現代の日本人、ちょっと働きすぎじゃね?と思うわけです。
かつては日本でも、江戸時代の人々は午前中だけ働いて、午後からは好きに時間を使う生活スタイルが主流だったとか。趣味に興じたり、ボランティアなどをして日々を過ごしていたそうです。
一方で現代、生活はとても便利にはなりましたが、何故か心に余裕はありません。
サービス残業、休日返上、過酷な労働環境に身を投じて働く日々。効率よく仕事を片付けて早く帰ることよりも、無駄に残業する方が何故か評価が高い職場環境。よく考えるととても不思議な社会です。
また、過労死という言葉は「Karoshi」として英語辞書にも載るほどに、海外の人からも日本人は働きすぎている民族だと思われています。
もう、そんなに無理して働かなくていいんじゃね?
・・・といっても、そのためにはどうすればいいのか。大丈夫、心配しないで。僕が作ったこの2016年カレンダーを手に持って、会社へプレゼンに行ってくればいいんです!
明日の朝一番、社長の机にこのカレンダーを叩きつけて、こう叫んでください。
「社長!来年の会社のカレンダー、これ使いましょうや!」
働き過ぎのあなたが会社に提案すべき、「2016年カレンダー」がこちらです!
まずは1月です。正月休みだけだとちょっと休みが少なくて働きすぎかなと思ったので、世界中から祝日を拝借して足しておきました。
一つ足したらまた一つ……不思議なもんで、休日っていうのはどんどん足したくなっていきますね。やり始めたら手が止まらず、気がつくと31連休になっていました。
年が明け、3が日が終わってからはミャンマーの独立や、ポルポト政権からの解放を祝います。なあに、細かいことを気にする必要はありません。祝えばいいんだ祝えば。実家に仏壇あるけどコプト教のクリスマスを祝うし、大和民族だけどカレン族の新年だって祝っちゃう。「世界は一つ」。須藤元気だってそう言ってた。
2月はフィリピンの「EDSAピープル・パワー・レボリューション」の祝日名のかっこよさに勇気をもらって、思いきって29連休にしちゃいました。
中国の春節が1週間続く中、日本の建国記念日があるのでダブルの祝日です。といって休める日が物理的に増えるというわけではありませんが、この日は2倍休んだ気がするはず。
3月もまあ、とりあえず全部休みでいいや。働きすぎはよくないし。あんなに忙しかった毎日がウソのよう。最高の気分になっていることでしょう。お花見だって毎日行けます。お酒だって昼から飲める。レソト国王、モショエショエの日(3月11日)だって祝えます。すごい名前。
勤勉な人は、「うーん、そろそろ働いとかなくていいのかな……?」と不安に思うでしょうが、いいんです。とっくに全部祝日で埋めちゃったから。働きすぎだもん現代人。
安心して休も! 異様に長く続くミャンマーの水かけ祭りのある4月もずっと祝日!
ちなみに22日がミャンマーの水かけ祭りの最終日ですが、10日間水をかぶり続けたミャンマー人、全員もれなく風邪ひいて、結局25日くらいまで誰も働いてなさそうです。すごい祭りもあったもんです。
国際労働者の日が5月のしょっぱなにあることもあってか、やはり働き過ぎはよくないという意識がより強く働きます。当然この月も、全部休みです。
世間は5日までゴールデンウィークに湧きますが、我が社には関係ありません。だってほら、今年はまだ一度も働いてないのですから!
社長、やっぱ正解ですってこのカレンダー! 働きづめだったあの頃と比べたら、毎日が輝いててずっとゴールデンタイムですもん!新緑の光が僕たちを祝福してくれてます!
けどまあ、いうてそろそろ、働いとくか!? と思わせといて、6月もまだまだ休みです。
6月15日はグル・リンポチェさんの誕生日祝ってあげよ! サプライズしたげよ! 3日前くらいから軽くよそよそしくしといて、あれ? わし嫌われてる? わしチベット密教の開祖なのに嫌われちゃってる? って思わせといてからの、手作りのくす玉バーンいっとこ!
7月28日、サンマリノはファシズムから解放されていますが、労働からの解放だって働きすぎの現代人にとっては大事なこと。
そろそろ飽きてきたかもしれませんが、多分に漏れず、7月もずっと休みです。
だってほら、本格的な夏が到来したんだもの! 社員皆で海行こう海! ビーチでスイカを割りましょうや!
働かなさすぎてそろそろ社長が怒り出すか? とチラッと横目で見てみたら、社長の視線は水着のギャルにクギづけですわ。社長、あの頃を思い出して、ひと夏の恋しちゃってください! 大丈夫です社長! 明日も明後日も独立記念日で休みっす!
8月は2016年から新たに「山の日」が日本の祝日として加わるそうです。休みが増えたよ。やったね! まあ全部休みだからどうでもいいけどね!
このあたりまで来ると、おそらくほとんどの会社が潰れていると思います。だてに半年以上会社を放置している訳じゃありません。
内部留保も底を尽き、去年の12月にこのカレンダーを見せたとき、「何やこのカレンダー!すごくいいやないかキミ!ようし来年の会社カレンダーはこれで行こうで!」とアホみたいな顔してゴキゲンだった社長の笑顔も今は昔。
山あり谷あり。そう考えると山の日は8月にふさわしい祝日と言えるかもしれません。
会社はもうありません。それでも祝日は続きます。
それはそれとして、祝日を眺めていると、何気に世界の文化に興味が出てきて、「聖母マリアの七つの悲しみって何だろう?」と思って調べてみたり、「イスラムの聖地巡礼って9月にするんだ!」って思ったり、普通にちょっと勉強になっていいです。
調べてみるとわかりますが、聖母マリアの悲しみのほとんどがどうすることもできない厳しいものです。第3の悲しみだけは、なんかイエス・キリストがデパートで迷子になった子供のようで、人間味があってすごく好きです。
【聖母マリア七つの悲しみ】
第1留・・聖母は老シメオンの預言によって悲しむ。(エルサレムでシメオンという人が幼児イエスを祝福したあと、イエスの受難を預言し、マリアの心も剣で貫かれると預言したとき)
第2留・・聖母はエジプトへ逃避する。(ヘロデ王が出した「幼児皆殺し令」を逃れるために夫ヨセフともにエジプトへ避難したとき)
第3留・・聖母は御子を見失う。(12歳になったイエスをエルサレムで3日間見失ったとき)
第4留・・聖母はカルワリオへの途上で御子と出会う。(イエスが十字架を負ってゴルゴダの丘へ連れられていくのを見たとき)
第5留・・聖母は十字架のもとにただずむ。(十字架にかけられたイエスの足元に立ったとき)
第6留・・聖母は御子の亡骸を抱く。(イエスが息絶え、十字架から降ろされたとき)
第7留・・御子が墓に葬られる。(イエスが埋葬されたとき)
僕達も休みまくりながら、収入を断たれた哀しみに思いを馳せましょう。
国慶節の1週間休みもそうですが、以外に多い中国の祝日連休。
2月も春節で1週間の連休がありますし、それ以外にも5月、6月、9月に祝日連休があります。中国の方ってめちゃくちゃ休んでるんですね。だからなに?と言われたら、ちんこを見せるくらいしか僕にはできませんが、そう思いました。
問題の11月です。実は11月8日の祝日だけが世界中探してもどうしても見つからなかったんです。11月8日に休む理由、世界中で一個もないって逆にちょっと凄くないですか? だからと言ってここまできて1日だけ働くのもなぁ……と思っていたら、発見しました。
正式な祝日ではありませんが、信楽町で毎年ある信楽焼のたぬきの休日「たぬき休むでぇ~」です。
「信楽焼のたぬきの休日ってどういうこと?」と思いましたが、いつか知恵を持ったたぬきが日本を支配した暁には、この日を国民の祝日に定めることは自明の理。というわけで、一足早く僕が祝日にしておきます。11月8日は、ひょうきんな顔立ちで八つの縁起をかついで日夜頑張り続けているたぬきさん達と共に、休みましょう。
そんな多少の反則を犯しつつも、11月も怒涛の30連休が完成しました。会社はもうとっくに潰れてますが、2016年も残り2ヶ月! ここまで来たら、あとは勢いで乗り切りましょう。
あのフランシスコ・ザビエルがスペインで聖人認定されて祝日にまでなっていることに驚いた12月、大晦日を迎えて366連休の終了です。来たる2016年は働きすぎない! という思いを胸に、誇りを持って生きていこうじゃあないですか。
いかがでしたでしょうか。
このカレンダーを会社に提案することで、社長の機嫌いかんによっては最悪の場合クビもありえますが、「絶対に働きすぎないんだ!」という強い意思を持つことが大事だと僕は思います。
たとえ会社が無くなろうとも、無職になろうとも、笑えばいいんです。そう、大切なのはいつだって、屈託のない最高の笑顔。笑って笑って、人生を謳歌しようじゃありませんか!
あ~働きたくねぇ~~~~~~~~~~
(おしまい)