今回紹介するのは、アメリカの高校生のスィートでビターでデリシャスでハングリーな青春を切り取った儚い映画『アメリカン・スリープオーバー』です。

 

アメリカ本国公開は2010年。日本でのDVD化は「いや別によくね?」とスキップされていたのですが、昨年頃から「いや全然良くねえよ!みんなもっとこの映画見ろよ!!」とジワリジワリと上映が拡大し、遂にはクラウドファンディングでファンの後押しを受けながらBlue-ray化した1作。

 

そんな熱狂的な人気を誇る傑作がNetflixでの配信をスタートしました!

 

「アメリカン・スリープオーバー」2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

あらすじ

「スリープオーバー」というのはお泊り会のこと。新学期直前、その学期の最後の思い出作りにと催されることが多いようです。

 

映画の舞台はデトロイトの田舎町。小さなコミュニティでその夏の晩は「お泊り会」がいくつも開かれています。まだ大人ではないけれど、もう子供ではないキャラクターたちが悶々とそれぞれ一晩を駆け巡る群像劇。

 

あったよね、こういう恋愛未満の苦しさ。という切なさをほっこり見るタイプの青春の男女の物語です。

 

 

こんな映画!

Gucchi’s Free School + PHASE OUT INC.

 

背伸びをして見る風景の魅力と、背伸びをする必要が無くなってから見る風景の素っ気なさを両面から感じることのできるセンチメンタルが過ぎる映画。別に僕やアナタの青春がガッスガスに錆びていようがいまいが、とにかく最高な映画なんですよ。

 

登場人物に向けての「その歳でそんなことしても後からいくらでも出来るぞバカ!!」という変なベクトルからの変な怒りと「でもそうやって大人ぶるのこそが子どもの時だけなんだよな」という羨望が胸の中で混ざり合ってソワソワする変な映画です。最高です。

 

爆破もカーチェイスも、王の凱旋とかもない非常にしっとりした作風ですが、確実に応援上映も盛り上がるタイプの映画ですよコレ。「チューせんのかい!」「お前それでええんか?」「おい、テメー謝れよ馬鹿野郎!」というような白熱した声援で劇場が満たされる様が目に浮かびます……。

 

「青春」を経験してない人にもおススメ

Gucchi’s Free School + PHASE OUT INC.

 

筆者は中高6年男子校だったのでこの映画に「あるある」とか一切なりませんでしたが、なんとなくで共感してしまいました。的確なキャスティングと緩急の効いた演出でストーリーを魅せてくれます。

 

青春を知ってようがそうでなかろうが、この映画をみれば万事解決! 人生で1度しか経験しない子供と大人の境界のドギマギが、丁寧に落とし込まれています。もう、これ観てれば自分の暗かった10代なんか関係ないッ! 僕からしてみれば「ない物ねだり」と「あるある」の一挙両得。

 

 

 

実際には一度しか経験できないことでも、映画であれば何度でも何度でも追体験することが出来ます。そしてそのチャンスは思春期の機微を全く知らない僕みたいな人にも! ありがとうございます、本当に。

 

Netflix に加入していてまだ見ていないという方は是非この機会に。カッスカスでペラッペラの青春は忘れて、この映画で「あの頃」を取り戻してくださいな。