
それでいうと、雨穴の「変な家」もそうだったよ。
え! 私も!?
読みながら「こいつ、頭がオカシイよ」って言ってたのを覚えてるもん
私の本も独り言を言ってもらえてたんだ……
あまり嬉しい独り言じゃない気がするけど

雨穴の場合は、「読みやすい本」を実現するために、イカれたことやってるなと思って。画像の配置とか文字組みとかに雨穴の執念を感じて圧倒されてました
雨穴って読みやすくするために、文字の位置とかを細かく調整してるんだっけ? たしかに、読書初心者の俺でもスルスル読めて楽しかったもんな〜
そもそも「読書が苦手なみくのしんさんにも読んでもらえるようなものにしよう」と思って書いてましたから
それで、本当に俺でも読める作品になってるんだから凄いよな〜

雨穴の凄さって、この「読みやすさ」にあると思ってて。一口に「読みやすい」って言っちゃうと、「子供向け」とか「初心者用」みたいに、イージーな作風だと誤解する人もいるだろうけど、これって本当にすごいことなんですよ
「誰にでも読める文章」の方が、書くの難しいもんな
文字を読む動線が滑らかだからこそ、「読む」を超えて「読み込む」にまで読書体験を持っていけるわけだしね
嬉しい。いつまでも褒められていたいんですが……お二人の本の話しなくて大丈夫ですか?
そういえば、これは俺たちの本の出版祝いだったわ

でも、雨穴の「読みやすさ」に懸ける執念には、個人的にすごく勇気をもらったんです。この本を作る上でも大いに参考にさせてもらいました
いえいえ……。でもたしかに、この本を読んでいると「かまどさんは文章のレイアウトから考えて書いてるんだろうな〜」というのは伝わりますよ
かまどってページをめくるタイミングとかめっちゃ計算して書いてるもんね
僕の場合は、読みやすくすることで、みくのしんの読書中に起きた面白いアレコレをノイズなしに伝えたいからね。読んでる人のうち、それで一人でも笑ってくれたら、時間かけて書いたかいはあると思う
そもそも、なんで2人ともそんなことができるの? 本を書く学校とか行ってないのにどこで覚えたんだよ

やっぱりオモコロで記事を書いてきた経験ですかね。私が執筆するときは、今でもオモコロ記事のメソッドを利用してますから
僕もそうかも。「可読性(=文字がどれだけ読みやすいかの指標)」をやたら気にしちゃうのって、WEBライターの習性みたいなもんだしね
そういうもんなのか。そんなときに参考にしてるライターとかいるの?


ARuFaさんです
2人ともそうなんだ
ARuFaさんは「読者に理解してもらう」ということに対するこだわりが常軌を逸していますよね。そのためにすべての無駄な要素をそぎ落とした結果、世界一透明なガラス細工ができてしまった……というような、大衆性を突き詰めたがゆえのアートだと思うんです
なんかすごいこと言ってるなぁ。それだけ好きってことだね
しかし、かまどさんもARuFaチルドレンだったんですね
僕らの世代のWEBライターはどうしたってARuFaさんの影響を受けてると思う。今でも、PR記事を執筆するときは定期的に読み返して気を引き締めてるもんなぁ

読者が飽きないための小ネタの入れ方とか、文章の繰り方とか……。改行のリズムとか、強弱の付け方とかも、今の自分がこなしてるスキルってぜ〜〜〜〜んぶARuFa由来だもんな
完璧ですよね。私、彼に勝つことだけを目標にこの7年間活動してきたんですが、本質的な部分では絶対越えられないという心地の良い挫折感があります。(さすがに内輪の褒め合いすぎて、はじめて読んだ人に引かれないか……? まあでも、もうウェブメディア自体、内輪の人しか読んでないからいいや!! いいよね!?)
なんか怖くなってきたな……。同じライターなのに、俺はそんなこと考えながら文字書いたことないぞ……
ベーコンエピを作ろう!
こんにちは、ライターのみくのしんです。ライータかも知れません
ライターってなんですか。文字を書くことがライターであればそうなのかも知れません。ですが僕もそう名乗っていいのですか。何文字書いて、いくら稼いだら「お客さんお仕事何してるんですか?」に対して「ライターです」と、どっかの角とか時計の影じゃなくて人の目を見て名乗れるのでしょう
先日公開されたみくのしんの記事
俺がこないだ書いた記事なんて、こんなんだぞ???
まあ、こういう人もいるさ
私、みくのしんさんにも勝てないです。ベーコンエピを自作するの、普通にすごいし
傷口にしみるタイプの優しさを見せんなよ
さいごに

ということで、かまどの腰を犠牲にして生まれた書籍「本が読めない33歳が国語の教科書を読む」は7/16(水)発売!
また、刊行記念キャンペーンも実施中! 初版限定で「かまどとみくのしんが立場を入れ替えて読書する」というおまけ企画が掲載された小冊子がついてきます。

電子書籍でも同じ内容が読めますが、冊子の場合はかまどが文字組みまで行っています。機会があれば紙の書籍を初版でゲットしてみてください。
また、Amazonで購入された方には、特典としてみくのしんの読書中の音源をプレゼントするキャンペーンも実施中! 1時間以上ある音源なので、お時間に余裕のある方はぜひお聴きください。
▼『本が読めない33歳が国語の教科書を読む』刊行記念キャンペーンのお知らせ

何卒よろしくお願いします!
余談

雨穴が来ているので、撮影中にもかかわらず「お、雨穴じゃん!」と人が集まってくる。

雨穴と話したいから撮影を邪魔してくる連中。

音声を録音しているスマホに異音を浴びせている。
(おわり)

ブロス編集部
うんうん。この一文は有名だよね。さすがの俺も知ってるわ
相槌うちながら読書するんだ。逆に読みにくくない?












かまど
みくのしん

ナ月








