姫路駅。JR大阪駅から、新快速で1時間半。

 

かねてより我々は「日本中の城下町を巡って、人々の暮らしにじっくりと目を向けようではないか」と語っていたのだった。2人ともいつの間にやら30代後半、「野望」「名誉」「速い車」などと夢物語を語っている場合でもなくなって、「暮らし」「資産運用」「有機野菜」といった生活の香りが染みついたキーワードにばかり関心を示すようになっていた。

 

「暮らし」とはすなわち街の豊かさ。豊かな街といえば「城下町」。安直な連想かもしれないが、令和の今に至るまで江戸時代の城下町の作りがそのまま生かされているケースが多い。その代表的モデルとして、今回は日本有数の名城「姫路城」をピックアップし、散策、その周辺環境にまつわるマル得情報を皆様にご紹介したいと思う。とかなんとか言いつつも、早い話が、おじさん2名が城下町でぶらぶらしながら、はしゃいで、美味しいものを食べて、ニコニコ笑っているだけ。おじさんだって、嬉しかったらはしゃぐ。

土曜日の午前に『朝だ!生です旅サラダ』でも視聴している気分で読んでほしい。

 

とある日曜日の午前10時33分、JR姫路駅に到着。

 

瀬戸内海式気候真っ盛り、といった様相の晴天に恵まれた。

 


駅構内にさっそく姫路城リスペクトのおむすびサムライ現る。

 

さて、姫路城以外にも我々が皆様にぜひ訪れて欲しいおすすめスポットがある。

それは「あずきミュージアム」だ。

 

関西在住者にはお馴染みの「御座候(ござそうろう)」を製造販売している「御座候株式会社」が運営している。お馴染みでない方に説明しておくと、「今川焼」「大判焼」「回転焼」といった呼称で知られる、小麦粉を分厚いパンケーキ型に焼いて、あんこやカスタードを包んだ和菓子のことである。では御座候とそれらはどういった点が違うのか。名前心意気である。

 

そんな関西を代表する今川焼であり大判焼であり回転焼である、御座候の本社へ向かうべく、駅を出て東に10分ほど歩く。なんといっても駅近なのがいい。

姫路のフォント選びは力強い。

 

 


姫路プラスチック商会、略してヒメプラ。決してヒューレット・パッカードではない

 

 

御座候の敷地は一般に解放されていて、中には森、森の奥には食堂がある。

 

ミュージアムレストランの入り口で出迎えてくれた「あずきさん」とツーショットを撮影でき、ご満悦のJET

 

食堂で味玉入り担々麺を注文。このご時世に670円というありえない値段設定。注文をとっていた女性に話をうかがうと、これでも最近値上げしたのだそう。素晴らしい企業努力だ。そもそもなぜこんなに安いのかとさらに聞いてみたところ、ただニコニコとしていた。理由なんか聞いた方が野暮だった。

 

ジャンボ餃子。知ってる餃子の倍の長さ。もしかしたらあずきの入ったサヤをモチーフにしているかもしれないし、全く関係ないかもしれない。

 


食堂を出て森をかき分け進むとあずきミュージアムが現れる。小豆色の外壁が渋い。滝もある。

 

(ミュージアムの入り口で「これからあずきの歴史について学ぶぞ」とやる気満々のJET。
”やる気のない者は去れ”をモットーにしており、近頃は”逆タモリ”とも称される)

 


ゑびす以外を入れ替えたオリジナル七福神

 

 

あずきミュージアムのマスコットキャラクター・「あずきさん」「ミュージアム キャラクター アワード」という、狭めのアワードで優勝したらしい。ちなみに2025年の1位は、コアラをモチーフにした横浜市立金沢動物園のキャラクター「金沢ゆーかりん」。こちらもなんとも言えない顔つきの渋いキャラクターなので是非検索してみてほしい。

ここから先は写真が撮れないのだが、一日入り浸れるほどの厚みがあった。

 

さて、あずきミュージアムの展示内容は大まかに分けて「あずき栽培の歴史」「御座候誕生の歴史」「あずき豆知識」の3つに分かれる。あずき栽培の歴史とひとくちに言っても、なんと展示が「約138億年前。ビッグバンにより宇宙誕生」から始まるのだ。ビッグバンまで遡るわけだから、あずきという品種が生まれて栽培が始まり、縄文人があずきを食べるようになってから御座候が誕生するまでの壮大なストーリーが展開される。中ではあずき料理を食べられる飲食施設があるのだが、我々は先ほど安くて美味しく、愛嬌のある女性が作ってくれた担々麺を食べてしまったのでお腹がいっぱいだったのが惜しい。次回はぜひお腹を空かせて、注文から提供まで45分かかると案内されている「あずき粥」を食べてみたい。

 

ミュージアム内の貴重な撮影スポット、10倍の鞘小豆。これは「エリモショウズ」という品種を拡大したもの。その名の通り、何もない春でお馴染み、襟裳岬のある北海道えりも町が名前の由来。ミュージアムでは、エリモショウズが栽培されている北海道十勝地方のあずき畑の、四季折々の様子が映し出されるVTRを見ることができる。かなり集中して見ることができる。

 


御座候の屋台の主人に扮し、気合いが入るJET。この手の人から祭りで買おうとするとぼったくられるので注意

 

 

昭和25年(1950年)に「御座候」の販売開始。その名の由来は「お買い上げいただきありがたく御座候」の気持ちが込められているという。なんて殊勝な心構え。我々も「記事を読んでいただきありがたく御座候」の気持ちを込めて「御座候」に改名したいと思う。2人とも

発売当初は10円、現在は110円(税込)と、国産素材を用いたこだわりの一品にも関わらず破格の安さ。企業努力が窺い知れる。

 

 


宮本牛乳はここで御座候キーホルダーを購入。化粧箱のデザインが本当に格好いい。

 

 

お土産には「あずきで染めたスカーフ」「あずきの入ったお手玉」などあずきをフルに生かした玄人受けのする品物が多く、JETには手が出なかった。

 

さて、我々はミュージアムを出ると、早速出来立てほやほやの御座候を頂戴することにした。

 

御座候ここにありにて御座候。

株式会社御座候謹製の「御座候」である。

マリリンマンソンのマリリンマンソンと全く同じだ。

ジョン・ボン・ジョビのジョン・ボン・ジョビといってもいい。

 

なんて美しい断面。御座候の宣材写真にいかがでしょうか。

 

 

パリッと香ばしく焼かれたきつね色の生地の中に包まれた上質なあん、これも、今から約138億年前にビッグバンが発生したからこそ食べられる味わいと思うと感慨もひとしおだ。

 

 

 

 

白あんは、黒あんに比べてさっぱりと上品な味わい。何個もいけそうなのは白あんのほう。できたてほやほやのあんこの入った最高に贅沢な御座候。だってすぐ横の工場で蒸されたばかりなのだから。

 


(あずきソフトにご満悦のJET。あずきだけでなく御座候の生地も使ってると書いてあった。気がする)

 

 

このあずきソフトがまた絶品。あずきバーってあるじゃないですか。あれのソフトクリームのやつです。あずきがふんだんに使われていて、クリームに豆を挽いたようなざらつきが感じられる。冷たくて甘くって美味しい。1日2種類も甘いものを食べてバチが当たるかもしれないが構わない。皆様も是非味わってみてほしい。

 

これだけ作り込んだ会社なら社用車もデザインされているに違いないと、工場の裏に回ってみると……。

 


御座候の化粧箱デザインでした。最高。このトミカが出たら絶対に欲しい。

 

御座候関連が良すぎて3時間ほど入り浸ってしまった。

姫路城に近付いてみる。

兵庫県で乾麺を扱うことになったらここに来よう。

 


パステルおみぞ商店街。我々は商店街が大好き。

 

姫路城周辺に、オフィス街、官公庁、商店街、交通の要衝と効率よく回れるように街が作られている。観光客にとって「パッケージ化」されているだけでなく、住んでいる人間にとっても利便性の高いまちづくりとなっており、姫路に住んでいる人がうらやましい。

 

 

下町というわけではないのに、チェーン店ではなく個人商店が並んでいるのがこのあたりの特徴だ。城下町周辺の開発が進んでいるようだが、この辺りの個性あふれる街並みは失われないで欲しい。

 

かなり年季の入った佇まいの古書店、岩崎書店さん

 

(岩崎書店にて『儲かるようにすれば儲かる』を格安で購入し、ご満悦の宮本牛乳。
近頃はもっぱら仕事中もFIREのことしか考えていないという)

 

「おみぞ筋商店街」。インバウンド向けにローマ字表記もあって気が利いている。「KENZO」を思わせるロゴマークだ。

 

サッカー用品店「BEN SPORTS」さん。姫路のサッカー情報ならまかせろ!

 

 

「地下名店街」にメイドカフェがある珍しいパターン

 

 

ゴッホが裂け、亜空間への入り口が開いている。

 


極限まで手間を省いた寄せ植え


いよいよ姫路城着。別名・白鷺城とも呼ばれるだけあって白く光り輝き、美しい。

 

 

姫路城は、日本国内でも珍しく、築城以来約400年間、一度も戦乱・震災の被害に遭っておらず、当時の姿がずっと残っている。美的完成度の面からも非常に優れており、国宝、世界遺産に指定されるのも当然だろう。ぐるりと周囲を回るだけでも堅牢かつ壮大な石垣が張り巡らされていて、攻め入ってどうこうしようとは思えない。どうにもならない。

 

 

どうあがいても登れそうにない。
年初の特番「ウルトラマンダッシュ」でプロクライミングの選手にチャレンジしてみて欲しい。

 

 


ラブブに姫路城を見せたのはJETが初めてだろう。
ラブブには「一流のもの」しか与えたくないのである。

 

 

 

姫路城には動物園が併設されている。「動」の字に組み込まれた変な鳥がたまらない。SFCソフト「学校であった怖い話」のタイトル画面かと思った。

 

姫路城近辺には、動物園のみならず美術館、文学館、コンサートホールまである。「立派な城」があるおかけですべての娯楽や文化が密集するのだ。皆さんも、今後進学や就職を検討される際は「城の近く」に住まわれることをオススメしたい。


姫路城の横でこちらを睨みつける猫。近寄っても微動だにしない。
400年前からこうしているのかもしれない。

 


なんと、たまたま本物の武士がいたので写真を撮ってもらうことに成功。ご満悦のJET。

 

 

右の武士が、写真だと意味がないのに、撮影のたびにわざわざホラガイを吹いていた。写真を知らないのだと思うが、時代的に致し方ないか。

 

売店にて、姫路城売店限定の陣笠を購入。

 

 

陣笠を装備し、ご満悦のJET。撮影当時無職である。

 

 

姫路城の敷地を出るとお土産屋さんが並んでいる。

姫路城を模したお城やきを買う宮本牛乳。

 


先ほどあんこを小麦の生地で包んで焼いたものを食べたのに、
もうあんこを小麦の生地で包んで焼いたものを食べようとする宮本牛乳

 

 

地元スーパー・ボンマルシェ。姫路を中心に兵庫で展開している。我々は「地のスーパー」に目がない。

 


宮本牛乳がボンマルシェで買ったもの。乳製品とパンは地域性が表れがち。

 

 


スタイリッシュな鯛焼きを購入する宮本牛乳。いや~めで鯛。
それにしてもまたあんこを小麦の生地で包んで焼いたものを食べようとしている。
30代後半なのに

 

 

商店街のアーケードに「さっちゃんの家」なる、明らかに周囲から浮いた謎のファンシーな建物を発見。我々は早速入ってみることにした。

 

さっちゃんとは、老舗かまぼこメーカー「ヤマサ蒲鉾」のマスコットキャラクター。
久しく女性とツーショットを撮影しておらず、ご満悦のJET

 


ヤマサ蒲鉾公式HPより抜粋。魚とお話ができるという。
「さかなのこ」は彼女をモチーフにした映画である。

 

 

100円玉を入れると、さっちゃんが華麗な舞を舞った後、おみくじで運勢を占ってくれるありがたいアトラクションがあった。早速JETと宮本牛乳で1回ずつ占ってみる。まったく同じ舞いを2回見ることができて、大変慎ましい気持ちになる。

 

 

 

2人とも「中吉 今までの努力が身を結び、次第に明るい兆しが見えてくるでしょう。決して一攫千金を狙わずこれまで蓄えた力を発揮すれば、さらなる成果が得られるでしょう」と一字一句違わない結果を得た。まったくの偶然によるもの。よくシャッフルせずに封入しているんじゃないかとか、そういった野暮なことは決して思わない。

 


ヤマサ蒲鉾で「城下町どっぐ」を買う宮本牛乳。

 

チーズかまぼこがホットドッグの生地で包まれていて美味しい。

場所が場所ならかなり人気が出そうだけど、場所がけっこう悪い。

 


良い歯ロゴが見つかって嬉しい。

 

 

 

日が暮れてきたので、偶然見つけた居酒屋「だるまや 一成」にて姫路名物を食べることに。我々は土地の食べ物に目がないのだ。

 

 

「だるまや 一成」

住所:兵庫県姫路市駅前町277
営業日時:月・火・水・金 11:30 – 22:00
     土・日・祝日 10:00 – 22:00
     (木 定休日)

メモを渡して注文するスタイル。字がバレるのは恥ずかしいが、間違いがないので安心。

 

 

かき揚げ天つゆ(左)ひねポン(右)。

ひねポンとは、年老いて卵を産まなくなった雌鶏「ひね鳥」の肉を炙ってポン酢で和えた姫路の郷土料理。肉には弾力があり、噛めば噛むほど鶏の旨みが感じられて絶品。我々は2皿行った。

 

蒸し穴子。身がふかふかして優しいお味。

 

もやしとホルモン炒め。こういうのが一番助かる。

 


姫路おでん。黄色いのはカラシではなく生姜。生姜醤油が姫路おでんの特徴。

 

 

こちらのだるまや一成」さん、何を食べても料理がおいしく、提供が早い。店構えの印象だけで入ったのに大当たり、店内の雰囲気も温かみがあって、昔ながらの、居酒屋の中の居酒屋といった店。JET・宮本牛乳太鼓判。大将の「ありがとう〜」という独特の余韻が残る挨拶も聞いて欲しい。ユニコーンのアルバム『服部』のジャケットに写っているおじいさんに似ていた。姫路に訪れた際はぜひお立ち寄りください。

姫路の城下町は、観光のみならず、生活・文化・食などなど、どれも揃った大変魅力のある街並みだった。大阪からであれば1時間半、遠方からだって、たとえば東京から大阪に遊びに来たのであれば、もう一足伸ばしてぜひ訪れてみて欲しい。とくに生活が大好きな大人の皆様。「暮らしやすっ」と思わず声に出してしまうことだろう。

 

 

次はあなたの暮らす城下街にお邪魔するかもしれません。