東京交通会館をご存知でしょうか。

東京交通会館(とうきょうこうつうかいかん)は、東京都千代田区有楽町二丁目の有楽町駅前に所在する店舗・オフィス・展示場などを有する大規模な複合ビルである「東京交通会館ビルディング」の複合商業施設としての名称。(Wikipediaより)

もともとは東京交通局が入っていたことから東京交通会館という名前になったそうです。現在は東京交通局は無くなり、なぜかオフィスや飲食店のみならずパスポートセンターやレストラン、果ては歯医者や郵便局、占い屋さんや献血ルームなどが混在する非常に混沌とした複合施設になっております。どうして?

そしてこれもまたなぜそうなったのかは不明ですが、地方アンテナショップが極端に集合していることでも有名です。

 

恥ずかしながら最近初めてそのことを知りまして行ってみたところ、その品揃えに感動してしまいました。なんでもある。なぜか韓国のアンテナショップもあります。旅行してもアクティビティとか全然興味なくて、メシ食って酒が飲めたらかなり満足な人間なので「もう旅行ってここでいいじゃん」とすら思いました。

なかでも心を奪われたのが地域ごとの酒、特にクラフトビールの品揃えの良さ。ここ来たら地方のブリュワリーのビール大体飲めるんじゃないですか?

 

東京交通会館の北海道どさんこプラザは一味違う

そういうわけで手始めに北海道のアンテナショップ、北海道どさんこプラザ有楽町店にやってきました。

 

やった〜!!めっちゃビールある!!!

人が溢れかえっていて写真が撮れなかったけど、できたてのコロッケやソフトクリームなどスナック類も充実しています。

実はどさんこプラザ自体は仙台や名古屋などにもありまして、東京都内にはなんと6店舗もあります。ありすぎ。しかし東京交通会館のどさんこプラザが他と一線を画しているのは、北海道各地の食品業者さんが入れ替わり立ち替わりやってくる販売会の多さと、新入荷商品のルーキーシステム

 

販売会めちゃくちゃやってる

販売会は各地のお菓子やソーセージといったメジャーなものから、札幌で展開している業務用製麺業者さんなど渋いセレクトまで網羅しています。この時は白老町の水産加工業者、虎杖浜水産さんが各種海鮮の珍味を販売していました。

 

ショーケースが宝石箱みたい。店員さん曰く、地元では特にたらこが有名だそうです。

いちおう羽田空港店でも販売会はしているんですが、東京交通会館のどさんこプラザはマジでとんでもない頻度でいろんな業者さんがゴリゴリ入れ替わります。広い北海道を旅行で廻るのはかなり骨が折れますが、ここで張っていれば向こうから勝手にやってきてくれるので北海道各地の特産品をわりと網羅できるかもしれません。

 

ルーキーシステムを知っておこう

お店の紹介を引用すると「4・7・10・1月の各月に、有楽町店でデビューした道内各地の商品、約100品のなかの人気ランキング」とのこと。100品?

●ステージ 1st ランキング :デビューから3カ月未満の新商品
●ステージ 2nd ランキング:1stの3カ月に及ぶ戦いに勝ち残った、上位半数商品

お店に行くとこのようなポップが付いています。

 

つまり1stステージの商品は入荷ホヤホヤのもの、さらに2ndステージはそこから人気があったもの、そして2ndステージで人気上位のものはレギュラーに昇格するという、膨大な商品の入れ替わりを可視化した画期的なシステムなのであります。

定番を押さえたかったらレギュラー商品、冒険したかったら1stの商品、いつもと違うものを試したいけどハズしたくはなかったら2ndからチョイスすれば間違いないでしょう。

 

買い物してきた

そういうわけであれこれ検討して買い物してきたものがこちら。

この量を1人で飲み食いするのは無理なので、近所に住んでいて(コンビニ行ったら会った)高円寺で「ネグラ」というカレー屋さんをしている思郎さんと麻衣子さんご夫妻に来てもらいました。

 

偶然にもつい先日まで北海道旅行をしていたそうで北海道土産のラーメンスープをいただきました。そんなことあるんだ。

 

鶴居村「 WIND IPA」

釧路湿原に隣接する鶴居という村の、廃校になった小学校を改装して2022年から醸造を始めたという新しいブリュワリー「Brasserie Knot」のWIND IPA。IPAとはインディアペールエールの略で、その昔イギリスからインドまでの船旅でもビールが腐らないように大量のホップを入れたことに由来する名前だそうです。上面発酵酵母(エール酵母)を使った、淡い(ペール)ビールでペールエール。複雑でフルーティーな香りとコクが特徴的なビアスタイル。このWIND IPAもスタンダードなIPAって感じで華やかでドライでしっかり苦いんですけど、コクよりキレの良さに振り切っていて爽やかでうまい。水のように飲めます。

新ひだか町「イタダキホルモン」と北見市「オホーツクビール」

北海道といえばジンギスカンですが、まあジンギスカンは北海道で食べたほうが美味しいだろうしな…とか考えながら「自分が北海道に行ったらまず食べなさそうなもの」を基準に選んだのがホルモン。さまざまなお肉の生産が盛んな北海道では、ホルモンもよく食べられているそうです。

いろんな種類がありましたが、冒険しつつ安心のルーキーズ2ndステージから『日高の牛肉専門店と豚肉専門店の店主が共同開発した特製タレ漬け豚ホルモン』というイタダキホルモンを購入。北海道では牛ではなく豚ホルモンが一般的とのこと。初めて知った。塩味のタレも定番らしい。

 

日本初の地ビールメーカーと言われる北見市のブリュワリー、オホーツクビールエール

豚ホルモンって大体臭くてこれも例に漏れずちゃんともつ臭いんですけど、新鮮なのかタレの力なのか嫌な臭さじゃないんですよね。その臭さと脂を、ビールの苦味と香りが包み込んで流していき何度でもうまい!ペールエールらしいんですけどいわゆる柑橘とかの感じはあまりしなくて、料理の味を邪魔しないちょうどいい塩梅。これもめちゃくちゃキレがいい。フルーティなラガービールとでも言えば伝わるでしょうか。

 

虎杖浜水産「たこわさび」と忽布古丹醸造「如何様」

生タコのたこわさび。初めて見た。たらこも水質全国一を誇る北海道倶多楽湖(くったらこ)の湧き水と赤穂の天然塩で漬け込んで作っていておいしいそうですが、販売していたおねえさん曰く、このたこわさのタコは北海道産のものを使っているとのことです。世にも珍しい純北海道産のたこわさび。大ぶりな生タコの食感と香り、茎わさびの清涼な辛味が絶妙に絡んでうまい!丼いっぱい食べたい!

 

こちらは北海道内で唯一ホップが商用栽培されている町、上富良野のブリュワリー「忽布古丹(ホップコタン)醸造」のなんかスペシャルっぽいビール如何様(いかさま)。注いだ瞬間「レモンジュースか?」とざわついた色の薄さ。アメリカンベルゴスタイルエールという、ベルジャン酵母を使った何やら珍しい作り方をしたビールだそうです。

「白ワインの発酵温度にならい20℃を上限に抑制的な発酵管理を行ない」とか「「Belgian IPA」あるいは、ホッピーな「Saison」あるいは、「シャンパン」風のビール、いか様にも感じられるものを解き放ちました」など説明がありますが、言われてみれば白ワインっぽいしシャンパン感も確かにわかる。超ドライなシャンパン?上手く例えられないのですがこれもめちゃくちゃドライ。なんか勘で選んだらドライなビールばっかりになっちゃった。

“水”に近い飲み口でスーッと飲めてしまうのですが、恐ろしいことにアルコール度数が8%あります。ストゼロ一歩手前。ストロングゼロより危ないかもしれない。イカサマってそういうこと?

江別「特別純米酒 瑞穂のしずく」

江別でとれた酒米「彗星」のみで造られたお酒。特別純米酒・純米酒はお米と水だけで造られる日本酒のことだそうです。スッキリ辛口とはまさにこのこと。

それはそれとして江別ってなんか聞いたことあるけどどこだっけ?と思って調べたら、「ゴールデンカムイ」に出てくる地名でした。石狩川が流れているところで、海賊房太郎と杉本たちが出会う話ですね。現在は空港や札幌などのアクセスの良さからベッドタウンとして栄えているらしい。ベッドタウンでお酒作ることなんてあるんだ。

 

噴火湾産「ぶりハム」と函館「ぶり塩ラーメン」

近年の温暖化の影響を受けて北海道では今サケがあまり獲れなくなってきていて、本来もっと南で獲れるはずのブリが豊漁で新たな水産資源になりつつあるそうです。そんな北海道でも珍しいというブリの生ハム

 

なんだこの質感!おれが知ってる魚のテクスチャじゃない!食感はハムのようにしっとりしていて、口の中でブリの旨みと香りがブワッと広がります。オリーブオイルと塩で食べましたが、ブリの存在感が全然オリーブオイルの香りに負けない。そのままはもちろん、パスタやサンドイッチなどいろんな料理に使えそう。

 

同じく漁獲量が増えたブリから作られた函館ブリ塩ラーメン。ブリがたくさん獲れるようになったものの、もともとブリを食べる習慣がないため地域での消費量は全国の半分、特に函館近海で獲れるブリはサイズが小さく脂も少ないことからあまり人気がなく、そんな北海道でのブリのイメージアップのために研究開発されたラーメンだそうです。

 

マジでとんでもなくうまい。完全優勝。豚や魚介で出汁をとった函館ラーメンに凝縮したブリ出汁を掛け合わせたハイブリットスープとのことですが、こんなにうまいの?ブリの主張がすごい。脂質が少ないブリだからこそできるという「ブリ節」がついていて、これを溶かしながら食べると味の変化も楽しいです。要するにブリの旨みがバキバキに強くなっていくんですが、いわゆる魚粉みたいな臭みが全然なくてちっとも嫌じゃない。未体験ゾーンの魚介系ラーメン。

ぶりハムをトッピングしてみたんですけど、うっすら熱が通ったことでわずかなぶりハムの臭みが消えて相乗効果でバツグンにおいしくなってしまいました。

 

ネグラ夫婦もめちゃくちゃぶちあがっておった。飲食店のお墨付き。ずっと残ったスープ飲んでた。北海道旅行したとき確かにお刺身とかでブリはよく見かけたけどそんなに印象なくて、ブリラーメンは未体験だったそう。まだ函館の新名物みたいな感じで食べられるお店はあまりないみたいなので、とりあえずどさんこプラザに行ったら絶対に買ってください。

 

東京交通会館は最高

東京交通会館・北海道どさんこプラザの商品たちでした。ほかのアンテナショップも東京交通会館仕様で気合が入っており、あらためて地方のメシと酒が集結しているという意味で東京交通会館がすごいことがお分かりいただけるでしょうか。行ったことがない人はぜひ足を運んでみてください。

 

今は極端に酒が充実している新潟のアンテナショップがアツいなと思っています。