この不定期連載は、漫画家・ニャロメロンがブロス編集部に「カートゥーン アニメ」の魅力をプレゼンし、日本のカートゥーン人口を増やしていく記事です。

 

そもそも”カートゥーン”って?

ざっくりいうと、アメリカやヨーロッパで作られている(主に)子ども向けの楽しい2Dアニメ全般を指すジャンル。ディズニーのアニメや『パワーパフガールズ』『タートルズ』などもカートゥーン。

 

不思議でかわいくて異常な世界の大冒険『アドベンチャー・タイム』

 

 

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

 

今回ニャロメロンがプレゼンするのは『アドベンチャー・タイム』です。

 

 

どんなストーリーなの?

 

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

 

人間の男の子のフィンと…

 

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

自由に体を伸び縮みできる犬のジェイクが冒険するアニメです。

 

――それだけですか?

 

基本的にはそれだけなので、どこから見始めても問題ないと思います。

 

アドベンチャー・タイムのここがいい!

 

絵がかわいい

 

――何話か予習して観たのですが、絵がかわいいですね。

 

絵、めちゃくちゃかわいいですよね……。『アドベンチャー・タイム』は、日本でもカートゥーンにしてはかなり人気があるほうなのですが、「絵がかわいい」のはやっぱり大きいと思います。ちょっとだけ出てくる脇役もすごくかわいいんです。

 

――街でグッズをつけて歩いている人はたまに見かけますね。マスコットキャラとしてもかわいい。

 

 

「アドベンチャー・タイム」第2話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

舞台となる「ウー大陸」にはいろんなプリンセスがいて、どの子もかわいいです。

 

 

――イチオシのキャラクターいますか?

 

ちょっとコアなんですけど、ゲーム『アドベンチャー・タイム ネームレス王国の3人のプリンセス』に出てくるオリジナルキャラ、ララバイプリンセス・スランバープリンセス・ナイトメアプリンセスの3人です!

 

 

――コアすぎ。

 

有名どころだと、ヴァンパイア・クイーンのマーセリンは作品ファンの間でも屈指の人気キャラです。

 

 

 

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

 

1000年以上生きている闇の眷属マーセリンは、音楽好きな不良でいつも素直になれないツンデレ女子なんです。

 

――盛り込まれた属性がすごい。

 

展開がカオスすぎる

 

「アドベンチャー・タイム」第2話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

『アドベンチャー・タイム』のすごいところは展開の唐突さ、メチャクチャさですね。ものすごく速いテンポで荒唐無稽な展開が連続します。画像は妖精が棒にくくりつけた婆さんを消そうとするシーン。

 

――たしかに何話か見ただけで、すごく脳が疲れました。情報の濃度が日本のアニメの5倍くらいある気がします。

 

「視聴者にわかりやすく説明する」ってことを放棄してるので、唐突に始まって唐突に終わるんですよね……。シーズン1の第1話Aパートが「プリンセス・バブルガム(キャンディ王国の王女様)が発明した薬のせいで死体が蘇ってゾンビパニックになる」ってエピソードですからね。

 

――普通は番外編でやるネタですよね。

 

話だけがどんどん進んでいく初見ならではの不安と浮遊感を存分に味わってほしい……。

 

 

 

第2話のBパート「カワイイジグラー」もすごいです。主人公のフィンと親友のジェイクが謎の生き物を拾って「ジグラー」と名付けて可愛がるものの、餌や育て方が全くわからずどんどん衰弱していき、焦りまくる回です。

 

 

「アドベンチャー・タイム」第2話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

一般的な常識が通用せず、みるみるしぼんでグロくなっていくジグラーが滅茶苦茶怖いんです。無知な母親が赤ちゃんを虐待してしまうような状況を、母親視点でパニックになって観ることができます。

 

――すごい。

 

 

第3話のBパート「ツリートランクの冒険」も物議を醸しました。ツリートランクという小さなゾウのおばあちゃんに頼まれて、森の奥にある「クリスタルキラキラリンゴ」を取りに行く話なんですが、やっと見つけたクリスタルキラキラリンゴをかじったツリートランクがなぜか破裂してそのまま終わるんです。

 

――なぜ…?

 

 

「アドベンチャー・タイム」第32話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

一応、ツリートランクはのちのち再登場します。この展開の唐突さは昔話に近いのかなという気がしますね。桃太郎なんて、鬼が暴れまわる世界観を唐突に用意された後、桃から人間生まれるわ、猿とかキジとかイヌがきびだんご欲しさに仲間になってくるけど、誰も気にしないじゃないですか。

 

練り込まれた設定

 

ここまでめちゃくちゃな話だと、いい加減に作ったシュールアニメみたいに感じるかもしれませんが、実はかなり舞台設定がしっかりしてます。画面にちらほら映り込んでるキャラが実は重要人物だったり、衝撃の設定が遡って観てみるとちゃんとその設定通りに描写されていたりするんです。

 

――それは意外でした。

 

第6話Bパートのオチは「急に出てきた巨大なイモムシに洗脳されて終わる」という意味不明すぎるものなんですが、この謎が回収されるのは第48話です。

 

――おそすぎ。

 

 

「アドベンチャー・タイム」第52話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

物語の舞台である「ウー大陸」にも謎が多くて、あちこちに戦車や不発弾の残骸が埋まっていたりするんですよね。こういう裏設定を読み解くのも楽しみのひとつだったりします。

 

ニャロメロン的「神回」は32話!

 

――かわいいけどわけのわからない世界観としっかりした伏線の両方が楽しめるアニメなんですね。

 

ギャグ回をやりながら世界観の掘り下げを本当に丁寧にやってくれるんですよ。自分が本格的に『アドベンチャー・タイム』にハマったのは、第32話のAパート「僕の大切なもの」です。

 

「アドベンチャー・タイム」第32話より

TM & © 2017 Cartoon Network.

 

アメリカのアニメでたまにあるミュージカル回ですね。挿入歌が2つ存在するんですが、どちらも滅茶苦茶良いんですよ…。プリンセス・バブルガムとヴァンパイア・クイーンのマーセリンが本音を歌でぶつけ合うシーンがね……ちょっと百合的な要素もあって……。

 

――たしかに良い……。確かに知的なお姫様のバブルガムと不良吸血鬼のマーセリンの組み合わせは鉄板の百合ですね……。

 

細かい話なんですが、この回は全体の配色がすごく良いんですよ。マーセリンは吸血鬼なので日光を防ぐために帽子をしてるんですが、その帽子の影のコントラストがね、すごく良い。

 

――細かい……。

 

ギャグとかカオス回とかで脳が疲れてる時にこういうストレートで殴られるとね…どうしようもないんですよ…オタクは…

どうしようも無くなる…。

 

 

――どんどん観たくなってきました。

 

『アドベンチャー・タイム』はカートゥーン アニメの中では視聴環境も恵まれてるので入門に向いてます。Amazonプライム会員ならプライムビデオでシーズン1を見れるし、カートゥーン ネットワークでもしょっちゅう放送してます。おすすめです!

 

 

 

 

こちらはニャロメロン描き下ろしの『アドベンチャー・タイム』のイラスト。

 

 

アニメ専門チャンネル カートゥーン ネットワーク

摩訶不思議な世界をたっぷり楽しめる『アドベンチャー・タイム』。

気になった方はぜひ観てみてください。