警察に苦手意識があった。

なんか偉そうだし、なぜかタメ口だし、やたらと肩幅が広い。

かつて免許の住所変更に行っただけなのに、威圧的な態度にまるで自首しに行ったかのような気持ちになったこともある。

 

しかしそんな警察官も、案外悪くないかもしれないという話だ。他国に比べれば。

 

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2014年。

21歳だった僕は、大学を休学してアメリカへ自主留学をしていた。

初めての海外に浮かれていた僕は、1か月目にして拳銃強盗に遭った。

失ったのは少額だったが、なかなかにインパクトのある経験だった。(詳しい顛末はこちらの記事にまとめてある)

 

「一応警察には行った方がいいと思うよ」

 

ことの顛末を話した僕に、エドというフランス人青年は言った。彼は、僕が当時住んでいた学生寮の隣人で、当時何かと世話を焼いてくれていた。

 

「犯人は常習犯みたいだし、義務として犯罪はレポートした方がいい。あと、保険には入ってるよね? 被害届を出せば、被害額が戻ってくるよ」

 

どうやら彼なりに調べてくれたようだった。保険に関しては被害額が少ないため期待していなかったが、犯人には捕まってほしい。実際犯人の連絡先も住所もわかっていたので、通報すれば逮捕はしてくれる可能性がある。

僕は事件が起きた場所の所轄警察署を調べ、さっそく翌日に赴くことにした。