「しねぇーーー!!!!!!」

外人の凶刃が振り下ろされる。

もうだめだ!

 

待ていッ!!!!!

 

ガキン!!

火花が散る。

その刃を、銀色の腕が受け止めていた。

 

「彼らから離れろ」

低く、鋭い声。

 

そこには──

「正義マン……!」

 

「悪いが」

正義マンは怪人を睨みつける。

「もう“抑止する方向で動く”つもりはない」

「……!」

怪人は威圧され、思わず飛び退いた。

「き、貴様のような腰抜けに何ができる!」

 

スウウウウウゥゥゥ……

正義マンの全身から光が迸る!

 

「な、何をする気だ!」

 

正義マンの足に力が込められる!

 

ハァァァァァァァァァァァァァ……!

 

 

 

 

ジャスティースビィームッ!

 

ビビビビビビビビッ!!!

 

馬鹿なあああああああああああああああああああああ!!

 

 

 

ドゴォォォォォォォン!!!!

 

 

 

 

 


 

 

 

「あの……普通に強いんですね」

 

「これでも、ヒーローだからな」

正義マンは焼け焦げた公園へ目を向ける。

 

 

「だが、もうヒーローとして終わりだ」

「……え?」

「一方的かつ過剰な攻撃」「市街地における必殺技の使用」「避難誘導より戦闘を優先した判断」

淡々と、自分の罪状を読み上げるように呟く。

「恐らく、処分は免れないだろう」

少しの沈黙。
そして正義マンは、静かにこちらを見る。

「なにより」

「私は君たちを見捨てようとした」

正義マンは仮面の奥で力なく笑ったように見えた。

「これでは当然、ヒーロー失格だな……」

 

 

 

「あの」

「……?」

「僕って、目撃証人なんですよね」

僕はゆっくり立ち上がる。

「だったら、証言しますよ」

「あなたが」

公園を見渡す。泣いていた親子。無事だった人たち。そして、目の前のヒーロー。

「僕たちを“適切に”守ってくれた事を」

「……!」

「だが……それでは事実と異なる……」

僕は首を横に振った。

「もちろん、ルールやコンプライアンスは大切です。
でも、それは弱い人達を守る為で、誰かを縛ったり、陥れる為じゃない」

「ましてや、気にしすぎるあまり……
自分自身を見失うのは、きっと違うと思うんです」

正義マンは黙って聞いている。

「だから証言します」

 

「あなたは、僕たちを守ってくれたヒーローだって」

 

 

  ありがとー正義マーン ありがとー

     公園は消滅したけどあんま気にすんなよー  元々なんもない大したことない公園だったしー 
                               気にすんなよー

 

 

───もっと世間様を信じてもいいんじゃないかしらねえ

 

 

「……そうか」

小さく呟く。

「そうだったな・・・!」

張り詰めていた声が、少しだけ柔らかくなった。

 

「……ところで、
さっきから気になってたんですけど……」

「なんだ?」

「その額の“G”マークって何なんですか?」

 

「これか?」

ジャスティスマンは誇らしげに額を指差した。

「もちろん、

“ジャスティス”

の”G”だ!」

 

 

”ジャスティス”なら”J”では……

口に出しかけたがやめておいた。
傷つけてしまうかもしれないし。
コンプライアンス的にまずいかもしれないし。

 

はっはっはっ!
はーっはっはっはっはっはっ!

 

正義の歓笑は、午後の公園にいつまでも響きわたっていた。

 

 

おわり