あっ
ハムだ
良いハムだ!
良いハムを買った
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美ノ国(うつくしのくに)
説明:良いハム。豚肉を塩漬けした加工食品には若干荷が重いネーミングな気がする。
良いハムって自分で買わないですよね。
「今日はハレの日だから奮発して高級ハム買っちゃうぞ~」という人はあんまりいないような気がする。普通は和牛とかを買う。だからといって高級ハムが和牛より劣っているとかそういう話ではなく、ただただ不思議と「買わない」だけだ。
そう思うとお歳暮にハムを贈るのって、購買意欲の隙をついたナイスチョイスなんだな。定番化しているのも理由がある。自分で買わないけど、貰ったら確実に嬉しいもの。それが良いハム。
そういえばお歳暮って贈ったことないし、貰ったことないな。お歳暮の意味もあんまり分かってない。お歳暮ってなに?誰に贈ればいいの?人生のどのタイミングでお歳暮を送付せざるをえない状況になるのか。はたして僕の人生とお歳暮が接触する機会はあるのだろうか……。
さて、どうしようかな。どうしようかな、というか食べるしかないんですが。なぜか立派なハムを前にすると「どうしようかな」と意味もなく思ってしまう。
そういうことを考えているうちに一週間が経過した。
ハムの賞味期限はわりと長い。猶予があるのも考え物だ。決断が保留されつづけてしまう。
これが和牛だったらそうもいかないだろう。和牛は突風のような刹那的快楽だ。
開封しよう。
「ロースハム」。
並外れたフォトジェニックさ。縛られた肉塊であるはずなのに、どこか涼しさと凛とした佇まいを感じる。たしかにこのハムを見たら「美しの国…」と不意に言ってしまう可能性がある。
よくよく考えると正しいハムの食べ方を知らない。僕の生活のなかにはペナペナのハムしか存在しないから。
最初はちょっと厚めに切ってシンプルにそのまま食べるのが一番美味しいんだろうな。
公式サイトによるとこう切るらしい。
肉の繊維に対して直角で切ることで肉質が柔らかくなるとのこと。知らなかったら違う方向でカットしてたな。
こう
こう!
綺麗……。
無意識に薄く切ってしまった。分厚くカットできる胆力を持ち合わせてない。
そして味は…
…
うまい!!!!!!!!!
うまいね~。
これ以外浮かばなかった。しかし、普通のハムと比べて確実にうまいことはうまいが、僕は食に明るいほうではないので大概うまく感じる。ハムのうまさに適切な診断を下せていない気もする。
なので周囲の人に聞いてみることにした。
「うまいわ!良いハム!」
「美味しいですけど、普通のハムといえば普通かもですね」
「美味しい! 食感がしっかりしてるのに、口の中でちょうどよくほどける感じ!」
「うまい。味がうまい」
統計ではおおよそ美味いという結果でした。
100%よりこのぐらいの数字のほうが本当に美味いんだろうなという気がしませんか?
こういう心理学の用語あるんじゃないですかね。
ない?
ある???
どっち???
もうひとつの「ももハム」は家に持ち帰った。一人だけで食いたいから。
今度は厚めに切ってステーキにしてみる。
美しい………
美しいハム写真館
(BGM:エリック・サティ『ジムノペディ』 )
おわり
ももハムはロースハムと比べて脂肪が少なめだけどぷりっとしておいしい。
個人的には軽く火を入れたほうが好きでした。脂が少し溶けていたほうが分かりやすい美味しさのような気がします。
それといくつか調味料もかけてみたんですけど、結局そのままのほうがオススメです。つけるとしても、粒マスタードなど最小限にとどめたほうが本来の美味しさを楽しめていいかもしれません。
以上です。
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