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 こういう人間がいたとする。(彼は実在する)

 こんな感じで、脳があるとする。

 その脳には、これくらい記憶容量があるとする。

 物事を記憶していくうちに

 こんな感じで記憶容量がいっぱいになったとしても

 脳はよくできているので、いい感じにどうでもいい部分を忘れて圧縮してくれる。
 みんなにも覚えがあると思う。小学校で習った算数は覚えていても、小学校であった出来事全部を記憶しているやつはいないだろう。

 それで空いた容量にまた記憶を詰め込める。
 脳の記憶容量には限界があるので、新たに物事を覚えてはいい具合に忘れて圧縮。記憶ってこの繰り返しだと思う。俺は脳科学者じゃないから適当に言ってる。オモコロに書いてあることを真に受けないでください。

 でもいくらいい感じに忘れる機能があるとはいえ、脳って記憶容量に限界がある。

 だとしたらさ……

 こういうさ……

 どうでもいいことに記憶容量を割いてる場合じゃないはずなんだよ……

 でもなんか本当に心底どうでもいいのにず〜〜〜〜っと頭の中に鮮明に残ってる記憶ってある。こういう記憶に限って忘れたくても忘れられない。心からどうでもよくて、忘れてもぜ〜んぜん問題ないのに。

「知り合いのおじさんが黄色いギターピックを咥えていたのが小鳥みたいだったな」とか

「友達がおみくじらソーダ飲んでたな」とか

「子供の頃回転寿司の食べ放題でカッパ巻き食べすぎて吐いたな」とか

「理科室のカーテン、めっちゃ黒かったし汚かったな」とか

(おみくじらソーダの記憶はどうでもよくないかもしれません。良い思い出なので)

 こういう、食器洗い洗剤のCMの残りカスみたいな記憶をさ

 集めたら面白いんじゃないか。という記事をやる。ご協力してくれたみなさま、ありがとうございました。

 編者はめちゃめちゃ面白いと思っていますが、お題の性質上かなり薄味な記事です。ご了承の上お楽しみください。

幼少

 企画の性質上幼少の頃の思い出が多かった。そして本当になんでそんなこと覚えてるんだってのばかりで良かった。

 

小学校の前の歩道橋を上がりながら重いランドセルを背負ってまだ青いもみじなんか見て、あーこの思い出ってすぐに上書きされて忘れちゃうんだろうなって思った事

 一発目から最高。「忘れちゃうんだろうな」って思ったこと自体をずーっと覚えているのがいいな。

 

小学生の頃走っているときにミスって足を捻挫した時の話です。あまりの激痛で松葉杖を使った方がいいのではと病院の人に提案され使い方を習ったのですがあまりの非力さに上手く松葉杖を使えずめちゃくちゃ全力で看護師さんに応援されたのを覚えています。 古株そうな看護師さんが松葉杖を使って爆速で移動する様を見せてくれたのが印象的でした。結局松葉杖は使えず頑張って治るまで自力で歩行しました。

 骨折自体は結構な事件なのでレギュレーション違反かなとも思ったけど、爆速松葉杖の部分が印象に残っちゃってるのが好きだな。

 

幼稚園生のときに、近所の映画館もあるそこそこ大きめの商業施設の駐車場で、有料になる時間が来たら出庫してまた入れて、買い物料金で何時間無料だけを何回も繰り返すセコい技を母が使っていたこと。

 節約術だ。子供としては「なんだこの時間」ってなるやつ。

 

小学生の頃に、嵐の松潤が開発した軌道エレベーターでニノに瓜二つの宇宙人がいる星まで行くっていう夢を見たことがあるんだけど、その夢を見た日にでんじろう先生のサイエンスショーを見に行った事はそろそろ忘れてもいいんじゃないかと思う。

 それぞれ単品だと「変な夢」と「思い出」なんだけど、これがセットの記憶だから「なんだこれ」ってなるのが見事だな。

 

小学生の頃、ドラゴンボールのカードダスのゲームで目の前の子がその時の弾の目玉の絵柄が変化する悟空のカードを当てて自分はノーマルのパンブーキンのカードだった事

 これこれこういうの、こういうのが見たかった。

 

小学生の時、卒業式の準備をしていて、椅子などを運びながらふと、小学校のなんてことない今日みたいな日も、数日後数年後には忘れちゃうのかなあ、みたいなことを考えました。 それが妙に寂しく思い、体育館のステージの看板に書いてある「平成23年度◯◯小学校卒業式」という文字はずっと記憶しておいて、大人になった時になんでこんなこと覚えてるんだろって思わせよう、と思ったことを覚えています。

 覚えようとして覚えているのだからレギュレーション違反かもしれない。いや、覚えようとして覚えたことを覚えてしまっているのがなんかおかしくて良い。

 

畳の上に投げ出される夢を見ていて、目が覚めたらその日がちょうど幼稚園の入園式の日だった。 覚えている限りで一番古い記憶。

 他人の一番古い記憶って単純に面白いな……。

 

小学校低学年の運動会で全員リレーに並んでるとき、前に並んでた男の子と、「氷」の点の位置が右上だったか左上だったか、グラウンドに書きながら議論したこと。

 これもいい。「なんでこんなことを」度が高い。

 

小4のとき、授業中に隣の席の男子児童がなにか悪ふざけをしたことで先生に怒られていた。次第に男子児童は下を向きながら泣き始め、しかもメガネをかけていたせいでそのメガネにどんどん涙が溜まって、それが小さい池みたいになっていた。

 メガネに溜まった涙を「小さい池」って表現するのはなかなか詩人。

 

幼稚園ぐらいの頃、家族で行ったビーチの近くの雑貨屋みたいな店のトイレで車のおもちゃを壊したこと

 雑貨屋で買ったのかな。わざわざ家から持っていって壊してしまったのかもしれない。どっちでも味があるな。

 

6歳の時、引っ越し当日で机と椅子すら運び出されてしまったため、カップラーメンを床に寝そべって食べたこと

 これはちょっと忘れていいというにはもったいないくらい良い記憶。

 

保育園の園歌に「元気な子」って歌詞があって、そのフレーズの時手を挙げたけど周りみんな手をあげなくて、先生にもフル無視されて、すっごくつまんなくなって、その時の部屋の外見たら藤棚が満開だったことを覚えています。

 なんて美しい文なんだ。最高。

 

幼稚園のときです。 遠足のお弁当タイムで別の組の子の乳歯が抜け、みんなで祝っているのをぼけっと眺めていたのはめちゃくちゃ覚えています。 遠足の目的地は覚えていません。

 自分は祝っていた集団にはいなかったのがまた良いな。外から見てるからこそ印象に残る場合もあるかも。

 

子供の頃、叔母と遊んだ思い出 滑り台の上で、叔母の歳を尋ねたところこっそり教えてくれたが、下りた時には忘れてしまってもう一回聞いたこと。 教えてくれませんでした。

 そもそもそこまで興味なかったんだろうな。でもこのこと自体を覚えてるのが良い。

 

通っていた幼稚園に「佐藤先生」が2人いた。ある日友達が怪我をしたので大声で佐藤先生を呼んだら2人とも出てきて「どっち!? どっちの佐藤先生!?」と言われ、急遽どちらかの「佐藤先生」を選ばなければならなくなった。 私は優しい方の佐藤先生を選びたかったが、何か忖度の原体験のようなものを感じ、優しくない方の佐藤先生を選んで事なきを得た。 今思うと佐藤先生同士は仲が悪かったんだろうなと思う。

 幼稚園児にもこういう感情ってあるんだ。佐藤先生も子供が怪我してるんだからとりあえずどっちか行ってやってくれよ。

 

家族旅行に行ったとき、旅館の売店でどこにでもあるだるま落としを買ってもらった。家に帰ると急に悲しくなってきて、部屋で1人泣いた。

 この気持ちをうまく説明できないけど、あったなこういうの。

 

小学校の時、近所のおじさんが水田で黒いデカい鯉を飼っていた。ある朝その鯉が水田の脇に打ち上げられて泥まみれでビチビチ跳ねていた。 助けてあげたかったが、あまりにデカすぎるし時間もなかったので学校に行った。 学校が終わって15時ごろ水田の横を通ると、まだビチ…ビチ…と動いていた。 足で押すとバチャンと音を立てて鯉は水田に落ちた。運動靴に泥がついたので親に怒られた。

 なんてことないといえばなんてことないけど、鯉の生命力の強さが頭に染み付く出来事かも。

 

小学1年生のとき、そこそこ優等生の子が給食のレーズンパンのレーズンをむしって全て床に捨てていた。おばあちゃん先生に見つかり、こっぴどく叱られていて、こんなちゃんとしてそうな子もしょーもないことで怒られることがあるんだなぁと思った。

 どうでもいい出来事の感までセットで覚えているのが良いな。

 

おそらく幼稚園児のころ、父の運転する車でどこかしらに出かけました。誰が提案したのかも忘れましたが、しりとりが始まって私が「レモン」と言って負けたため大泣きして慰められていたのを何故か覚えてます。時期も目的地もしりとりスタートまでの流れも忘れたのに。

 負けた単語までしっかり覚えているのが最高。

 

「けすげんく」 出来事でもないですが、確実に小学生の頃から覚えてる謎の言葉です。何かの歌詞や単語をもじった言葉な気がするんですが、意味も特にないのにずっと覚えていてたまに思い出します。

 なんだかわからない言葉をなんだかわからないのにずっと覚えているパターンだ。スッキリしなさがまた脳に無駄に負荷をかけていて良い。

 

幼少の頃に祖母の家のテレビで、コウメ太夫が子供を抱っこしている映像を見たこと。 本当にただそれだけなのですが、子供心に「いつもチクショーのネタをしてる人が小さい子を抱いている。」という妙なインパクトがあり、あれから10数年は経ったであろう今日まで何故か覚えています。

 あー、印象的なテレビのシーンって全然忘れていいのに結構記憶に残ってるな。

 

小学生の頃に行った真夏の京都旅行で、旅館に到着してすぐに渡されたキンキンのおしぼりで顔を拭いたのが、とても冷たくて気持ちよかった

 これは普通になんか良いな……旅の思い出って細かければ細かいほど嬉しいし。でもこれで旅行の他の内容全然覚えてないとかならかなり趣旨通り。

 

小学校四年生の頃、人生で初めての宿泊行事で、1日目の夜に初日でそれぞれが家から持参した爽健美茶やおーいお茶を、本当は使用禁止の冷蔵庫に入れていたが、 深夜にみんなテンションがおかしくなって、お互いの中身をペットボトルから別のペットボトルに注ぐという行為を繰り返してできた産物を、ブレンド茶!ブレンド茶!となぜか盛り上がってみんなで飲んだ上そのまま製氷器に入れて凍らせた。 2日目の朝すぐに捨てた。

 ちょっと忘れていい記憶とするには面白すぎるかもしれない。ギリギリかも。

 

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