俺、世界に挑戦してえよ……

スポーツとかビジネスとかで世界は難しいかもしれないけどさ……

なぞなぞだったらいけるんじゃないか……

 見てろ、証明してやる。

 この本『世界のなぞなぞ』でな。古書店で見かけて衝動買いした。奥付けによると少年少女講談社文庫から昭和51年に発行された本らしい。アップルコンピュータ創業の年だからそれほど昔ではない。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P2より

 目次を見てくれ。このようにこの本には世界中のなぞなぞがしこたま載っている。これらのなぞなぞに挑戦して見事答えることができたら、世界に通用するなぞなぞ人材と言えるに違いない。俺なんかおかしいこと言ってますか。この本から少しだけなぞなぞを紹介しちゃうぞ。

アメリカ

 早速見ていこう。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P9より

 これはわかる。たんぽぽと卵だろう。世界、もっと俺を楽しませてくれ。

 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P13より

 …………あれ、なんかめちゃめちゃ難しくなってきたな。難しいというか、ピンと来なさすぎる。

 答えを見たら

答え:とうもろこしはたくさんの耳をもっているから。

と書いてあった。答えを見てもなお全然ピンとこなかったので調べたら、とうもろこし一本を英語で「an ear of corn」と言うらしい。「ear」には「耳」のほかに「穂」の意味もあるとのこと。な〜るほどね、つまり英語ダジャレね。さすがは世界のなぞなぞだ。まいった、一本取られたぜ。

 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P14より

 難問だ……虎とか? 猫のぬいぐるみ? いや、どちらもしっくりこないな。胴体に触れられてないのがヒントだろうか。胴体だけケーキで他が猫のそういう可愛い生き物がアメリカにいる? いや、いてもそれは猫にカウントしていいだろ。

 ギブアップだ、答えを見せてくれ…… 

答え:こねこ

 アメリカンジョークがすぎる。

 CatとKittenって向こうの感覚だとかなり違うんだろうか。いや、普通にあっちの基準でも性格が悪いなぞなぞな気がする。

 

メキシコ


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P16より

 将来への不安しか思いつかない。いや、メキシコってもっと陽気なイメージだ。こんな発想ではないはずだ。多分。
 いやでもメキシコ人だって将来を憂いたりする時もあるだろ。やっぱり将来への不安か。

答え:くらやみ

 暗闇を「大きい」って捉えたことなかったな。これはなんか言葉の感覚の違いで面白い。

 

アフリカ

 アフリカのどことは書いていなかった。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P79より

 想像するとかなり怖い。あまり意識して生きてこなかったけど、牛の大群と砂埃ってセットかも。「地面が濡れている」とかそういうやつかも。と言いたいところだがこの問題は最初から答えが明示されていた。多分、わからなさすぎるから。

答え:アリ

 レベルが高すぎる。どういうことなんだよ。アリって力持ちだから、牛みたいだよね〜とかそういうやつだろうか。

 子供向けの本だと思ってあなどっていたかもしれない。本当に、本当に世界の人々の考え方が必要な本かもしれない。俺は世界を甘く見ていた。

 

アルジェリア

 アフリカでも国名がわかっているなぞなぞもある。 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P28より

 イラストの人怖っ、銃持ってる。これは考えればいける気がする。「時間」とかそれっぽい。「地球」とか。それにしても問題文が怖い。この怖さから「な〜んだ」みたいなのを狙ってるんじゃないか。時間! 時間でどうだ!

答え:おはか

 惜しい! 俺のなぞなぞ思考力のチューニングが世界に近づいてきているのを感じる。

 

マサイ族

 部族単位でもなぞなぞが出てくる。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P33より

 これはなんか、肉食獣とかじゃないか。あいつら絶対人より先に牛食ってるもん。

答え:ナイフ

 オシャレだ……「食べてはないだろ」とか言うのも野暮なくらいオシャレな答えだ……感心してしまった。

 

ドイツ

少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P39より

「太陽」とかじゃないか。「母」とかも言いそう。

答え:こころ

 ……人によるだろと言いたいところだけど、どんな人も心は本当は優しく温かいんだ。と言う教えなら……そういうことにしておこう……。

 

ブルガリア


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P61より

 問題文が独特だ。ぐずぐずになってるおかま。煮込みすぎた鍋をイメージすればいいだろうか。それが野原に。水たまりとか、俺が知らない自然現象とか。動物の死骸とかかと思ったけど、そんな問題出さないだろう。

答え:ありじごく

 あーーーーー 納得とかじゃないけど、なんだかすごく素朴な海外のなぞなぞって感じがする。

 

中国

 アジア編。文化的にも近いものがあるのでまだ推理できる気がする。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P90より

 そういう行儀の悪いおじさんが答えではないことはわかるんだよ。「食事」と「ぶつかる」が要素か。上下の歯とか、上下だと相撲って例えないかも。やっぱりそういう行儀の悪いバトルおじさんか?

答え:はし

 かなり納得感はある。答えを見て比較的ちゃんとスッキリしたな。おじさんにしたのはなんでだ。

 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P91より

 中国のなぞなぞ、擬人化がち。イラストがなんかフェティッシュだ。こういうの好きな人いる。
 問題文、これはまだ考えやすい気がする。外側が緑色で内側が白で、。毛は置いといて、白菜とかキャベツとか。根が毛? いける気がする。

答え:たまねぎ

 わりと惜しい。たまねぎに緑色のイメージがあまりなかったな。

 

インド


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P99より

 怖い。

答え:人間

 怖いよ。7つの穴はまだしも、人間を地上のかたまりと捉えているのが怖いよ。

 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P105より

 絵がめちゃめちゃ良い。この絵好きすぎるかも。

答え:星

 答えはもう本当に全然ピンとこないぜ……発想が違いすぎる。星空を見ても「数え切れないほどのお金」って思わないもん。世界、広すぎる。俺を置いていかないでくれ。

 

ネパール


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P111より

 最後に「なぜでしょう?」ってつけてくれているだけでかなり安心する。かなりなぞなぞっぽい。そして考えればわかりそうでなかなかわからない難易度も良い。

答え:革靴になったから

 良問だ……なぞなぞってこうでなくちゃ。好きだな。このなぞなぞでネパールのこと好きになってきた。1日で革靴にはならないだろとか言うのは無粋だ。

 


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P112より

 同じくネパールの問題。なんだよ。さっきめちゃめちゃ丁寧な問題だったのに、急にこっちを不安にさせるぶん投げっぷりじゃないか。荒野に置き去りにされている気分だよ。パンと一緒に。

答え:太陽

 すごい。すごい国だ。地上で一番空に近い場所であるエベレストを有しているから出てくるセンスな気がする。考えすぎかもしれない。

 

 この調子で俺はこの本を読み世界中のなぞなぞを浴びた。

 そして世界の底知れなさを知り、絶望した。

 負けた。手加減のない世界のなぞなぞに完全に負けた。文化の違い、すげえ。海外の人に日本のなぞなぞ出してもこんなふうになるんだろうな。下は大火事上は洪水とか、意味わからないもんな。

 

 一番後ろのカタログページが良かった。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P158より

 右上。


少年少女講談社文庫『世界のなぞなぞ』神保史郎・三浦健 編著 P159より

「えらぶのは、きみにまかせる!」

 良い言葉すぎる。