風邪で熱を出したらツラくて泣いちゃいました。季節の変わり目みなさまいかがお過ごしですか? どうもライターの川合です。
前回に引き続き今回も懲りず地味な映画を紹介していこうと思います。今回ご紹介するのは『ランダム 存在の確率』という映画です。
11月1日現在wikipediaのページは存在せず。詳細を知れるソースはYahoo!映画や映画.comなど。曰く2013年公開のアメリカ映画。原題は ”Coherence”。
僕はケーブルテレビにて鑑賞。ジャンルとしてはSFで不思議な出来事が男女8人の身に降りかかります。
ただ見てるとなんとな〜くモヤモヤする。
何だこの感覚は。喉の奥に小骨が刺さったような違和感。
何かが引っかかる。一体この浮遊感は何だ……
そうだ、この映画『君の名は。』にそっくりだ!
「君の名は。」公開は2016年。本作はその3年前に公開。「パクってる!」とかそういうことを言いたいことではなのですが、とにかくボンヤリ似ているんです。
冒頭で男女8人、と書きましたが中年男女8人です。全員オッサンとオバハン。騙されましたね? 叙述トリックです。でも嘘はついてないです。
『ランダム 存在の確率』なんて自由過ぎる邦題も納得。画が地味だ。多少の無理を承知でもこれくらい胸を張って広告しないといけないという配給会社の苦労が伺えます。
いやいや全員オッサンとオバハンって…………爽やかで甘酸っぱい「君の名は。」とは程遠いのでは? と思われた読者の皆様もおられるかと存じます。はい、たしかに僕もこんなことになるとは想像だにしませんでした……。
中年男女8人がホームパーティーを始めます。そこで突然停電が起こり、あたふたあたふた。外に様子を見に行ってみると、何と自分たちと同じ姿をした男女8人を目撃してしまう。この謎をめぐって男女8人が一組の男女8人を相手になんやかんやするーーーーというのがこの映画のざっくりとしたあらすじです。
「何が起こっているの?」「どうしてこんな事が起こっているの?」と頭を捻って困惑します。
この理由が最後劇的に明かされるんだろうな〜なんて構えていると、けっこう序盤の段階で
「まあ、彗星が来てるからね!」
「そっか!しゃーない!」
「彗星ならかなわんわ〜」
「そういや冒頭でiPhone 割れたけど、それも彗星のせいですわ」
というガバガバの答えに着地します。いや知らないよ、彗星来てることなんて。全然言ってなかったじゃん。急じゃね?
その瞬間、僕の頭のなかで鳴り響くRADWIMPS !!!! 怪奇現象と彗星。これはもう『君の名は。』だ!
なぜか都合よくみつけた物理学の本を開いて3秒くらいで「なるほど、シュレディンガーの猫 的なことが起こってるんだ!」と怪奇現象の正体を解明。長くなるので詳しいことは省略します。
どうしても気になる方は本編を見てください。一応それっぽい説明はしてくれています。
急に言われて理解は出来ても納得はできない解説なのですが、まあ一応それっぽいことは言ってくれてます。科学だからって何でもかんでも信じるなよ……というツッコミを抑えて見続けると次なる怪現象が起きます。
最初は家の中に居た8人ですが、「様子を見てくる」と数人が繰り返しに家から出ては戻り出ては戻り。この結果としてオッサンが ”別の家のオッサンと入れ替わってしまう” のです。
え、ちょっと待って
オッサンと?
別のオッサンが…………?
もしかして?
入れ替わってるうううう?
ここで僕の脳内で前前前世が爆音再生。
あれ? いま野田洋次郎いた? いたよね? 歌ったよね?
彗星、入れ替わり。これはもう『君の名は。』を連想しないで何を連想しろっていうんですか。
確かにないですよ? 嬉し恥ずかしラブコメ要素とか一切ないですよ? なんなら落ち着いて結婚してたりするし。入れ替わるのも百歩譲ってオッサンとオバハンならまだしも、オッサンとオッサンですからね。
口噛み酒とか一切ありませんよ? どころかみんなこぞってガハガハ飲酒してます。なぜなら全員中年なので。
とはいえなんとな〜く『君の名は。』っぽい。J.J.エイブラムスのハリウッド実写化するまで、当分の間は『ランダム 存在の確率』が米国版 君の名は。暫定1位って感じになりそうです。
難しい話をすると、カルヴィニズムとか人間の恣意性みたいなものを表現したかったのかもしれません。そういう知識や素養があると面白いのかも。僕には全然全部を理解するには少しハードルが高かったです。
入れ替わりは解消するのか? 彗星はどうなるの? 瀧くんは居るの? 恋は実る?
このあたりの結末については敢えて伏せておくことにします。気になる方は是非是非ディスクなどでチェックしてみてください。