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 俺の名はナ月。オモコロライターだ。オモコロライターだけでは食っていけないので兼業でミステリーハンターを目指すことにした。『世界ふしぎ発見!』のあれだ。
 俺の不思議でスタジオのヒトシくん人形を消費させまくってやるぜ。どうやったらなれるのか全然わからないけど。

 そんなことを思っていたら『世界ふしぎ発見!』のレギュラー放送の終了が発表されていた。なんてことだ。俺はどうすればいいんだ……。

 

 …………じゃあもう、勝手にやろうかな。ミステリーハンター。

 

 ミステリーハンターのナ月だ。今日は熊本県にある遺跡、トンカラリンに来ている。

 あの人工的に作られた穴がそうだ。トンカラリンの一部だ。

 このトンカラリン、一応諸説あるが、現在に至るまで

 何なのか全くわかっていない。文献はもちろん、地元の人間の口伝にも全く残っていない。「人工的に作られためちゃめちゃ大掛かりな穴があるけど、誰も何なのか知らん」という状態がここにはある。

 良いよね「もう何なのかまったくわかりません、想像するしかないです」って謎。キュンキュンするよね。そういうの大好き。

 そもそもなぜこのようなことになってしまったのか。考えてみてほしい。
 当時の人間が残っているうちに誰も「あれ何なの?」と聞かなかったからではないだろうか。

 そうに決まっている。何なのか知ってる人間が生きているうちに誰か一人でも「あれ何なの?」と聞いて後世に伝えていればこんな素敵な謎は生まれなかった。
 でも今、完全に謎になっている。きっと、めっちゃ聞きにくかったんだと思う。

 あるよな。なんか「あれ何だったんですか」って聞きそびれた体験。先輩や上司が怖かったとか、とてもそういう雰囲気ではなかったとか。あるいはどうでもよかったとか。令和の現代でもあるんだから、古代だってあったに違いない。

 ということは、こういう「あれ何だったんですか」を聞きそびれた話をいっぱい集めたら、このトンカラリンみたいな素敵な歴史のミステリーがしこたま集まるに違いない……そうに決まっている……。

 こうしちゃいられないぜ、俺はミステリーハンターとしていつものようにエピソードを募集した。みんなの「あれ何だったんですか」が聞けなかった話だ。送ってくれた人、ありがとう。きっとこの中に未来でトンカラリンに並になっている謎があるに違いない。早速見ていこう。

 

 気にしなくても社会は回るのかもしれないけど、それにしては変すぎる。

 

 割と静かな社内で上司が「グェッ」とでかめのゲップをした後に「間違えちゃった」と言っていたこと 前にいた課長が「は?」って言っていた

 なんなんだ

いぬ

 これこれこれ、こういうのこういうの。こういうのが読みたかった。謎だ。

 

 転入した高校にて、渡り廊下の中程にある窓が一枚だけ板で完全に塞がれていました。 

 最初は割れた窓の応急処置かなと思っていたのですが、二年に転入してから卒業するまでそのままでしたし、外から見た限りでは、塞がれた窓に問題があるようには見えませんでした。

 友人がいなかったので理由は誰にも聞けませんでした。

無記名

 これを聞いちゃうことで仲間外れにされたりしたら怖いしな……。

 

 離婚を考え悩んでいたときのことです。大塚の狭いドトールで20代くらいの男性がふたりすぐ隣の席に座りました。
 仕事のことか何かを話しているようでしたが、そのうちひとりが「うちのおじさん、バツ5でさあ」「全然イケメンじゃないけど、途切れなく彼女いるんだよね」等にこにこ話し出しました。
 もうひとりは大人な対応?で、「まあ、そういうひともいるよね」で済ませてしまって、話はすぐ終わってしまいました。
 ちょっとその話聞かせて、と言いたかった…! 詳細は聞けなかったけど、文字通り死ぬほど悩んでいたあの日々、あの彼の楽しそうな話し振りに元気をもらいました。

きらめくえびのばついち

 これはバツ5のおじさんの話を切り出したのにすぐ流された方も無念だっただろうな。

 

 デッサンの授業中に指導している先生が見回ってアドバイスをしてくれるのですが、私の絵をみて一通り褒めた後「それに𓏸𓏸の性格が人目見てよくわかる絵だ。」と言いました。
 その場では「へえ、そうなんだ。」と何となくで流したものの後から、私の性格があの一枚でわかるのか? 性格がわかる程あの先生と話したことないよな? 占いみたいな事言うなあ…など色々思ってしまいました。

 年上の他人から見た自分ってどんな性格かがとても気になったのですが、次の週から体調を崩し休学してしまったため結局謎のままです。あの場で尋ねたら答えてくれたのかな。

 整体師が筋肉のこり方で職業を当てるみたいな、あんなタイプのかっこよさがある。

 

 小学生の頃、ふと机の横を見たらごぼうの煮付けのような、でもごぼうにしては大きい黄色い(鮭の南蛮漬けの色)ものが袋に入って口が結ばれているものが落ちていました。そこから違う日に何度も見かけることがありました。

 持ち主も分からないし、小学生の私にとってはとても不気味でした。
 学校は給食制だし、共働きの児童が放課後に行く学童保育でも食事とおやつは用意されていて、ご飯を持って行く必要もなかったので理由は分かりませんでした。
 給食を残してはいけないなどのルールもなく平和な学校生活だったので蓋を開けてみればなんてことないことに違いないです。
 しかしクラスメイトや先生に聞いたりしなかったし、友人とこの黄色いブツの話題にもならなかったので今でも謎のままです。
 何か知っていたら教えてほしいです。

無記名

 たぶん袋に吐いたゲロじゃないかと思う。

 

 うちの幼稚園ではお昼寝タイムにずらーっと横並びになって寝ていたのですが、私は寝つきが悪かったので先生の目を逃れるため(寝ずに目を開けていると怒られる)いつもブランケットを頭からすっぽりかぶっていました。
 その日も同じようにくるまっていると、横で寝ていた男の子が突然私のブランケットの中に入ってきて、そのまま私の横で寝始めました。
 それ以降のことは特に覚えていませんが、この男の子と話した記憶がほぼないので多分なんでかは聞けなかったと思います。
 一緒に寝るにしてもなんで話したことない私に…?と謎です。

論語論語

 猛烈な寝相の悪さか、寝たふりをしながら部屋の端を目指していたか……なんかそういう遊びあった気がする。まあ、わからないけど。

 

 中学時代お世話になった理科の先生(男性)。
 普段はとても穏やかで怒る場面など殆ど見たことない方だったのですが、その日だけ急に「人間ってねえ、音のない暗闇に長時間いると気がおかしくなっちゃうんだよ」と言い出していました。気分が荒んでいたのでしょうか。

アルティメット室外機

 実際そうなんだろうけど、なんで今それを……みたいな先生いたよね。

 

 学生の頃、やたら声の小さい田中先生(仮名)という先生がいました。先生の授業は誰もが耳を澄ますレベルで声が小さかったです。

 そんな声の小ささからできたのが、いかに小さい声で相手に言葉を伝えるかという「田中ゲーム」です。
 ある日、クラスメイトがでかい声で「田中ゲームしようぜ!!」と言ったところに田中先生が入ってきました。
 一応小馬鹿にしているという自覚はみんなあったので、教室はシンとしました。(先生も揶揄われていることは薄々気がついていたと思います) 怒られるかなと思ったその時、先生が口を開くと同時にチャイムが鳴りました。
 先生の声はチャイムにかき消され、怒られたのか許されたのかはわかりませんでした。
 真顔だったので感情もわかりません。
 そのまま先生は何事もなかったかのように「じゃ、そういうことで」と言って授業を始めました。 何がどう「そういうことで」だったのか、分かる人は誰ひとりいませんでした。
 同窓会でも結論は出ていません。

転金属

 怖い。勇気を出してなんて言ったんですかって聞いてもまた聞き取れないだろうしな。

 

 私が会社の同期と、コンビニで休憩していた時の話です。
 彼がおもむろに、「話したい事があるんやけど…お前口堅いか?」と切り出してきました。
 私が「軽い!」と答えると、 「いやいやそこで軽い!って答えるやるおるか!?」と笑われました。
 そのまま話は流れましたが、私も口が軽いと言った手前、聞き直す事もできませんでした。
 数年後、その同期も退職してしまったので今や確かめる術はありません。
 今でもあの時、「口硬いよ」と嘘を付いていれば、どんな話が出てきただろうと気になることはあります。

七誌

 みんながコンプライアンスを守ってるし仲もいいんだけど、爽やかなようで異常にモヤモヤする話だな……。

 

 以前いた職場に何を聞いても丁寧に教えてくれる頼れる先輩がいました。
 役職者になる前提で転職してきた方で販売員達のまとめ役でしたが、ある日当然「もう◯◯は出社しない」とだけ告げられ、元々いなかったかのように上司も名前を出さなくなりました。
 あまりにも説明が無く逆に何も聞けませんでした。

 商品の盗難や横領では無いが社内でかなりまずいことをして解雇されたらしいという噂だけ聞こえてきましたが、正社員を即解雇できるようなことが思い至らず謎のままです。
 自分もしばらくして退職してしまったので詳しいことは聞けず、未だにあれはなんだったんだろうなと思います。

松竹梅

 会社でこんな村ホラーみたいに人が消えることってあるんだ。

 

 小学校の英語の授業でplay(遊ぶ)と書いてあるのをpray(祈る)と読み上げたところ、担任の女性の先生に満面の笑みで「prayじゃ、これ(板状の何かを勢いをつけて太ももで真っ二つに割る動作をする)じゃん!!」と言われました。
 いつも爽やかな先生でその指摘も決して嫌な感じではなく、何より笑顔とジェスチャーの迫力がすごかったのでただ静かに頷くしかできなかったのですが、その後友達と力を合わせて調べてみてもあの動作に該当するような意味が見当たりませんでした。

 我々の調査力不足か、あるいは何かのネタだったのか、それなら笑った方が良かったのか…とも気になりますが聞けないまま卒業してしまいました。

滑舌

 めちゃめちゃ笑ってしまったけどかなり怖い。

 

 親しい仲だからこそ「あれ何だったの」が聞けない事もある。

 

 幼稚園か小学校くらいのころ母がぽつりと「あなたにはほんとは妹がいたのよ」とつぶやき、まだ幼かったので「ふーん」くらいで流したのですが、最近そのことについて尋ねると本当に何のことか分からないという顔をされました。
 母はそういう悪趣味な嘘をつくタイプではないですし、かといって真実を隠している感じでもありません。
 かといって私の記憶違いにしては鮮明すぎますし、本当になにがなんだか分かりません。
 あまり追求しても私がおかしい扱いされそうなので聞けませんでしたが、結局なんだったんでしょう。

しゃかりき左大臣

 何かあったのなら教えてくれそうな内容だけに気になるな。何だったんだ。

 

 中学の時数人で話していたらそのうちの1人が「安田顕が…」と話し始めたけど、その「安田顕」のイントネーションがキショすぎて10分くらい笑ってしまい安田顕の話は流れてしまいました。
 当時安田顕が出てたドラマとかは無かったし、本人も笑ってたら忘れてしまったらしいです。ちなみに「やよい軒」のイントネーションでした。

ワッフル工場長

 心底どうでもいいことだったんだろうなというのが伝わってきて良い。

 

 6,7歳の頃に叔母がこっそり教えてくれた「実は私のお尻は二つに割れているんだよ」という話。 自分の尻の形を正しく理解していた故にどういう状態の尻を『二つに割れている』言っているのかわからなかった私は「見せてほしい!」と頼んだのですが、それは叶わず…。
 他人の尻を無理矢理見ることも盗み見ることも良くないという分別はあったので、結局現在まで叔母の尻の謎が分からないままです。
 子ども騙しの冗談であることはもう分かっているのですが、あの時の叔母の真剣で神妙な雰囲気と『本当に秘密なんだ…』という語り口のせいで、“もしかしたら”という期待も捨てきれずにいます。
 どういう割れ方をしているのか今更見せてほしいとも言えず、時々ふと思い出しては「あれはなんだったんだ…」と考えてしまいます。

ミミズク

「ズコー! 当たり前だろー!」とコロコロコミックみたいにツッコむのが正解だったのだろうけど、何か想像を超えた形の尻の可能性もあるな……。数百年後にありえない骨盤の人骨として発掘されているかもしれない……。

 

 わたしは叔父と不仲でした。叔父は子供をおちょくったり、軽いいやがらせをしてくるタイプの大人だったのです。電気を消されたり些細なことですがわたしは繊細な子供だったので叔父がめちゃくちゃ嫌いでした。
 ある日、叔父が来てその日は何もなく帰って行きました。ふと庭を見ると黒曜石がたくさん落ちていたのです。こんなところに誰かが置いたとしか思えません。
 わたしが、石が好きで集めていたのは親戚の誰もが知っていたことでした。
 母に叔父が置いていったのか?と聞いても知らないと言われてしまいいまだに謎のままです。
 ちなみにこれから20年たった今も叔父の性格は変わらず自分の孫にいたずらをしては嫌われています。

塩水うに

 叔父の仕業だとしたら可愛すぎるし、本当になんか急に落ちてきたとしたら怖すぎる。

 

 大学生のとき、隠キャ仲間だと思っていた友達が、普通に世間話として「この間、駅前で知らない外国人に話しかけられて、ご飯奢ってもらっちゃった〜」という話をしてきて、ビビったことがあります。
 たぶんナンパだったんでしょうが、初対面の外国人にご飯奢ってもらう状況って現実にあるんだ…すっげぇ…と驚いて、色々詳しく聞きたかったけど、友達があまりに平然としているから、大学生あるあるなのかな、詳細求めたら世間知らずに思われるかな…と思って言い出せなかったです。

えん

「こんな質問をしては舐められるのではないか」と思って聞き逃す事もある。トンカラリンもそうだったのかもしれない。

 

 数年前、会社の同期に「初野のお兄ちゃん、昨日亀戸にいた?」と聞かれた。
 もちろん同期は私の兄に会ったこともないし写真なども見せたことがなかった。
 そして兄は実家を出ていたので、私は兄がどこで何をやっているかなんて把握してなかった。
 なんで?私に似てる人がいたってこと?と聞き返してもなぜか変な笑顔で無言で首を振るだけで、どんなに質問しても何も答えてくれなかった。
 あれなんだったんだ…。

初野

 いい、かなりちょうどいい気持ち悪さのエピソードだ。なんで濁す必要があるんだ。

 

 私が友達と夜ご飯を食べに行っていて、先に彼氏が私の部屋に一人でいたことがあったのですが、「快適だった?」と聞くとちょっとだけニヤッとしながら「面白かったよ」と言っていました あれ本当にどういう意味だったんだろう…隠してたBL本バレたのかな…怖すぎて真意を聞けずにいます

魔法少女キュアてゃむ

 まあ人の部屋に一人ってだけでちょっと面白くはあるのでわからなくはない。

 

 母はまったく漫画を読まないのですが、何年も前、唯一持っているコミックスを見せてもらったことがあります。
 そして「この漫画ね、同級生の男の子が描いたの。で、この女の子はわたしがモデルなんだって」とあるキャラクターを指し示したのを覚えていました。
 その話をしたのはこのとき一度きりでした。 当時その漫画は名前は知っているが読んだことがない状態だったのですが、最近ふと思い出して全巻揃えて読んでみました。
  例のキャラクターはいわゆるヒロインポジションでしたが、結局最後まで主人公とくっつくことはありませんでした。
 漫画を読まない母が大切にしているたったひとつのコミックス、結ばれない主人公とヒロイン。何かあったのかもしれないし、何もなかったのかもしれないな…と、若かりし頃の母と某漫画家の先生の関係性がつい気になってしまいますが、一歩間違えば自分は存在してなかったという当たり前の可能性を目の当たりにするとなんだか怖くなってしまい、詳細を聞く勇気が出ず心にしまっておくことにしました。

ゴンザレス

 ちょっとこんなところで扱うにはいい話すぎるな……。

 

 

 確認しないのも怖いけど、確認するのも怖い。

 

 久しぶりに実家に帰り、晩ご飯で家族団欒中に地元の山の話題になったとき、わたし以外の家族が「そういえばあの山ってお姉ちゃん(私)は登って大丈夫なんだよね?アレ見ても大丈夫?」「お姉ちゃんはもう家から出たから大丈夫なはず。俺たち(弟たち)はアレを見るとダメだから登れないんだよね。」という話をしていて、全く何のことかわからずスルーしてしまいましたが、たまに思い返すと怖い話しみたいでドキドキしてしまいます。
 家族の中で私だけ分からない話題というのも謎で怖いです。

すねげ

 これはちょっと「何だったんでしょうね」で済ませるにはもったいなさすぎる。聞こう。

 

 幼少期、実家のトイレの電気が勝手についていることが結構な頻度であった。
 ある日、母に「またついてる!」と報告した際「あれは『のりこ』がつけてるから仕方ない」となんてことないように返された。
 のりこなんて名前の家族や親戚はいない。なんとなく誰なのか聞いちゃいけない気がして「フーン」で流したが20年以上モヤモヤしている。

もちこ

 みんな「のりこ」と呼んでいるけどそれが何なのかわからない現象として語り継いでいこう。

 

 以前、チャットレディっていうものをやった事があります。
 そのまんま「チャットで男性と話す」という業務内容で、男性はポイントを購入し女の子と話をするみたいです。
 世間話だけのマトモな人ならいいのですが、アダルト禁止のはずがセクハラしようとしたり、モニター越しに露出しようとしてくる人も多くすぐ辞めました。
 こちらの顔は見られていますが、男性側はカメラが繋がってたり繋がってなかったりです。カメラに気づかず全裸でリラックスしている人もいました。

 ある時、いかにも起業家って感じの男性と繋がりました。
 男性は全身が映る感じでソファに座っており、会話の内容も世間話が主で、「良い人でよかった」と思っていました。
 しかし、スマホをいじっていたのに「ごめんトイレ行ってた」と言ったり、どうもカメラで見られている事に気づいていない模様。
「うん、うん」と相槌を打ちつつ、おもむろに立ち上がる男性。(脚だけ見えてる感じになりました) そしてズボンを下ろし、当たり前のように女性用のストッキングを履き出しました。
 世間話をしながら、まるでジャケットの襟でも直す感じで、それこそこちらがおかしいと感じる程自然にストッキングを履きながら会話し、そして唐突に通話が途切れました。画面は通話終了によりホームに戻っていました。
 何故、あのタイミングでストッキングを履き出したのか、それは彼にとって当たり前の事なのか、今となっては何もわからず、時折思い出しては「あれ、何だったんだろう」と考えています。

サラ

 めちゃめちゃ興味深い。100歩譲って普通に防寒のためだとしても、なんでそのタイミングなんだ。

 

 地域のそこそこ大きい病院で医療事務をしています。いつも笑顔で優しくておもしろく、顔立ちも整っていて仕事もできて、職種性別問わず誰からも好かれる、書いていても人間ができすぎていると思うような先輩がいました。
 先輩から、いつもののんびりした声で「◯◯ちゃん!ちょっと見てよ」とデスクに呼ばれました。
 なんですか〜と近寄った私が見たものは、重機かなにかの下敷きになった直後の、ぐちゃっ…となってる患者さんの足の写真(電子カルテ上の記録)でした。
 先輩は整形外科担当だったのです。
「すごいよね〜!」とにこにこ笑顔で言われ、すごいですね〜としか言い返せませんでした。
 後にも先にもそういった写真をわざわざ見せられたのはあの一回だけです。
 単に本当にすごい!と思ったものを共有したかっただけかもしれませんが…。
 先輩は転勤していきましたが、たま〜に会うと今でもとても優しいです。

じょん

 これは本当にただ「すごいな」と思ったから見せたんだろうけど、何か温度感を見誤った雰囲気だけがあるな。

 

 私の住む地域では、不定期で深夜帯に突如大音量で音楽が一瞬だけ流れます。
 曲のジャンルは大体アイドル系で、他に人の話し声などは全く聞こえません。ひたすらアイドルの歌声とポップなメロディーが静かな空間に響いている光景には絶妙なシュールさがあり、嫌なことがあった日も元気になれてありがたい限りです。
 ただ思い出す度「あれは一体何なの?」となってしまいます。
 しかも誰が流しているのか分からないので聞きようがなく、一生謎のままです。

しゅり

 町のスピーカーとかから鳴ってるものなの? 音の出所だけでも突き止めてほしい気持ちはある。

 

 10年程前の話です。
 翌日が休みだったので深夜まで残業して、終電の時間もとっくに過ぎた頃、他に残っていた先輩と私の計4人で「何か食べて帰ろう」となりました。
 居酒屋で軽く飲み食いした後、始発までまだ少し時間があったので街を徘徊していました。
 小さなトンネルに差し掛かった時、先輩の一人が「ここ霊が出るらしいぞ」と言い始め、お酒も入っているのでみんなヘラヘラと「ちょっとーやめて下さいよー」なんて笑いつつ、そのまま進んでいきました。
 トンネル内の歩道を2列になって歩いていたのですが、ふと気付くと、私の斜め前を歩いている先輩の背負っているリュックに光る青い球体が付いていました。
 直径10cm程の大きさで、輪郭がぼやっとした明るめの青い光の球が、鞄の内側から光っているではなく、鞄に付いて行くようにはっきりと見えました。
「あれ?」と思い私の隣を歩いている人を見ましたが、普通に前の二人と談笑を続けています。
 トンネル内はオレンジ色の照明で、周りを見回しても自分たち以外には人も車もいないし、何かの光が反射した訳でもなさそうでした。でもやはり光る球体が見えるのです。
 ポカンとしながら歩き続け、トンネルを抜けて再度その人のリュックに目をやるともう光る球体はありませんでした。
 キーホルダーの類いも一切付いていないシンプルな黒いリュックでした。

 トンネルに入る前に霊が出るだの何だのと話したところだったので、その場でこんな話をしても「またまた〜」とか「そういうのいいってw」とかになりそうな気がしてなんだか言い出せず、結局一度もその話はしないまま転職しました。
 たまにふと思い出して「あれは何だったんだろうな」と考えると同時に「本当に不思議なものを見た時って案外何も言えないんだな」と思ったりもします。

冬が怖い

 前振りのせいでかえって言えなくなるってあたりの生々しさがすごいな。もう一回行こう。

 

 小学生の頃通っていた児童館に中学生になってから久々に遊びに行った。
 何となく本棚を見ていると、かいけつゾロリとかドラえもんが置いてあるコーナーにめっちゃピンクの女性向け官能小説が置いてあった。
 官能小説だから当たり前なんだけどゴリゴリに濡れ場があったし、先生に聞くのも怖くて本棚にそっと戻した。
 時々思い出して夢だったのでは? と思うけど当時友達に共有しようと思って撮った写真がまだスマホに残ってるので現実のはず。
 それからその児童館には行ってないけどまだあるのかなぁ……めっちゃピンクの官能小説。

頑張ろう

 イタズラにしても、わざわざそんなことするかなってレベルだから本当にわからないな……エロい本を隠しておく場所としても無理があるしな。

 

 美容クリニックにエラボトックスを打ちに行った際、ド美人のカウンセラーさんに「まぁ、ゲートウェイ手術…的な事ですわな。」と言われ(え⁉️)と思った。意味は伝わったが、造語なのか客に言っていいのか、なんとなく(え⁉️)と思ったままで帰った。

ふょ〜ん

 ゲートウェイドラッグの手術版みたいなことで合ってますか……?

 

 中学生の頃のことです。
 受験を理由に参加しなくなった部活の部長から連絡が来たので応対していたところ、突然『あなた本当に○○様ですか?』と言われました。
 お互い敬語で話す仲ではありましたが様付けなんてされたことはありませんし、まず質問の意図がよくわかりません。
 一応その場で理由を尋ねたのですが要領を得ず、部活以外の接点がある訳でもないので後から聞きに行くこともありませんでした。
 でもなんかもやもやするのでしっかり問い質すべきだったかもしれません。

モフモフした小動物

 こええ〜。電話だったのかLINEとかだったのかわからないけど、なんか向こうが強烈に違和感を感じたんだろうな。

 

 小学校の頃に、校内放送で通学路のとある道(林の中を通る道)で熊を見かけた児童がいるので気をつけるように、という放送が流れました。
 それを聞いた友達が、「どうしよう、あれ私のお母さんなんだよね」と言っていました。
 なぜその子がお母さんだと思ったのか、未だに謎のままです。

邪竜波

 こんなに言われて困る「どうしよう」もないよね。

 

 せっかくだからライターの皆様にも聞いてみたぜ。

 

 中学の時、社会の先生が授業の途中でどういう会話の流れでそうなったかわからないけど、「盗むなよ!人のもの!」みたいな感じで説教したことがあった。

 こういうのって、ある。

 なんか誰かが悪い事したらクラス全員に注意するみたいなやつ。あるある。
 でも、なんか、この時って、本当にそういうことはなかったんだよな。

 だいたい該当者とか、それを知ってる人はアタフタしたりするんだけど、そういうのもなくて、本当になんの事を言ってるのかわからなかった。説教のような空気に混じったピンとこない「なにこれ?」みたいな空気。

「ジ…………」

 こういう時間もあった。

 無言で教卓に両手をピンと伸ばしてダン!としてる感じでメガネの外から生徒を順番に睨みつけていた。

 ???????

 本当にただただ「こういう事はしちゃだめだよ〜」的な教えなのか。それにしては尺も取りすぎているし誰もウケてなかった。

 あれ、本当になんだったんだろう。

みくのしん

 こんなにふわふわしてる文なのに情景がめちゃめちゃ伝わってくる……。たしかにあった、こういう何だったのかわからない時間。

 

 8年くらい前の出来事なんですが、当時営業の仕事をしてた頃、2週間おきに出入りしていた取引先の管理人さんが私の営業車のナンバープレート(1881)を見て、掃除の手を止めてとてもにこやかに「”いはい”!”いはい”だねえ!」と言ってきました。

 急いでいたのもあり「そうっすね!」と笑顔で返したのですが、”いはい”ってなんだ?と思い、後々変換しても“遺灰”とか間違いなく日常会話には出てこないタイプの言葉しか出てこなくて、なんだか怖かったです。

 多分私の聞き間違いだったのではないかと思うのですが、だとしても1881の語呂合わせでわざわざ掃除の手を止めてまでにこやかに言ってくるような言葉も浮かばずでした。

 その後も何度かお会いお話しする機会はあったのですが、前述したとおり2週間おきの出入りでしたので変に間も空いてしまい、真意を聞こうに聞けずじまいのまま私自身が転職をしました。

 誰かに言うわけではないですが、未だにときどき、あれはなんだったのかと思い出す出来事です。

りきすい

 すごい。「88」を「は」にまとめちゃうのがなんか独特な味わいがある。めちゃめちゃ気になるけど、わざわざ「遺灰」ですか?って聞くのもなんか嫌だしな……。

 

 私の母はど変人なのですが、高校のときガムを買ってきてほしいと頼んだところ 「顎デカくなるよ!??!!?!!!?!??!!!!??!」と本当にめちゃくちゃ怒られたことがあります。

(顎がデカくなる??ケツ顎になるわけでも輪郭が角ばるわけでもなく??顎“のみ”がデカくなるってこと???) と不思議に思ったのですが、怒られてる手前なにも言えなかったし、しばらく経って問いただしても「覚えてない」と言われたし、今はガムを食べていても怒られないので永遠に謎のままです。

私野台詞

「私の母はど変人なのですが」って書き出し凄すぎる。なんか虫の居所が悪かっただけだったとしても「顎がデカくなるから」で怒り散らかせるのはマジですごい。ならねえよ。

 

 中高生の頃、お友達の家に遊びに行ったら、その家のお父様が晩酌を嗜んでいらした。

 お友達は「忘れ物を取りに行く」と二階へ走り去り、僕は初対面のお父様(晩酌状態)と二人っきりに。

 困ったなあ、何か話したらいいのかな思っていると、 僕の方をチラッと見たお父様が一言

「きみアレだな。良い声してるな。DJやったらモテるよ。顔が見えなから」

 その場は「エヘヘェ。そスか? でも僕滑舌悪いんで……」と照れ笑いで返したのですが、帰宅したくらいのタイミングで結構破壊力あるdisも入っていると気づきました。

 そのお父様とは巡り合わせがなく、真意を知る機会に恵まれませんでした。

 未だに、福音でありながら呪詛めいて、己につきまとっている言葉です。

寺悠迅

 なんてテクニカルなdisなんだ。褒めか悪口か3回くら確認しちゃう。

 

 幼稚園の頃の記憶です。

 お昼ご飯の時間にお弁当を食べていたところ、隣に座っていたK君が話しかけてきました。

「ねえねえ、ぶたのまるやきたべたことある?」

 ぶた…の…まるやき?ぶたは分かります。『まるやき』が分からない。しかし、なんとも美味しそうな響きです。

 まるやき…まるやき…と何度も心でつぶやきました。
 私がまるやきワールドに没入していると、Kくんが「これ、ぶたのまるやき」と自分の弁当のおかずを指差してムシャムシャ食べました。

 それを見ながら私は「それがこれか…?」と思いK君が食べる『ぶたのまるやき』をじっと見ていました。
 その時Kくんが指差していたおかずを大人になった今でもよく覚えています。お弁当の一角にボタン電池(LR-44)くらいの小さな円柱状のものがぎっしり入っており白くて硬そうな骨のようなもの?皮や脂肪や肉などを思わせる名残を感じました。

 記憶を手繰ると「何かしらの生き物の手足の断面をぶつ切りにして焼いたもののようだな」と思います。しかし、ボタン電池くらいの断面になる部位が豚にあるとも思えませんし、当時自分の無知を自覚していたのもあり、すんなり受け入れてしまったのでいまだにあれが何だったのか分かりません。

 Kくん、あれ、なんだったんですか?

カメントツ

 少なくともK君は「これが豚の丸焼きだ」と言われていたんだろうな……K家でだけ「ぶた」と呼ばれているなんかがいるのかな……。

 

 専門学校で講師をしていた頃、夏休み明けに「夏休みどっか行ったか~?」と軽く話題を振ったら、ゴリゴリのギャルの生徒が

・家族で海外旅行に行った
・訪れた村で観光していると、近くの森からコモドドラゴンがやって来た
・コモドドラゴンは毒がある上にサイズも大きく、大人はまだしも子供なら襲われたら命も危ないので、コモドドラゴンが出たら村人は皆、高床式みたいになってる家に上がってやり過ごす
・自分達家族もそうやってやり過ごした

 というような話をしだして ギャルとコモドドラゴンという単語のギャップに処理が追いつかなかったのと、授業が始まってしまうので
「そんな村あるんや~」
 くらいで流したのですが、もっと詳しく聞けば良かったと後悔しています。

 あの話はなんだったんだ。
 時が経った今はあのやり取りそのものが夢だったんじゃないか…?とすら思っています。

凸ノ高秀

 インドネシアのコモド島がそんな感じらしいけど「高床式の家でコモドドラゴンをやり過ごす日本のゴリゴリギャル」の話はあまりにも気になる……。

 

 ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。世の中にはもう知りようがない謎がこんなにいっぱいあるんだ……。

 ……そういえば、俺にも一つあるんだよな。もう完全に聞くタイミング逃したけど。オモコロ入った時、一番最初に編集部とチャットした時に加藤さんが言ってたやつ。

 

 あれ、何だったんだろうな……。