映画鑑賞が趣味なので、4月前半に「良い」と思った映画をご紹介させていただきます

 

 

 

 

 

■シャザム!(2019・アメリカ)

 

【あらすじ】

親のいない悪ガキのビリー15歳はひょんな事からスーパーヒーロー「シャザム」になれるパワーを得た。里親の元で共に暮らすルームメイトのフレディにその事を告白するも、子どもの発想によるパワーの使い道でゲラゲラ笑って過ごしていた。そんなビリーのもとにドクターシヴァナとかいういかにもやばい奴が現れる!一体彼の目的とは…?な話

 

4/19公開ですが、試写会にて。DCシリーズはシリアスなものが多いけど、今作は主役が14歳の子どもということでコメディ比率が高く、笑い声が起こる程度にはギャグ強めでした。とにかく見た目は大人(豚骨ラーメン背脂マシマシみたいな濃い顔)頭脳は子どもというコピーにもある通り、濃い顔のおっさんが変なコスチュームで無邪気にはしゃぎ回る姿はギャップがきいててかなりおもろい!

 

トムホ版スパイダーマンより未熟で、怖気づいて生身の人間に戻って隠れたり、親友と仲違いしたり自分の力を過信して調子に乗りまくるとかは割とストレスはたまりますが、やはりそこを全部のりこえた先の覚醒はやはり熱い!!ヴィランもヴィランでシャザムのギャグパートに加担してくれる懐の深さもあり、総合的には痛快でしたね!

 

コメディ一直線でいくのかと思いきや、ビリーは孤児で家族の愛を知らず、フレディは足に障害を持ってていじめられてる、里親の元に集まってるその他の兄妹たちももれなく孤児という割と重めの設定もねじ込んでるのも興味深かったです。そこから里親の深い愛に触れたり、血の繋がってない家族のことを心配する姉メアリーとの会話などを経てビリーが守るべきものは何かという道を自ら作り上げていく心の成長も分かりやすくて良い!でも最後まで全く危機感を感じないほどにギャグを詰め込んで展開していくストーリーは「マイティ・ソー バトルロイヤル」ばりの楽しさでした。言わずもがなオススメです!早くジャスティスリーグに加入してくれ〜〜!!

 

 

 

 

 

 

■降霊(1999・日本)

 

【あらすじ】

TVマンの佐藤は妻とともに郊外で慎ましく暮らしているのだが、妻は降霊術を持っていた。ある日佐藤は音源収集のために森の中の音を録音している時に自分の荷物に誘拐から逃げてきた少女が紛れ込みんだことに気づかず、そのまま帰宅してしまう。妻は少女を利用して霊能者としての名声を得ようとするが、二人の歯車はやがて狂い出していく…な話

 

黒沢清監督の、20年前の心霊+サスペンスの傑作。あの〜、これめちゃめちゃ怖かったんですけど!?!?何ですかこれ?やば…。まず二人が見えてしまう幽霊の全ての登場シーンにジメジメとまとわり付くような寒気が怖い!!ビビらせ音は使わずにあくまでしっとりと、ジャパニーズホラーの基礎を抑えながら演出面で最高峰に食い込むほどの恐ろしさでした。

 

ファミレスの席に気づいたら座ってたり、木陰に佇んでいたり、ちゃんとドアを開けて入ってきたり。この「…いる!」という感覚が最悪な割に、特に呪い殺したりせずにただ心を追い詰めていくっていうのも無限地獄な感じで怖い!加えて佐藤たちが「幽霊に対しての罪悪感」で精神的に締め付けられるのも居心地が悪くて素晴らしい!

 

かと思えば誘拐した少女をめぐったサスペンス的な要素や、人間のうちに潜む狂気や感情の爆発なんかも心に大ダメージを与えるほどの嫌さに満ち溢れていて、バランス感覚すごすぎる…と改めて感じました。

 

改めて全体を通して振り返ると、全てのシーンが唐突でブツ切りだったり、そもそも妻が降霊術あるのかすら怪しくなる構成だったり、無茶な展開もあったり、やけにシュールなシーンもあったり、あまりにも予想外な哀川翔の登場など、見るものを不安にさせる歪さもまた凄まじかったです。配信とかはされてなくてDVDでしか見る手段ないけど、TSUTAYAに寄ることがあれば是非借りて欲しいですね…

 

 

 

 

■マローボーン家の掟(2017・スペイン)

 

【あらすじ】

忌まわしい過去を振り切り、母がかつて住んでいた郊外の一軒家に引っ越してきたマローボーン家。家族5人で力を合わせて新たな暮らしを始めようとした矢先、母が病で帰らぬ人となった上、正式に屋敷を相続するための多額の手数料が必要となってしまった。責任感の強い長男ジャックは、妹弟たちを守るために血塗られた掟に手をかける…な話

 

おもろい!!!!ホラー、サスペンス、スリラーをミックスさせながら全編に張り巡らせた緻密な伏線をバババ〜っ回収する衝撃的な展開はお見事の一言で、そういえばあのシーンも!あれも!これも!そういうことだったんかいっ!!と唸らせてくれるかなり気持ちのいい鑑賞後感でした。基本的に全ての予想がハズレてしまうほど何も推測できないポンコツ脳なので、最後の展開はよく考えたらベタだけどかなり驚きに満ちてました。公式サイトに全てのネタバレが書かれてるけど(いいの?)、何も情報を入れずに見るのがいいと思います。展開が分かってるうえでもう一度見て認識できなかった細かい伏線を再確認したい…!

 

で、調べたらこれキャストはイギリス人で舞台は60年代のアメリカなんだけど、製作はスペインなんですね。ヒットしてるスペイン映画といえばこういった伏線回収が顕著な気持ちいいやつということもあり、その辺は何となく腑に落ちました。ジャックを始めとするマローボーン家の面々はみんな闇を背負った幸の薄い顔つきと演技が素晴らしく、あと、やはりアニャ・テイラー=ジョイさんがあまりにも可愛すぎる…魚みたいな顔なのに、愛嬌があって、唯一無二な個性的な表情が最高だ…。Instagramも良い写真しかないし…。そんな感じで予備知識を何も入れずに見ることをオススメします

 

 

 

 

 

 

■ザ・バニシング -消失-(1988・オランダ、フランス)

 

【あらすじ】

オランダからフランスへバカンスを楽しむために車でかっ飛ばしていたレックスとその恋人サスキア。しかしサービスエリアで突如サスキアが行方不明になってしまう。レックスは亡霊に取り憑かれたように執念深くサスキアの行方を追うが、手がかりなく3年が過ぎる。そんな中、何かを知る男がレックスの前に現れる…な話

 

1988年の失踪系サイコスリラー。何故か30年以上経ったいま日本初公開とのこと。スティーブン・キング曰く「最も怖い!」、「サイコサスペンス史上No.1の傑作」と事前にハードル上げまくってましたが、その名に恥じない怖さと嫌さと胸糞さで構成されておりました…嫌すぎる…。犯人は序盤でレイモンだと分かる古畑任三郎パターンで、「二人の娘から尊敬されてる大学教授」とパーソナリティを公開しておきながら、裏では自身を深く知るために実験と称して何のためらいもなく人を手にかける冷徹さとヤバさが爆裂に描かれてるのが強烈。特に家族との団らん中に「…あ、自分が弱者を演じれば誘拐の成功率が上がるのでは?」と思いつく瞬間は一番戦慄しました。そんな時に気づくなよ!みたいな

 

ただこのサイコ野郎も誘拐の成功率は低く、やり方を試行錯誤して時にはドリフのコントかよみたいな失敗をしたりする人間臭さもあって、でも逆に「完璧じゃない等身大の人間」を描いてるからこそ、こいつの底知れない闇が浮き彫りになる仕上がりになってましたね。残虐描写は一切ないのにここまで震え上がらせるのはスゴイ。対してサスキアのために3年以上テンションを高めたまま探し続けるレックスも狂気じみていて、「真実を知りたい」という一点で突き進むあまりレイモンの手のひらで踊らされる鬱展開もかなりのものでした。見たあとに心が黒く濁るような嫌さを感じるのはなかなか珍しいので、興味があれば是非…

 

●これはセルフリメイク

 

 

 

 

 

■アンデッド/ブラインド 不死身の少女と盲目の少年(2018・オーストリア)

 

【あらすじ】

人里離れた森の廃屋に不死身の少女ミーナが住んでいた。人を殺し、その肉をむさぼり食うその姿はまさにゾンビなのだが、人語を解し手斧を使うなど、意外にも知性があるようだ。そんなミーナがある日出会ったのは、盲目の少年アレックス。見た目に左右されない彼との出会いが、暗く沈んだ悲しい過去を持つ彼女の心を動かしていく…な話

 

かなり風変わりで今まで全く見たことのなかった新感覚のゾンビ映画。まず「ゾンビ少女×盲目少年」という構図と、ゾンビなのに人語を解す上に手斧を使って人を殺したり知性があるところですでにそそられますね。風変わりなゾンビ映画といえばゾンビ世界でたった一人運良く(悪く?)生き残ってしまった男を描く「リビングデッド・サバイバー」や女一人対ゾンビ一人の追いかけっこが1時間続く「サンズ・オブ・ザ・デッド」など手法を凝らした様々なものがありますが、こちらもなかなか良い部類に入るものだと思います

 

劇中ではゾンビになった直接的な要因やアレックスが盲目になってる原因などは深く明かされず想像に身を任せることになりますが、ミーナがそうなってしまった悲しい経緯は描写され、それはまさに原題の「THE DARK」にあるような深い闇…あまりにも不憫!そこから物理的な闇の世界にいながらもミーナをまともな人間の一人として見てくれるアレックスと出会うことで、次第に人間らしさを取り戻していく見せ方が素晴らしかったです。

 

ミーナとアレックスがぎこちなく寄り添うことでラストシーンは光が差し込んだかのような良さに包まれることでしょう…言いすぎかもしれませんが…。たた、ジャケットに書かれたコピー「君を見たい、あなたを食べたい」という話では全くないので騙されないでください。適当なコピーをつけるな!

 

 

 

 

 

 

■来月も書きます

月2回お届け予定で、4月後半にも書きます

 

※Filmarksで書いたレビューに微調整を加えて書いています。更新頻度はこちらのほうが多いし早いので、合わせてフォローしてみてください

 

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